退魔の少女達

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悪夢の淫魔 4

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「ちょっとその子、貸してもらっていいでしょうか」

そう言いながらサクラと同じ顔をした彼女は、誰の許可を得るでもなく仰向けに拘束されたサクラの前に覆い被さる。
ほんの数センチ目の前に、自分の顔がある。
奇妙な感覚だった。

「心拍数があがってるよ、私」
「あなたは……誰……?」
「分かってる癖に、つれないなぁ。どう見ても私、でしょ?」

言葉を交わすたびに互いの吐息が触れ合う。

(冷静になれ、私っ! こんなの夢の世界の幻惑に決まってる)

頭では理解している。
それでも自分と同じ顔をした彼女に見つめられているだけで、とめどない不安感が頭の中に溢れていく。
彼女の手が、サクラの頬に触れる。

「……っ!?」
「思った通りの反応。顔に触れられるのが苦手で、少しでも触れられるとビクンってなっちゃうんですよね、私って」
「し、知った風な口を……」
「だから全部知ってるんだって。私なんだから」
「違うッ! 私は、サクラは私一人です。あなたはただの偽物ですッ!!」

サクラがそう叫ぶと、サクラに覆いかぶさるもう一人のサクラは、はぁとため息をついた。

「さっき自分で言ってませんでしたか。『私の夢から作られた幻惑が、私が知らないことを知っているわけがない』みたいなことを。確かにそうです。この教室も、ここにいるクラスメイトも、全部全部あなたの記憶を元に作られた幻惑です。でもそれって逆に言えば…………私のことなら何でも知ってる、ってことになりませんか?」
「……えっ?」

一瞬、頭が真っ白になり何も考えられなくなった。
目の前で笑う彼女はサクラの全てを知っていると、そう言っている。
だが全てとは、どこまでのことを言うのだろうか。
サクラが胸の奥に仕舞っていた、知られたくない記憶の数々すら知っていると言うのだろうか。
それが頭をよぎった途端、サクラは萎縮し強気を保てなくなる。
そして目の前の彼女はそんなサクラの心の隙をつき、サクラの顔を両手で掴みさらに顔を寄せる。

「キスしよっか」
「なぁ……っ!?」

何の脈絡もない彼女の発言にサクラは困惑する。

「ふふっ、私は私だから知ってるんですよ。唐突に唇を奪われるより、先に宣言される方が胸がドキドキして興奮するんです。ほら、心拍数、さっきより上がってますよ」
「いやっ、これはちがっーーんむぅッ!?」

そして今度は唐突に唇を奪われる。
完全に予想外のタイミングのキスに、簡単に口内へ舌の侵入を許してしまう。
自分と同じ顔をした少女から受ける舌責めは何とも気味が悪く、それでもサクラの弱点を知り尽くしたその責めに体がどんどん熱くなっていく。
舌を絡め合う二人の姿を見て、周囲からはまた黄色い歓声が上がっていた。

「すごい、なんか……すごくエッチ」
「サクラさん同士で、絡み合って……気持ち良さそう」
「これって実質二人オナニーなんじゃ……」
「あむっ、んっ、うんっ……はぁ、ほら、みんなが私たちの淫交を見て盛り上がってるよ……はむっ、んっ、れろっ」
「んっ、んんっ!? んあっ、いやっこんなっーーんッ!? んむうぅうッ!!」

彼女はサクラが羞恥に弱いことを知っている。
たとえ周りを囲んでいるのが夢の住人だとしても、その視線、その言葉の一つ一つを無視することはサクラにできない。
周囲からの視線とヒソヒソと聞こえる言葉がサクラの体をより敏感にしてゆく。

「んあっ……ふう、そろそろ締め、かな? そぉれ」
「ーーんぃッ!?」

彼女の右手がサクラの服の中へと入り込み、無防備な背中をスッと軽く撫でた。
ただそれだけ。
ただそれだけなのに、サクラの体はまるで電流を流されたかのようにビクビクと反応してしまう。

「ひぁああああああああああッ!!?」

サクラは嬌声をあげながら、撫でられた指から逃げるように体を仰け反らせる。
腹部から胸部にかけて偽のサクラと体が密着する。
そして地面についたままの腰は、もう自分では制御できないほどにビクビクと震える。
秘所から愛液が溢れていく感覚に、サクラは自分が絶頂に達してしまったのだと気づく。
周囲から聞こえるサクラを嘲笑う歓喜の声に、サクラは涙を流した。

「ほんと弱いなぁ、背中。意識の外側から撫でられると、自分でもビックリしちゃうくらい、ビクビクってなっちゃうんですよね。ひょっとしたらおっぱいやアソコよりも弱いかも知れませんね」
「うぁ……あぁ……あぅ……っ」

サクラは快楽に打ち震え、言い返すこともできない。
確かに背筋を責められるのは苦手だったが、まさかそれだけで絶頂へ導かれてしまうとは思わなかった。
直接的な性感帯は触れらていないのに絶頂してしまったことに対し、サクラは強い敗北感を覚えた。
サクラの弱点を完全に知り尽くしているがゆえの的確な責め。
退魔の力が使えないこの世界で、彼女に抗うすべが見当たらない。

「ねぇねぇ、サクラさんの弱いところ、もっと教えて!」
「サクラさんのみっともない姿、もっともっと見たいの!」
「はい! いいですよー」
「……や、やめ」

偽物のサクラはこの場を完全に支配し、本物のサクラの声に耳を傾けるものなど一人もいなかった。
覆いかぶさるような体勢から立ち上がり、彼女はサクラのことを横から見下ろすような位置に立った。

「まずは手を握ってあげましょう。恋人みたいに指と指を絡めるように握ってあげて下さい」
「え? それだけでいいんですか」
「はい、それだけでいいんです。私はそれだけで何だかドキドキして、体が熱くなっちゃうんです」

彼女の言葉を鵜呑みにしたクラスメイトたちは、言われた通りに指を絡める。
サクラの両手が、別々のクラスメイトの手に握られる。

「……あっ」
「あ、今気持ち良さそうな声出ましたね!」
「いや、今のはちがっ!」
「クスクス、サクラさん気づいてないかも知れないけど、顔真っ赤だよー」
「うぅ……っ」

今さらどんな言い訳をしても無駄だ。
彼女たちはサクラの一挙一動を楽しんでいる。

「次は首から肩にかけて、優しく触ってあげて下さい。特に鎖骨のあたり、弱いんですよねー、私」

彼女がそう言うと、いくつもの手がサクラの首元を撫で始める。

「ふぁっ!? あっ、ああーーーーッ!!」
「あっ、やっぱり気持ちいいんだね」
「何これ、胸とかアソコを触られたときの反応みたい」

そこは人間であれば誰しもが急所であり、触れられるだけで不快に感じてしまうのも無理はない。
だからサクラはその責めから逃げようと首を振るうが、首元もうなじも顎と首の付け根も指で撫でられ、彼女たちの指から逃れることはできない。
結果サクラはピクンピクンと体の反応するがままに頭を振るい、甘い声を上げ続けた。

「ねぇサクラさん、次はおへそなんてどうかしら?」
「いいですね、おへそ。優しくクリクリ責められるの弱いんですー」

一人のクラスメイトの提案に乗り、彼女はサクラのへそへの責めを促す。
そして提案したクラスメイトは意気揚々とした顔でサクラの腹部を撫で、ヘソの穴まで到達するとそこをクリクリといじり始めた。

「ひぁっ!? や、おへそはっ……あ、あぁんっ!! あうぅううッ!!」

首元の責めと同時に腹部も責められ、サクラはまた限界へと近づいていくのを感じる。
生理反応で足をジタバタとさせるが、その足もクラスメイトたちに押さえられる。

「ねぇねぇ、じゃあ次は太ももなんてどうかな? サクラさん絶対に弱いでしょ? ね、ね?」
「はぁい、すっごく弱いです! 特に太ももの内側をスッとなで上げられると、もうたまらないんです!」

我も我もとクラスメイトたちが提案しだし、偽のサクラはそれに許可を出していく。
足元を押さえているクラスメイトが、すでにビクビクと震えているサクラの太ももを優しく撫でる。

「ひぐっ!? あっ、あああああっ!! うぁあっ……ああっ!! だめぇっ……もう……っ!」
「そのまま股関節の辺りまで指を進めてー、ショーツと皮膚の間をすぅっと撫で上げてください。それでフィニッシュです」
「股関節まで進めて……すうっと撫でる……えいっ!」
「ひ、ひぅううううっ!! あ、ああっ漏れっ!? いやあああぁあっ!!」

太ももを撫でていたクラスメイトが、偽のサクラの言う通りに指を進める。
するとそこでサクラは限界を迎えた。
腰が痙攣するたびに、すでにびちゃびちゃになっているショーツから吸いきれなくなった愛液が幾度も溢れ出す。

「うあぁ……ああっ!! かはっ……とまら、止まってぇ……あぁっ! あぁんっ!!」
「すごいすごい、まだ出るまだ出る。女の子ってこんなになっちゃうんだね!」
「いや、流石にこんなのサクラさんくらいじゃない?」
「んふふ、またイっちゃったねー。恥ずかしいねぇー」
「あはは、幸せそうな顔してるなー、私。よくよく考えると私って、どこもかしこも敏感で弱点だらけですね」

皆がサクラの無様な姿を見て、言いたい放題に罵られる。
その言葉の一つ一つがサクラの心を抉り、絶頂の余韻を長引かせる。

「ねぇサクラさん、ちょっといいかな?」

皆が歓声をあげる中、一人冷めた声でそう言うのは委員長のシオリだった。
シオリが声をかけたのは快楽に打ち震えている方のサクラではなく、その無様な姿をケタケタと笑っている方のサクラだった。

「これじゃあ、ただサクラさんが気持ちよくなっているだけじゃない。こんなのは制裁じゃない」
「確かにそうですね。じゃあ次はもう少しハードな責めでもっと悲痛な悲鳴を上げさせましょうか。……いや、でもなー、うーん」

そう言ったものの、彼女は頭を抱えて何か悩んでいる様子だった。

「何か問題でも?」
「いやぁほら、私って変態ドMじゃないですか。きっとどんなハードな責めをされても最終的には気持ちよくなってイっちゃいますよ?」
「なっ!? か、勝手なことを、言わないで下さいっ!!」

納得のできない彼女の言葉に、サクラは声を荒げて批判する。
そして二人の視線がサクラの方を向く。

「えー、流石にもう隠しきれないですよ。だってアソコを踏まれて潮吹いてたじゃないですか」
「そ、それは……」
「ふーん分かった、じゃあ試してみよう」

シオリの嗜虐的な視線が、サクラの蕩けた瞳を貫く。

「実験だよ、確かめてみるんだ。サクラさんが壊れるまで責め尽くして、どんなにやめてと懇願しても犯し尽くして、それでもそれを気持ちいいと感じる変態さんなのかをさ」
「いいですねー。ゾクゾクしてきました。私も私自身が限界まで責められた姿を見てみたいです」

もうすでに疲弊しきっているというのに、彼女たちはより強くサクラを責めようと言う。
そして彼女たちは間違いなくそれを実行してくるだろう。
サクラはただ、この先自分の身に起こるだろう出来事に立ち向かうため、強く意思を保ち歯を食いしばった。
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