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2章
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魔法陣が大量に描かれた部屋。
それは少し薄暗いここでよく発光していた。
いっそ綺麗とさえ思えてしまうような光景。
ケイはそんな部屋で檻に入れられていた。
「土壁」
コーラがそう言うと無言で指示に従う筋肉ゴリラ達。
ケイの檻をさらに土壁で覆う。
あっという間に密閉されてしまった。
「え…」
どこからどう見ても隙間がない。
つまり酸素が限られた空間となってしまった。
視覚と聴覚が遮断された。
「可視化」
土壁は透明な壁となり、あちらとこちらの景色を繋ぐ。
彼女は指示をするだけで動くつもりはないようだ。
ケイがいる場所以外にも似たような場所があった。
中心の円から少し外れた場所。
そこには古びた様々なものが置いてあった。
本、鞄、服、そして恐らくペン。
それからガラクタのようにして箱に仕舞われた骨。
少なくとも生きているものはケイだけだった。
「っげほ…!」
「!?ヴィー!?」
辺りを見渡していたケイの前に投げ捨てられたのは見間違うはずもない人物だった。
身体中が傷だらけで苦しそうに顔を歪ませていた。
「ヴィー!しっかりして!!」
手を伸ばそうとしてすぐに壁にぶつかる。
そんな壁を壊したくて必死に壁を叩く。
あんなになったら痛くて苦しい。
それを身に染みて知っている。
苦しくて痛いのは怖い。
いっそ死んでしまいたくなるほどに怖い。
ケイにはそこから救ってくれる兄がいた。
けれど彼にはそんな存在いるのだろうか。
「…ケイ」
「な、え、なに…?」
声が直接聞こえたわけではなく。
言うなれば脳内に直接届いたような。
そんな不思議な現象に手を止める。
なによりも驚いたのは名前を呼ばれたことだったりするのだが。
「6時間半…が、タイムリミットだ…」
6時間半がタイムリミット?
一体なんのことを言っているのか。
「…まさか…お兄様、あの魔道具を奪ったの!?」
「ぐ、ぅ…っ」
「なんてことをしてくれたの!!余計なことを言いやがって!!」
がつがつとヒールで繰り返し踏みつける。
ヴィーはその度に呻き、傷を負った。
「やめて!!ヴィーが死んじゃう!!」
一方的な暴力。
それはケイのトラウマを引き起こすのに十分すぎるほどだった。
やめてとさえ言えない状況で声を出せば余計に殴られる。
喋ってはいけない。
自然と脳がそう判断する。
はくはく、と声が出せなくなる。
息が上手く吸えなくて頭に酸素が回らない。
「っ…、…!!」
それでも壁を叩く。
だってヴィーを助けてくれる人はどこにもいないから。
ここで倒れたらヴィーは完全に1人になってしまう。
それだけは絶対に駄目だ。
でも、どれだけ叩いてもこの壁が壊れる気配はない。
ただ手が痛くて。
自分じゃ何もできないこの状況が苦しくて。
どうしてこんなにも無力なのか。
兄さんならヴィーを助けられたかもしれないのに。
ヴィーを、助けて、兄さん…
それは少し薄暗いここでよく発光していた。
いっそ綺麗とさえ思えてしまうような光景。
ケイはそんな部屋で檻に入れられていた。
「土壁」
コーラがそう言うと無言で指示に従う筋肉ゴリラ達。
ケイの檻をさらに土壁で覆う。
あっという間に密閉されてしまった。
「え…」
どこからどう見ても隙間がない。
つまり酸素が限られた空間となってしまった。
視覚と聴覚が遮断された。
「可視化」
土壁は透明な壁となり、あちらとこちらの景色を繋ぐ。
彼女は指示をするだけで動くつもりはないようだ。
ケイがいる場所以外にも似たような場所があった。
中心の円から少し外れた場所。
そこには古びた様々なものが置いてあった。
本、鞄、服、そして恐らくペン。
それからガラクタのようにして箱に仕舞われた骨。
少なくとも生きているものはケイだけだった。
「っげほ…!」
「!?ヴィー!?」
辺りを見渡していたケイの前に投げ捨てられたのは見間違うはずもない人物だった。
身体中が傷だらけで苦しそうに顔を歪ませていた。
「ヴィー!しっかりして!!」
手を伸ばそうとしてすぐに壁にぶつかる。
そんな壁を壊したくて必死に壁を叩く。
あんなになったら痛くて苦しい。
それを身に染みて知っている。
苦しくて痛いのは怖い。
いっそ死んでしまいたくなるほどに怖い。
ケイにはそこから救ってくれる兄がいた。
けれど彼にはそんな存在いるのだろうか。
「…ケイ」
「な、え、なに…?」
声が直接聞こえたわけではなく。
言うなれば脳内に直接届いたような。
そんな不思議な現象に手を止める。
なによりも驚いたのは名前を呼ばれたことだったりするのだが。
「6時間半…が、タイムリミットだ…」
6時間半がタイムリミット?
一体なんのことを言っているのか。
「…まさか…お兄様、あの魔道具を奪ったの!?」
「ぐ、ぅ…っ」
「なんてことをしてくれたの!!余計なことを言いやがって!!」
がつがつとヒールで繰り返し踏みつける。
ヴィーはその度に呻き、傷を負った。
「やめて!!ヴィーが死んじゃう!!」
一方的な暴力。
それはケイのトラウマを引き起こすのに十分すぎるほどだった。
やめてとさえ言えない状況で声を出せば余計に殴られる。
喋ってはいけない。
自然と脳がそう判断する。
はくはく、と声が出せなくなる。
息が上手く吸えなくて頭に酸素が回らない。
「っ…、…!!」
それでも壁を叩く。
だってヴィーを助けてくれる人はどこにもいないから。
ここで倒れたらヴィーは完全に1人になってしまう。
それだけは絶対に駄目だ。
でも、どれだけ叩いてもこの壁が壊れる気配はない。
ただ手が痛くて。
自分じゃ何もできないこの状況が苦しくて。
どうしてこんなにも無力なのか。
兄さんならヴィーを助けられたかもしれないのに。
ヴィーを、助けて、兄さん…
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