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一章 トーマス村編

そして僕は思いだす

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乱戦になってしまった。

僕達は1チーム6人、3チームで合計18人に対し、ゴブリン達はジェネラルが3匹にその他のゴブリンが約70強といったところだ。
ジェネラルは1匹でも1チーム全員でかからなければならないのにそれが3匹もいる、他のゴブリンがいなければなんとかなったかもしれないが、かなりきつい戦いになってしまった。

ゴブリンと剣を打ち合いながらギャレットさんが叫ぶ
「ここを抜けられたら村までそうないぞ!ヒュージに避難するように伝令させているからなるべく時間を稼いでくれ!」
「村の側に狩人、森側が自警団員になるように上手く移動するのよ!」
師匠もいつもののんびり口調でなく声を張り上げている
「何とかやってみます!みんなやるわよ!」
「「「おおおおおー!!!」」」
ミリスの鼓舞に団員達が沸き立つ。

数は劣勢だが、ジェネラルが後方に控えてまだ攻撃に参加していないのでなんとか均衡をたもっている。
僕も矢を撃ち応戦しながら、近くに来たゴブリンには弓を槍のように使って突き飛ばす。本来なら弓の耐久力が落ちてしまうのであまりやりたくないが、こうも数が多いとそうも言っていられない。

ダインチームにいたベネットが斧を叩き込んでいるのが視界の端に見える、典型的な戦士タイプのベネットはミリスにはかなわないまでも自警団内では上位に食い込む力がある。僕も負けられない!



一進一退の攻防を繰り広げていたが均衡がついに崩れた、ジェネラルが3匹とも突っ込んできたのだ。
通常のゴブリンより倍以上大きく、自警団一の巨漢であるギャレットさんよりも一回り大きい体躯をもっている。
ギャレットさんとダインさんが1匹ずつ、そしてなんとミリスがもう1匹に対峙した!
他のゴブリンを相手にしつつ僕と師匠はミリスと戦っているジェネラルに矢を射る、しかしなんでこのタイミングでジェネラルが出てきたんだ…?

ヴオオオオオオオオオオ

一際大きな雄たけびが、森から新たに出てきたモンスターから発せられた。

「まさか…そんな…」
「師匠!どうしたんですか!?あれは、あれはなんですか!???」

見た目はゴブリンジェネラルに似ているが全体的に黒い体躯で目が赤々と光っている、左右の手に1本ずつバスタードソードを持っていた。何よりまわりの空気が歪むほどのオーラ?みたいなものが出ている。

「ゴブリンキングだと!?」
ギャレットさんの言葉でアレが何なのかわかった。
とにかく何とかしなきゃいけない!僕はゴブリンキングに矢を放ってみたが、キングは剣を使うまでもなくオーラのようなものではじいてしまった。

「オーラを纏っているモンスターは魔力を通した攻撃でないとあたらない!私にまかせてアルノはミリスを援護して!」
「ジェネラルをなんとかしてこっちに戻ってきます!師匠も無理をしないで下さい!」
はやくジェネラルを一体でもいいからしとめないと!



しかしゴブリンキングの参戦によって此方のチームは徐々に押されはじめている。
ゴブリン自体は半分以上しとめたが、此方の被害も少なくなくキングにいたっては無傷、ジェネラルはギャレットさんは押し込んでいるように見えるがダインさんの方は劣勢に見える。

「もう魔力が残り少ないわ!『守りの盾』を出してられない…何とか隙を見つけないと!」
要所要所で盾を使い長持ちさせていたミリスだったが、それも限界に来ているようだ。
そんなミリスにジェネラルの剣が振り下ろされる、僕はとっさにミリスの左側にすべりこむと弓をジェネラルに突きこむ。

バキッ

攻撃自体はキャンセルさせる事に成功したが弓は半ばから折れてしまった…とっくに矢も使い果たしてしまったし、もう腰に挿しているダガーしか残されていない。これでなんとか出来るのか?

「ぐっ!まだまだぁ!!!!」
ベネットも左手にダメージを負ったのか右手だけで斧を振り、半ば体当たりするようにゴブリンと戦っている。

このままではミリスが…ベネットが…みんながやられてしまう!どうする!どうすればいい!


『思い…出す…思い出すんだ…私を…私は…きみ…』


何だ!?声が聞こえる!
これは師匠でもミリスでもない、心に声が浮かんできているのか?ガレンなのか?でも女の人の声だ…

『今の…き…みでは…アレには…勝てな…い』

「誰だ!」

『心を…開いて…思い…出せ…私の…名前は…ユー…』

何だかわからないけど、この状況を打破できるのなら!もう一度あのスキルを使う!
頼む!みんなを守る力を!『Remember思い出す、ユーフィリス』!!!!!





ステータス
名前 アルノ
種族 人間
職業 狩人
ユニークスキル 『思い出す』
スキル     『腕力強化Lv2』
        『集中Lv2』
        『気配察知Lv1』
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