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2章
19
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ケイ曰く、
“兄さん”はなんでもできるらしい。
勉強や運動はもちろん、料理や裁縫などの家事全般。
とにかくなんでもできる。
ケイは知らないがこっそり特訓していたりする。
そんな兄さんが最も得意なのは喧嘩である。
才能があったというしかないぐらいだ。
ケイにカツアゲをしてきた男数名を捩じ伏せたのが始まり。
特にケイと2人暮らしを始めてからは父からの追っ手やチンピラがぐっと増えた。
家賃の安さをとったので周辺の治安が少々悪いというのもある。
そんなこんなでどういうわけか有名になっていたのである。
結果マヤの強さに惚れ込む不良が続出。
ケイ至上主義なマヤを天辺とする、ある種宗教のような集団になったのだった。
それが今こちらでも行われようとしている。
「うわっ!!」
「もっぺん言ってみろや…恵を、なんだって?」
はい、教育的指導入りました!
宗教染みた原因がこれだ。
その雰囲気、その圧迫感、その威圧に恐縮してしまう。
「えっえーと、えーとっそう!ケイは鬼ごっこって呼んでました!!」
頓珍漢な返事をするシモン。
シモンとしてはケイを虐めていたわけではない、ということを伝えたいようだ。
「…そうか。遊んでいただけならいい…が、そうじゃなかったら殺す」
「っっっっっっ!!!」
これほどまでに高速な頷きを見たことがあるだろうか。
尋常じゃないほど首ががっくがくだがそれは大丈夫なのか。
多少は冷静になったのか姿勢を正すマヤ。
「説得がどうとか言っていたが俺になにか用か?」
「ええ、そうなの。アタシはエディ・ネルソン。そっちがカイ・リンドであれがアラン・ブレンドレルよ」
自己紹介は手短かに。
さっと流し進める。
「まず、あなたはケイのお兄さんでいいのよね?」
「ああ。三好真矢、恵の兄だ」
説得、交渉はエディの仕事。
カイとアランはシモンを含めた死屍累々を片づけている。
「ケイが魔王に攫われたのは聞いたかしら?」
「伝言を聞いた。恵のことなんだろ?」
「そうよ。それであなたに協力してほしいの」
「ああ…なるほど。だから勇者なのか」
「魔王討伐にはアタシ達が同行するわ。もちろんあなたに選ぶ権利があるのだけど」
「俺はアンタらがどれだけ強いのか知らない」
「…そう言うと思ったわ。まずはあなたが無意識に使ってる魔法の無効化をどうにかしないと危険で訓練できないわ」
「…………。魔法あったのか…」
兄さん異世界に魔法があることをご存知でなかった。
魔物がどうたら魔王がどうたらしか説明を受けていなかった。
「……。あ、アタシが1から…0から教えるから大丈夫よ!ケイにもアタシが教えたんだから」
「そうか…。うん。じゃあお願いします、エディさん」
三好真矢、尊敬できる相手には敬意を払います。
その後カイ達も混ざり魔法の訓練が始まるのだがこれがなかなかに大変だった。
天は万物を与えず。
正確には天は人に二物を与えず。
まあ要するに兄さん、シモン同様に壊滅的な魔法センスでありました。
“兄さん”はなんでもできるらしい。
勉強や運動はもちろん、料理や裁縫などの家事全般。
とにかくなんでもできる。
ケイは知らないがこっそり特訓していたりする。
そんな兄さんが最も得意なのは喧嘩である。
才能があったというしかないぐらいだ。
ケイにカツアゲをしてきた男数名を捩じ伏せたのが始まり。
特にケイと2人暮らしを始めてからは父からの追っ手やチンピラがぐっと増えた。
家賃の安さをとったので周辺の治安が少々悪いというのもある。
そんなこんなでどういうわけか有名になっていたのである。
結果マヤの強さに惚れ込む不良が続出。
ケイ至上主義なマヤを天辺とする、ある種宗教のような集団になったのだった。
それが今こちらでも行われようとしている。
「うわっ!!」
「もっぺん言ってみろや…恵を、なんだって?」
はい、教育的指導入りました!
宗教染みた原因がこれだ。
その雰囲気、その圧迫感、その威圧に恐縮してしまう。
「えっえーと、えーとっそう!ケイは鬼ごっこって呼んでました!!」
頓珍漢な返事をするシモン。
シモンとしてはケイを虐めていたわけではない、ということを伝えたいようだ。
「…そうか。遊んでいただけならいい…が、そうじゃなかったら殺す」
「っっっっっっ!!!」
これほどまでに高速な頷きを見たことがあるだろうか。
尋常じゃないほど首ががっくがくだがそれは大丈夫なのか。
多少は冷静になったのか姿勢を正すマヤ。
「説得がどうとか言っていたが俺になにか用か?」
「ええ、そうなの。アタシはエディ・ネルソン。そっちがカイ・リンドであれがアラン・ブレンドレルよ」
自己紹介は手短かに。
さっと流し進める。
「まず、あなたはケイのお兄さんでいいのよね?」
「ああ。三好真矢、恵の兄だ」
説得、交渉はエディの仕事。
カイとアランはシモンを含めた死屍累々を片づけている。
「ケイが魔王に攫われたのは聞いたかしら?」
「伝言を聞いた。恵のことなんだろ?」
「そうよ。それであなたに協力してほしいの」
「ああ…なるほど。だから勇者なのか」
「魔王討伐にはアタシ達が同行するわ。もちろんあなたに選ぶ権利があるのだけど」
「俺はアンタらがどれだけ強いのか知らない」
「…そう言うと思ったわ。まずはあなたが無意識に使ってる魔法の無効化をどうにかしないと危険で訓練できないわ」
「…………。魔法あったのか…」
兄さん異世界に魔法があることをご存知でなかった。
魔物がどうたら魔王がどうたらしか説明を受けていなかった。
「……。あ、アタシが1から…0から教えるから大丈夫よ!ケイにもアタシが教えたんだから」
「そうか…。うん。じゃあお願いします、エディさん」
三好真矢、尊敬できる相手には敬意を払います。
その後カイ達も混ざり魔法の訓練が始まるのだがこれがなかなかに大変だった。
天は万物を与えず。
正確には天は人に二物を与えず。
まあ要するに兄さん、シモン同様に壊滅的な魔法センスでありました。
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