弟、異世界転移する。

ツキコ

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2章

39

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「ケイ」

夜。
いつもならもう寝る時間帯。

「なあに?兄さん」

今日はいつもより長くいられて嬉しいくらいしか思っていなかった。
兄さんに寄りかかりながらスマホを弄る。

充電がなくなる心配はない。
魔法で万事解決可能だ。

現在やっているのはアプリの作成。
もちろん魔法で可能。

マヤは読んでいた本を閉じ、ケイに顔を向ける。

「ここを出よう」

「え…」

突然の言葉に驚く。
ここを出るってそのままの意味だよね?

「ど、どうして?」

「ここには不安要素が多過ぎる」

不安要素が何かはわからないが兄さんが言うのだからあるのだろう。
そしてそれは見逃せないものなのだろう。

「2人だけ?他の人は?」

「ノアも連れて行く」

「そ、う…」

兄さんとお兄ちゃん。
別に不満があるわけじゃない。

あるわけではないが何かこう…もやっとする。

「不安か…?」

「あ…ううん。兄さんがいれば、大丈夫。大丈夫だよ」

自分に言い聞かせるように大丈夫だと言う。

大丈夫。
だって兄さんがいるんだから。
何も不安に思うことなんてない…はずだ。

「持っていきたい物は?」

「…大丈夫」

スマホは持っているし、もともと持ち物は全部異空間にぽいしている。

「そうか。なら行こう」

「え?」

もう?と思ったのは言うまでもない。
たしかに今までもこういうことはあったけどいくらなんでも早すぎる。

……まだみんなに挨拶もしてないのに。

「?」

「あ、う、うん」

それでも兄さんはなんで?という顔をしていたので急いで返事をしてしまった。
兄さんの望むようにしなければ。
俺には、兄さんしかいないんだから。

「手紙を書いておいた。読めるかはわからないが…心配するな」

それでも不安か何かが顔に出ていたのだろう。
そう言って兄さんは優しく微笑んでくれた。

「準備できたぁ?」

大体話が終わったと思ったのか部屋の扉が開く。
部屋のバルコニーの扉が。

「ああ。ケイ、こっちへおいで」

「どうやって行くの?」

なぜバルコニー?
飛ぶの?

でも兄さんは魔力がないしお兄ちゃんは今魔素が足りないし。
ケイだけに負担させるようなことを2人がさせるとは思えない。

「これだよ」

「すごい…」

空飛ぶ馬車with魔物。

すごい、かっこいい。
の一言に尽きる。

「も~大変だったんだよぉ?頼みに行ったら笑われてさぁ!割りに合わないってこういうのを言うんだよぉ!」

「うっせぇな。そういう約束だったろうが」

「むむ~…お菓子つくれなかったらボク怒るからね!」

「はいはい」

兄さんは家族が増えたみたいで嬉しそうだ。
ケイとノアはよく似ているからそう感じるのもわかる。

あまり手のかからなかったケイと違いノアは問題児ではあるが。
マヤにとってはそこも教育のしがいがあって楽しいのだろう。

「ケイ、行こう」

「うん」
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