34 / 52
2章
25話
しおりを挟む
イレーネの研究塔を後にし、タリムと共に実技の授業の為に訓練場へと向かう。
「タリムは魔法はどこまで使えるんだい?」
彼は土の加護を使えるそうだし、イレーネの弟子ということでどこまでできるのか気になる。
「えっと…初歩の初歩しか使えません。土礫弾くらいです。ただ、僕は適正があっても魔力量が絶望的に少ないんです…。身体強化も長時間は難しくて」
なるほど。彼は魔力量が少なすぎてその適正を充分に発揮することができないということか。ナディアとは正反対だな。
ただ、魔力量についてはどうにか増やすことはできないのだろうか?
ここも実技の時にウルに聞いたらどうかと伝えてみる。
「その、ウルさんは魔法に関して詳しいんですね…!!色々と聞いてみたいです!!それに、イレーネ様が僕には精霊の適正があるって言ってくれているんです。精霊との契約についてはまだなんですが…。精霊術についても分かることがあればぜひ」
しばらく先生の手伝いばかりだったので楽しみです、と笑顔がはじけている。
…が、その笑顔がある一点を見つめて瞬時におびえの表情に変わる。
「ん?どうしたんだい?」
タリムが見つめる先をみると、中庭に入る通路の先からマルヴェックとその取り巻き2人が現れた。その足取りは明確にこちらに向かってきている。
「タリム、一旦儂の後ろに下がってくれるか?」
「は、はい…」
にやにやと下卑た笑いを顔に浮かべながら立ちはだかる。
「よぉ、平民の落ちこぼれ君。今日はママの研究室に隠れていなくていいのか?」
マルヴェックがにやにやしながら後ろのタリムに向けて言葉を投げかける。
「何の用でしょうか?儂らは実技の授業に向けて同級生と合流するつもりなのですが」
「あぁん?お前らみたいな平民が実技なんてやったって仕方ねぇだろ?才能ないんだから。それに…なんだお前は。見ねぇ顔だな。こんなやついたか…?」
取り巻きに声をかけると、そのうち1人が思い出したかのように儂を指をさして叫ぶ。
「こいつ!こいつですマルヴェック様!この前、校門で俺達の邪魔したやつですよ!!」
「そうです!制服着てるし従魔もいないのでで印象違いますけど、この髪色と赤い瞳は間違いないです!」
やんややんやと取り巻きが騒いでいる。今思い出したかのように言っているが、『その顔覚えておくぞ』と言っていたのはなんだったのだろうか。
ゆっくりとマルヴェックがこちらに視線を向ける。その目には怒りが宿っている。
「お前か…あの時俺に恥をかかせたやつは…。平民ごときが上級貴族に対して反抗するとはいい度胸じゃねぇか。不意打ちで俺の顔に一発入れたからって調子に乗るなよ?…身の程を知らせておく必要がありそうだな」
マルヴェックは制服の内に手を入れ、指し棒のようなものを取り出す。魔道士が魔法を効率よく扱うための杖のようなものだ。
「炎よ、わが手に集い、敵を焼き尽くせ!紅蓮の業火、今ここに顕現せよ!!!」
杖の先端に炎の力収束され、丸く集合していく。
「シノさん!!逃げましょう!!マルヴェックさんは火属性の加護を持っています!!!ただの火炎球でも危ないです!!」
儂の制服の背中の裾をタリムが引っ張っている。儂は彼を安心させるように「問題ない」と返事し、一旦下がる用に促す。
「"マルヴェック様"だろうがよぉ!!!だがもうおせぇ!!!逃がさねぇ!!炎の熱さってやつを感じさせてやるぜ!!!火炎球」
「やっちゃってください!!」
「燃えろ平民!!」
彼の杖から放たれた火炎球の大きさ、熱量はなかなかのものだった。炎の属性を持っているだけで初歩の魔法がここまでの威力を持つのか。対処を誤ると命にかかわりそうな圧力は感じる。
だが問題ない。
儂は腰に佩いている訓練用の剣に薄く"霊迅強化・付与"をかける。属性は…水だな。
「シノさん!!!」
少し離れたところからタリムの声が聞こえる。ちゃんと退避したようだ。
壊れない程度の水属性を付与した剣で迫る火炎球に対してそっと触れ、火属性魔法が当たっても問題がなさそうな場所へ方向を変える。
火炎球は中庭にある噴水に向かって突っ込み、轟音とともに激しい水柱が上がる。
「な…なんだと!?俺の火炎球が逸れた!?馬鹿な!お前、何をした!」
噴水から打ちあがった水があたりに降り注ぎ、マルヴェック達も儂もびしょ濡れだ。火の属性は水の気配で少し魔力操作などが難しくなるようだからこれで彼の得意の火属性魔法は多少使いにくくなるだろう。
儂は彼の質問に答える
「いや、特に何も。君がうまくコントロールできなかったんじゃないか?」
儂自身が軌道を変えたことには気づいていないようだから、その事には触れずに彼に意趣返しの挑発をしてみる。
マルヴェックの顔が真っ赤に染まり、詠唱を再開する。
「炎よ、我が元に集え!!敵を焼き尽くす業火として顕現せよ!」
「マルヴェック様!まじですか!?」
「学園が燃えちゃいますよ!!」
やばい!と言いながら、取り巻きの2人が柱の陰に隠れる。
先ほどとは詠唱の種類が違うようだ。何が違うのか?彼の様子を観察していると、彼の後ろに火球が5つ発生した。
水の気配が強い中で初歩とはいえ、これだけの炎を複数出現させるための魔力操作ができるとは。曲がりなりにも上級貴族できちんとした教育を受けているということか。
「これなら逸れても問題ない。うまくやれば大やけどくらいで済むだろうから頑張ることだ」
彼は狂気の表情で右手を振りあげ、勢いよく下に振り下ろすと、5つの火炎球が儂に向かって襲い掛かる。
制服は多少なりとも防刃、防魔の加工がされているから多少着弾しても爆風や熱には耐えられるだろう。念のため、薄く纏を発動させる。
「はははは!!俺に逆らったことを後悔して死ね!!!」
5つの火炎球が迫る。儂は右側の迫る2つの炎を打ち上げ、上でお互いにぶつかり爆発する。右に移動しながら返す刀で残りの3つのの炎を斬る。
上下に割れ、下の炎は儂が元居た場所の地面で爆発し、上の炎は少し離れた後方に着弾し中庭を抉る。
「うわ!!」
近くの柱に隠れていたタリムの方まで爆風が届いてしまったようだ。風に煽られて転がっている。不可抗力だ。後から謝っておかねば。
地面が噴水の水で濡れていたため、蒸発した水蒸気があたりに立ち込めていた。
水蒸気が徐々に晴れてくると、マルヴェックは驚きの表情でわなわなと震えながらこちらをじっと見ている。
「なぜあれが凌げる…初級の火炎球とはいえ、5つだぞ!!そんな、対処できるはずが…ばかな…ばかな…ばかな…」
ぼそぼそと顔を手のひらで隠し、マルヴェックは何かに取りつかれたようにぶつぶつと呟いている。その瞳はどこかで見たことがあるような濁りを感じる。
「まだやるかい?」
儂は剣を鞘に収めながらマルヴェックに問いかける。
「マルヴェック様?」
「このまま馬鹿にされたままでいいんですか!?」
取り巻きが彼に駆け寄り話しかけているが、何も聞こえていないようだ。
「お前達は何もしないのか?前はかなり威勢のいいことを言っていたが…?」
取り巻きの2人に少し威圧を込めて声をかけると、言葉に詰まって一歩、二歩、下がる。
「お、お前、僕たちを誰だと思ってそんなこと言っているんだ!?」
「俺は大領地、リシュタール領の上級貴族だぞ!」
2人はよくわからない貴族の権力をかざして口だけ動かしている。
「知らない。儂は残念ながら平民でね?お貴族様の都合など知らん」
お仕置きが必要か?と剣の柄に手をかけると、ビクッとして怯えた表情でマルヴェックの後ろに隠れる。
…ここまで来ても権力の陰に隠れるか。話にならないな。
「さっきのすごい音何?」
「誰か中庭で魔法使ってないか?噴水が壊れてる!」
「さっき見えたけど?炎の広範囲だったぽいよ?」
「おい、先生に報告だ!!」
教室棟から何人かの生徒が窓から顔を出している。授業中は外からの音が入らないように教室に遮音の魔法がかかっているから、これは授業に関係のない生徒達だろう。
「これから実技訓練がある。儂たちはこれで失礼するよ」
後は君達に任せるよ、とマルヴェック達に伝えると、先ほど転がって植木に突っ込んでいたタリムのもとへ駆け寄る。
「すまないな、タリム。思ったより魔法の威力が大きかったみたいだ」
手を差し出して彼を引き起こす。
「あはは…大丈夫です。すごいですね、シノさん。あんな魔法の対処の仕方なんて絶対できないですよ」
「まぁ、歳の功…ってやつかな?」
「そ、そうですよね…。でもシノさんはおじいさんだったなんて全然わかりません」
「こら、それは秘密だろう?」
はっとしたようにタリムは口に手を当ててあたりをきょろきょろしている。
「とりあえず、中庭がぼろぼろになってしまったが、人も集まってきた。後始末は彼らに任せよう」
タリムと一緒にマルヴェック達の横を通り過ぎ、訓練場に向かおうとしたとき…
「待て!!」
後ろからマルヴェックが声をかけてくる。振り返ってみると、儂を見る目が血走っていて、足元に手袋を投げてきた。
「拾え」
儂を見下ろしながら、手袋を指さす。
「…なぜ?」
「いいから拾え」
分からん。この世界の貴族というのは本当によくわからない。いや、このマルヴェックという男が分からないのか。とりあえず言われた通り拾い、彼に差し出す。
「拾ったが…これは君のだろう?」
にやりと歪んだ笑みを見せる。
「拾ったな?それは今、この場を見ているもの達が全員見ていることを確認したな!?」
「私は見ました!」
「私もです!」
急に取り巻きが元気になって、自信に満ちた顔をしている。
「おい、あれはまさか…」
「そんな…学園でそんなこと…」
「いや、昔はよくやっていたという話もある」
「まさか決闘が?」
…集まってきた生徒の中から"決闘"という言葉が聞こえる。
「あぁそうさ!!今こいつは俺が投げた手袋を拾った!!!俺の決闘の申し込みを受けたということだ!!!それはこの場にいる全員が証人となる!!」
マルヴェックは儂を指さし、学園中に響くような大声で決闘を宣言する。
あぁ…そうか。そういえば貴族の中にはそう言った作法があったことをすっかり忘れていた。
「え、え??シノさん…決闘って…??」
「おそらくだが…彼のこの手袋を拾う、ということが決闘を受けた、ということになる…ようだね?」
タリムと目を合わせた後、マルヴェックに視線を移すと、なぜかわからないが、愉悦にまみれた表情をしている。
「あぁそうさ。正々堂々の1体1。決闘はなんでもあり。どんな武器でも、学園内では使えない魔法も使える。もちろん、決闘で命を落としたとしても、何の問題にもならない。そこで俺は上級貴族としての力を持ってお前を叩きのめしてやる。貴族への敬い方を教えてやるよ」
彼はヒロイック願望があるのだろうか?やけに振る舞いが大仰で芝居がかっている。
「…儂は貴族じゃない。受ける必要もないだろう?」
マルヴェックが言っているのはあくまで貴族の作法で平民となっている儂が受ける必要はない。
「…ふ…ふははは!お前は貴族の推薦を受けているんだろう?…確か、ギレーとロヴァネだったか?ここで俺の申し込みを断るということは、それらの家に泥を塗ることになる。俺のクレモス領に借りを作ることになるんだ!!!それに…お前の組には俺のできそこないの妹がいる。さて、こちらはどうなるかな?」
なかなか儂のことを調べているようだ。ギレーとロヴァネからの紹介については6組の貴族も知っていた。彼らの情報はどこから入手したものか…と思っていたが、マルヴェックが流していたのかもしれない。
クレモス領が何かギレーにちょっかいをかけている状況もあったし、ナディアのことも持ち出すのであれば仕方ない。降りかかる火の粉は払わねば。
「…君のような小物の相手をしている暇はないんだが…受けよう」
「あ…あわわわわ…」
タリムが大変なことになったとあわあわしている。
儂の返事を聞いたマルヴェックのこめかみには青筋が立っているように見えるが、すべてが小物に感じるのは事実だ。
「では、その決闘については私が立ち合い人となりましょう」
涼やかで鈴を転がしたような声が中庭に響く。
「誰だ!?」
マルヴェックがその声に反応し、管理棟の方を見る。儂もそれにつられて、声の先へと視線を送る。
管理棟から出てきたのは1人のエルフの少女。その後ろにはなぜか先日あった第四王子のヴィクターと、金髪碧眼の長身の少年がついて入ってきた。
エルフは比較的少ない種族で、会うこともなかなかないと聞いていたが…。アイゼラを含めてよく出会う気もするが、ウルの影響だろうか?
「リセリア様…あなたがなぜ!?それに…ヴィクターとジョシュア…!!!」
マルヴェックが苦虫を嚙みつぶしたような表情で3人を見て強い言葉をかける。
「これは我が国の貴族同士の問題です。こやつは貴族に推薦を受けた平民で、決闘の対処などは知らないでしょうから、立ち合い人などについてはこちらで用意するつもりです」
「状況については途中から耳に入っておりました。決闘というものは、あくまで中立の立場で判定、見届けるものが必要でしょう?
マルヴェック様が用意される…とおっしゃっておりますが、そちらの方は平民とおしゃっていらっしゃいました。ともすれば、平民側の不利となってしまう状況も考えられます。できるだけどちらにも関係のない方を選別する必要があるのではないでしょうか?」
リセリアと呼ばれたエルフがマルヴェックを諭すように言葉を紡ぐ。その言葉一つ一つにどことなく、美しい余韻を感じる。
「わたくしはあくまで見届けるだけです。審判についても私の従者に依頼しましょう。必ず公平な判定をすることをお約束いたします」
「…承知いたしました。決闘の見届けについては、リセリア様にお願いいたします」
マルヴェックの様子を見ると、リセリアは明確に上位の貴族のようだ。
自身の権力を絶対と信じていたようで、状況から自分より上位の第三者が絡んでくることは予定外だったのか、口唇をかみしめながらマルヴェックはしぶしぶ同意した。
「なら私が決闘の場所や日時については差配しよう。そのくらいは問題ないな?マルヴェックと…シノ、だったか?」
ヴィクターも話に加わる。儂は問題ないと返答を返し、マルヴェックもぐっと飲みこみ、了承の頷きを返す。
さらにその後ろから金髪碧眼の長身の少年が顔を出す。
「先ほど我が領の名前も聞こえた。確か、この少年がロヴァネの推薦を受けて編入したと」
「ジョシュア、貴様には関係ないだろう」
ジョシュア…確かロヴァネの長子の名前がそのような名前だったはず。確かの顔立ちにはシェリダンの面影がある。
「先ほど君が言っていたじゃないか。この平民の子は我が領の推薦を受けていると。私も父から推薦をした平民がいるとの話は聞いている。その平民と会うのは初めてだが、間違いないか?シノ君」
「そうですね。ギレーとロヴァネの推薦を受け、編入試験を受けていますから」
儂の言葉を聞いたジョシュアが頷く。
「それでは、私が彼の後見人として立つ。決闘後の取り決めをしておきたい。勝敗が決した後の双方の要望を聞かせてもらおう」
ジョシュアは儂とマルヴェックをそれぞれ見やる。
「儂はこのマルヴェックという貴族が行っている横暴な振る舞いを止めてもらうことを要望する。そして、儂の友人に謝罪し、今後一切かかわらないことも求める」
「シノ君の要望は理解した。それではマルヴェックは?」
「そこの薄汚い落ちこぼれ平民共の即退学だ。こんな下賤な輩がいると学園の品位が落ちる」
「…了解した。双方の要望はこのジョシュア・ロヴァネが確認した」
ジョシュアが集まってきた生徒や、様子を見ている先生に向けて大きな声で伝える。それに続き、リセリアが宣言する。
「ここにマルヴェック・クレモスとシノにおける決闘が成立しました。日時や場所は追って双方に通知いたします」
「なお、敗北したものに対して今回の学園が受けた損害なども請求し、それぞれの領への抗議を行うことになる。覚悟しておくように」
こうしてマルヴェックとの決闘が成立し、その日を待つことになった。
「タリムは魔法はどこまで使えるんだい?」
彼は土の加護を使えるそうだし、イレーネの弟子ということでどこまでできるのか気になる。
「えっと…初歩の初歩しか使えません。土礫弾くらいです。ただ、僕は適正があっても魔力量が絶望的に少ないんです…。身体強化も長時間は難しくて」
なるほど。彼は魔力量が少なすぎてその適正を充分に発揮することができないということか。ナディアとは正反対だな。
ただ、魔力量についてはどうにか増やすことはできないのだろうか?
ここも実技の時にウルに聞いたらどうかと伝えてみる。
「その、ウルさんは魔法に関して詳しいんですね…!!色々と聞いてみたいです!!それに、イレーネ様が僕には精霊の適正があるって言ってくれているんです。精霊との契約についてはまだなんですが…。精霊術についても分かることがあればぜひ」
しばらく先生の手伝いばかりだったので楽しみです、と笑顔がはじけている。
…が、その笑顔がある一点を見つめて瞬時におびえの表情に変わる。
「ん?どうしたんだい?」
タリムが見つめる先をみると、中庭に入る通路の先からマルヴェックとその取り巻き2人が現れた。その足取りは明確にこちらに向かってきている。
「タリム、一旦儂の後ろに下がってくれるか?」
「は、はい…」
にやにやと下卑た笑いを顔に浮かべながら立ちはだかる。
「よぉ、平民の落ちこぼれ君。今日はママの研究室に隠れていなくていいのか?」
マルヴェックがにやにやしながら後ろのタリムに向けて言葉を投げかける。
「何の用でしょうか?儂らは実技の授業に向けて同級生と合流するつもりなのですが」
「あぁん?お前らみたいな平民が実技なんてやったって仕方ねぇだろ?才能ないんだから。それに…なんだお前は。見ねぇ顔だな。こんなやついたか…?」
取り巻きに声をかけると、そのうち1人が思い出したかのように儂を指をさして叫ぶ。
「こいつ!こいつですマルヴェック様!この前、校門で俺達の邪魔したやつですよ!!」
「そうです!制服着てるし従魔もいないのでで印象違いますけど、この髪色と赤い瞳は間違いないです!」
やんややんやと取り巻きが騒いでいる。今思い出したかのように言っているが、『その顔覚えておくぞ』と言っていたのはなんだったのだろうか。
ゆっくりとマルヴェックがこちらに視線を向ける。その目には怒りが宿っている。
「お前か…あの時俺に恥をかかせたやつは…。平民ごときが上級貴族に対して反抗するとはいい度胸じゃねぇか。不意打ちで俺の顔に一発入れたからって調子に乗るなよ?…身の程を知らせておく必要がありそうだな」
マルヴェックは制服の内に手を入れ、指し棒のようなものを取り出す。魔道士が魔法を効率よく扱うための杖のようなものだ。
「炎よ、わが手に集い、敵を焼き尽くせ!紅蓮の業火、今ここに顕現せよ!!!」
杖の先端に炎の力収束され、丸く集合していく。
「シノさん!!逃げましょう!!マルヴェックさんは火属性の加護を持っています!!!ただの火炎球でも危ないです!!」
儂の制服の背中の裾をタリムが引っ張っている。儂は彼を安心させるように「問題ない」と返事し、一旦下がる用に促す。
「"マルヴェック様"だろうがよぉ!!!だがもうおせぇ!!!逃がさねぇ!!炎の熱さってやつを感じさせてやるぜ!!!火炎球」
「やっちゃってください!!」
「燃えろ平民!!」
彼の杖から放たれた火炎球の大きさ、熱量はなかなかのものだった。炎の属性を持っているだけで初歩の魔法がここまでの威力を持つのか。対処を誤ると命にかかわりそうな圧力は感じる。
だが問題ない。
儂は腰に佩いている訓練用の剣に薄く"霊迅強化・付与"をかける。属性は…水だな。
「シノさん!!!」
少し離れたところからタリムの声が聞こえる。ちゃんと退避したようだ。
壊れない程度の水属性を付与した剣で迫る火炎球に対してそっと触れ、火属性魔法が当たっても問題がなさそうな場所へ方向を変える。
火炎球は中庭にある噴水に向かって突っ込み、轟音とともに激しい水柱が上がる。
「な…なんだと!?俺の火炎球が逸れた!?馬鹿な!お前、何をした!」
噴水から打ちあがった水があたりに降り注ぎ、マルヴェック達も儂もびしょ濡れだ。火の属性は水の気配で少し魔力操作などが難しくなるようだからこれで彼の得意の火属性魔法は多少使いにくくなるだろう。
儂は彼の質問に答える
「いや、特に何も。君がうまくコントロールできなかったんじゃないか?」
儂自身が軌道を変えたことには気づいていないようだから、その事には触れずに彼に意趣返しの挑発をしてみる。
マルヴェックの顔が真っ赤に染まり、詠唱を再開する。
「炎よ、我が元に集え!!敵を焼き尽くす業火として顕現せよ!」
「マルヴェック様!まじですか!?」
「学園が燃えちゃいますよ!!」
やばい!と言いながら、取り巻きの2人が柱の陰に隠れる。
先ほどとは詠唱の種類が違うようだ。何が違うのか?彼の様子を観察していると、彼の後ろに火球が5つ発生した。
水の気配が強い中で初歩とはいえ、これだけの炎を複数出現させるための魔力操作ができるとは。曲がりなりにも上級貴族できちんとした教育を受けているということか。
「これなら逸れても問題ない。うまくやれば大やけどくらいで済むだろうから頑張ることだ」
彼は狂気の表情で右手を振りあげ、勢いよく下に振り下ろすと、5つの火炎球が儂に向かって襲い掛かる。
制服は多少なりとも防刃、防魔の加工がされているから多少着弾しても爆風や熱には耐えられるだろう。念のため、薄く纏を発動させる。
「はははは!!俺に逆らったことを後悔して死ね!!!」
5つの火炎球が迫る。儂は右側の迫る2つの炎を打ち上げ、上でお互いにぶつかり爆発する。右に移動しながら返す刀で残りの3つのの炎を斬る。
上下に割れ、下の炎は儂が元居た場所の地面で爆発し、上の炎は少し離れた後方に着弾し中庭を抉る。
「うわ!!」
近くの柱に隠れていたタリムの方まで爆風が届いてしまったようだ。風に煽られて転がっている。不可抗力だ。後から謝っておかねば。
地面が噴水の水で濡れていたため、蒸発した水蒸気があたりに立ち込めていた。
水蒸気が徐々に晴れてくると、マルヴェックは驚きの表情でわなわなと震えながらこちらをじっと見ている。
「なぜあれが凌げる…初級の火炎球とはいえ、5つだぞ!!そんな、対処できるはずが…ばかな…ばかな…ばかな…」
ぼそぼそと顔を手のひらで隠し、マルヴェックは何かに取りつかれたようにぶつぶつと呟いている。その瞳はどこかで見たことがあるような濁りを感じる。
「まだやるかい?」
儂は剣を鞘に収めながらマルヴェックに問いかける。
「マルヴェック様?」
「このまま馬鹿にされたままでいいんですか!?」
取り巻きが彼に駆け寄り話しかけているが、何も聞こえていないようだ。
「お前達は何もしないのか?前はかなり威勢のいいことを言っていたが…?」
取り巻きの2人に少し威圧を込めて声をかけると、言葉に詰まって一歩、二歩、下がる。
「お、お前、僕たちを誰だと思ってそんなこと言っているんだ!?」
「俺は大領地、リシュタール領の上級貴族だぞ!」
2人はよくわからない貴族の権力をかざして口だけ動かしている。
「知らない。儂は残念ながら平民でね?お貴族様の都合など知らん」
お仕置きが必要か?と剣の柄に手をかけると、ビクッとして怯えた表情でマルヴェックの後ろに隠れる。
…ここまで来ても権力の陰に隠れるか。話にならないな。
「さっきのすごい音何?」
「誰か中庭で魔法使ってないか?噴水が壊れてる!」
「さっき見えたけど?炎の広範囲だったぽいよ?」
「おい、先生に報告だ!!」
教室棟から何人かの生徒が窓から顔を出している。授業中は外からの音が入らないように教室に遮音の魔法がかかっているから、これは授業に関係のない生徒達だろう。
「これから実技訓練がある。儂たちはこれで失礼するよ」
後は君達に任せるよ、とマルヴェック達に伝えると、先ほど転がって植木に突っ込んでいたタリムのもとへ駆け寄る。
「すまないな、タリム。思ったより魔法の威力が大きかったみたいだ」
手を差し出して彼を引き起こす。
「あはは…大丈夫です。すごいですね、シノさん。あんな魔法の対処の仕方なんて絶対できないですよ」
「まぁ、歳の功…ってやつかな?」
「そ、そうですよね…。でもシノさんはおじいさんだったなんて全然わかりません」
「こら、それは秘密だろう?」
はっとしたようにタリムは口に手を当ててあたりをきょろきょろしている。
「とりあえず、中庭がぼろぼろになってしまったが、人も集まってきた。後始末は彼らに任せよう」
タリムと一緒にマルヴェック達の横を通り過ぎ、訓練場に向かおうとしたとき…
「待て!!」
後ろからマルヴェックが声をかけてくる。振り返ってみると、儂を見る目が血走っていて、足元に手袋を投げてきた。
「拾え」
儂を見下ろしながら、手袋を指さす。
「…なぜ?」
「いいから拾え」
分からん。この世界の貴族というのは本当によくわからない。いや、このマルヴェックという男が分からないのか。とりあえず言われた通り拾い、彼に差し出す。
「拾ったが…これは君のだろう?」
にやりと歪んだ笑みを見せる。
「拾ったな?それは今、この場を見ているもの達が全員見ていることを確認したな!?」
「私は見ました!」
「私もです!」
急に取り巻きが元気になって、自信に満ちた顔をしている。
「おい、あれはまさか…」
「そんな…学園でそんなこと…」
「いや、昔はよくやっていたという話もある」
「まさか決闘が?」
…集まってきた生徒の中から"決闘"という言葉が聞こえる。
「あぁそうさ!!今こいつは俺が投げた手袋を拾った!!!俺の決闘の申し込みを受けたということだ!!!それはこの場にいる全員が証人となる!!」
マルヴェックは儂を指さし、学園中に響くような大声で決闘を宣言する。
あぁ…そうか。そういえば貴族の中にはそう言った作法があったことをすっかり忘れていた。
「え、え??シノさん…決闘って…??」
「おそらくだが…彼のこの手袋を拾う、ということが決闘を受けた、ということになる…ようだね?」
タリムと目を合わせた後、マルヴェックに視線を移すと、なぜかわからないが、愉悦にまみれた表情をしている。
「あぁそうさ。正々堂々の1体1。決闘はなんでもあり。どんな武器でも、学園内では使えない魔法も使える。もちろん、決闘で命を落としたとしても、何の問題にもならない。そこで俺は上級貴族としての力を持ってお前を叩きのめしてやる。貴族への敬い方を教えてやるよ」
彼はヒロイック願望があるのだろうか?やけに振る舞いが大仰で芝居がかっている。
「…儂は貴族じゃない。受ける必要もないだろう?」
マルヴェックが言っているのはあくまで貴族の作法で平民となっている儂が受ける必要はない。
「…ふ…ふははは!お前は貴族の推薦を受けているんだろう?…確か、ギレーとロヴァネだったか?ここで俺の申し込みを断るということは、それらの家に泥を塗ることになる。俺のクレモス領に借りを作ることになるんだ!!!それに…お前の組には俺のできそこないの妹がいる。さて、こちらはどうなるかな?」
なかなか儂のことを調べているようだ。ギレーとロヴァネからの紹介については6組の貴族も知っていた。彼らの情報はどこから入手したものか…と思っていたが、マルヴェックが流していたのかもしれない。
クレモス領が何かギレーにちょっかいをかけている状況もあったし、ナディアのことも持ち出すのであれば仕方ない。降りかかる火の粉は払わねば。
「…君のような小物の相手をしている暇はないんだが…受けよう」
「あ…あわわわわ…」
タリムが大変なことになったとあわあわしている。
儂の返事を聞いたマルヴェックのこめかみには青筋が立っているように見えるが、すべてが小物に感じるのは事実だ。
「では、その決闘については私が立ち合い人となりましょう」
涼やかで鈴を転がしたような声が中庭に響く。
「誰だ!?」
マルヴェックがその声に反応し、管理棟の方を見る。儂もそれにつられて、声の先へと視線を送る。
管理棟から出てきたのは1人のエルフの少女。その後ろにはなぜか先日あった第四王子のヴィクターと、金髪碧眼の長身の少年がついて入ってきた。
エルフは比較的少ない種族で、会うこともなかなかないと聞いていたが…。アイゼラを含めてよく出会う気もするが、ウルの影響だろうか?
「リセリア様…あなたがなぜ!?それに…ヴィクターとジョシュア…!!!」
マルヴェックが苦虫を嚙みつぶしたような表情で3人を見て強い言葉をかける。
「これは我が国の貴族同士の問題です。こやつは貴族に推薦を受けた平民で、決闘の対処などは知らないでしょうから、立ち合い人などについてはこちらで用意するつもりです」
「状況については途中から耳に入っておりました。決闘というものは、あくまで中立の立場で判定、見届けるものが必要でしょう?
マルヴェック様が用意される…とおっしゃっておりますが、そちらの方は平民とおしゃっていらっしゃいました。ともすれば、平民側の不利となってしまう状況も考えられます。できるだけどちらにも関係のない方を選別する必要があるのではないでしょうか?」
リセリアと呼ばれたエルフがマルヴェックを諭すように言葉を紡ぐ。その言葉一つ一つにどことなく、美しい余韻を感じる。
「わたくしはあくまで見届けるだけです。審判についても私の従者に依頼しましょう。必ず公平な判定をすることをお約束いたします」
「…承知いたしました。決闘の見届けについては、リセリア様にお願いいたします」
マルヴェックの様子を見ると、リセリアは明確に上位の貴族のようだ。
自身の権力を絶対と信じていたようで、状況から自分より上位の第三者が絡んでくることは予定外だったのか、口唇をかみしめながらマルヴェックはしぶしぶ同意した。
「なら私が決闘の場所や日時については差配しよう。そのくらいは問題ないな?マルヴェックと…シノ、だったか?」
ヴィクターも話に加わる。儂は問題ないと返答を返し、マルヴェックもぐっと飲みこみ、了承の頷きを返す。
さらにその後ろから金髪碧眼の長身の少年が顔を出す。
「先ほど我が領の名前も聞こえた。確か、この少年がロヴァネの推薦を受けて編入したと」
「ジョシュア、貴様には関係ないだろう」
ジョシュア…確かロヴァネの長子の名前がそのような名前だったはず。確かの顔立ちにはシェリダンの面影がある。
「先ほど君が言っていたじゃないか。この平民の子は我が領の推薦を受けていると。私も父から推薦をした平民がいるとの話は聞いている。その平民と会うのは初めてだが、間違いないか?シノ君」
「そうですね。ギレーとロヴァネの推薦を受け、編入試験を受けていますから」
儂の言葉を聞いたジョシュアが頷く。
「それでは、私が彼の後見人として立つ。決闘後の取り決めをしておきたい。勝敗が決した後の双方の要望を聞かせてもらおう」
ジョシュアは儂とマルヴェックをそれぞれ見やる。
「儂はこのマルヴェックという貴族が行っている横暴な振る舞いを止めてもらうことを要望する。そして、儂の友人に謝罪し、今後一切かかわらないことも求める」
「シノ君の要望は理解した。それではマルヴェックは?」
「そこの薄汚い落ちこぼれ平民共の即退学だ。こんな下賤な輩がいると学園の品位が落ちる」
「…了解した。双方の要望はこのジョシュア・ロヴァネが確認した」
ジョシュアが集まってきた生徒や、様子を見ている先生に向けて大きな声で伝える。それに続き、リセリアが宣言する。
「ここにマルヴェック・クレモスとシノにおける決闘が成立しました。日時や場所は追って双方に通知いたします」
「なお、敗北したものに対して今回の学園が受けた損害なども請求し、それぞれの領への抗議を行うことになる。覚悟しておくように」
こうしてマルヴェックとの決闘が成立し、その日を待つことになった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる