3 / 33
一章 トーマス村編
ガレン
しおりを挟む
「何やってんだガレン!ただでさえ暑いんだ、早く荷物を乗せろ!出発しちまうぞ!」
砂漠の暑い日照りの中、奴隷頭のジレが僕を怒鳴りつけた。
僕はスキル『腕力強化 Lv3』を使い、自分より大きい荷物を荷台に乗せると、他の奴隷達と一緒に荷物の隙間を縫うように荷台に乗り込んだ。
砂トカゲに牽かれる荷車は三台ほどが連なっている。
二人の奴隷仲間が話し合っている。
「なぁ俺達ってずっとこのままなのかなぁ」
「奴隷から解放されるなんて事まずないからな…」
僕も物心がついた時にはもうこの生活だったから、奴隷でない自分が全く想像できなかった。
「奴隷じゃないってどんな感じなの?」隣に座っているドーレンに聞いてみた。彼は最近入ってきたばかりの奴隷だ、僕より大分年上だと思う。
「そうだなぁ、俺はフィレンの町出身なんだけどそこは港町でさ、毎日おやじの船で魚を獲りに行ってたっけな。あの頃はもっと自由に生きたいって思ってたけど、今思えばあれこそが自由だったよな…海って見たことあるか?」
「海?知らない、どんなの?」
「広くてでかくて大きな大きな湖って感じかな、海は塩水だからしょっぱいんだ。懐かしいな…」
「オアシスより大きいの?ぜんぜん想像できないや!見てみたいなぁ。」
凄い!そんなところがあるんだ!たくさん飲んでも怒られないのかなぁ?あ、でもしょっぱいんじゃ飲めないのかな?行ってみたいなぁ!
「この隊商は内地しか行動してないから海を見る機会なんてねぇぞ」
ジレがそんな事を言う。
「俺だってもう15年もこの隊商にいるが、海なんて見たことないぜ。見るのはこの砂漠にある砂、砂、砂ってなもんだ。ん?」
砂山の陰で見えていなかったが、砂煙を上げてこっちに近寄ってくる集団がみえる、
「やばい!砂賊団だ、急いで逃げるぞ!それにしても数が多い!」
三台の荷車を引く砂トカゲ達は懸命に走っているけど、砂族団の乗るサンドバード(飛べないけど足が速い鳥)の方が早いみたいで追いついてくる、
「このままじゃ追いつかれる!荷物を捨てろ!少しでも軽くして逃げ切るんだ!」
ジレの指示に従い僕達は荷物をなるべく砂族団の邪魔になるように放り投げていく。
その時僕の頭の横を何かが通っていった、
「ぎゃあー!」
「ジ、ジレー!うわぁー!」
矢が突き立ったジレが荷車から落ちていく、僕も右肩に矢を受けたようで右手が動かない。矢がどんどん飛んでくる、どうしようどうしよう!
ドスッ
お腹に衝撃が走ったと同時にそんな音を聞いたような気がした、僕は荷車から放り出された、んだと思う。砂の上をゴロゴロ転がった後起き上がろうとしたけど力が入らない…
僕はここで死んじゃうの?そうだ海!海だって見てないのに!海…
ステータス
名前 ガレン
種族 人間
職業 奴隷
スキル 『腕力強化Lv3』
砂漠の暑い日照りの中、奴隷頭のジレが僕を怒鳴りつけた。
僕はスキル『腕力強化 Lv3』を使い、自分より大きい荷物を荷台に乗せると、他の奴隷達と一緒に荷物の隙間を縫うように荷台に乗り込んだ。
砂トカゲに牽かれる荷車は三台ほどが連なっている。
二人の奴隷仲間が話し合っている。
「なぁ俺達ってずっとこのままなのかなぁ」
「奴隷から解放されるなんて事まずないからな…」
僕も物心がついた時にはもうこの生活だったから、奴隷でない自分が全く想像できなかった。
「奴隷じゃないってどんな感じなの?」隣に座っているドーレンに聞いてみた。彼は最近入ってきたばかりの奴隷だ、僕より大分年上だと思う。
「そうだなぁ、俺はフィレンの町出身なんだけどそこは港町でさ、毎日おやじの船で魚を獲りに行ってたっけな。あの頃はもっと自由に生きたいって思ってたけど、今思えばあれこそが自由だったよな…海って見たことあるか?」
「海?知らない、どんなの?」
「広くてでかくて大きな大きな湖って感じかな、海は塩水だからしょっぱいんだ。懐かしいな…」
「オアシスより大きいの?ぜんぜん想像できないや!見てみたいなぁ。」
凄い!そんなところがあるんだ!たくさん飲んでも怒られないのかなぁ?あ、でもしょっぱいんじゃ飲めないのかな?行ってみたいなぁ!
「この隊商は内地しか行動してないから海を見る機会なんてねぇぞ」
ジレがそんな事を言う。
「俺だってもう15年もこの隊商にいるが、海なんて見たことないぜ。見るのはこの砂漠にある砂、砂、砂ってなもんだ。ん?」
砂山の陰で見えていなかったが、砂煙を上げてこっちに近寄ってくる集団がみえる、
「やばい!砂賊団だ、急いで逃げるぞ!それにしても数が多い!」
三台の荷車を引く砂トカゲ達は懸命に走っているけど、砂族団の乗るサンドバード(飛べないけど足が速い鳥)の方が早いみたいで追いついてくる、
「このままじゃ追いつかれる!荷物を捨てろ!少しでも軽くして逃げ切るんだ!」
ジレの指示に従い僕達は荷物をなるべく砂族団の邪魔になるように放り投げていく。
その時僕の頭の横を何かが通っていった、
「ぎゃあー!」
「ジ、ジレー!うわぁー!」
矢が突き立ったジレが荷車から落ちていく、僕も右肩に矢を受けたようで右手が動かない。矢がどんどん飛んでくる、どうしようどうしよう!
ドスッ
お腹に衝撃が走ったと同時にそんな音を聞いたような気がした、僕は荷車から放り出された、んだと思う。砂の上をゴロゴロ転がった後起き上がろうとしたけど力が入らない…
僕はここで死んじゃうの?そうだ海!海だって見てないのに!海…
ステータス
名前 ガレン
種族 人間
職業 奴隷
スキル 『腕力強化Lv3』
0
お気に入りに追加
116
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる