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2章
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暖かい日差し。
ふかふかのベッド。
きらきらと輝く金髪。
「………」
ヴィーの髪みたい。
…いや髪の毛だけあるわけないよね。
あったらホラーだよねそれ。
「っヴィ…」
「しー…」
か、顔がいい…
え?今までそんなこと思ったことないって。
綺麗だな、洋風の顔だな、くらいしか思ったことないのに。
「ふふ…一緒に寝るなんて久しぶりだね?」
「そっ、うだね…」
ひえ…ヴィーがきらきらしてる…
あれ?なんでこんなどぎまぎしてるんだろう…
顔が一定の赤さでキープされるケイ。
顔だけじゃなく全身仄かに赤いのだが。
「……………」
ちらちらと視線を逸らしたり、やっぱり見てみたり。
完全に挙動不審である。
「どうかした?」
「あの…な、なんでも、ない…」
撫でてくれないの?
なんて、どうしてそんなこと思ったんだろう。
ヴィーがそこにいるのに。
こんなに近い距離にいるのに。
髪の1本さえケイには触れていない。
それが寂しいだなんて。
触ってほしい、なんて、どうして。
「ケイ」
「な、なに?」
な、名前呼ばれた…
君じゃなくてケイって…
「私と一緒に世界中を旅しないか?」
「え?」
散歩に行かないか?とでも言うようなノリで穏やかに聞いてきた。
どう返事をしても構わないというようなその表情。
ヴィーの中ではもう何かが決まっているのだろうか。
「君と、一緒にいたいんだ」
「それ、は…」
どういう意味?
恋愛的な意味で言っているのだろうかと浮かれるほど馬鹿じゃない。
だってヴィーは王子様なんだから。
そんな人が世界中を旅?
無理だと思う。
つまりこれは、ここから逃げ出したいってこと?
たしかに共に逃げるだけならばケイにもできる。
それに魔法には秀でているため逃げ切ることも容易だろう。
しかしあえてこう言わせてもらう。
「プロポーズならちゃんとして?」
「君には敵わないなぁ」
困ったように笑う。
ケイもヴィーもお互いがお互いに困ったように。
仕方のない人だなあと思いながら。
「もう少しすると私の弟がクーデターを起こす。だから私はその際に死んだことにしようかと思うんだ」
「……ヴィー…」
言いたいことはわかる。
ケイといる上で王位は邪魔でしかないのだろう。
だから捨てる。
そういう選択をしたのだろう。
「それが終わったら今度こそ、ちゃんとプロポーズさせてほしい」
「…うん」
…俺、知ってるよ。
ヴィーの今のセリフって死亡フラグだよね?
でも。
次はベッドの上で横になりながらじゃなくてちゃんと言ってほしいな。
ヴィーと、幸せになりたい。
だからね?そういう怖い言い方はやめよう?
不用意にフラグ乱立させないでね?
ふかふかのベッド。
きらきらと輝く金髪。
「………」
ヴィーの髪みたい。
…いや髪の毛だけあるわけないよね。
あったらホラーだよねそれ。
「っヴィ…」
「しー…」
か、顔がいい…
え?今までそんなこと思ったことないって。
綺麗だな、洋風の顔だな、くらいしか思ったことないのに。
「ふふ…一緒に寝るなんて久しぶりだね?」
「そっ、うだね…」
ひえ…ヴィーがきらきらしてる…
あれ?なんでこんなどぎまぎしてるんだろう…
顔が一定の赤さでキープされるケイ。
顔だけじゃなく全身仄かに赤いのだが。
「……………」
ちらちらと視線を逸らしたり、やっぱり見てみたり。
完全に挙動不審である。
「どうかした?」
「あの…な、なんでも、ない…」
撫でてくれないの?
なんて、どうしてそんなこと思ったんだろう。
ヴィーがそこにいるのに。
こんなに近い距離にいるのに。
髪の1本さえケイには触れていない。
それが寂しいだなんて。
触ってほしい、なんて、どうして。
「ケイ」
「な、なに?」
な、名前呼ばれた…
君じゃなくてケイって…
「私と一緒に世界中を旅しないか?」
「え?」
散歩に行かないか?とでも言うようなノリで穏やかに聞いてきた。
どう返事をしても構わないというようなその表情。
ヴィーの中ではもう何かが決まっているのだろうか。
「君と、一緒にいたいんだ」
「それ、は…」
どういう意味?
恋愛的な意味で言っているのだろうかと浮かれるほど馬鹿じゃない。
だってヴィーは王子様なんだから。
そんな人が世界中を旅?
無理だと思う。
つまりこれは、ここから逃げ出したいってこと?
たしかに共に逃げるだけならばケイにもできる。
それに魔法には秀でているため逃げ切ることも容易だろう。
しかしあえてこう言わせてもらう。
「プロポーズならちゃんとして?」
「君には敵わないなぁ」
困ったように笑う。
ケイもヴィーもお互いがお互いに困ったように。
仕方のない人だなあと思いながら。
「もう少しすると私の弟がクーデターを起こす。だから私はその際に死んだことにしようかと思うんだ」
「……ヴィー…」
言いたいことはわかる。
ケイといる上で王位は邪魔でしかないのだろう。
だから捨てる。
そういう選択をしたのだろう。
「それが終わったら今度こそ、ちゃんとプロポーズさせてほしい」
「…うん」
…俺、知ってるよ。
ヴィーの今のセリフって死亡フラグだよね?
でも。
次はベッドの上で横になりながらじゃなくてちゃんと言ってほしいな。
ヴィーと、幸せになりたい。
だからね?そういう怖い言い方はやめよう?
不用意にフラグ乱立させないでね?
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