退魔の少女達

コロンド

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拷問椅子 2

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体がとめどなく火照り始め、胸や股間、女性の性感帯に当たる部分が強く疼き始める。

「くぅ……っ、悪趣味な……」

体内に注入されたのは媚薬で間違いない。
カコは息遣いを荒くしながら自分の中で暴れまわる快楽に負けぬよう歯をくいしばる。

「はぁ……ふぅ……くぅッ!」
(ダメだ……もし今、体のどこかを触られでもしたら……ッ!)

まだ薬品を投与されただけ。
それにも関わらず、カコは自分のショーツが濡れ始めているのを感じていた。
心の奥底では強く気を保とうとしているが、もし今何者かからの責めを受ければ耐えきる自信はない。
強い快楽に挫けそうになる心。
だがどういうわけか媚薬の投与自体は完了しているようだが、それから数分何かが起こる様子はない。
自分の口から溢れる甘い声を聞きながら、ただただ時間だけが過ぎていく。

(なんで……何も起きないの……)

媚薬の投与は終わってもカコの体が火照りから冷めるわけではない。
継続される快楽にカコは頭がおかしくなりそうだった。

(くそっ……なんでこんな、中途半端な……。せめて、解放、され……たい……うぁあっ! 体がっ、疼く……ッ!)

そして次第に意識は何かをされるのではないかという外的な恐れではなく、自分自身の体の状態に集中していく。

(うぅ……熱い、触り、たい……いや、ダメだ……。くぅっ……でも――ッ!)

『対象のオーガズム欲求を確認』

耳元からあの機械音声が聞こえたのはそんな時だった。

「――ふぇ?」

急に聞こえたその声にカコは素っ頓狂な声を上げる。
まるで心の底を覗かれたかのような、媚薬によるものとはまた別の羞恥心にカコは顔が熱くなる。

『性感帯開発プラン、第二段階へ移行します』
「ちょ、待って! んんッ!?」

見えない視界の中、口元が何かに塞がれる。
おそらくマスクか吸引器のような何か。

『催淫ガス、投与開始』

そのアナウンスと同時に酸素とは違う何らかのガスが口内に注がれていく。

「んむっ!? 何、これ……甘ったるい、匂い……んッ!? ンンンンーーーーッ!!?」

そのガスが体の中に入り込むと異変は急に起きた。
先程までの媚薬がまるでただの遊びだったかのように、強い刺激に頭が支配される。

「ン”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ッ!!? だえぇええええッ!! これだめェええええッ!!!」

もはや余裕を気取ることもできず、カコは淫らに叫ぶ。
全身のありとあらゆる場所が疼きだし、強く痙攣する。
秘所がギュウギュウと自分の意思とは別に動き出す感覚。
腕や足を固定するベルトがガチャガチャと激しく音を立てるも拘束された体はビクともしない。
必死に股を閉じようとするも、太ももに固定されたベルトがそれを許さない。
首や腰を捻って快楽から逃げようとするも、首や腹部を固定するベルトがそれを許さない。
今のカコはただただ与えられる快楽を一切体を動かさずに、一方的に享受することしかできない。

『投与終了』

機械音声がそう言うと、ガスの投与がピタリと止まる。
ガスの投与が終了すると、カコの中で暴れていた快楽は瞬時に引いていった。

「はっ……はひっ……ひ、はひゅ……ッ!」

強烈な快楽の波が引いていった後も、カコは呼吸が安定せず声にならない声をあげる。
肩で息をしながら涙とよだれを垂らし、虚ろな瞳はまだ状況を飲み込めていない。

『10秒後、再度催淫ガスの投与を開始します』
「……っ!? ま……待って!」

機械音声はカコの言葉などに耳を傾けない。
ただただ機械的にプログラムを実行し続けるのみ。

『3、2、1、投与開始』
「んっ…………ンン……ッ! んむっ!? ふぐぅううううッ!!?」

再び吸引器からガスが吹き出し、カコは息を止めて抗おうとする。
しかし、ばくばくと心臓が鼓動する中まともに息を止められるはずもなく、ものの数秒でガスを体内に入れてしまう。

「あ”ッ!? ア”ア”ーーーーッ!! う”あ”あ”ぁ”あ”あ”う”う”う”う”ッ!!」
(だ、ダメ……ッ! ダメだイっちゃう! こんな、イヤ……嫌だッ!!)

カコはまたしてもガチャガチャと拘束具を鳴らす。
手首や足首の皮が擦り切れてしまいそうなほどの必死な抵抗。
頭の中が無理やりピンク色に染められてゆき、快楽に侵されていく。
そして高まる快楽に限界を感じたそのとき――。

『投与終了』
「あが――ッ! かっ……はひっ……」

カコの官能が絶頂の寸前まで高められたその瞬間、再び催淫ガスの投与は終了した。
同時にカコの体がガクンとうなだれ、また荒い呼吸を繰り返す。

(なんだこれ……なんだ、これッ!? イけない、イかせてもらえない……ッ!? こんな、頭おかしくなるッ!)

まるで機械に絶頂の瞬間を見極められているかのようだった。
強力な快楽は与えられるものの、絶頂は与えられない。

『10秒後、再度催淫ガスの投与を開始します』

そしてまた無慈悲なアナウンスが流れる。

(また……来るの……? だめだ、次は……耐えられない……。イか……なきゃ……)

カコの中にあった『相手の責めに屈しない』と言う気持ちはもうすでに折れかけていた。
今はもうこの寸止め地獄から逃れる方法を考えることに頭を切り替えていた。
そしてそんなカコの思考を透視するかのように新たなアナウンスが流れる。

『対象の強いオーガズム欲求を検知しました』
「――なっ!?」

胸をギュッと鷲掴みにされたような気分だった。
理屈は分からないが、カコを拘束するこの装置は間違いなくカコの状態、意識を把握し、的確に責めを与えてきているということだ。

『対象に報告。この催淫ガス投与行為単体では決してオーガズムを得ることはできません。オーガズムを得たい場合は自慰行為を推奨します』
「は、はぁ!?」

まるでカコに助言を与えるかのような機械音声の言葉。
しかし体全身を拘束された今、自慰行為などできるはずもない。

「そんなこと、できるわけ――」

そう言葉を紡ごうとした瞬間。

『10秒経過、投与開始』
「――ッ!?」

機械に躊躇はない。
設定されたプログラムを設定された通りに実行する。
ただそれだけ。

「ふぁあああああああッ!!? も”うい”や”あ”ぁ”あ”ああああッ!! イ”かせてッ! イ”か”せ”て”ぇ”え”え”え”え”ッッ!!」

拘束された少女のよがり狂う姿だけを見れば、電気椅子で拷問されている姿とそう変わらない。
できるものならとっくに自慰行為などしている。
だが少女一人の力ではその拘束を解くことなど絶対に不可能。
装置のミスで催淫ガスがカコの体を絶頂まで導いてくれることを懇願さえしてしまう。
だがそうはならない。

『投与終了』
「あ、あひぃっ…………ひぐっ……」

カコはまた絶頂を得ることができなかった。
泣きじゃくるような情けない悲鳴が漏れる。
そこにいるのはクイーンと呼ばれる存在とは程遠く、ただの非力な少女でしかなかった。

『対象へ助言します。人間は自身の体に触れずとも、官能的状況を思考することで自らの性感を高めることが可能です』
「……そ、それって――」
『10秒後、再度催淫ガスの投与を開始します』

機械音声はカコに一方的な助言を与え、自らに与えられたプログラムを無機質に進行し続ける。
それ以上言うことはないと言うことだ。
だがその言葉の意味をカコはもう理解していた。

(エッチな妄想でもして、気分を高めなさい……って、こと……?)

普段の彼女なら、たかが機械音声の言葉を真に受けることなどしなかっただろう。
だがもう、今の彼女に余裕はない。

『3、2、1……』
(エッチな、妄想を……)

火照る意識の中、カコは快楽に打ち震える女性の姿を想像する。
カコは今までに自分を慕う淫魔たちが女性を襲う姿を何度も何度も見てきた。
自分自身がその対象とされることはなかったが、あの彼女たちがもし自分であったなら。
そんな想像に頭の中を支配されていく。

カコは想像する。
媚薬まみれの触手に全身を拘束され、すべての性感帯を責められる自分の姿を。
全身に電流を流され、絶頂し失禁する自分の姿を。
淫魔にまるで子供扱いされ、優しい愛撫を受けながらも甘い声をあげる自分の姿を。

『投与開始』

そしてまた、ガスが投与される。

「ふッ――!? ンァああああああッ!! だめっ! これッ、気持ちッ――イ”う”ぅ”う”う”う”う”うう”う”ッ!!?」

明らかに今までとは桁違いの快感にカコは驚く。
だが、まだ足りない。
これではまだ絶頂に至る前に媚薬の投与が終了してしまう。
さらなる快楽を求めるカコはある日の情景を思い出す。
それはサクラと初めて会った日のこと。
地下室に拘束し、迷彩服の淫魔に全身を快楽の弾丸で撃ち抜かれた彼女の姿。
それがあたかも自分であったかのような想像をする。
拘束される自分の体、そこに銃口が突きつけられる。

「いやぁああッ!! やめてッ! やめてえええぇええええッ!!」

それは矛盾した叫び。
自分自身が作り出している妄想に強く抵抗する。
だが妄想の中の淫魔はニヤリと笑いながら引き金を引いた。
ダダダダダッ! とけたたましい音を上げながら乱射される快楽の弾丸。
それが身体中に着弾する。
肩に、太ももに、胸に、腹部に――。
そして着弾するたびに暴力的な快楽に頭を支配される。

「ひがッ!? ンあっ!? がッ、あ”ぁ”あ”あ”ぁア”ア”ア”ア”ッ!! どめ”で”ぇ”え”え”え”え”ッ!! あ、あぎぃッ――!?」

与えられる強い快楽に、混乱した脳内はもはや現実と妄想の区別すらつかない。
もはや自分が絶頂を求めているのか、抵抗しているのかも分からない。

「ン”お”ぉ”――ッ!?」

かつて友のように一緒に過ごしたその淫魔は、快楽に狂うカコのことを嘲笑うように銃口をカコの秘所に突きつける。
かつて主人だった人間の無様な姿を嘲笑うかのような表情。

『投与終了』

その瞬間、媚薬の投与は終了する。
だが妄想は止まらない。
カコの脳内にけたたましい銃声が鳴り響く。

「ふぁああッ!? がっ――いぁああああッ!! あ”ぎぃ”い”い”い”い”い”い”い”ッ!! イ”ぐぅううううッ!! イ”っちゃうからあああああッ!! ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ァ”ァ”ア”ア”ァ”ア”ッッ!!?」

まるで本当に銃撃を受けているかのようにビクビクと震えるカコの体。
そして、ついにカコは求めているものを得ることがた。
下半身にたまっていたものがプシュ、プシュと何度も何度も音を立てて吹き上げる。

『対象のオーガズムを検知しました。……対象のオーガズム継続中……対象のオーガズム継続中』
「あはっ……あっ……ンぁ……ッ!?」

ビクンビクンと不定期に体を震わせながら、カコは止まらない絶頂に頭を溶かされる。
蕩けきった頭はもはや自分が妄想の世界にいるのか現実の世界にいるのかも理解できなかった。
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