弟、異世界転移する。

ツキコ

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1章

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ケイ は 職業 を 手に入れた !
ケイ は 別荘 を 完成させた !
ケイ は 魔物 と 遭遇した !

「っ、」

「大丈夫ですよ!俺がいますから!」

今日は実戦での魔法の使い方。
いざ魔物を前にして何もできないのでは死に繋がる。
なので事前に慣れるべきだとこうしてシモンとともに森へ。

とはいえ駐屯所近くであるし何かあっても問題ない。
なんの問題もなく終われることが最善ではあるが。

「でも、これっ」

真っ二つになった巨大カマキリじゃないか!

どこにでもいるタイプの魔物だったらしい。
この世界で初めて会った生き物。
目の前で殺された生き物。

あれはかなり気持ち悪かったので何度も見たくはない。

「ケイ!魔法なんてどーんとやってばーっとやればいいんですよ!」

「は、はい!」

シモンが巨大カマキリの鎌を受け止めてくれている。
殺すことより殺さないよう手加減する方が難しいと思う。
これ以上、負担はかけられない。

大丈夫、きっと上手くやれるから。

「っ!!!」

どーんとやってばーっと!
光を頭上から落とすように。
まるで雷のように。

ケイ は スキル を 獲得した !

ライトニング
▷ 雷光。稲妻。攻撃魔法(中)。異常状態スタン(低)。

「ひぇ…」

「ケイすごいですね!ほら、俺無傷ですよ!ケイのおかげです」

シモンの足下に黒焦げになった巨大カマキリ。
こんがり焼けているみたいだ。

最初の時は知らなかったがこの世界で死んだものは放っておくとポリゴン状に消えるらしい。
それぞれの命に制限時間があってその間に適切な行動をすることで素材を手に入れられるらしい。
ちなみに素材を手に入れている最中に消えることはないそうだ。

なんだかゲームみたいだけどこれも全部異世界だから、で片づけられるんだろうか。
それとも全部魔法だから、と思うべきか。

「シモンさん…何やってるんですか…?」

「素材採取です。んー…あ、レア素材ですよ!ラッキーですね!」

「そうですね…」

適切な行動。
そう教えてもらったはずなのだが。
巨大カマキリの真ん中に手を突っ込むことは本当に適切な行動なのだろうか。

「宝石、ですか?」

「宝石みたいなもの、です!コアって言って状態がいいものは高値で取引されているんですよ」

「何に使われているんですか?」

気分は課外授業。
実際に見て、聞く。
やはり実物を見た方が理解しやすい。
採取の仕方はどうかと思うが。

「武器や防具に使われることがほとんどですね!砕いて練成して成形するんです。でもスキルがないとできないんですよ!」

「スキルがあれば誰でもできるんですか?」

「できるにはできると思います。ただ形が歪だったり劣化が早かったりするみたいですよ!」

「なるほど…」

スキルにも熟練度があるとか。
それとも個々の想像力の違いだろうか。

「それじゃ、ケイは実戦でも戦えますって報告しに行きましょう!」

「えっ!?まだ早いんじゃ…」

「大丈夫ですよ!俺と一緒なら、って言っておきますから!」

それ、1人だと戦えないってことなんじゃ…?
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