弟、異世界転移する。

ツキコ

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1章

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魔物討伐のための合同遠征。

東の森の騎士団、通称赤の騎士団。
西の森の騎士団、通称黒の騎士団。
王都の騎士団、通称白の騎士団。

東西は強制参加、王都からは極少数の参加。
最近の魔物は強く多くなっており一掃することになった。

ケイももちろんその合同遠征に参加していた。

「いい?ケイ。絶対に光魔法は使っちゃ駄目よ?」

エディに何度もそう言い聞かされた。
光魔法の所有者は王都へ連れて行かれてしまうからだ。

慣れてきたここでの生活を捨てて王都へなど行きたくない。
なのでいつも以上に魔法の使用は制限することに決めた。
というか闇魔法だけを使うことにした。

魔法に気をつけていれば目立たないだろうと思っていたがどうやら違った。
まだこの容姿についてよく理解していなかったみたいだ。

「赤にいるソレは魔族では?」

「そういうつもりでここに連れてきたのか?」

「あの色…実に穢らわしい…」

陰口のそこここから声が聞こえる。
聞こえるくらいの距離で声量で言うのだから性格が悪い。

「ケイ」

「?はい」

「他の奴らがうるさくてな。悪いが早速出てもらえるか?」

「わかりました」

黒髪黒目で魔族だと勘違いされているらしい。
そのせいで反乱を企んでいると思われたようだ。
団長であるアランの多くの小言がいったのだろう。
潔白を晴らしたいのならケイを出せ、というところだろうか。

「俺の近くにいてくれればいい」

「う…えーと、それはちょっと…」

「…やっぱまだ無理か……」

「すみません…1mなら大丈夫なんですけど…」

半径1mの範囲内に入ると即拒否反応が出るのだが。
具体的に言うと気分が悪くなって震えが止まらなくなる。
そして距離が縮まるにつれて目眩が起き最終的には気絶する。

おおよそ2mから半分も減らせたのだから十分頑張った方だと思いたい。
感覚が麻痺してきているだけかもしれないが。

「エディだったらどうだ?」

「エディさんならいくらでも大丈夫です」

むしろアラン以外ならわりと大丈夫。
言わない方がいいだろうけど。

正直自分でもこんなに拒否反応が出るとは思わなかった。
恐らくスキルが関係しているのだろうけどかなり過保護なスキルだと思う。

「…わかった。エディ!」

「はいはい、わかってるわよ。というわけで、ケイはアタシと一緒にいましょうねー?」

前線で敵を屠るのがお仕事になるようだ。
とはいえスプラッタなのは苦手なので極力血を流さない、流させないでいこうと思う。
光魔法は使えないというハンデもあるのでなるべくエディの影に隠れるようにしよう。
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