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2章
18話
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実技試験の結果を受けて、儂らは即時の合格が確定した。
筆記試験を受けた意味があったかどうかは分からないが、授業の内容をきちんと理解できるかどうかに重きを置いているそうなので、よほどのことが無い限りは筆記が影響をすることはないようだ。
編入試験を終えた現在、学園内の寮を案内されている。今後はこちらで寝泊りすることになるようだ。
「貴方達はこちらの部屋を使ってください」
案内された部屋は1人部屋だった。寮というから複数人でシェアするかと思っていたのだが、従魔がいるから1人部屋だそうだ。
魔物使いが使役する従魔の中には同室になる者に敏感に反応するものもいたりで危険な場合もあるための配慮と言っていた。
ちなみに、儂は学費を免除される特待生という位置づけになったようだ。非常に助かる。
「ちょっと楽しみだ。実は学校に通うのは憧れだったんだ」
「わたしもなのだわっ!ここでは面白そうな魔法の匂いがプンプンするのだわ!どんな魔法が見れるのかしら?」
「ガゥ!」
授業参加は明日からだ。マーガレットからは、指定の販売店で制服を用意してくるようにと伝えられる。
机の上に指定販売店の位置と商会の名前が記載されている。アルヴァレス商会?聞いたことがある名前だ、と思ったらこれはダリオ達の商会の名前だ。
ダリオは王国内でも5本の指に入るという伝統ある紹介、アルヴァレス商会の嫡男だ。縁というものはつながるものだ。
儂らは一旦寮の部屋を後にし、地図を頼りにアルヴァレス紹介を訪ねた。
「ダリオさんいますか?」
店員に声をかけると、店の奥からダリオが顔を出した。
「シノ君じゃないか。食事の約束にはまだ日があるけど、どうしたんだい?」
彼に学園の制服をここで用意するようにと指示があったと伝える。
「あぁ、そうなんだ。僕もここにきて知ったんだけど、去年から取り扱ってみるみたいなんだ。母さんの手腕、恐れいるよ。おーい、ティラ!学園の衣装頼めるかい?」
「はーい、あら、シノ君…とウルちゃん!学園の編入試験は無事に終わったのね?」
ティラも顔を出し、制服について採寸や打ち合わせをする。ウルちゃんはどうするの?とティラが聞いている。
「わたし?わたしは服なんて着たことないのだわ??」
「えーそうなの?せっかくだしウルちゃんの分の制服作ってあげたいな!絶対可愛いわよ!」
ティラはぐいぐいとウルに近づく。「こんな服や、これも着せたらかわいいと思うの!!制服だけじゃなく他の服も作っていい!?」とその鬼気迫る表情に珍しくウルが気圧されている気がする。
「わ、わかった、わかったのだわ!!!着る!着るのだわ!!ティラに任せるのだわ!!」
根負けしたようにウルが返事をすると、ティラは胸を張って、ぴったりの制服作ってあげるね!とご機嫌さを隠しきれずに奥に入っていった。
既に入学のシーズンは終わっており、そこまで時間がかからずにできるらしい。四の鐘までにはできると言っていた。
「人はたまにびっくりするほど怖くなるときがあるのだわ…」
疲れたような、魂が抜けたようななんとも言えない表情でウルがこっちを見ている。
「人は時々、自分の好きなもの、好きなことに対して気持ちが大きく高ぶることもあるから」
人は「欲」というものを持っていて、それがいい方向に運べば、美味しい食事を開発したり、魔法の探求に繋がったりする。
悪い方向に行けば、今朝のような弱いものを虐げたり、人類同士での戦いに発展するんだと伝えた。
「シノと関わるようになってだいぶ人のことを知れたと思ったのだけど、全然なのだわ?わたしもまだまだ未熟なのだわ!もっともっと人を知らないとだわ!」
と気合を入れ直している。
「ティラみたいに感情が大きく動くのが普通なのなら、シノは少し元気が少ない気もするのだわ?シャノンやサーシャももっと元気だったもの。リィナが『シノは中身おじいちゃんだねぇ』って言ってたのだわっ」
枯れてるのよ!少年なのに!とこれからの行く末を心配していたようだ。
「はは。まぁ儂はもともと爺だったからね。今でこそ、この体に引っ張られてだいぶ幼くはなっていると思うんだけれど…そう簡単には変わらないよ」
「そんなものなのだわぁ?」
ウルは納得したのかしてないのか不思議な表情で頷いていた。
しばらく、店内の控室で出された紅茶やお菓子などを食べながら時間を過ごしていたら、扉をノックする音が聞こえる。
「シノ様、今少々よろしいでしょうか?」
聞こえてくる声は聞いたことのない女性の声だ。「どうぞ」と促すと、「失礼します」と扉が開き、女性と、その後から使用人が入ってきた。
プラチナブロンドの長い髪を持ち、少々釣り目気味だが、瞳は深い紫で知性を感じる。背はやや高めで、立ち姿は優美で洗練されている。
貴族の女性とは違い、ティラに似て装飾は控えめに、動きやすそうなデザインの服を着ているが、誰だろうか?
「お初にお目にかかります。私はダリオの母、レナ・アルヴァレスと申します」
レナはスカートの裾をつまみながら、上品に腰を落とす。ダリオの母と言っていたが、優しそうなダリオとは少し雰囲気が違う。
貴族が通う学園の指定店を取るくらいだから、商売の手腕も確かなのだろう。こちらも椅子から立ち上がって名乗ると、レナは話を続ける。
「この度はダリオとティラを救ってくれたこと、深くお礼申し上げます。あの子達から、貴方が居なければ命がなかったかもしれないと聞かされました」
「礼には及びませんよ。護衛を主に担っていたのは『疾風と大地』も面々ですし、Dランクの儂らはそのお手伝いをしていたようなものです」
実際に、クレモス領の道中は『疾風と大地』指示に従って対応をしていたのだから。
「ふふ。それではそのようにしておきましょう」
レナはこちらを値踏みするようにじっと見ていたが、その整った表情を崩し、ニコリと笑う。そのまま彼女に着席を促される。
着席すると、使用人は新しいお茶を出して退出していった。
ここで着席を促されたということは、何か話があるのだろうか?レナは紅茶で下を濡らし、ティーカップをかちゃりとテーブルに戻すと、「あちらがウルさんですね」とウルに視線を移す。
ウルは今、控室にあった料理のレシピ本に夢中だ。控室にあったお菓子をルーヴァルを食べつくした後、レシピ本や王都のグルメ本などを見つけて読みふけっている。
人と人の難しい話や交渉事などは大体儂に任されているので、我関せずといった感じでルーヴァルの上でくつろいでいる。ルーヴァルはウルを包み込むように丸まっている。
「とてもかわいらしいですね…。妖精種と出会うのは私の夢だったんです…。しかも言葉を解すことができるだなんて…こんな奇跡があるんでしょうか…」
ほぅ、とレナは右ほほに手を当て、頬を赤らめながらつぶやく。その視線を感じたウルは少し体をびくっとさせたようだが、気にしてない様子を本を読んでいる。
その瞳はティラがウルに制服を作りたいと言っていた時と似たような熱を感じる。
「えっと、何か儂らに御用があったのでは?」
リナに声をかけると、彼女はハッと我に返り、姿勢を正してこほんと咳払いをする。
「大変失礼いたしました。今回は少し商談ができればと思い伺いました」
「商談…とは?儂はDランクに上がったばかりの冒険者ですし、現状、商人の皆さんの利益になりそうな素材などもないのですが…」
突然のリナからの提案だが、今の段階では特に彼女のメリットになるような素材なども持っているわけではない。
「はい。シノ様がまだまだ駆け出しの冒険者であることは存じております。…そして、ソットリス関門の向こう側からこちらへいらっしゃったことも」
「…!?それを…どこから?」
控室内にピリッとした空気が流れる。儂らはギレーとロヴァネの面々、そしてギルドではエリオスとサラに対してしかこの内容は話していない。少し警戒した視線をレナに向ける。
「ふふ。シノ様のような特殊な身の上については、どれほど隠そうとしても矛盾が生じてしまいますからね」
どうやら、ロヴァネの子息子女が攫われ、大森林の向こう側に連れ去られてしまった話はアイゼラの商人の間で広がっていたらしい。
そして、子供たちが大森林から帰還したこと、その際にソットリス関門で何か事件が起こったことも分かっているそうだ。
こちらは緘口令が引かれていたので詳細が確認できなかったが、時期を同じくして、アイゼラの冒険者ギルドに妖精種と、雷牙狼の従魔を伴った不思議な少年の冒険者が現れた話も広まっている。
妖精種に至ってはエルフの冒険者が神様でも見るような顔をしていたと。しかも、その子は奉仕依頼で息子の結婚の手助けをしてくれたというではないか。
何かあると思ってアイゼラの養父や夫に調査を依頼していたところ、ソットリス関門にいた兵士がアイゼラの酒場で「少年が森から出てきたらしいんだ」とぽろっと漏らしたそうだ。
兵士は「誰も信じちゃくれない」と言っていたし、周りの客も大笑いしていたそうなのだが。
儂らについて様々な角度から丁寧に情報を集めた結果、『シノという少年は大森林で生まれ育ち、何らかの手段でソットリス関門を抜けてきた』という推論ができたそうだ。
「普通なら信じられない話ですし、あくまで推測の域を出ませんでした。ですが先ほどのシノさまの表情を見て確信いたしました」
笑顔を浮かべながら、レナは再び紅茶に口をつける。
「…儂らは特別隠そうとしている訳ではないのですが、大変驚きました。大森林から来たと言っても冗談と受け取られていましたからね」
ギルドでのサラやエリオスの様子を思い出すと、最終的に無理やり納得はしてくれたようだが、どこまで信じてくれたかはわからない。
「それで、商談とはどういったものでしょうか?」
「あぁ、そんなに難しく考えないでください。貴方の冒険者のランクではなく、ダリオ達の話や集めた情報から、すでにかなりの実力をお持ちであることを見込んでのお話になります」
レナから提案された内容としては、次の内容だった。
1.討伐依頼で入手した魔獣、魔物の素材をギルドだけでなく、アルヴァレス商会にも融通してほしい
2.大量に必要な素材がある場合に、採取、討伐依頼を受けてほしい
「魔獣、魔物の素材や、大量の素材の採取ですか…」
「はい。アイゼラの店舗ではソットリス関門から流れてくる魔獣、魔物の素材を中心に取り扱っていますが、王都のアルヴァレス商会は私の得意な分野として服飾での運営が主になっております。ですが、王都でも魔物、魔獣の素材を取り扱うことももちろんあります。注文が入るたびに都度アイゼラから取り寄せていました。しかし、現在のクレモス伯爵領の状況を考えると非常に大きな負担となってしまいます」
クレモス伯爵領でギレー向けの隊商が襲われている状況を考慮すると、大きく経費が嵩んだり、納品もまで時間がかかることもあるため、何とかしたいとのこと。
アイゼラからの道中、クレモス伯爵領を抜けるときはかなり苦労したし、ギレーへの隊商が困っている状況は儂も把握している。
「これから魔物、魔獣の素材も私共で安定して取り扱いできるようにしたいと、有望な冒険者を探し始めていたところでした」
なるほど。ダリオから儂の剣の腕などを聞いたうえで、素材の調達をできるようにしたいと。儂としては安定して依頼が来るのは非常にありがたいとは思う。
ただ、1人では学園の都合もあるのでかなり難しいだろう。
「定期的に依頼をいただくのは儂としても嬉しいです。しかし、学園に通うという状況もあり、1人ではすべての要求に応えることは難しいと思います」
「もちろんです。今回の話しはあくまで優秀な冒険者との繋がりを持つための1つ…といったところでしょうか。専属といわずとも、私どもの依頼を優先的に受けてくれるかたを増やしたいのです。もしシノ様からの目で良いパーティが居れば紹介していただけると嬉しく思います」
「承知しました。できる限りの協力はさせていただきます」
学園での生活に影響がなければ問題はないだろう。儂は了承する。
「特に大量採取については期待しています。ウルさんのお話、お聞きしておりますので」
あ…ウルの収納魔法か。ひょっとしてこれが本命か?
多く素材が必要な時は沢山の馬車や人員、収納の魔法がかけられたバックパックなど多くの準備、多くの経費が必要になる。
実質無限に近いウルの収納魔法なら、儂らの移動費や報酬だけでよくなるからな。
おそらく、ダリオとティラから聞いたのだろう。さすがだな、と感心するしかなかった。
◇◇◇
商談も落ち着き、レナがどうして妖精が好きなのか、について熱く語りだしたころ、扉がノックされた。
「制服できたわよ~」
ティラと使用人が制服を持って部屋に入ってくる。やり切った、と言った表情のティラが印象的だった。
儂らは指示に従い、制服に着替える。
「この制服、トレーニング服は特殊な素材を使っているの。シノ君が着てる精霊銀が編まれた服ほどじゃないけど、物理防御、魔法防御はあるわよ」
学生さんたちは剣術訓練だったり、魔法訓練だったりで制服に耐久性が必要だからね、と言っていた。制服、トレーニング用をそれぞれ2着ずつ用意してくれている。
「せ…精霊銀が編まれてるですって!?」
制服に着替えた後、儂の装備についての話を聞いたレナが大変びっくりしていた。精霊銀を大量に使った服なんて聞いたこともない騒いでいて、この装備を作った店を教えると、「アイゼラにそんな優秀な職人がいたなんて…」とギラッとした目つきでなにやら考え事をしていた。
「ウルちゃんはこっちね!」
ティラがウルのために作った制服を渡し、ウルが着るのを手伝っている。
羽の動きを邪魔しないように背中が大きく開くデザインになっており、スカートではなくショートパンツのスタイルになっている。
「うわー!やっぱりカワイイ~!!!」
ティラが制服を着たウルを見てはしゃいでいる。
「なんだか変な感じだけど、思ったより悪くないのだわ!」
初めて服を着たウルも鏡を見てご機嫌なようだ。その時、ウルが何か気づいたように儂に声をかける。
「シノ、制服だといつも使っている強化が難しくなるのだわ?」
ウルは霊迅強化・纏について心配しているようだ。
「確かに、制服だと纏がうまく使えないかもしれない。工夫をしないといけないかな。まぁ、でも学園では自分の基礎技術も磨いていければと思っているから、そういったところも含めて学べたらいいんじゃないかな?」
せっかく様々な魔法を研究している場所なのだから、と伝える。
「ふーん!でも何かあったときに困るのだわ?まさか襲われた時に服を脱いでまた着るのだわ?」
すぐにやられちゃうわよ?と笑いながらウルは言う。確かに、何かあったときに自分の全力が出せないのは困る。すると、レナが思い出したように混ざってきた。
「そういえば、王家の式典で使われる魔術具になりますが、瞬時に着替えを行うものがあったように思います。かなり高価なもので、迷宮産で秘宝に値するものと聞いています」
「へ~!そういったものがあるんですね!お義母様」
着替えを行うだけの魔術具はあるにはあるのか。それにしても…迷宮産とは?
「オーラリオン王国には存在していないのですが、他国に迷宮と呼ばれる、貴重な魔術具や武器防具を産出する場所があります」
迷宮というのは突然発生する不思議な空間で、貴重な鉱石や魔術などが産出される不思議な場所で、オーラリオンにもたまに迷宮産の武器防具、素材が入ってくるそうだ。
「迷宮に行けば手に入る可能性がある…ということでしょうか?」
「そうですね。ここでは着替えの魔術具は王家が所有している物1つとなりますが、他の国の冒険者が所持していた、なんて話もあります。ただ、他国になりますのですぐに迷宮に行く、というのは難しいのではないでしょうか?」
「うーん…、ウル、魔法でなんとかならない?」
ウルに少し無茶ぶりをしてみると、ものすごく難しい表情になった。
「言ってることは分かるのだわ~!!でもでも…これまでに服を着る習慣がなかったわたしには難しいのだわっ。シノの服を消すことならできると思うのだわ?」
今回初めて服を着たから、服装について補助する魔法を作るのは非常に難しいと言っている。そして、全裸にされてしまうのは困るし、せっかく作った服が消滅するのは遠慮したい。
「着替えの魔術具かい?あれは服飾の業界でも喉から手がでるほど欲しいアイテムだよねぇ」
話が聞こえたのか、ダリオがやってくる。
「あの魔術具に関しては…確か商人ギルドの依頼で学園で研究がおこなわれているんじゃなかったっけ?迷宮産の魔術具は解析がかなり難しいから再現できてるものは少ないんだけど…。シノ君はもう学園の生徒なんだし、研究の状況とか確認できるんじゃないかな?」
あわよくば、僕たちのために魔術具を完成させてくれた嬉しいんだけど、笑いながら言っている
…必要なものが無いなら作ればいい。
さすが王国随一の学園。やることがまた一つ増えたようだ。
筆記試験を受けた意味があったかどうかは分からないが、授業の内容をきちんと理解できるかどうかに重きを置いているそうなので、よほどのことが無い限りは筆記が影響をすることはないようだ。
編入試験を終えた現在、学園内の寮を案内されている。今後はこちらで寝泊りすることになるようだ。
「貴方達はこちらの部屋を使ってください」
案内された部屋は1人部屋だった。寮というから複数人でシェアするかと思っていたのだが、従魔がいるから1人部屋だそうだ。
魔物使いが使役する従魔の中には同室になる者に敏感に反応するものもいたりで危険な場合もあるための配慮と言っていた。
ちなみに、儂は学費を免除される特待生という位置づけになったようだ。非常に助かる。
「ちょっと楽しみだ。実は学校に通うのは憧れだったんだ」
「わたしもなのだわっ!ここでは面白そうな魔法の匂いがプンプンするのだわ!どんな魔法が見れるのかしら?」
「ガゥ!」
授業参加は明日からだ。マーガレットからは、指定の販売店で制服を用意してくるようにと伝えられる。
机の上に指定販売店の位置と商会の名前が記載されている。アルヴァレス商会?聞いたことがある名前だ、と思ったらこれはダリオ達の商会の名前だ。
ダリオは王国内でも5本の指に入るという伝統ある紹介、アルヴァレス商会の嫡男だ。縁というものはつながるものだ。
儂らは一旦寮の部屋を後にし、地図を頼りにアルヴァレス紹介を訪ねた。
「ダリオさんいますか?」
店員に声をかけると、店の奥からダリオが顔を出した。
「シノ君じゃないか。食事の約束にはまだ日があるけど、どうしたんだい?」
彼に学園の制服をここで用意するようにと指示があったと伝える。
「あぁ、そうなんだ。僕もここにきて知ったんだけど、去年から取り扱ってみるみたいなんだ。母さんの手腕、恐れいるよ。おーい、ティラ!学園の衣装頼めるかい?」
「はーい、あら、シノ君…とウルちゃん!学園の編入試験は無事に終わったのね?」
ティラも顔を出し、制服について採寸や打ち合わせをする。ウルちゃんはどうするの?とティラが聞いている。
「わたし?わたしは服なんて着たことないのだわ??」
「えーそうなの?せっかくだしウルちゃんの分の制服作ってあげたいな!絶対可愛いわよ!」
ティラはぐいぐいとウルに近づく。「こんな服や、これも着せたらかわいいと思うの!!制服だけじゃなく他の服も作っていい!?」とその鬼気迫る表情に珍しくウルが気圧されている気がする。
「わ、わかった、わかったのだわ!!!着る!着るのだわ!!ティラに任せるのだわ!!」
根負けしたようにウルが返事をすると、ティラは胸を張って、ぴったりの制服作ってあげるね!とご機嫌さを隠しきれずに奥に入っていった。
既に入学のシーズンは終わっており、そこまで時間がかからずにできるらしい。四の鐘までにはできると言っていた。
「人はたまにびっくりするほど怖くなるときがあるのだわ…」
疲れたような、魂が抜けたようななんとも言えない表情でウルがこっちを見ている。
「人は時々、自分の好きなもの、好きなことに対して気持ちが大きく高ぶることもあるから」
人は「欲」というものを持っていて、それがいい方向に運べば、美味しい食事を開発したり、魔法の探求に繋がったりする。
悪い方向に行けば、今朝のような弱いものを虐げたり、人類同士での戦いに発展するんだと伝えた。
「シノと関わるようになってだいぶ人のことを知れたと思ったのだけど、全然なのだわ?わたしもまだまだ未熟なのだわ!もっともっと人を知らないとだわ!」
と気合を入れ直している。
「ティラみたいに感情が大きく動くのが普通なのなら、シノは少し元気が少ない気もするのだわ?シャノンやサーシャももっと元気だったもの。リィナが『シノは中身おじいちゃんだねぇ』って言ってたのだわっ」
枯れてるのよ!少年なのに!とこれからの行く末を心配していたようだ。
「はは。まぁ儂はもともと爺だったからね。今でこそ、この体に引っ張られてだいぶ幼くはなっていると思うんだけれど…そう簡単には変わらないよ」
「そんなものなのだわぁ?」
ウルは納得したのかしてないのか不思議な表情で頷いていた。
しばらく、店内の控室で出された紅茶やお菓子などを食べながら時間を過ごしていたら、扉をノックする音が聞こえる。
「シノ様、今少々よろしいでしょうか?」
聞こえてくる声は聞いたことのない女性の声だ。「どうぞ」と促すと、「失礼します」と扉が開き、女性と、その後から使用人が入ってきた。
プラチナブロンドの長い髪を持ち、少々釣り目気味だが、瞳は深い紫で知性を感じる。背はやや高めで、立ち姿は優美で洗練されている。
貴族の女性とは違い、ティラに似て装飾は控えめに、動きやすそうなデザインの服を着ているが、誰だろうか?
「お初にお目にかかります。私はダリオの母、レナ・アルヴァレスと申します」
レナはスカートの裾をつまみながら、上品に腰を落とす。ダリオの母と言っていたが、優しそうなダリオとは少し雰囲気が違う。
貴族が通う学園の指定店を取るくらいだから、商売の手腕も確かなのだろう。こちらも椅子から立ち上がって名乗ると、レナは話を続ける。
「この度はダリオとティラを救ってくれたこと、深くお礼申し上げます。あの子達から、貴方が居なければ命がなかったかもしれないと聞かされました」
「礼には及びませんよ。護衛を主に担っていたのは『疾風と大地』も面々ですし、Dランクの儂らはそのお手伝いをしていたようなものです」
実際に、クレモス領の道中は『疾風と大地』指示に従って対応をしていたのだから。
「ふふ。それではそのようにしておきましょう」
レナはこちらを値踏みするようにじっと見ていたが、その整った表情を崩し、ニコリと笑う。そのまま彼女に着席を促される。
着席すると、使用人は新しいお茶を出して退出していった。
ここで着席を促されたということは、何か話があるのだろうか?レナは紅茶で下を濡らし、ティーカップをかちゃりとテーブルに戻すと、「あちらがウルさんですね」とウルに視線を移す。
ウルは今、控室にあった料理のレシピ本に夢中だ。控室にあったお菓子をルーヴァルを食べつくした後、レシピ本や王都のグルメ本などを見つけて読みふけっている。
人と人の難しい話や交渉事などは大体儂に任されているので、我関せずといった感じでルーヴァルの上でくつろいでいる。ルーヴァルはウルを包み込むように丸まっている。
「とてもかわいらしいですね…。妖精種と出会うのは私の夢だったんです…。しかも言葉を解すことができるだなんて…こんな奇跡があるんでしょうか…」
ほぅ、とレナは右ほほに手を当て、頬を赤らめながらつぶやく。その視線を感じたウルは少し体をびくっとさせたようだが、気にしてない様子を本を読んでいる。
その瞳はティラがウルに制服を作りたいと言っていた時と似たような熱を感じる。
「えっと、何か儂らに御用があったのでは?」
リナに声をかけると、彼女はハッと我に返り、姿勢を正してこほんと咳払いをする。
「大変失礼いたしました。今回は少し商談ができればと思い伺いました」
「商談…とは?儂はDランクに上がったばかりの冒険者ですし、現状、商人の皆さんの利益になりそうな素材などもないのですが…」
突然のリナからの提案だが、今の段階では特に彼女のメリットになるような素材なども持っているわけではない。
「はい。シノ様がまだまだ駆け出しの冒険者であることは存じております。…そして、ソットリス関門の向こう側からこちらへいらっしゃったことも」
「…!?それを…どこから?」
控室内にピリッとした空気が流れる。儂らはギレーとロヴァネの面々、そしてギルドではエリオスとサラに対してしかこの内容は話していない。少し警戒した視線をレナに向ける。
「ふふ。シノ様のような特殊な身の上については、どれほど隠そうとしても矛盾が生じてしまいますからね」
どうやら、ロヴァネの子息子女が攫われ、大森林の向こう側に連れ去られてしまった話はアイゼラの商人の間で広がっていたらしい。
そして、子供たちが大森林から帰還したこと、その際にソットリス関門で何か事件が起こったことも分かっているそうだ。
こちらは緘口令が引かれていたので詳細が確認できなかったが、時期を同じくして、アイゼラの冒険者ギルドに妖精種と、雷牙狼の従魔を伴った不思議な少年の冒険者が現れた話も広まっている。
妖精種に至ってはエルフの冒険者が神様でも見るような顔をしていたと。しかも、その子は奉仕依頼で息子の結婚の手助けをしてくれたというではないか。
何かあると思ってアイゼラの養父や夫に調査を依頼していたところ、ソットリス関門にいた兵士がアイゼラの酒場で「少年が森から出てきたらしいんだ」とぽろっと漏らしたそうだ。
兵士は「誰も信じちゃくれない」と言っていたし、周りの客も大笑いしていたそうなのだが。
儂らについて様々な角度から丁寧に情報を集めた結果、『シノという少年は大森林で生まれ育ち、何らかの手段でソットリス関門を抜けてきた』という推論ができたそうだ。
「普通なら信じられない話ですし、あくまで推測の域を出ませんでした。ですが先ほどのシノさまの表情を見て確信いたしました」
笑顔を浮かべながら、レナは再び紅茶に口をつける。
「…儂らは特別隠そうとしている訳ではないのですが、大変驚きました。大森林から来たと言っても冗談と受け取られていましたからね」
ギルドでのサラやエリオスの様子を思い出すと、最終的に無理やり納得はしてくれたようだが、どこまで信じてくれたかはわからない。
「それで、商談とはどういったものでしょうか?」
「あぁ、そんなに難しく考えないでください。貴方の冒険者のランクではなく、ダリオ達の話や集めた情報から、すでにかなりの実力をお持ちであることを見込んでのお話になります」
レナから提案された内容としては、次の内容だった。
1.討伐依頼で入手した魔獣、魔物の素材をギルドだけでなく、アルヴァレス商会にも融通してほしい
2.大量に必要な素材がある場合に、採取、討伐依頼を受けてほしい
「魔獣、魔物の素材や、大量の素材の採取ですか…」
「はい。アイゼラの店舗ではソットリス関門から流れてくる魔獣、魔物の素材を中心に取り扱っていますが、王都のアルヴァレス商会は私の得意な分野として服飾での運営が主になっております。ですが、王都でも魔物、魔獣の素材を取り扱うことももちろんあります。注文が入るたびに都度アイゼラから取り寄せていました。しかし、現在のクレモス伯爵領の状況を考えると非常に大きな負担となってしまいます」
クレモス伯爵領でギレー向けの隊商が襲われている状況を考慮すると、大きく経費が嵩んだり、納品もまで時間がかかることもあるため、何とかしたいとのこと。
アイゼラからの道中、クレモス伯爵領を抜けるときはかなり苦労したし、ギレーへの隊商が困っている状況は儂も把握している。
「これから魔物、魔獣の素材も私共で安定して取り扱いできるようにしたいと、有望な冒険者を探し始めていたところでした」
なるほど。ダリオから儂の剣の腕などを聞いたうえで、素材の調達をできるようにしたいと。儂としては安定して依頼が来るのは非常にありがたいとは思う。
ただ、1人では学園の都合もあるのでかなり難しいだろう。
「定期的に依頼をいただくのは儂としても嬉しいです。しかし、学園に通うという状況もあり、1人ではすべての要求に応えることは難しいと思います」
「もちろんです。今回の話しはあくまで優秀な冒険者との繋がりを持つための1つ…といったところでしょうか。専属といわずとも、私どもの依頼を優先的に受けてくれるかたを増やしたいのです。もしシノ様からの目で良いパーティが居れば紹介していただけると嬉しく思います」
「承知しました。できる限りの協力はさせていただきます」
学園での生活に影響がなければ問題はないだろう。儂は了承する。
「特に大量採取については期待しています。ウルさんのお話、お聞きしておりますので」
あ…ウルの収納魔法か。ひょっとしてこれが本命か?
多く素材が必要な時は沢山の馬車や人員、収納の魔法がかけられたバックパックなど多くの準備、多くの経費が必要になる。
実質無限に近いウルの収納魔法なら、儂らの移動費や報酬だけでよくなるからな。
おそらく、ダリオとティラから聞いたのだろう。さすがだな、と感心するしかなかった。
◇◇◇
商談も落ち着き、レナがどうして妖精が好きなのか、について熱く語りだしたころ、扉がノックされた。
「制服できたわよ~」
ティラと使用人が制服を持って部屋に入ってくる。やり切った、と言った表情のティラが印象的だった。
儂らは指示に従い、制服に着替える。
「この制服、トレーニング服は特殊な素材を使っているの。シノ君が着てる精霊銀が編まれた服ほどじゃないけど、物理防御、魔法防御はあるわよ」
学生さんたちは剣術訓練だったり、魔法訓練だったりで制服に耐久性が必要だからね、と言っていた。制服、トレーニング用をそれぞれ2着ずつ用意してくれている。
「せ…精霊銀が編まれてるですって!?」
制服に着替えた後、儂の装備についての話を聞いたレナが大変びっくりしていた。精霊銀を大量に使った服なんて聞いたこともない騒いでいて、この装備を作った店を教えると、「アイゼラにそんな優秀な職人がいたなんて…」とギラッとした目つきでなにやら考え事をしていた。
「ウルちゃんはこっちね!」
ティラがウルのために作った制服を渡し、ウルが着るのを手伝っている。
羽の動きを邪魔しないように背中が大きく開くデザインになっており、スカートではなくショートパンツのスタイルになっている。
「うわー!やっぱりカワイイ~!!!」
ティラが制服を着たウルを見てはしゃいでいる。
「なんだか変な感じだけど、思ったより悪くないのだわ!」
初めて服を着たウルも鏡を見てご機嫌なようだ。その時、ウルが何か気づいたように儂に声をかける。
「シノ、制服だといつも使っている強化が難しくなるのだわ?」
ウルは霊迅強化・纏について心配しているようだ。
「確かに、制服だと纏がうまく使えないかもしれない。工夫をしないといけないかな。まぁ、でも学園では自分の基礎技術も磨いていければと思っているから、そういったところも含めて学べたらいいんじゃないかな?」
せっかく様々な魔法を研究している場所なのだから、と伝える。
「ふーん!でも何かあったときに困るのだわ?まさか襲われた時に服を脱いでまた着るのだわ?」
すぐにやられちゃうわよ?と笑いながらウルは言う。確かに、何かあったときに自分の全力が出せないのは困る。すると、レナが思い出したように混ざってきた。
「そういえば、王家の式典で使われる魔術具になりますが、瞬時に着替えを行うものがあったように思います。かなり高価なもので、迷宮産で秘宝に値するものと聞いています」
「へ~!そういったものがあるんですね!お義母様」
着替えを行うだけの魔術具はあるにはあるのか。それにしても…迷宮産とは?
「オーラリオン王国には存在していないのですが、他国に迷宮と呼ばれる、貴重な魔術具や武器防具を産出する場所があります」
迷宮というのは突然発生する不思議な空間で、貴重な鉱石や魔術などが産出される不思議な場所で、オーラリオンにもたまに迷宮産の武器防具、素材が入ってくるそうだ。
「迷宮に行けば手に入る可能性がある…ということでしょうか?」
「そうですね。ここでは着替えの魔術具は王家が所有している物1つとなりますが、他の国の冒険者が所持していた、なんて話もあります。ただ、他国になりますのですぐに迷宮に行く、というのは難しいのではないでしょうか?」
「うーん…、ウル、魔法でなんとかならない?」
ウルに少し無茶ぶりをしてみると、ものすごく難しい表情になった。
「言ってることは分かるのだわ~!!でもでも…これまでに服を着る習慣がなかったわたしには難しいのだわっ。シノの服を消すことならできると思うのだわ?」
今回初めて服を着たから、服装について補助する魔法を作るのは非常に難しいと言っている。そして、全裸にされてしまうのは困るし、せっかく作った服が消滅するのは遠慮したい。
「着替えの魔術具かい?あれは服飾の業界でも喉から手がでるほど欲しいアイテムだよねぇ」
話が聞こえたのか、ダリオがやってくる。
「あの魔術具に関しては…確か商人ギルドの依頼で学園で研究がおこなわれているんじゃなかったっけ?迷宮産の魔術具は解析がかなり難しいから再現できてるものは少ないんだけど…。シノ君はもう学園の生徒なんだし、研究の状況とか確認できるんじゃないかな?」
あわよくば、僕たちのために魔術具を完成させてくれた嬉しいんだけど、笑いながら言っている
…必要なものが無いなら作ればいい。
さすが王国随一の学園。やることがまた一つ増えたようだ。
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