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真・王女の淫魔 2
しおりを挟む「うっ……ああっ……」
「体の中を直接弄られる感覚。気に入ってくれてかしら?」
ツバキに押さえつけられ、精気操作により体の内側から刺激を与えられ苦しむサクラ。
そんな二人の姿を見て、カナは動揺せざるを得ない。
かつてコンビを組んでいたパートナーが、今のパートナーを責め立てる。
想像したこともないような光景が目の前に広がっていた。
「くッ……やめなさい、ツバキッ!」
押さえつけられたサクラを助けるため、カナは二人のもとに駆け寄ろうとする。
だがその瞬間――
「――ッ!」
真横からゾワリと殺気を感じ、カナは背後に飛び退く。
直後、さっきまで自分が立っていた場所にバチンと大きな音を立て、触手の鞭が振り下ろされた。
「だめだめーっ、カナちゃんは私と遊びましょ?」
カナと二人の間に王女の淫魔、リリンが立ちはだかる。
リリンはこの状況を楽しんでいるかのように笑っていた。
「あ”っ……あ”あ”ぅ……ッ!」
淫魔を挟んだ向こうからはサクラの悲痛な声だけが聞こえてくる。
自分一人の力でこの淫魔を倒さなければならない。
焦りが募る。
「くっ……このぉッ!」
バァンッ!
密閉した室内に銃声が響く。
淫魔の額を目掛けて放たれた銃弾はリリンの頬をかすめて壁に当たる。
(避けられた……いや、でも…………避けたということは当たりたくないということッ!)
もう一発。
あの淫魔の体に銃弾を打ち込むため、カナは構え直す。
「ふふっ、やーっと遊ぶ気になってくれてのねぇッ! ほぉらッ!」
「ッ!? くそっ……」
だが引き金を引くより先に足元に迫る触手に気づき、カナはその場から離れる。
リリンは血相を変えてカナを追いかける。
最初の一発が戦闘開始の合図となったのか、今のリリンは完全に捕食者の目をしていた。
捕食対象を捉えんと、いくつかの触手をカナに向けて伸ばす。
「くっ、埒が明かないッ!」
迫り来る触手に銃弾を打ち込むと、その触手は弾けて地面に転がる。
だが幾度も触手を払いのけようが、次の触手がやってくる。
「あはははッ、あはははははッ!」
リリンの不気味な笑い声が室内に響く。
体中から触手を伸ばし、もはや彼女はほとんど人の形を残していなかった。
***
バチンバチンと触手が床を叩く音、稀に聞こえる銃声、そして肉が飛び散る音。
銃弾により千切れた触手の破片が、足元に転がってくるのが音で分かる。
頭が痺れて焦点が合わず視界はおよそ使い物にならないが、音だけはクリアに聞こえた。
「ほらサクラちゃん、カナが頑張ってるところ、一緒に見ましょ?」
「うぁ、あぅ……ッ」
首根っこを捕まれ、無理やり視界を動かされる。
焦点はまだ合わさらないが、ぼやけた視界でも淫魔と戦うカナの姿を認識することができた。
「ほら、一緒にカナを応援しましょう?」
「あ、あなたは……何を……言って……」
「ほらほら、応援するのよ……ね?」
ツバキの指が服越しにサクラの腹部に触れる。
「あ”ッ! あ”ぅ”ッ! ああああッ!?」
腹部の内側が渦巻くような感覚がやってきて、サクラは絶叫をあげる。
「どう、お腹がぐるぐるするでしょ? でも大丈夫。安心して、感覚神経だけを刺激してるだけだから」
ツバキが手を離すと、その感覚もスッと消えていく。
「はぁ……はぁ、あぁ……っ」
疲弊しきったサクラは全身から汗を流し、だらしなく涙とよだれをこぼす。
直接体を壊されているわけではないと分かっていても、感じたことのない激痛や不快感は着実にサクラの精神を壊していく。
「ほら、一緒にカナのこと応援しましょ? カナ頑張れーってね」
「かな……せんぱ……がんば、え……」
指示に従って見せると、ツバキの表情が分かりやすくパァッと明るくなる。
「よーしよしよし、いい子だねぇ~、よくできましたねぇ~」
ツバキはそれこそ言いつけを守った犬を愛でるように、サクラの頭を嬉しそうに撫で回した。
(なんとか……この状況を……)
追い詰められたこの状況の中、サクラは必死にこの状況からの打開策を考えていた。
サクラが使う精気で作り出した刀では、人間であるツバキを切ることはできない。
力で振り払おうと何度か試したが、拘束するツバキの腕を振り払うことはできなかった。
退魔師としての力はツバキの方が上であり、厄介なことに洗脳された今であってもツバキは退魔の力を自在に扱えるようであった。
武器が効かず、力でも振り払えない。
それでもサクラは諦めるわけにはいかなかった。
「ぐぁ……ッ!」
思考をしている最中、遠くでカナの悲鳴が聞こえた。
「……ッ! カナ先輩ッ!」
触手の攻撃を受けたカナが地面を転がる。
カナは右腕を左手で抑えながら立ち上がり、襲いかかる次の攻撃を躱していく。
「あははっ、さっきから避けてばっかで全然攻撃してこないけど大丈夫ー?」
カナはどんどん傷が増えていくのに対し、リリンは意気揚々とカナを追い詰めていく。
触手の数本が銃弾で吹き飛ばされようが、またどこからか新たな触手が生え、リリンは臆することなく攻撃を続ける。
こんな状況下ではカナが敗北するのも時間の問題だった。
「やっぱり……サクラちゃんはカナのことが好きなのねぇ」
ツバキの指がサクラの頬をそっと撫でる。
ピリリと背筋が痺れるも、サクラはなんともないかのように振る舞う。
「そして……カナも、あなたのことが好きなんだ」
耳元で囁かれたその声は、どこかもの哀しそうな声だった。
背後から抱きつかれるようにして体を押さえられているこの状況では、ツバキがどんな表情をしているのかサクラには分からない。
(なんか……変だ……ツバキさん、本当に洗脳されているの……?)
操られているにしては妙だった。
淫魔側からすれば敵であるはずのカナを応援しろなどと言い出し、そしてどこか感情的にも見える。
「私もね、カナのことが好きだったんだぁ……でも、あくまで仕事をする上でのパートナー以上の関係にはなれなかったみたい」
寂しそうにそう語る彼女の口調は、とても洗脳を受けた人間の言葉には聞こえなかった。
(もしかして……ツバキさんは…………ひッ!?)
肌を伝う感覚が思考を遮る。
頬を撫でていたツバキの指が少しづつ下に移動していく。
首筋、鎖骨、胸を通り越し腹部へ。
「だから、サクラちゃんのことを見ているとね――」
吐息が耳に直接触れてしまうほどに、ツバキの唇がサクラの耳に近づく。
その声はまるで媚薬のようにサクラの背筋を震わせ、かたやツバキの指は腹部を通り越し、サクラのスカートの中に入り込む。
(あっ……まず……ッ!)
そう思った時にはもう手遅れ。
「――めちゃくちゃに……してあげたくなっちゃう」
今までひた隠しにしていたツバキから感じる憎悪の感情が、一気にサクラの体へ向けられる。
「……ひぐぁッ!?」
その瞬間、下半身に電流が流れたかのような刺激が走る。
サクラは自身の太ももをぎゅっと内股にして、感じたことのない強い刺激に耐えようとする。
「あっ……かっ……はぅうッ!?」
「ねぇ、ここ、内側から責められたことある? ないよねぇ」
スカートの中に入った指が、ショーツのある一部分をツンツンと指で叩く。
「ひぐっ……そこ……だめぇ……っ」
そこはサクラの性感帯。
ショーツの中で膨らんだそこを、外側から何度も突かれる。
それと同時に内側から妙な感覚がやってくる。
「ひぁああっ!? なに……コレ……ッ、お腹の、方から……ぃやっ、あああああッ!? 来ないでぇッ!!」
「想像して、針金のようにほそーい蛇さんがね、今サクラちゃんの体の中で蠢いているの。その子がね、サクラちゃんの美味しそうなところを見つけて近づいてくる」
「ああッ……く、んぅううッ!? だ、めぇ……そこは……っ!」
「蛇さんはね、獲物を見つけるとどうするんだっけ? そう、ながーい体でギュッと締め付けるのよね。……こんなふーにッ!」
「――い”い”い”ッ!? あ”っ――はっ――」
サクラの体が大きく跳ねる。
本来触れられるはずもない性感帯の内側を責められ、空気の中で溺れているかのように口をパクパクと動かす。
「あははっ、今のは優しめにギュッとしてあげただけなのに、そんなに反応しちゃうのねぇ」
「はっ、ひあっ……そん、な……っ」
(うそ……今の締め付けだけでも、頭が飛んでしまいそうだったのに……全力で、締め付けられたら……)
想像しただけで顔が青ざめる。
「あ、そうだ。サクラちゃんが気持ちよくなってるところ、カナにも見せてあげようよ」
「……え、なっ!? だめッ!!」
「えー何で? サクラちゃんがダメになってるところ見たら、カナだって興奮して喜んでくれるかもしれないよ? ねーカナー! 今からサクラちゃん、イかせてあげるから見ててねー!」
急にツバキが大声で叫び出す。
「な、何をッ!? いや、やだ……ッ!」
カナにこんな痴態を見せるわけにはいかない。
想像するだけで顔が赤くなり、サクラは冷静さを失っていく。
(いやだっ、見られたくないッ、見られてくないッ!!)
必死に暴れるも、ツバキの腕は鉄のようにびくともしなかった。
焦りが募ってサクラは助けを求めるような視線で前を見上げる。
見上げてしまう。
ぼやけていた視界の中に長い髪をなびかせた彼女の姿が見えた。
そんな彼女がふと、こちらに視線を向けたような気がした。
(あ……だめ…………カナ先輩……こっち、みちゃ――)
「それ、ぎゅーッ!」
その刺激は唐突にやってきた。
「――い”ッ!? ――ひぎッ!?」
締め上げられる。
それは本来触れることのできない性感帯の内側を、細長い糸で強く締め付けられるような感覚。
「あッ――――がぁああああああああッ!!?」
絶頂する。
潮を吹き、愛液があふれ出し、ショーツが吸いきれなくなった水分がボタボタと足元にこぼれていく。
「ほらもっとイくのよ。ギュっ、ギュっ、ギュ~~~~ッ!!」
「ひぁああッ!! と、止めッ、ンぁあッ、あ"あ"ッ!? や……めっ、み、みらい、で……ひぅッ! みちゃいやぁあ……ッ! あッ……くぅ……っ、ふぁああああああッ!?」
何度も何度も、強さや間隔を変えて締め付けられる感覚がやってくる。
内側からやってくる快楽に抵抗のすべなどない。
全身を痙攣させ、体を仰け反らせ、最愛の人の視線を感じながら、サクラは何度も何度も絶頂し続けた。
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