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1章
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攻撃魔法。
基本、ボール系統。
広範囲、アロー系統。
爆破、ブレイク系統。
どれも模倣することができた。
ただし属性を模倣することはできなかった。
適応属性に変化はないのにそれが扱えるのはどういうことなのか。
「きっとケイのそれは光と闇持ちだからできることね」
「そうなんですか?」
「ええ。威力も効果もそれぞれのものだけど本質は全部一緒よ。ケイの模倣という魔法はね、光魔法で威力を、闇魔法で異常状態を再現しているのよ」
見た目も闇魔法の幻影だろうとのことだった。
そう説明されれば確かに納得できる。
いわゆる複合魔法だろうか。
模倣を使い始めてからスキルがどんどん増える原因の一部はそこにあったのだろう。
意外と魔法は複雑なのかもしれない。
「そういえばエディさん」
「なあに?」
「最近、カイさんが帰ってこないことがあるんですけど…」
「カイには仕事を頼んでいるの。…カイが心配?」
こくりと頷く。
心配。
心配だったし不安だった。
いるはずの人がいないのは怖い。
「怪我して帰ってくる人が多いから…」
「……大丈夫よ。もう少しで終わるはずだから、ね?」
「…はい」
それでも帰ってこなかったら?
ある日突然いなくなる恐怖を知っている。
同じ部屋で過ごしてこの世界で多く共有してきた人がいなくなるのは怖い。
戻ってきても怪我をしていたら。
不安で仕方がない。
いない日が増えるだけでこんなに不安になるとは思わなかった。
「安心して。絶対に帰って来るから。それに、カイは強いのよ?」
いい子いい子、と慰めるように頭を撫でるエディ。
エディに優しくされるほど寂しくなる。
その度に兄さんを思い出してしまう。
体格が似ているだけなのにどうしてこう何度も思い出してしまうのか。
他は似ているとは思えないのに。
「…カイさんが戦ってるところ、見たことないです」
「あら?そういえばそうね?でもケイも一緒に戦うことになるわよ」
「…………え?」
「シモンから聞いたわよ?」
「ええと」
「…ごめんね。きっと平和な世界で生きてきたんでしょう?でもここは平和じゃないの。1人でも多くの戦力がほしいのよ」
「…はい」
いつまでもあっちの常識に囚われちゃいけないんだ。
それに治癒ならできるし役に立つことはできるかもしれない。
そしたら怪我する人も減るかも。
「防御魔法を使える人はいますか?」
「いないわ。それは古代に滅んでしまった魔法なの」
「…そうなんですか」
つまりあるにはあった。
ないわけじゃないのならつくれる。
もしなかったとしても、つくってみせる。
その力を持っているのだから。
それを使わない手はないはずだから。
基本、ボール系統。
広範囲、アロー系統。
爆破、ブレイク系統。
どれも模倣することができた。
ただし属性を模倣することはできなかった。
適応属性に変化はないのにそれが扱えるのはどういうことなのか。
「きっとケイのそれは光と闇持ちだからできることね」
「そうなんですか?」
「ええ。威力も効果もそれぞれのものだけど本質は全部一緒よ。ケイの模倣という魔法はね、光魔法で威力を、闇魔法で異常状態を再現しているのよ」
見た目も闇魔法の幻影だろうとのことだった。
そう説明されれば確かに納得できる。
いわゆる複合魔法だろうか。
模倣を使い始めてからスキルがどんどん増える原因の一部はそこにあったのだろう。
意外と魔法は複雑なのかもしれない。
「そういえばエディさん」
「なあに?」
「最近、カイさんが帰ってこないことがあるんですけど…」
「カイには仕事を頼んでいるの。…カイが心配?」
こくりと頷く。
心配。
心配だったし不安だった。
いるはずの人がいないのは怖い。
「怪我して帰ってくる人が多いから…」
「……大丈夫よ。もう少しで終わるはずだから、ね?」
「…はい」
それでも帰ってこなかったら?
ある日突然いなくなる恐怖を知っている。
同じ部屋で過ごしてこの世界で多く共有してきた人がいなくなるのは怖い。
戻ってきても怪我をしていたら。
不安で仕方がない。
いない日が増えるだけでこんなに不安になるとは思わなかった。
「安心して。絶対に帰って来るから。それに、カイは強いのよ?」
いい子いい子、と慰めるように頭を撫でるエディ。
エディに優しくされるほど寂しくなる。
その度に兄さんを思い出してしまう。
体格が似ているだけなのにどうしてこう何度も思い出してしまうのか。
他は似ているとは思えないのに。
「…カイさんが戦ってるところ、見たことないです」
「あら?そういえばそうね?でもケイも一緒に戦うことになるわよ」
「…………え?」
「シモンから聞いたわよ?」
「ええと」
「…ごめんね。きっと平和な世界で生きてきたんでしょう?でもここは平和じゃないの。1人でも多くの戦力がほしいのよ」
「…はい」
いつまでもあっちの常識に囚われちゃいけないんだ。
それに治癒ならできるし役に立つことはできるかもしれない。
そしたら怪我する人も減るかも。
「防御魔法を使える人はいますか?」
「いないわ。それは古代に滅んでしまった魔法なの」
「…そうなんですか」
つまりあるにはあった。
ないわけじゃないのならつくれる。
もしなかったとしても、つくってみせる。
その力を持っているのだから。
それを使わない手はないはずだから。
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