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2章
12
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「う…」
地面に這いつくばって階段を降りるとどうなると思う?
答えは簡単。
顔面から落っこちる、だ。
幸い軽傷で済んだものの1歩間違えれば大怪我だった。
しかもベッドの下にあると言ったが当然のように扉が閉ざされていてパスコードが必要だった。
『パスコードを確認します。名前を記入してください』
は?となったのは言うまでもない
パスコードとはなんぞや。
だがしかしお優しいことに名前を記入しろと言う。
問題はその名前だ。
ヴィーの名前知らないし。
最終的に書いたのは自分の名前。
これで扉が開くんだからかなり引いた。
いやだって登録したのってヴィーだよね?
突然画面が出てくるしオーバーテクノロジーにしか見えないけどこれも魔法なのだろう。
魔法ってよくわからない。
地下通路は少し埃っぽくて寒い。
幸い一本道のようで道に迷うことはない。
誘導されている気がしないでもないが。
そこここにある照明はどういう仕組みなのか、進むと自動的に明かりが灯る。
これもまた魔法なのだろう。
そういえば手錠やらをされてからは魔法を使っていなかった。
正しくは使えなかった。
手錠がなくなった今もまだ使えないのだろうか。
体内を巡る魔力を感じ取ってみる。
が、どうやら足枷に流れていっているようだ。
これでは魔法は使えないだろう。
魔法を使えば多少は距離が短縮できるかもと思ったが諦めるしかないようだ。
裸足で歩く地面はかなり冷たい。
けれど足下はそんなに酷くない。
この通路がどれだけの距離かわからない。
いっそUターンしようか。
でも戻ったところでどうするのか。
出れる時に出ないと一生出れなくなってしまう。
ぺたぺたと歩くこと数十分。
階段が見えてきた。
その先が地上に繋がっているのだろうか。
…またパスコードとか言わないよね…?
天井を触り、どうにか開かないかと試行錯誤する。
とはいえ叩くくらしかできないのだが。
「あ」
少し離れた天井に手が透けた。
つまりそこが出口。
ここで赤の騎士団での訓練が役に立つとは。
淵を探しそこに手を引っ掛ける。
あとはもう筋トレだ。
「っよ、いしょ…!」
湿気っぽい匂いが一気に女性物の香水の香りに変わる。
まず違和感をもったのは嗅覚。
それから聴覚。
「随分と足の遅い犬ね。お兄様はこんなののどこがいいのかしら」
その香りの通り、声の通りそこにいたのは女性で。
それも先ほど見た少女で。
「な、なんで…」
「お兄様に頼まれたのよ?愚図な犬を処分しろって。光栄でしょう?嬉しいでしょう?だってわたくしの役に立って死ねるのよ?ねえ、それって幸せなことよね?」
そこにいたのはお姫様の姿をした悪魔だった。
地面に這いつくばって階段を降りるとどうなると思う?
答えは簡単。
顔面から落っこちる、だ。
幸い軽傷で済んだものの1歩間違えれば大怪我だった。
しかもベッドの下にあると言ったが当然のように扉が閉ざされていてパスコードが必要だった。
『パスコードを確認します。名前を記入してください』
は?となったのは言うまでもない
パスコードとはなんぞや。
だがしかしお優しいことに名前を記入しろと言う。
問題はその名前だ。
ヴィーの名前知らないし。
最終的に書いたのは自分の名前。
これで扉が開くんだからかなり引いた。
いやだって登録したのってヴィーだよね?
突然画面が出てくるしオーバーテクノロジーにしか見えないけどこれも魔法なのだろう。
魔法ってよくわからない。
地下通路は少し埃っぽくて寒い。
幸い一本道のようで道に迷うことはない。
誘導されている気がしないでもないが。
そこここにある照明はどういう仕組みなのか、進むと自動的に明かりが灯る。
これもまた魔法なのだろう。
そういえば手錠やらをされてからは魔法を使っていなかった。
正しくは使えなかった。
手錠がなくなった今もまだ使えないのだろうか。
体内を巡る魔力を感じ取ってみる。
が、どうやら足枷に流れていっているようだ。
これでは魔法は使えないだろう。
魔法を使えば多少は距離が短縮できるかもと思ったが諦めるしかないようだ。
裸足で歩く地面はかなり冷たい。
けれど足下はそんなに酷くない。
この通路がどれだけの距離かわからない。
いっそUターンしようか。
でも戻ったところでどうするのか。
出れる時に出ないと一生出れなくなってしまう。
ぺたぺたと歩くこと数十分。
階段が見えてきた。
その先が地上に繋がっているのだろうか。
…またパスコードとか言わないよね…?
天井を触り、どうにか開かないかと試行錯誤する。
とはいえ叩くくらしかできないのだが。
「あ」
少し離れた天井に手が透けた。
つまりそこが出口。
ここで赤の騎士団での訓練が役に立つとは。
淵を探しそこに手を引っ掛ける。
あとはもう筋トレだ。
「っよ、いしょ…!」
湿気っぽい匂いが一気に女性物の香水の香りに変わる。
まず違和感をもったのは嗅覚。
それから聴覚。
「随分と足の遅い犬ね。お兄様はこんなののどこがいいのかしら」
その香りの通り、声の通りそこにいたのは女性で。
それも先ほど見た少女で。
「な、なんで…」
「お兄様に頼まれたのよ?愚図な犬を処分しろって。光栄でしょう?嬉しいでしょう?だってわたくしの役に立って死ねるのよ?ねえ、それって幸せなことよね?」
そこにいたのはお姫様の姿をした悪魔だった。
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