退魔の少女達

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双子の淫魔と共鳴の女王 1

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地下3階の構造は上の2階よりもずっと分かりやすい構造をしていた。
廊下の左右にいくつもの研究室が並ぶ、一般的な大学の研究棟と同じ構造になっている。
上の2階はここに侵入者を入れないための構造だったことが分かる。
部屋はいくつもあるものの人気はなく、適当に誰もいない室内を見渡すと何らかの薬物や書類などが整理されずに散らばっているのが見える。
元々サクラに与えられたミッションはここから研究内容に関わるものを入手してくることだった。
散乱している書類などを入手して今すぐここから脱出すれば当初の目的は達成できる。
だが、今のサクラはそんなものに目もくれなかった。

(カコちゃんはどこ……?)

本来サクラはカコに囚われ利用されている身。
カコを助ける義理などない。
だが、サクラの胸中にあるうまく言葉にできない何かがそれを許さなかった。

(早く、早く見つけなきゃ……)

気配を殺しながら足を進めるサクラ。
遮蔽物のない真っ直ぐな廊下をただひたすらに進む。
そしてその廊下の先、そこに二つの人影が映る。
白と黒のドレスに身を包んだ、見覚えのあるシルエット。

「いた! 見つけました!」
「まさか、本当に……ヤフカ姉を倒したの?」

双子の淫魔、レプシィとナルコ。
特別な力を持たない二人の淫魔だが、今のサクラはそんな彼女たちに対して情を持てるほどの余裕はない。

「また……あなた達……」

睨みつけるような視線を送りながら右手に刀を作り出し、ゆっくりと彼女たちに近づいていく。
だがその足はどこかよろよろとしている。
これまでの戦闘での疲弊が回復しきっていないのは明らかだ。
それでもあの二人の淫魔を倒すくらいなら造作もない。
そう思っていた。
3人目の影が見えるまでは。

「その子が逃げ出した退魔師? 素直に逃げればいいのに」
「「し、シエラさま!?」」

淫魔は声を揃えて、二人の間に現れた白衣の女性の名前を呼ぶ。
それを見てサクラの足も止まる。
双子の淫魔とは明らかに違う、異様な空気を纏う彼女。
カコと同じ力を持つクイーンと呼ばれる存在。
サクラにとってクイーンに立ち向かうのはこれで二度目。
勝てる相手じゃないことは分かっている。
それでも、サクラの中にある何かが自分を突き動かす。

「カコちゃんはどこ?」

カコを助けなければ――。
その思いだけがサクラをこの場に立たせている。
思えば未だにカコという存在が自分にとってどのような存在なのか、曖昧なままでいる。
だが、もうそんなことはどうでもいい。
とにかくカコを見捨てるという選択を取ることが嫌なのだ。
生理的に受け付けない。
サクラは元より自分に論理的な思考など無理なのだと開き直る。

「向こうに置いてあるよ。見せてあげようか」

彼女を物扱いする言い方にサクラは眉をひそめる。

「いい、自分で探しに行くからッ!」

怒りに任せサクラは突進する。
人間であるクイーンに退魔師の力は効かない。
それでも彼女自身が人間であることには変わりないはずだ。
ならばとばかりにサクラは刀を逆手に持ち、刀で斬りつける振りをしてその拳をシエラの腹部にめがけて振り抜く。
拳が接触するその寸前、シエラは右手で白いドレスを着飾った淫魔、レプシィの首根っこを掴む。
そしてその軽い体を自分の方へ引き寄せる。

「《コネクト》」

シエラが小さくそう呟いた直後、サクラの拳は目的のクイーンにではなく、シエラに引き寄せられたレプシィの腹部へとめり込んだ。

「えっ――? ごふぅっ!?」

腹部を押さえながら崩れ落ちるレプシィ。
同時にサクラの体にも異変が起きた。

「――ンぐッ!? かはッ!?」

腹部に拳を入れられるような感覚に、サクラは口から胃液を吐き出す。
何が起こったのかまだ理解が追いつかない。
自分の腹部を確認するが、そこには殴られた痕も傷もない。
ただ痛みだけが急にそこに現れたような感覚だった。
二人は同じように腹部を押さえ、その場にうずくまる。

「うぅ……お腹が……」
「ぐぅ……何を、したの……ッ!?」

サクラは苦痛の表情を見せながら、顔色一つ変えずに立ち尽くすシエラを見上げる。

「共鳴の力。私の――持って生まれたクイーンとしての力」
「きょう……めい……?」
「そう、あなたの感覚とレプシィの感覚はすでに繋がっている。私が繋げたの。こんな風に――」

シエラはげほげほとまだ呼吸が整っていないレプシィに手を伸ばす。
「ごめんね」と小声で呟きながらレプシィのまだ膨らんでいない胸に触れ、ドレスの上からその先端を摩る。

「――えっ? ふぁッ!? だめッ、シエラさま何をッ!? くぅんッ!?」

急な出来事にレプシィは頭が追いつかず、赤面しながら子犬のような声で鳴く。
そしてそれと同時にサクラの体にも変化が起きた。

「ひっ――!? なに……これ……ッ? 何も、触られてないのに……ッ!?」

サクラは自分の胸をギュッと押さえる。
触られてもいないのに、ムズムズとした触られているかのような感覚に襲われる。
感じるのはレプシィがシエラに触られているのと同じ場所。
それを見てサクラはシエラが言っていた共鳴の力の意味を理解する。

「レプシィがその身で感じたものを、あなたも同じように感じてしまう。これが私の力」

恥ずかしくて、むず痒くて、でもどこか嬉しくて。
皮膚で受ける感覚だけではない。
レプシィの感情までもがサクラに共有されてしまう。
尊敬のような憧れのような、そんなシエラを慕う彼女の気持ちが今のサクラには分かってしまう。
そしてそんな尊敬する彼女から急に胸を責めれられ、尋常ではない羞恥、そして期待が胸の中で溢れる。
カァっと赤くなったレプシィの顔。
それと同等かそれ以上にサクラの顔も赤く染まっていた。

「しっ、シエラさま……ッ! こんな、ダメです……人前でッ! あぅ……あうぅ……っ!」
「大丈夫、これはさっき盾にしてしまったお詫びよ」

口をわなわなと動かしながらパニック状態に陥るレプシィ。
その感情すらもサクラに伝わっていくが、いつまでも動揺している場合ではない。
敵は手を伸ばせば届く距離にいるのだ。
ここで膝をついているわけにはいかない。
サクラは小刻みに震える足を奮い立たせ、ゆっくりと立ち上がろうとする。
だが何かがおかしい。
股間の辺りに妙な熱さを感じる。
性的な責めを受けて、子宮の奥がグッと熱くなるような感覚とは別の体感したことのない妙な感覚。

「こんなに顔を熱くしちゃって……レプシィは可愛いね」
「うぅ……」

その「可愛い」という一言にさえもレプシィは胸を締め付けられるような感覚を覚え、もちろんそれはサクラにも伝播する。

「今から――レプシィの中に溜まってるもの、解放してあげる」
「――えっ……ええええッ!!?」
「んくっ!?」

レプシィの動揺がサクラにも伝わってくる。
それも一度立ち上がりかけた足がまた震えで崩れてしまうほどの尋常ではない動揺。
溢れてくる期待の感情――いや、違う。
この感情はどちらかといえば恐怖の感情に近い。
その感情の起伏にサクラは違和感を覚える。
サクラはギュッと胸を押さえつける。
そこにある感情を握りしめるかのように。

「ナルコ、レプシィのスカートをつまみ上げて」
「は~い」

どこか楽しげに返事をする黒いドレスの少女。
一方白いドレスの少女の方は後ろから体を主人に押さえられ、前からは双子の片割れにスカートの先を摘まれる。
逃げることのできない状況に顔が青ざめている。

「いや、いやあああぁあああッ!!? やめてぇええええッ!! 見ないでッ!! 見ないでぇええええッ!!!」

まるで魔物に襲われているかのような、そう思えるほどの不安や恐怖の感情に押しつぶされ、サクラは腕を地面に突っ伏す。
明らかに異常だった。
だがたくし上げられたスカートの中、その中にあったものを見た瞬間、レプシィから送られてきた感情とは違うサクラ自身の感情が動揺する。

「な……ッ!? それは……ッ!!?」
「ふふっ、こんな立派にそそり立っちゃって」
「うわっ、すっご…………」
「あぁ……いやっ…………こんな、いやぁあ……っ!」

レプシィは必死に自分の股を閉じようとするが、ナルコが腕を挟み無理やり開かせる。
無理やり見せつけられる、ドレスと同じ色の小綺麗な純白のショーツ。
だがその中には女性にはあってはいけないもの、男性器と思わしきものが含まれていた。
しかもそそり勃ったその男性器は小さな女性用のショーツには収まりきらず、先端がショーツから完全にはみ出していた。

「双子の淫魔として生まれてきたあなた達、でもどういうわけかレプシィにだけには男の子のソレがついてきたのよね」
「だからレプシィはそれを気にして私よりも女の子らしく振る舞おうとしてるんだよね」
「うぅ……もう、やめて……シエラさまぁ……。恥ずか、しい……」

レプシィは見せたくないものを見せてしまった羞恥心からすすり泣きを始める。
彼女の感情からその陰茎は彼女自身が求めて作り出したようなものではなく、どちらかと言えばコンプレックスのようなものなのだとサクラは理解した。

「恥ずかしくなんてないわ。せっかくこんな立派なものを持って生まれてきたんだから、楽しみましょ、ね?」

そう言ってシエラはレプシィの陰茎の根元をそっと撫でた。
今まで誰一人として触らせることを許さなかった、その領域を。

「「ふぁああああッ!!?」」

あまりにも刺激的すぎるその快感に二人の声が重なる。
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