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控訴

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夜の街灯に照らされた一人の女性が入ってくる。
「私ほどの最強スキル他の誰が持っていると言うのかしら?」艶やかな唇が微かに動いた。



『ここは異世界から来た最強チート持ちが最初に訪れる場所。現代社会に適応させるいい裁判所♪』

ああ、ココだ。
あなたは、今日も裁判を見に来ていた。
そして、傍聴席に座る。

「皆のもの艶やかに!これから裁判を始めるぅぅ」
「先に言っておくが最強認定されなかった者、又は改心しなかった者は死刑とする!」

裁判長と裁判官
そして、、おっと!美女が今日は美少女に変わっている!?
もう一度周りを見回す。
やっぱり完全に前回のミステリアス美女と逆のタイプの美少女に変わっている!

こっち系も捨て難いよな。若い女神様やぁ~あなたはそんなことを考えながら一人で盛り上がっている。


「転生者裁判女も第2ラウンドへ突入!今回はどんなチート持ちがくるのでしょうか!!」

相変わらず裁判長はノリノリだ。てゆうかさっきから【艶やかに】とか【裁判女】とかあらかじめ誰来るか把握してんじゃね?あなたは、そんなことを思ったりする。

「私はグローシー、魔女の国から来たわ。私こそが最強、いや、最艶よ。うふん。」


「カンカンッ!判決を言い渡す。グローシー、あなたは自ら最強ではないと認めたことを考慮し法律に従って残酷グローシーな死刑と……」

「ちょっと待ちなさい。発言を取り消すことは可能かしら。」

いや~相手はあの裁判長だぞ。無謀にもほどがあるだろ。

「いいだろう。先ほどのそなたの発言はなかったことにしてやる。」

はひ!?  いや、アンタさっきまで法がどうのとかグローシーには残酷グローシーな死をとか言っていたじゃないか。あなたは驚きを隠せない。

「君はまだチートスキルを見せていないからね。あくまでもチートスキル持ちに課せられる法律なんだよな。ホホッ、」

「わかってるじゃない裁判長じゃあ私に言うべき決まり文句は?」

『若く見えますね』

「…うふふ。お可愛いこと。」

裁判長は履歴書を見る。
「実年齢は674歳。『若く見えますね』」

周囲の視線が一気に逸れる。あなたも逸らす。

「アンタ、人の年齢を勝手にバラすんじゃないわよ(怒)所詮人間の艶めき0どもが!」

年齢詐称にもがあるだろ(笑)
つうか怖え~鬼の形相じゃん。あなたは身を震わせる。

ピキッ裁判長の怒りの合図だ!

「俺の艶めきが0だと?ロ○シタンのハンドクリームにP○LA .さらに資○堂 クレ・ド・ポーボ
ー・ネだぞ。(ちょっと背伸びしてみたんじゃが変かの~)このワシが艶めき0なわけ、わけ、わけ………。」

ってそっちか~い笑笑。それはいいけどP○LAとかほぼマンマやん。
それはそうと裁判長、自分の美容にもっと自信持て!!
あなたは肝心なことを忘れていた。
あれ、そもそもこの女のチートスキルって何だ?   
裁判長が口を割る。

「さてと、艶めきルージュのチートスキルは年齢詐称ババアでいいかの。」

「ちょっと待ちなさいよ!いいわ。教えてあげる。私のスキルは、よ。」

この茶番、いつまで続くんだ?あなたはもう疲れてきた。

「よし、裁判官のツミカブルン、この女の履歴書を読み上げろ!」
「は、はい!」

「メデューサ・ババチガーノ」
魔女の国で三つしかない、薄汚い馬小屋で生まれる。(艶めき0)
25歳までほうきに乗ることができず、外出できないため、周囲の若い魔女っ子繋がりが全くない大人へと育つ。
42歳で、婚期を逃した恨みから最強チートスキル『時を操る力』を手に入れる。
 この力で過去にもどり結婚を試みるも
ことごとく失敗。83回目のタイムスリップ時に結婚を勝ち取るも、自分の思い通りにならず離婚寸前。こうなればと、彼女は時を未来に進め、夫婦の不穏な空気が収まるまで使用し続けたことで未来で夫と離婚しているのに気づく。彼女はその後600年間、時を進め、戻しを繰り返し時空警察(時警)に捕らえられる。
何とか脱獄を図り、時空の狭間をさまよい歩いて674歳、転生者裁判所に送還。

享年674歳 そこで反省せず死刑によって死亡。
「読み上げたであります。」

なかなか聞いてるのが辛い話だった。だが魔女の国に馬の移動手段があるなんて!!ばばぁちがうのさん不幸すぎだろ
あなたは大事なことを見逃していた。
享年674歳… この魔女、ここで死んだことになっているのか?
あなたは驚きを隠せない。

「なぜそんな記録が存在するのかしら。」

「ババチガウノよ、残念だが履歴書は時の流れを無視するのじゃ。つまり、『を持ったお主はこの未来から逃れられないのじゃ。」

「そんな。嘘よ。私は時を操れる…最強の能力を持っているのよ。」

「お主、薄々感づいているのではないか?歴史はということを。どうあがいても無駄だということを。」

「つまり、私は殺されるのね。」

「いや、誰も殺すなんて言ってないぞ。お前の反省次第では現代社会でやり直すこともできるのじゃ。
 あるゲームを行う。ルールは簡単。自分がここにいる美少女よりどれだけ劣っているかを話すのじゃ。美少女に要求されたらそれも全て受け入れるのじゃ。怒り出したらお主の負けじゃ。だが我にそれが伝わってくればお主を勝ちとして死刑は免れさせてやろう。『魔術で時を戻しても無駄じゃ』、また一つ年齢を重ねるだけじゃぞ。ホッホッホ。」

自分以外の女性をしかも美少女。あの魔女には厳しいだろう。あなたはそう思った。

「や、やるしかないのね。仕方ないわね。すぐ終わらせてやるんだから。」

「ゲームスタートじゃ」

「うふん。あなたは私より幼くて可愛いわ。」
初手は自分へのダメージを最小限にしながら攻めてくる。美少女が口を割る。
「あらそうですか。あなたのようなおばさんから見ても私は可愛いですか。
じゃああなたより私の方が優れていると思うところを10個言ってくださいます?」
嫌そうな素振りを見せながらも要求に応える。
「あなたは、私より肌が白くて、ほっぺもリンゴのように赤くて、目も大きいですわ。化粧も薄くて、堂々としていて憎めない可愛さがありますわ。」

あと半分のところで、美少女が何やら魔術を唱える。変身魔術の使い手だったようだ。するとみるみるうちにおばさんになっていく。おいマジかよ!とあなたは思う。

「あれ?アナタが言っていたこととずいぶん違いますね。また一からやり直してもらわなくては。本当のことを言っているとは思えませんからね。」

うわぁ女の本性はこんなにも怖いのか。てゆうかさっき○○様とか言ってたのが恥ずかしい…可愛い子には要注意って奴だな(笑)あなたはこの裁判の行く末を見守る。

「この野!、、、うふん。いいでしょう。見た目なんて関係ありませんから。」

魔女は怒りを必死にこらえる。こんな屈辱、時を飛ばして楽をしてきた彼女にとって耐え難いものだった。

「あなたは服装、メイクのどちらにおいても私よりお、男ウケがいいわ。笑顔も素敵だし癒されるし…か、可愛いわ。それに、、、」

ババアがババアを褒めている状況にあなたは何とも言えない笑いがこみ上げる。
魔女の口が止まってしまった。

「私もうこれ以上は言えないわ。そうよ、私は自分の運命が変えられないのが辛かった。時を何回も戻して自分に短所はないと言い聞かせて男を誘惑したわ。
でも自分が他人より優秀じゃないことを認めた今の私はもう何も残らないわ。いっそのことここで死んでしまいましょう。」

彼女は泣き崩れる。あの完璧主義の魔女が我を忘れて叫んでいるなんて。なんかドラマの悪役が最後許しを請うシーンを見ているみたいだ。いやいやいやそんなのんきな話じゃないだろ!彼女は殺されちまうんだぞ。

変身魔術士のおばさんが言う。

「あなたは私の優れているところを10個言えなかったわ。でもあなたは自分の最も大切にするの高いプライドを捨てることができたわ。あなたに生きる道を与える。その魔術、裁判長に注いでいきなさい!」

「ええ。もうこんな魔術は要らないわ。
新しい人生を歩ませてください!!」

魔女は裁判長に自分の魔術を注ぎ込む。

「ああ、気持ちいい。」

魔女は法廷を後にする。
そんな彼女の後ろ姿は晴れ晴れしかった。


~裁判後~

いやぁなんか今日は長かったな~。
あなたは次の瞬間、衝撃的な光景を目にする。
なんと、


裁判長の部屋の壁を女がすり抜けて中に入っていった、、、













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