36 / 107
1章
34
しおりを挟む
魔物討伐のための合同遠征。
東の森の騎士団、通称赤の騎士団。
西の森の騎士団、通称黒の騎士団。
王都の騎士団、通称白の騎士団。
東西は強制参加、王都からは極少数の参加。
最近の魔物は強く多くなっており一掃することになった。
ケイももちろんその合同遠征に参加していた。
「いい?ケイ。絶対に光魔法は使っちゃ駄目よ?」
エディに何度もそう言い聞かされた。
光魔法の所有者は王都へ連れて行かれてしまうからだ。
慣れてきたここでの生活を捨てて王都へなど行きたくない。
なのでいつも以上に魔法の使用は制限することに決めた。
というか闇魔法だけを使うことにした。
魔法に気をつけていれば目立たないだろうと思っていたがどうやら違った。
まだこの容姿についてよく理解していなかったみたいだ。
「赤にいるソレは魔族では?」
「そういうつもりでここに連れてきたのか?」
「あの色…実に穢らわしい…」
陰口のそこここから声が聞こえる。
聞こえるくらいの距離で声量で言うのだから性格が悪い。
「ケイ」
「?はい」
「他の奴らがうるさくてな。悪いが早速出てもらえるか?」
「わかりました」
黒髪黒目で魔族だと勘違いされているらしい。
そのせいで反乱を企んでいると思われたようだ。
団長であるアランの多くの小言がいったのだろう。
潔白を晴らしたいのならケイを出せ、というところだろうか。
「俺の近くにいてくれればいい」
「う…えーと、それはちょっと…」
「…やっぱまだ無理か……」
「すみません…1mなら大丈夫なんですけど…」
半径1mの範囲内に入ると即拒否反応が出るのだが。
具体的に言うと気分が悪くなって震えが止まらなくなる。
そして距離が縮まるにつれて目眩が起き最終的には気絶する。
おおよそ2mから半分も減らせたのだから十分頑張った方だと思いたい。
感覚が麻痺してきているだけかもしれないが。
「エディだったらどうだ?」
「エディさんならいくらでも大丈夫です」
むしろアラン以外ならわりと大丈夫。
言わない方がいいだろうけど。
正直自分でもこんなに拒否反応が出るとは思わなかった。
恐らくスキルが関係しているのだろうけどかなり過保護なスキルだと思う。
「…わかった。エディ!」
「はいはい、わかってるわよ。というわけで、ケイはアタシと一緒にいましょうねー?」
前線で敵を屠るのがお仕事になるようだ。
とはいえスプラッタなのは苦手なので極力血を流さない、流させないでいこうと思う。
光魔法は使えないというハンデもあるのでなるべくエディの影に隠れるようにしよう。
東の森の騎士団、通称赤の騎士団。
西の森の騎士団、通称黒の騎士団。
王都の騎士団、通称白の騎士団。
東西は強制参加、王都からは極少数の参加。
最近の魔物は強く多くなっており一掃することになった。
ケイももちろんその合同遠征に参加していた。
「いい?ケイ。絶対に光魔法は使っちゃ駄目よ?」
エディに何度もそう言い聞かされた。
光魔法の所有者は王都へ連れて行かれてしまうからだ。
慣れてきたここでの生活を捨てて王都へなど行きたくない。
なのでいつも以上に魔法の使用は制限することに決めた。
というか闇魔法だけを使うことにした。
魔法に気をつけていれば目立たないだろうと思っていたがどうやら違った。
まだこの容姿についてよく理解していなかったみたいだ。
「赤にいるソレは魔族では?」
「そういうつもりでここに連れてきたのか?」
「あの色…実に穢らわしい…」
陰口のそこここから声が聞こえる。
聞こえるくらいの距離で声量で言うのだから性格が悪い。
「ケイ」
「?はい」
「他の奴らがうるさくてな。悪いが早速出てもらえるか?」
「わかりました」
黒髪黒目で魔族だと勘違いされているらしい。
そのせいで反乱を企んでいると思われたようだ。
団長であるアランの多くの小言がいったのだろう。
潔白を晴らしたいのならケイを出せ、というところだろうか。
「俺の近くにいてくれればいい」
「う…えーと、それはちょっと…」
「…やっぱまだ無理か……」
「すみません…1mなら大丈夫なんですけど…」
半径1mの範囲内に入ると即拒否反応が出るのだが。
具体的に言うと気分が悪くなって震えが止まらなくなる。
そして距離が縮まるにつれて目眩が起き最終的には気絶する。
おおよそ2mから半分も減らせたのだから十分頑張った方だと思いたい。
感覚が麻痺してきているだけかもしれないが。
「エディだったらどうだ?」
「エディさんならいくらでも大丈夫です」
むしろアラン以外ならわりと大丈夫。
言わない方がいいだろうけど。
正直自分でもこんなに拒否反応が出るとは思わなかった。
恐らくスキルが関係しているのだろうけどかなり過保護なスキルだと思う。
「…わかった。エディ!」
「はいはい、わかってるわよ。というわけで、ケイはアタシと一緒にいましょうねー?」
前線で敵を屠るのがお仕事になるようだ。
とはいえスプラッタなのは苦手なので極力血を流さない、流させないでいこうと思う。
光魔法は使えないというハンデもあるのでなるべくエディの影に隠れるようにしよう。
41
お気に入りに追加
695
あなたにおすすめの小説
スキルも魔力もないけど異世界転移しました
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
なんとかなれ!!!!!!!!!
入社四日目の新卒である菅原悠斗は通勤途中、車に轢かれそうになる。
死を覚悟したその次の瞬間、目の前には草原が広がっていた。これが俗に言う異世界転移なのだ——そう悟った悠斗は絶望を感じながらも、これから待ち受けるチートやハーレムを期待に掲げ、近くの村へと辿り着く。
そこで知らされたのは、彼には魔力はおろかスキルも全く無い──物語の主人公には程遠い存在ということだった。
「異世界転生……いや、転移って言うんですっけ。よくあるチーレムってやつにはならなかったけど、良い友だちが沢山できたからほんっと恵まれてるんですよ、俺!」
「友人のわりに全員お前に向けてる目おかしくないか?」
チートは無いけどなんやかんや人柄とかで、知り合った異世界人からいい感じに重めの友情とか愛を向けられる主人公の話が書けたらと思っています。冒険よりは、心を繋いでいく話が書きたいです。
「何って……友だちになりたいだけだが?」な受けが好きです。
6/30 一度完結しました。続きが書け次第、番外編として更新していけたらと思います。
【完結】浮薄な文官は嘘をつく
七咲陸
BL
『薄幸文官志望は嘘をつく』 続編。
イヴ=スタームは王立騎士団の経理部の文官であった。
父に「スターム家再興のため、カシミール=グランティーノに近づき、篭絡し、金を引き出せ」と命令を受ける。
イヴはスターム家特有の治癒の力を使って、頭痛に悩んでいたカシミールに近づくことに成功してしまう。
カシミールに、「どうして俺の治癒をするのか教えてくれ」と言われ、焦ったイヴは『カシミールを好きだから』と嘘をついてしまった。
そう、これは───
浮薄で、浅はかな文官が、嘘をついたせいで全てを失った物語。
□『薄幸文官志望は嘘をつく』を読まなくても出来る限り大丈夫なようにしています。
□全17話
チャラ男会計目指しました
岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように…………
――――――それを目指して1年3ヶ月
英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた
意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。
※この小説はBL小説です。
苦手な方は見ないようにお願いします。
※コメントでの誹謗中傷はお控えください。
初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。
他サイトにも掲載しています。
なぜか第三王子と結婚することになりました
鳳来 悠
BL
第三王子が婚約破棄したらしい。そしておれに急に婚約話がやってきた。……そこまではいい。しかし何でその相手が王子なの!?会ったことなんて数えるほどしか───って、え、おれもよく知ってるやつ?身分偽ってたぁ!?
こうして結婚せざるを得ない状況になりました…………。
金髪碧眼王子様×黒髪無自覚美人です
ハッピーエンドにするつもり
長編とありますが、あまり長くはならないようにする予定です
人生イージーモードになるはずだった俺!!
抹茶ごはん
BL
平凡な容姿にろくでもない人生を歩み事故死した俺。
前世の記憶を持ったまま転生し、なんと金持ちイケメンのお坊ちゃまになった!!
これはもう人生イージーモード一直線、前世のような思いはするまいと日々邁進するのだが…。
何故か男にばかりモテまくり、厄介な事件には巻き込まれ!?
本作は現実のあらゆる人物、団体、思想及び事件等に関係ございません。あくまでファンタジーとしてお楽しみください。
小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる