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Ep.7-9《乙女達の復讐》
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べっとりと濡れた地面に、小刻みに痙攣を続ける少女の裸体が横たわる。
「あっ……あぁ……」
その瞳はうつろで、もはや意識を保てているかも定かではない。
「これ大丈夫っすかね? 死んでないっすよね?」
「まあその時はその時で」
倒れるアーニャに目を向けながら、メルカとショーコは呑気にそんな会話をする。
「さて、アーニャ様の淫らな姿をたくさん映像として残すことが出来ましたので、そろそろ切り上げましょうか。これ以上責めても、もう声を上げる元気もなさそうですし」
「ああ、そういえば元々そういう企画だったね。メルカ、ちゃんと映像に残した?」
「はいはい、たくさん取りましたよっと」
彼女達は時間も忘れてアーニャのことを徹底的に責め尽くした。
悲鳴も嬌声すらも上げることのできない状態になるまで、徹底的に。
それに満足した彼女達はサキュバスモードを解除し、帰宅の準備を始める。
「それではオペ子さん。戦闘を中断させてください」
エリィ達の計画は成功に終わり、あとはオペレーター側の操作でこの対戦を強制終了させるだけ。
そのはずだった。
「オペ子さん……?」
エリィが天に向けてそう語りかけると、いつもならすぐにオペ子が返事をしたはずなのに、返事が返ってこない。
『あ、あのーですね……』
エリィ達が怪訝な表情を見せる中、少し遅れて申し訳なさそうな声色のオペ子の声がフィールドに響く。
「どしたの~? なんかマシントラブル?」
『あの、そうではなくて…………わっ、わわッ!?』
オペ子は言葉を濁し続け、さらには何かに驚愕するような声まで響く。
「オペ子さ~ん、何かあったんすか~? …………んん?」
再びオペ子の声が聞こえなくなりエリィ達が不安な表情を浮かべる中、その声は突然響いた。
『ハロー、ファンルームのみなさん』
そのアナウンスは明らかに、声も口調もオペ子のものではなかった。
「そ、その声は……ッ!?」
「え、あ……まさか……」
顔は見えずとも、3人はその声の持ち主のことをよく知っている。
『なになに~? 私に内緒で楽しそうなことやってんじゃん』
フィールドに響き渡る、楽しげで、怪しげな声。
3人の顔が一斉に青ざめる。
「り、リリア様……?」
「リリア様! こ、これは、そのですね……っ!」
『とりあえずこっちに来て、説明しなよ』
弁明の余地も与えず、そう言い放つリリアの声。
直後、オペレーター側の操作で戦闘は強制中断された。
***
うつらうつらとした意識の中、ふっと意識が覚醒する。
アーニャの視界に最初に映ったのは、ファンルームで正座をしているエリィ、ショーコ、メルカ、オペ子の4人の姿だった。
(あれ、私……どうなって……)
意識を取り戻してもなお、まだ全身が重い。
アーニャはうつ伏せの体勢のまま顔だけを上げる。
(り、リリア……?)
エリィ達の向かいには行儀の悪い姿勢で椅子に座るリリアの姿があった。
リリアはまじまじとした視線で4人を順番に見つめ、その視線がある1人に止まった。
「メルカちゃん」
「は、はひッ!」
正座したまま、メルカの体がビクンと跳ねる。
「そのカメラ、貸して」
「あ、いや、その……」
「貸して」
「どどど、どうぞッ!」
メルカはドスの効いたリリアの視線に恐れ慄き、持っていたカメラ型端末を差し出す。
リリアはそのカメラ型の端末を手に取ると、ディスプレイに映る映像を見つめる。
「へ~、ふ~ん」
指先を滑らせ、映像を飛ばし飛ばしに眺めては興味深そうに頷く。
「なるほど~……んふふ、いい趣味してんじゃん」
さらには顔を赤らめニヤつきながら、独り言のようにそう呟く。
「よし、決めた。リリア様は優しいので、私に無断でアーニャちゃんに色々やったこと、今回は不問にしてあげる」
リリアがそう告げると、正座をしているエリィ達の表情がパァっと明るくなる。
「あーでもこれは没収ね」
リリアがカメラを手にしてそう告げると、メルカの表情が口を開けたままピタッと止まる。
「あ……はい……」
だがそれ以上口答えすることもできず、メルカはその後しばらくシュンと項垂れていた。
そんな彼女達のやりとりを眺めていると、アーニャが目覚めたことに気づいたリリアが立ち上がり近寄ってくる。
「あっ、アーニャちゃんごめんね~、うちの子達が色々ヤっちゃったみたいで。ベータマイルは慰謝料込みでちゃんと振り込んませたから、その点は安心して!」
手をパンと合わせて平謝りするリリアを横目に、アーニャは自身の腕輪端末を操作してベータマイルを確認し、目を見開く。
確かにそこには想像以上の金額が振り込まれていていた。
「それはそうとアーニャちゃん、あの子見つけたよ」
「あの子……?」
「えーっとなんだっけなぁ名前……えーっと、えーっとぉ……」
リリアは頬を突きながら必死に何かを思い出そうと頭を捻らせる。
「あっ、そう、サナちゃん!」
――サナ。
その名前を聞いた瞬間、アーニャは自身を襲う体の痛みも忘れてリリアにしがみつく。
「……ッ!? ど、どこに!?」
レオに敗北して以来、姿を見ていない彼女のことをアーニャはずっと探していた。
「お、おおう、びっくりした……そ、それがなんだけどさぁ……私もどーいうことなのかよく分かってないんだけどさぁ……」
だがリリアはどういうわけか、サナのことを自分から言い出したのにそれ以上先は言いにくそうに顔を背ける。
だが真っ直ぐな視線を向けるアーニャを前に、すぐに観念した。
「ミヨさんのところにいたんだよねぇ……」
言いにくそうな口調でそう語るリリア。
「え……」
アーニャの頭は混乱して、頭が真っ白になって、もうそれ以上何も考えられなかった。
「あっ……あぁ……」
その瞳はうつろで、もはや意識を保てているかも定かではない。
「これ大丈夫っすかね? 死んでないっすよね?」
「まあその時はその時で」
倒れるアーニャに目を向けながら、メルカとショーコは呑気にそんな会話をする。
「さて、アーニャ様の淫らな姿をたくさん映像として残すことが出来ましたので、そろそろ切り上げましょうか。これ以上責めても、もう声を上げる元気もなさそうですし」
「ああ、そういえば元々そういう企画だったね。メルカ、ちゃんと映像に残した?」
「はいはい、たくさん取りましたよっと」
彼女達は時間も忘れてアーニャのことを徹底的に責め尽くした。
悲鳴も嬌声すらも上げることのできない状態になるまで、徹底的に。
それに満足した彼女達はサキュバスモードを解除し、帰宅の準備を始める。
「それではオペ子さん。戦闘を中断させてください」
エリィ達の計画は成功に終わり、あとはオペレーター側の操作でこの対戦を強制終了させるだけ。
そのはずだった。
「オペ子さん……?」
エリィが天に向けてそう語りかけると、いつもならすぐにオペ子が返事をしたはずなのに、返事が返ってこない。
『あ、あのーですね……』
エリィ達が怪訝な表情を見せる中、少し遅れて申し訳なさそうな声色のオペ子の声がフィールドに響く。
「どしたの~? なんかマシントラブル?」
『あの、そうではなくて…………わっ、わわッ!?』
オペ子は言葉を濁し続け、さらには何かに驚愕するような声まで響く。
「オペ子さ~ん、何かあったんすか~? …………んん?」
再びオペ子の声が聞こえなくなりエリィ達が不安な表情を浮かべる中、その声は突然響いた。
『ハロー、ファンルームのみなさん』
そのアナウンスは明らかに、声も口調もオペ子のものではなかった。
「そ、その声は……ッ!?」
「え、あ……まさか……」
顔は見えずとも、3人はその声の持ち主のことをよく知っている。
『なになに~? 私に内緒で楽しそうなことやってんじゃん』
フィールドに響き渡る、楽しげで、怪しげな声。
3人の顔が一斉に青ざめる。
「り、リリア様……?」
「リリア様! こ、これは、そのですね……っ!」
『とりあえずこっちに来て、説明しなよ』
弁明の余地も与えず、そう言い放つリリアの声。
直後、オペレーター側の操作で戦闘は強制中断された。
***
うつらうつらとした意識の中、ふっと意識が覚醒する。
アーニャの視界に最初に映ったのは、ファンルームで正座をしているエリィ、ショーコ、メルカ、オペ子の4人の姿だった。
(あれ、私……どうなって……)
意識を取り戻してもなお、まだ全身が重い。
アーニャはうつ伏せの体勢のまま顔だけを上げる。
(り、リリア……?)
エリィ達の向かいには行儀の悪い姿勢で椅子に座るリリアの姿があった。
リリアはまじまじとした視線で4人を順番に見つめ、その視線がある1人に止まった。
「メルカちゃん」
「は、はひッ!」
正座したまま、メルカの体がビクンと跳ねる。
「そのカメラ、貸して」
「あ、いや、その……」
「貸して」
「どどど、どうぞッ!」
メルカはドスの効いたリリアの視線に恐れ慄き、持っていたカメラ型端末を差し出す。
リリアはそのカメラ型の端末を手に取ると、ディスプレイに映る映像を見つめる。
「へ~、ふ~ん」
指先を滑らせ、映像を飛ばし飛ばしに眺めては興味深そうに頷く。
「なるほど~……んふふ、いい趣味してんじゃん」
さらには顔を赤らめニヤつきながら、独り言のようにそう呟く。
「よし、決めた。リリア様は優しいので、私に無断でアーニャちゃんに色々やったこと、今回は不問にしてあげる」
リリアがそう告げると、正座をしているエリィ達の表情がパァっと明るくなる。
「あーでもこれは没収ね」
リリアがカメラを手にしてそう告げると、メルカの表情が口を開けたままピタッと止まる。
「あ……はい……」
だがそれ以上口答えすることもできず、メルカはその後しばらくシュンと項垂れていた。
そんな彼女達のやりとりを眺めていると、アーニャが目覚めたことに気づいたリリアが立ち上がり近寄ってくる。
「あっ、アーニャちゃんごめんね~、うちの子達が色々ヤっちゃったみたいで。ベータマイルは慰謝料込みでちゃんと振り込んませたから、その点は安心して!」
手をパンと合わせて平謝りするリリアを横目に、アーニャは自身の腕輪端末を操作してベータマイルを確認し、目を見開く。
確かにそこには想像以上の金額が振り込まれていていた。
「それはそうとアーニャちゃん、あの子見つけたよ」
「あの子……?」
「えーっとなんだっけなぁ名前……えーっと、えーっとぉ……」
リリアは頬を突きながら必死に何かを思い出そうと頭を捻らせる。
「あっ、そう、サナちゃん!」
――サナ。
その名前を聞いた瞬間、アーニャは自身を襲う体の痛みも忘れてリリアにしがみつく。
「……ッ!? ど、どこに!?」
レオに敗北して以来、姿を見ていない彼女のことをアーニャはずっと探していた。
「お、おおう、びっくりした……そ、それがなんだけどさぁ……私もどーいうことなのかよく分かってないんだけどさぁ……」
だがリリアはどういうわけか、サナのことを自分から言い出したのにそれ以上先は言いにくそうに顔を背ける。
だが真っ直ぐな視線を向けるアーニャを前に、すぐに観念した。
「ミヨさんのところにいたんだよねぇ……」
言いにくそうな口調でそう語るリリア。
「え……」
アーニャの頭は混乱して、頭が真っ白になって、もうそれ以上何も考えられなかった。
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