淫靡な香りは常日頃から

綾崎暁都

文字の大きさ
上 下
15 / 19

欲望の底

しおりを挟む
 夜、君と僕は調べ物をしていた。ライブラリの片隅で、古びた書籍が埃をかぶっているのを発見したのだ。それは、官能の頂点に触れるような言葉で書かれた、僕が書いた忘れられた官能小説だった。
 君は興味津々とその本を手に取り、ページをめくった。何度も君の唇がその言葉を口ずさむ姿は、まるで一つの儀式のようだった。そして、君は一つのセンテンスを選んで読み上げた。
「愛しい、夢の中で君の肌を撫で回したいと思う」
 その言葉は、まるで潤滑剤を塗ったように僕たちの会話を滑らせ、君の瞳に欲望の炎を灯した。僕たちは言葉を交わさず、互いの欲望を感じ合った。
 そして、僕は君の手を取り、書庫の奥に隠れるように進んだ。狭い空間で、君の唇が僕の肌に触れる瞬間、その官能小説の言葉は現実となった。
 君の声が耳元で囁き、僕の背筋に快楽の戦慄が走る。欲望に駆られた僕たちは、言葉の力を信じ、深い官能の世界に没頭していった。
「あなたの肌、熱い」
 君の言葉に応え、僕は君の身体を抱きしめ、炎のような情熱で君を求めた。僕たちの会話はもはや言葉を超え、身体の触れ合いだけが存在する世界へと導かれていった。
 時間が経つのも忘れ、欲望が波のように押し寄せ、引いていく。言葉だけでは表現できない感情が、言葉なしに伝わる瞬間だった。
 最終的に、君と僕は言葉の中に閉じ込められた情熱を解放し、欲望の底に沈むように溺れていった。僕の書いた官能小説は、私たちの心と身体を深く揺さぶり、欲望の奥底へと誘った。
 その夜、私たちは言葉と欲望の狭間で、新たな官能の世界を発見し、経験した。それはまるで、僕の書いた小説自身が君と僕を導いたかのように感じられた。
 そして、僕たちはその官能の瞬間を永遠に刻み込みまれていく。『欲望の底』と題された、この官能小説は、君と僕の秘密の物語として、永遠に語り継がれることだろう。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

偶然PTAのママと

Rollman
恋愛
偶然PTAのママ友を見てしまった。

処理中です...