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第二部
ep18. 配信終了
しおりを挟む「ほら、太もも弱いですよね?」
「く……っ!」
「あと……脇腹も弱い」
「ひぁあッ!」
「おへそも、脇も、首筋も」
「ひやっ、あっ、きゃうッ!?」
「ほんと、弱点だらけですね。ほら、おっぱいも」
「くぁああッ!? 摘まないでぇッ!!」
いたるところを優しく責め尽くされる。
少し触れただけでビクンビクンと震える私の体。
まゆりちゃんはそんな私を、まるでおもちゃで遊ぶかのように楽しんでいた。
「でも、一番弱いのは……ここ」
「~~~~い”ッ!?」
ショーツの中に手が入り込む。
まゆりちゃんの指がクリトリスを摘むと、また私の体が強く震える。
何度同じことをされても体が慣れることはなく、何度も何度でも体がビクンと跳ねる。
「ふふっ、今日だけでかいちょーの体をたーっくさんいじったので……今の私、多分かいちょーよりもかいちょーの体に詳しいですよ」
「んぐ……っ、手……離し、て……」
「嫌でーす。かいちょーはねぇ、ここを外側とー」
「くぁあ……ッ!?」
言いながら、まゆりちゃんは親指でクリをグリグリと押しつぶす。
同時に、まゆりちゃんの中指が私の中に入ってくる。
「内側をー」
「ひぐっ!?」
そして内側から突き上げるように責められる。
腰が浮いて、全身が硬直してプルプルと震える。
「一緒に責められると、かいちょーはイっちゃうんです……知ってました?」
「い……う……っ!」
優しい手つきで一番気持ちいいところを責められ、もしもこのまま少しでも責めの手が強くなったら…………いや、それ以上は想像したくない。
歯を噛みしめて、快楽に負けないようにと必死に足掻く。
「ほぉら!」
ギュっ……
「――い”い”ッ!?」
内側と外側。
触れられるだけで感じてしまうその場所を摘むように同時に責められる。
「ふぁ……ッ、んああッ!!」
頭が吹っ飛んでしまいそうなほどの快楽。
いともたやすく、簡単に、絶頂してしまう。
「はぁ……ああ……あぅ……っ」
「ふふっ、もーいっかい!」
「あぎッ!? ひぁあああああッ!!?」
――また、絶頂する。
いくら気を強く持っても、歯を噛み締めても、なんの意味もない。
「うあっ、あっ……ぐッ……!」
蛇口を捻れば水が出るように、まゆりちゃんに責められると私の内側に溜まっているものがビュビュっと溢れていく。
「あらら、たくさん潮吹いちゃいましたねぇ…………リスナーに私たちのラブラブえっちなところ、たくさんたくさん見せつけてあげましょ? だから、ほら……もう一回!」
「ンあ”あ”っ!? がっ……はひっ……! あ……ああぅ…………ま、まって……イくの止まらな――」
「大丈夫だよ、だから……もう一回」
「ひぎゅッ!? ひッ……ぐッ……ン”い”ぃ”~~~~ッ!!? や……やだぁッ!! もうやめ……っ、もうイきたくな――」
「やめない、もう一回」
「ン”ン”ン”ッ――――う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ッ!?」
――もう一回
――もう一回
――もう一回
その言葉と同時にギュッとされると、私の体が強く震える。
体の震えが止まるより先に、またあの言葉がやってくる。
そしてまた、体が強く震える。
それを何度も何度も繰り返す。
次第に言葉や感覚がどんどん遠くに離れていくような感覚になっていく。
そうして私の意識そのものが、遠くへ遠くへと消えていく。
真っ黒い、何もない空間に、溶けていく……
***
「はぁッ! しまった、気絶するまで責め続けてしまった!」
いくら責めてもかいちょーが反応してくれなくなって、私はようやく冷静さを取り戻す。
なんだろう、場に酔っていたというかなんというか、幽霊か何かに取り憑かれていたような気分だった。
床に倒れたかいちょーの様子を確認する。
ひゅーひゅー、と息をする音が聞こえる。
「よし問題なし」
次はスマホを確認しよう。
あぁー、今になって罪悪感で胸が痛くなってきた。
今日の配信はかいちょーに見つかるというトラブルがあったとはいえ、流石にライン超えすぎた。
あとでなんと弁明したらいいやら……
「み、みんなー。今日のまゆりんの配信はここまでってことで…………あ、あれ?」
スマホを手に取るとそこには配信画面は映っておらず、大きい文字で「通信が遮断されました」のメッセージだけが表示されていた。
端末の状態を確認してみる。
Wi-Fiが切れていた。
私のスマホは今月すでにモバイル通信量が上限を超えていて、Wi-Fi環境じゃないと配信なんてまず不可能。
だから私が学校で配信するときは、学内で唯一Wi-Fiが使える職員室…………の真下の教室で配信を使う。
Wi-Fiのパスワードはもちろん学生には秘密ってことになってるけど、職員室の壁に普通に貼ってあるから私の友達グループはみんな知ってる。
……はて、なんでWi-Fiが切れてるんだろう?
基本いつもつけっ放しのはずだけどな。
単純に調子悪いだけかな?
それにしては随分いいタイミングで切れてくれたなぁ。
「今の時間、機械オンチの先生しか残ってないからね。Wi-Fi使ってお仕事してる人がいないから、ルーターのケーブル抜いても全然バレなかったよ」
「あー、そうなんだ」
なるほどね、納得。
……。
…………。
声したね、今。
今の声はもちろん、みずきかいちょーの声じゃない。
この机とカーテンでできた配信部屋の外から聞こえてきた。
なるほどね。
私はなんとかこの状況から逃げ出す方法はないかと思案する。
うーん……
だめだ無理そう。
私知ってるんだ、こういうときは最速で謝罪するのがなんやかんやで一番浅い傷で済むってさ。
配信部屋から出ようと入り口に手をかけたとき、自分の手が震えていることに気づいた。
気を強く保とうとしているが、本当はさっきから心臓の高鳴りがドクドクとやばいことになっている。
ごめんなさいで済む案件だといいなぁ……
私は恐る恐る、配信部屋から顔を出す。
「ど、どーも」
そして目が合った彼女に軽く会釈する。
「こんばんは、まゆりさん」
彼女はそう返事をしてクスリと笑う。
知ってる顔だ。
かいちょー…………いや、前のかいちょーって言うのが正しいのかな。
安達ゆか、この学校で知らない者はいない元生徒会長。
そんな彼女がただただ笑顔でこちらを見つめてくる。
もしもそこに立っているのがカンカンに怒った先生とかだったら、私は秒で土下座ムーブに移れただろう。
だけど私は彼女の顔を見て何もできずにいた。
なんで自分の体が動かないのか、私自身も理解できずにいる。
ああそっか、恐怖で体が動かなくなるって本当にあるんだな。
元生徒会長の笑顔は私が今まで見てきたどんなものよりも恐ろしくて、その日私は本当の恐怖ってこういうのなんだ、ということを知るのでした。
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