上 下
51 / 61

Ep.7-5《乙女達の復讐》

しおりを挟む
全身に痛みが走る中、アーニャはよろよろとした足取りで立ち上がる。
そして見下すような視線でこちらを眺める3人を、キッと睨みつける。

「こんなの、手合わせじゃ、ない……どういうつもり……?」
「あらら、バレてしまいましたか」

意外にも、エリィは騙していたことをあっさりと白状する。

「そう、これは手合わせじゃありません。私たちの……復讐ですわ」
「復讐……? 私が、何をしたって言うの?」
「まあ、復讐って言うよりも逆恨みなんだけどね」

そう言ってショーコはアーニャの方にゆっくりと近づいてくる。
そしてアーニャの目の前にまでやってくると顎をクイと掴み上げ、苦悶の表情を浮かべるアーニャの顔をまじまじと見つめる。

「でもさー、アーニャちゃんが悪いんだよ? だって、私たちのリリア様を独り占めしちゃうんだもん。リリア様ったらアーニャちゃんと会ってから、頭の中はアーニャちゃんのことばっか。いいなー私もリリア様からそんなふうに構って欲しいな~」
「……ッ! 離せッ!」

不機嫌そうな声でそう語るショーコの腕を払い除け、アーニャは数歩後ろに下がる。

「そもそも、私は別に好きでリリアと一緒にいるわけじゃ……」
「そういう謙遜が一番ムカつくんすよねぇ。まあこれは私たちの個人的な復讐なので、アーニャさんがどう思っていようとカンケーないんすよ」

そう言ってメルカはビデオカメラ型の端末を取り出した。
そしてそのレンズをアーニャの方へ向ける。

「何を、するつもり……?」
「アーニャ様がされて一番嫌がることをするんですわ」

メルカに変わってエリィが答える。
彼女は蛇腹剣を手に持ちながら、ゆっくりとアーニャの方へ近づいてくる。

「一番嫌なこと……?」
「そう、アーニャ様が無様に敗北し! 辱めを受ける姿を全世界に公開して! 黒ずきんのアーニャというブランドを滅茶苦茶にしてあげるんですの!」

そしてエリィは狂気的な笑みを見せるのと同時にアーニャに接近し、その蛇腹剣で切り掛かった。

「くっ……」

アーニャは咄嗟に廃墟ステージの地面に転がる鉄パイプを手に取り応戦する。
鞭のようにしなる剣撃を鉄パイプに絡ませ直撃を避ける。
だがその間にも、バッドを持って走ってくるショーコの姿が視界の隅に見えた。
アーニャは即座に足元に落ちていたガラス片を拾うと、ショーコに向けて投げつける。

「痛ッ!」

ガラス片はショーコの腕に突き刺さり、彼女はその場で足を止める。

「流石ですわアーニャ様、まだこんなに動けるなんて……。オペ子さん、私たちがアーニャ様と対等に闘うには、もう少しハンデが必要みたいですわ」
『はい、アーニャ選手は強すぎるのでさらにルール追加です』

エリィがそう語ると、返事をするようにアナウンスが響き渡る。

『アーニャ選手の運動能力を半分に設定しました』
「は?」

そんな言っている内容が滅茶苦茶なアナウンスが流れた直後、アーニャの体がズシンと重くなる。

「……ッ!? く、あ……」

まるで全身に鉄の鎧を纏っているかのような重みを感じ、アーニャはその場に膝をつく。

「いたた~、さっきのは痛かったなぁ~、ってあれ、なになに~? 今はもう普通に立つことさえできないの~?」
「来る、なぁ……ッ!」

ゆっくりとこちらに近づいてくるショーコ。
立ち上がって応戦しようとするが、今のアーニャは地に着いた片膝を上げることすらできない。

「じゃ~あ、これはさっきのお返し……ッ!」

ショーコの手がゆっくりとアーニャに近づく。
それを振り払うこともできず、その手がアーニャの首根っこを鷲掴みにする。

「あ”ッ、あ”あ”――ッ!?」
「あはは、きったない悲鳴! ねぇメルカ、ちゃ~んと撮影してる?」
「はーい、ばっちり映ってるっすよ! 不細工な顔で悶える黒ずきんのアーニャの姿を、ね」
「かひっ、かっ……あ”っ……!」

運動能力が強化されたショーコはアーニャの体を片手で軽く持ち上げ、一方運動能力を半分にされたアーニャはまるで幼子のようなか弱い力で必死に抵抗する。
そんな力でショーコの腕を払い除けることなどできるはずはなく、首を絞める力はさらに強くなっていく。

「後で全国公開されるんだから、ちゃんと高画質で収めておいてよね! ショーコちゃんにボッコボコにされちゃう黒ずきんのアーニャの姿をさぁ!」

ショーコはそう言って、アーニャの体を力強く地面に叩きつけた。

「がぁ――ッ!?」

頭から背中にかけて強い衝撃が走り、視界が明滅する。

「このままその顔面ボッコボコにして上げるよ」

仰向けに倒れるアーニャにまたがり、ショーコが腕を上げたところでエリィが止めに入る。

「それはダメですわショーコさん。やりすぎてアーニャさんが意識を失ってしまったら困りますもの」
「おおっと、ごめんごめん」

エリィの静止を受けてショーコは冷静になり、アーニャから少し距離を置く。
そして代わりに近づいてきたエリィがアーニャの耳元で囁く。

「ところでアーニャ様、そろそろお薬の時間が切れた頃合いじゃありませんか?」
「……ッ!」

その言葉を聞いてハッとする。
このビルに入る前に感覚遮断グミを口にして、それからどれだけの時間が経っただろう。
もう既にグミの効果は切れていてもおかしくないが、少なくともこの戦いの最中は快楽値の制限がかかっているはず。
そう思ったアーニャだったが――

「オペ子さん」
『はーい、アーニャ選手の快楽値の制限、解除します』

淡々とした口調で告げられるアナウンス。

「え……あっ――」

その感覚は快楽のボリュームが少しづつ上がっていくのとは違う。
ミュートの状態から一瞬で最大音量まで引き上げられるかのような感覚。

『左胸の感度上昇』
『右胸の感度上昇』
『潮吹き量増加』
『羞恥による快楽値の上昇量増加』
『連続絶頂のしやすさ上昇』
『口内の感度上昇』
『苦痛的刺激の快楽化』
『腹部の感度上昇』

抑制されていた全ての呪いが、今この瞬間開放される。

「だ、め――――――――あ”ッ!? ン”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ッ!!」

腰が爆発したように震え、頭が一瞬で快楽に支配される。
全身の痛みは全て快楽へと変換され、秘所からは大量の潮があふれ出し、一度始まった絶頂は次の絶頂のトリガーとなり、終わらない連続絶頂が始まる。

「これはこれは……随分とはしたない……」
「あっはは、すごいすごい! スイッチ一つで大絶頂! 何もされてないのにイきまくってる~!」
「腰を突き上げてビクンビクンしてるのがエッチっすねぇ~。この映像、後で黒ずきんのアーニャファンのおじさま達にたくさんオカズとして使われちゃうんだろうなぁ~」

狂ったように絶頂するアーニャを見て三者三様の反応を見せるも、心配する者は誰もいない。

「はひっ……かっ……んグッ……!」

それどころか過呼吸になりながらのたうち回るアーニャの姿を見て、さらにその嗜虐心を昂らせていた。
そう、彼女達の復讐心はこの程度では満たされない。

「ねぇねぇ、何一人で満足しちゃってんの? だめだよ~、私も一緒に楽しませてよッ!」

まだ止まらない絶頂に悶えるアーニャの右胸を、ショーコは力強く踏みつけた。

「あがぁああああッ!? や”め”っ、踏むなぁあ”あ”あ”ッ!!」

グリグリと強く踏みつけられるたびに、柔らかいアーニャの乳房が形を変える。
そして呪いの影響で敏感になっている右胸を刺激されたことにより、痺れるような痛みと甘い快楽が同時にやってきて、アーニャの頭はショートしそうになる。

「その遊び楽しそうっすねぇ! 私も混ぜてくださいよっと!」

続いてカメラを片手に近づいてきたメルカも、空いているアーニャの左胸を踏みつけた。

「ひがぁあああああッ!? あ”ッ、あぁぐッ!?」

スニーカーのつま先でツンツンと胸の先端を責められたり、踵をグリグリと押し付けられたり。
その度に変わるアーニャの声色を、メルカは楽しんでいるかのようだった。
次から次へやってくる快楽の波に溺れそうになるアーニャ。
そんな彼女の視界には楽しそうに自分を踏みつける二人の顔があった。
そして少し遅れて、その視界の中にエリィの姿も入りこむ。

「ふふっ、アーニャさんのことはたくさん調べ上げたので知っていますよ? 今はここも、性感帯なのでしょう?」

そしてエリィがアーニャの腹部を踏みつける。

「ンッごぉお!? お、おなか、だめ……ッ、ぐッ、ううッ、ンぁああ――――ッ!!」

グニグニ……グリグリ……と、雑に踏まれ続けるアーニャの体。
体に刺激を受けるたびに、アーニャは甘い声を上げ、不規則に体をくねらせる。
なんとも滑稽で、屈辱的な姿。
だが全ての呪いが開放されたアーニャは体から受ける刺激全てを快楽として感じてしまう。

ふふっ……クスクス……

そんな彼女達の薄ら笑いと、アーニャの悲痛な絶叫だけがフィールド内に響き続けた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

第三殲滅隊の鬼教官 *BL

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:17

邪淫の魔眼

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:49

人間スケスケ覗き穴

エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

ちびヨメは氷血の辺境伯に溺愛される

BL / 連載中 24h.ポイント:47,365pt お気に入り:5,188

〝絶奏音楽作選隊〟 ―出撃!TSF防衛アイドルユニットー

SF / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:5

処理中です...