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第二章ダークネスコンスピラシー
7話:集配魔術士の陰謀
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おい、起きろ!
聞いたことのないその声に俺は目を覚ました。ふと時計を確認する。時刻は午前2時半を示している。こんな時間に誰が・・・
ふと横を見ると、黒いローブに身を包んだ人物が立っていた。声が耳に馴染んできた。
「やっと気がついたか。支度を済ませて早くこちらへ来い!」
「お前は何者だ?」
「今はどうでもいいだろ。とにかく極秘任務だ」
任務・・・心当たりがあるとすれば一つだ。ついにドレイクシャドウが動き出すのだろう。
「了解した」
俺はローブの男に連れられて屋敷をこっそりと抜け出す。外にはもう一人の男が立っていた。暗くてはっきりとは識別できないが、見覚えのある顔だ。
「フェリペか。ついに動き出すようだな」
「やぁルヴェン殿。久しぶりだねぇ」
「何言ってる?昨日会ったばかりじゃないか」
「い~やまたいつか的な雰囲気だったからちょっとした配慮なんだけどねぇ~」
(そこ気にするのかっ!?)
「まあいい。なぜ俺を呼んだ・・・」
「君も薄々感づいているはずだけどねぇ。いよいよ本格的に婚約阻止に掛かろうってとこなんだが」
「だろうな。で、作戦はあるのか??」
「ああ、さっき本部で話してきたところなんだねぇ。そういえば君はうちのカシラにお会いしたことはあったかね?」
「知らんな。影で陰謀を巡らせるやつに関わりたくはないな。俺はあくまでも自分の復讐のために奴らを調べたいだけだ」
「ああそうかい。まあ、君が望まなくともすぐに会うことになるだろうけどねぇ」
「どういう意味だ??」
フッフッフ
フェリペはまた薄笑いをする。
「とりあえず任務があるんだよねぇ。まぁ目的としてはザラード家の婚姻の話を帳消しにすることなんだけどねぇ。困ったことにウチの本部がとんでもないことを言い出したんだよねぇ」
「具体的にどうすればいい」
「端的に言うと、ザラード家の娘であるメイベルを連れ出して幽閉するのさ」
「それってさらうって事か??」
「そういうことになるねぇ。流石に王側には干渉できないしねぇ。何より直にやり合って婚姻反対派の私達に勝ち目はないからねぇ」
「だがザラードも婚約を控えた娘をさらわせるほどヤボじゃないと思うが?」
「そこでだ。この時期、王国最大級の祭りが開催されているのは知っているだろう?」
「あ、ああ。」
(まだ王都へ来て一年も経って無いから!)
「ご存知の通りその日程が1週間後に迫っているんだよねぇ。そこで、軍事パレードとともに、勲章の授与式が行われるのだけどねぇ、ザラード家からも王直属の貴族としてアベルとゼストラ
が参加することになっているんだよねぇ~」
「つまり、その間に屋敷にいるメイベルを・・・??」
「話が早いねぇ。まぁそういうことだ」
「でも、そんな上手く行くのか?最悪、娘の婚姻の為にその日は離れない可能性だってあるんじゃないか?」
「い~やそれは無いねぇ。王国の勲章授与式を休むなんてありえない事さ。なぜなら授与式の様子は国民に公開されるのさ。つまり大貴族にとって権威を示す大事な機会だからねぇ~」
「そうだといいんだが・・・」
ザラード家の権威は仕事をしていても話されて感じるが、かなり国民に認知されているはずだ。田舎で育った俺には授与式の重要性がどれほどなのか分からないが、この男の言うことを信じても良いだろうか。
「今夜はこれといった任務は無いさ。ただ、『メイベル誘拐計画』は祭りの日、警備が手薄な時を狙うつもりだ。それだけは頭に入れておくんだねぇ~」
「上層部が考えたことだ。今回はつべこべ言わず、従うかな」
「じゃあいい夜を!また今度ねぇ少、年」
「くそ、じれってえな。話が長いからもう空も明るくなってるじゃねえか」
フッフッフ
彼は暗闇の中に消えていった。
聞いたことのないその声に俺は目を覚ました。ふと時計を確認する。時刻は午前2時半を示している。こんな時間に誰が・・・
ふと横を見ると、黒いローブに身を包んだ人物が立っていた。声が耳に馴染んできた。
「やっと気がついたか。支度を済ませて早くこちらへ来い!」
「お前は何者だ?」
「今はどうでもいいだろ。とにかく極秘任務だ」
任務・・・心当たりがあるとすれば一つだ。ついにドレイクシャドウが動き出すのだろう。
「了解した」
俺はローブの男に連れられて屋敷をこっそりと抜け出す。外にはもう一人の男が立っていた。暗くてはっきりとは識別できないが、見覚えのある顔だ。
「フェリペか。ついに動き出すようだな」
「やぁルヴェン殿。久しぶりだねぇ」
「何言ってる?昨日会ったばかりじゃないか」
「い~やまたいつか的な雰囲気だったからちょっとした配慮なんだけどねぇ~」
(そこ気にするのかっ!?)
「まあいい。なぜ俺を呼んだ・・・」
「君も薄々感づいているはずだけどねぇ。いよいよ本格的に婚約阻止に掛かろうってとこなんだが」
「だろうな。で、作戦はあるのか??」
「ああ、さっき本部で話してきたところなんだねぇ。そういえば君はうちのカシラにお会いしたことはあったかね?」
「知らんな。影で陰謀を巡らせるやつに関わりたくはないな。俺はあくまでも自分の復讐のために奴らを調べたいだけだ」
「ああそうかい。まあ、君が望まなくともすぐに会うことになるだろうけどねぇ」
「どういう意味だ??」
フッフッフ
フェリペはまた薄笑いをする。
「とりあえず任務があるんだよねぇ。まぁ目的としてはザラード家の婚姻の話を帳消しにすることなんだけどねぇ。困ったことにウチの本部がとんでもないことを言い出したんだよねぇ」
「具体的にどうすればいい」
「端的に言うと、ザラード家の娘であるメイベルを連れ出して幽閉するのさ」
「それってさらうって事か??」
「そういうことになるねぇ。流石に王側には干渉できないしねぇ。何より直にやり合って婚姻反対派の私達に勝ち目はないからねぇ」
「だがザラードも婚約を控えた娘をさらわせるほどヤボじゃないと思うが?」
「そこでだ。この時期、王国最大級の祭りが開催されているのは知っているだろう?」
「あ、ああ。」
(まだ王都へ来て一年も経って無いから!)
「ご存知の通りその日程が1週間後に迫っているんだよねぇ。そこで、軍事パレードとともに、勲章の授与式が行われるのだけどねぇ、ザラード家からも王直属の貴族としてアベルとゼストラ
が参加することになっているんだよねぇ~」
「つまり、その間に屋敷にいるメイベルを・・・??」
「話が早いねぇ。まぁそういうことだ」
「でも、そんな上手く行くのか?最悪、娘の婚姻の為にその日は離れない可能性だってあるんじゃないか?」
「い~やそれは無いねぇ。王国の勲章授与式を休むなんてありえない事さ。なぜなら授与式の様子は国民に公開されるのさ。つまり大貴族にとって権威を示す大事な機会だからねぇ~」
「そうだといいんだが・・・」
ザラード家の権威は仕事をしていても話されて感じるが、かなり国民に認知されているはずだ。田舎で育った俺には授与式の重要性がどれほどなのか分からないが、この男の言うことを信じても良いだろうか。
「今夜はこれといった任務は無いさ。ただ、『メイベル誘拐計画』は祭りの日、警備が手薄な時を狙うつもりだ。それだけは頭に入れておくんだねぇ~」
「上層部が考えたことだ。今回はつべこべ言わず、従うかな」
「じゃあいい夜を!また今度ねぇ少、年」
「くそ、じれってえな。話が長いからもう空も明るくなってるじゃねえか」
フッフッフ
彼は暗闇の中に消えていった。
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