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ROKI

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 あれから一週間、俺は宍戸と良いも悪いも関係無しに遊びを満喫した。今を謳歌するように色んなことを試した。酒も煙草も味わったし、クラブで一晩を過ごした。年をごまかして入った店もあるし、学校を抜け出してカラオケにボーリングにゲームセンターに、行ける範囲を生き尽くした。宍戸は、ドラッグと女だけはどんなに勧められても避けていて、俺もそれに従った。宍戸はとにかく遊び方が上手い、そう思った。あの日以来俺は家に帰らず、ずっと宍戸のアパートに身を寄せ、遊びに遊び歩いて疲れて眠るを繰り返していた。

 七日目の明け方、宍戸はなかなか寝付かずに夜明けを眺めていた。煙草を吸う宍戸の横顔は大人びていて格好いいと、俺はそう思って横になったまま見上げていた。

「もう寝た?」

「…いいや」

「何を渡したら、お前のこと買える?」

 何を聞かれたのか理解するのに時間がかかる。

「買うって?」

「金を渡すのは嫌なんだよな…なんか違うもので売ってくれねぇ?お前の身体」

 売買の対象が自分の身体であると言われて、急に宍戸の意図を知る。

「身体を買うって、俺とヤリたいって事か?」

「そうだ」

 いつもより淡々とした口調の宍戸の様子に俺は何となく察しがついた。宍戸が俺に対して何を求めているか…きっとそれは俺と宍戸にしか分からない。そして、それは俺しか与えられない。自惚れかもしれない、けれど俺はそう思った。

「……そうだな…、なら…お前が遺せる物全部、かな」

 宍戸は笑っていた。
穏やかに何度も笑って、俺はそんな宍戸ととてもぎこちないセックスをした。金で繋がった身を投げ出したような交わりでは無い、正面から他人と向き合うような関わり合い方は初めてで、互いにどうしていいか分からずに不慣れなまま抱き合った。
 この行為の意味はわからない。俺にも宍戸にも説明は出来ない。俺と宍戸との関係も、はっきりと何であるのかは言い表せない。ベッドから離れて二人でシャワーを浴びながら、宍戸はキッチンにあった果物ナイフで俺の掌にあの指輪の文字を刻んだ。ひどい痛みはあったのに辛くはなかった。同じ文字が宍戸の腕に、煙草の火を押し当てた火傷の痕で刻まれていた。
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