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王女の淫魔 5
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「王女の淫魔よ。あなたは淫魔である以上、食事を摂らなければならない」
「しょく……じ……?」
動けないサクラをよそに、二人は会話を続ける。
「そう、食事。淫魔の食事とはすなわち、人間から精気を奪うこと」
「ん~?」
生まれたばかりの淫魔は、まだ食事という概念そのものを理解していないようだった。
今にも飛んでしまいそうな意識の中、サクラは必死に二人の会話に耳を傾ける。
おそらくシエラは、淫魔にサクラの精気を奪うように言いたいのだろう。
だがシエラの言っていることを聞いて、あることを疑問に思う。
「そん……な、もう……せい、き……残って……ない」
掠れた声で主張する。
サクラにはもう、武器を生み出す力すら残っていない。
出がらし状態の自分から精気を奪おうとしたところで、何かが得られるとは思えない。
「ふふっ、それはどうかしら?」
シエラはサクラの背後に回ると、背後から抱きしめるようにしてサクラの上半身を無理やり起き上がらせる。
シエラの右手はサクラの首筋を撫でながらあごを掴み、左手は脇腹の辺りをそっと掴む。
「私の研究ではね、精気とは体の中に宿る余剰な生命力だと考えられているの。そしてその余剰な生命力を巧みに操る能力を持った人間、それが退魔師と呼ばれているのね」
子供に教えるようなゆったりとした口調で、シエラはサクラの耳元にささやく。
サクラは意識を保つので精一杯だったが、彼女の言っていることはなんとなくだが理解できていた。
「淫魔は人間の精気、つまり生命力が大好き。でも一般的な淫魔では精々人間の中にある余剰分の生命力を奪う程度の力しか持たない。だけど……もし、より強力な淫魔なら…………人間の内側にある、生命力の根源、そのものを吸うことだって……」
サクラが背後のシエラに気を取られている間に、正面にいた淫魔がズンと近づく。
「――――ッ!?」
淫魔が肩を掴み、好奇心旺盛な顔が少しづつ近づいてくる。
「や……いや……ッ!?」
シエラが言うより強力な淫魔とは、目の前にいるカコから生まれた淫魔のことなのだろう。
そしてサクラが今からされようとしていることは、今まで淫魔にされてきた精気吸収とは全く次元の異なる生命力の吸収。
恐怖して顔を背けようとするも、シエラにあごをつかまれ、強制的に前を向かされる。
淫魔の顔が近づき、淫魔はカッと目を見開く。
「あっ……あぁああああああッ!!?」
ただ見るだけで、女性の官能をくすぐる悪魔の視線。
全身が疼き、甘く痺れる。
「このなかにあるもの……ぜんぶ、すいだせばいいの……?」
「そう。唇を合わせるの」
「あっ……ああっ……!」
その視線から逃げることもできず、もはや悲痛なうめき声をあげることしかできない。
淫魔の唇が近づいて……重なる。
「んっ」
「ンぁ……っ」
ぬちゃりとした感覚に不快感を覚える。
だが目前にある淫魔の瞳を見つめると全ての感覚が快楽に変わり、一方的に快楽だけを押し付けられる。
「ん……ん、ぁ……」
「ふぁあっ……あぁ……ッ!」
淫魔の舌が口内に入ってくる。
決して強い刺激ではなく、サクラの口の中を傷つけないように探るような動き。
淫魔自身もこの行為の意味そのものをまだ理解していない様子だった。
そのまましばらく、慣れない舌遣いの甘い責めが続く。
「ん……あぁ……っ、あ――――あ”ッ!?」
だがある瞬間、サクラの背筋にビクンと震えるような強い刺激が走る。
舌先から電流でも流されたかのような感覚。
直後、強い脱力感がやってくる。
体の内側から、何かが奪われたようなその感覚。
その感覚を、サクラはよく知っている。
「んぁ……こーやって……やるんだ……あぁむ」
「あっ……だめ、吸わな――――ンむぅッ!!? ンンーーーーーーーーッ!!」
一瞬唇が離れるも、再び蓋をされる。
だが今度の責めは甘さのかけらもない、無情な責め。
自由に体の形を変えられる淫魔は自身の舌を細く長い形にして、蛇のようにサクラの舌を絡め取る。
そして……強い刺激がくる。
「んッ、ン”ン”ン”ン”ン”ン”ッ!!?」
(なに……これ……ッ!? からだの……なかにあるもの…………ぜんぶ、もって……いかれる……ッ!)
かつて感じたこともない、絶対に奪われてはいけないものが奪われているような感覚に驚愕し、恐怖する。
「素晴らしい……これが私の作り出した、最強の淫魔の力……」
そんなサクラの生命力を吸う淫魔の姿を、シエラは恍惚とした表情で見つめる。
サクラがビクンビクンと震える感覚を肌身で感じ、今まさに生命力を奪われている少女の最後の足掻きを尊いもののように眺めていた。
「んっ……んっ……んぁむっ……」
「んぎゅ……っ!? ン”ぁ……ッ! ン”む”ぅ~~~~ッ!!?」
(こんな……きもち、よすぎて…………もう、なにも……)
一定のリズムで吸われる生命力。
それと同期して、ビュッビュッと勢いよく愛液が溢れる。
生命力を奪われるときに感じる快楽は、精気を奪われるときに感じる快楽の比ではない。
断続的に、何度も何度も絶頂する。
「ん~~~~ッ!!」
「――――ッ!!?」
淫魔が一気にサクラの生命力を吸い上げようとする。
するとやってくるのは、断続的な連続絶頂とは違う止まらない絶頂。
(きもちいいの……とまら、ない……ああ、あぁ……)
意識や思考が、全て快楽に塗り替えられていく……
***
カコが意識を取り戻したとき、そこには凄惨な光景が広がっていた。
一人の女性が、背後から誰かに押さえつけられ、前方からは淫魔に責められる…………そんな姿。
少しして、その女性がサクラだと気づく。
「はぁ……はぁ……せんぱ…………いま、どうなって……」
カコは淫魔の出産中に意識を失っていた。
慌ててカコは、今の自分の状況を確認する。
手足は拘束されたまま。
拘束具は特殊な材質なのか、カコの影の力をでは傷一つつけることができなかった。
そして自身から感じる異常なまでの脱力感と、腹部から下半身にかけて感じるじんじんとした痛み。
様々な施術を施され、自分の中に淫魔を宿す感覚は感じていた。
だがその感覚は今はなく、出産し、今サクラを襲っているのがその淫魔なのだろうと察した。
「あのクイーン……えぐいことを考えやがるなぁ……」
そんなカコの呟きは、サクラの悲痛な絶叫がかき消し誰にも届かない。
「手足の拘束は外せそうにない……でも、力はちょっと残ってる……」
カコは重い頭を少し上げ、サクラを見つめる。
精気を完全に失い、それ以上のものを奪われようとしている彼女。
本来なら、カコが捕まった時点でサクラにはもう戦う理由はない。
サクラはもともと、カコに囚われている立場の人間だったのだから。
「何で、逃げない……かな…………ばか、なのかな……」
サクラの行動に呆れるのと同時に、カコの口元が軽くほころぶ。
そしてカコはある一つの決断をする。
「私はどうせ逃げられないし……でも、あの白衣のクイーンに完全にしてやられるってのも腹立たしい。だったら最後に…………嫌がらせでもしようか……ッ!」
カコはカッと目を見開き、影の力を展開させた。
「しょく……じ……?」
動けないサクラをよそに、二人は会話を続ける。
「そう、食事。淫魔の食事とはすなわち、人間から精気を奪うこと」
「ん~?」
生まれたばかりの淫魔は、まだ食事という概念そのものを理解していないようだった。
今にも飛んでしまいそうな意識の中、サクラは必死に二人の会話に耳を傾ける。
おそらくシエラは、淫魔にサクラの精気を奪うように言いたいのだろう。
だがシエラの言っていることを聞いて、あることを疑問に思う。
「そん……な、もう……せい、き……残って……ない」
掠れた声で主張する。
サクラにはもう、武器を生み出す力すら残っていない。
出がらし状態の自分から精気を奪おうとしたところで、何かが得られるとは思えない。
「ふふっ、それはどうかしら?」
シエラはサクラの背後に回ると、背後から抱きしめるようにしてサクラの上半身を無理やり起き上がらせる。
シエラの右手はサクラの首筋を撫でながらあごを掴み、左手は脇腹の辺りをそっと掴む。
「私の研究ではね、精気とは体の中に宿る余剰な生命力だと考えられているの。そしてその余剰な生命力を巧みに操る能力を持った人間、それが退魔師と呼ばれているのね」
子供に教えるようなゆったりとした口調で、シエラはサクラの耳元にささやく。
サクラは意識を保つので精一杯だったが、彼女の言っていることはなんとなくだが理解できていた。
「淫魔は人間の精気、つまり生命力が大好き。でも一般的な淫魔では精々人間の中にある余剰分の生命力を奪う程度の力しか持たない。だけど……もし、より強力な淫魔なら…………人間の内側にある、生命力の根源、そのものを吸うことだって……」
サクラが背後のシエラに気を取られている間に、正面にいた淫魔がズンと近づく。
「――――ッ!?」
淫魔が肩を掴み、好奇心旺盛な顔が少しづつ近づいてくる。
「や……いや……ッ!?」
シエラが言うより強力な淫魔とは、目の前にいるカコから生まれた淫魔のことなのだろう。
そしてサクラが今からされようとしていることは、今まで淫魔にされてきた精気吸収とは全く次元の異なる生命力の吸収。
恐怖して顔を背けようとするも、シエラにあごをつかまれ、強制的に前を向かされる。
淫魔の顔が近づき、淫魔はカッと目を見開く。
「あっ……あぁああああああッ!!?」
ただ見るだけで、女性の官能をくすぐる悪魔の視線。
全身が疼き、甘く痺れる。
「このなかにあるもの……ぜんぶ、すいだせばいいの……?」
「そう。唇を合わせるの」
「あっ……ああっ……!」
その視線から逃げることもできず、もはや悲痛なうめき声をあげることしかできない。
淫魔の唇が近づいて……重なる。
「んっ」
「ンぁ……っ」
ぬちゃりとした感覚に不快感を覚える。
だが目前にある淫魔の瞳を見つめると全ての感覚が快楽に変わり、一方的に快楽だけを押し付けられる。
「ん……ん、ぁ……」
「ふぁあっ……あぁ……ッ!」
淫魔の舌が口内に入ってくる。
決して強い刺激ではなく、サクラの口の中を傷つけないように探るような動き。
淫魔自身もこの行為の意味そのものをまだ理解していない様子だった。
そのまましばらく、慣れない舌遣いの甘い責めが続く。
「ん……あぁ……っ、あ――――あ”ッ!?」
だがある瞬間、サクラの背筋にビクンと震えるような強い刺激が走る。
舌先から電流でも流されたかのような感覚。
直後、強い脱力感がやってくる。
体の内側から、何かが奪われたようなその感覚。
その感覚を、サクラはよく知っている。
「んぁ……こーやって……やるんだ……あぁむ」
「あっ……だめ、吸わな――――ンむぅッ!!? ンンーーーーーーーーッ!!」
一瞬唇が離れるも、再び蓋をされる。
だが今度の責めは甘さのかけらもない、無情な責め。
自由に体の形を変えられる淫魔は自身の舌を細く長い形にして、蛇のようにサクラの舌を絡め取る。
そして……強い刺激がくる。
「んッ、ン”ン”ン”ン”ン”ン”ッ!!?」
(なに……これ……ッ!? からだの……なかにあるもの…………ぜんぶ、もって……いかれる……ッ!)
かつて感じたこともない、絶対に奪われてはいけないものが奪われているような感覚に驚愕し、恐怖する。
「素晴らしい……これが私の作り出した、最強の淫魔の力……」
そんなサクラの生命力を吸う淫魔の姿を、シエラは恍惚とした表情で見つめる。
サクラがビクンビクンと震える感覚を肌身で感じ、今まさに生命力を奪われている少女の最後の足掻きを尊いもののように眺めていた。
「んっ……んっ……んぁむっ……」
「んぎゅ……っ!? ン”ぁ……ッ! ン”む”ぅ~~~~ッ!!?」
(こんな……きもち、よすぎて…………もう、なにも……)
一定のリズムで吸われる生命力。
それと同期して、ビュッビュッと勢いよく愛液が溢れる。
生命力を奪われるときに感じる快楽は、精気を奪われるときに感じる快楽の比ではない。
断続的に、何度も何度も絶頂する。
「ん~~~~ッ!!」
「――――ッ!!?」
淫魔が一気にサクラの生命力を吸い上げようとする。
するとやってくるのは、断続的な連続絶頂とは違う止まらない絶頂。
(きもちいいの……とまら、ない……ああ、あぁ……)
意識や思考が、全て快楽に塗り替えられていく……
***
カコが意識を取り戻したとき、そこには凄惨な光景が広がっていた。
一人の女性が、背後から誰かに押さえつけられ、前方からは淫魔に責められる…………そんな姿。
少しして、その女性がサクラだと気づく。
「はぁ……はぁ……せんぱ…………いま、どうなって……」
カコは淫魔の出産中に意識を失っていた。
慌ててカコは、今の自分の状況を確認する。
手足は拘束されたまま。
拘束具は特殊な材質なのか、カコの影の力をでは傷一つつけることができなかった。
そして自身から感じる異常なまでの脱力感と、腹部から下半身にかけて感じるじんじんとした痛み。
様々な施術を施され、自分の中に淫魔を宿す感覚は感じていた。
だがその感覚は今はなく、出産し、今サクラを襲っているのがその淫魔なのだろうと察した。
「あのクイーン……えぐいことを考えやがるなぁ……」
そんなカコの呟きは、サクラの悲痛な絶叫がかき消し誰にも届かない。
「手足の拘束は外せそうにない……でも、力はちょっと残ってる……」
カコは重い頭を少し上げ、サクラを見つめる。
精気を完全に失い、それ以上のものを奪われようとしている彼女。
本来なら、カコが捕まった時点でサクラにはもう戦う理由はない。
サクラはもともと、カコに囚われている立場の人間だったのだから。
「何で、逃げない……かな…………ばか、なのかな……」
サクラの行動に呆れるのと同時に、カコの口元が軽くほころぶ。
そしてカコはある一つの決断をする。
「私はどうせ逃げられないし……でも、あの白衣のクイーンに完全にしてやられるってのも腹立たしい。だったら最後に…………嫌がらせでもしようか……ッ!」
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