ゲームの世界に行く話ってあるじゃないですか！

MMORPGの罠

やっぱりトリップするならMMORPGだよな。

数々の経験からそう結論づけた俺こと平野 凡太（あだ名はヘイボン）はこつこつと遊んでいたが未だトリップしたことのないゲーム「ギガンティックブレイザー１０」に挑むべくここのところはずっとこれしかやっていない。

「ギガンティックブレイザー」１人用RPGだったギガンティックブレイザーシリーズが何故か１０作品目にMMORPGとして発売されたもので、世界中のシリーズファンがこぞって参加し一大ムーブメントを巻き起こした作品である。
このゲームは何気にオープンβから参加していたこともありそこそこ古参と言っていいポジションにいたりする、俺は親友のユートがギルドマスターをしているギルド「アルティメットソルジャー」に所属していてサブマスターとして活動している。
今日はギルドのメンバー６人で待ち合わせをして、ダンジョン最下層のボスである「鋼の巨人ラインマン」を倒す予定だ。

最下層につきラインマンとの戦闘に入る前のムービーをみていたところでトリップ発生、
俺たちアルティメットソルジャーはゲーム内に取り込まれたのである。

メンバーはこちら
ギルドマスター ユート 聖騎士
サブマスター ヘイボン 賢者
メンバー１ 犬＠大好き ビショップ
メンバー２ †玄人† 刀匠
メンバー３ 猫＠大好き アサシン
メンバー４ Bob バーサーカー

犬派と猫派が混在するパーティーになってしまったが、リアルの二人はご夫婦のようで特にパーティープレイに支障はおきていない、ちなみに犬の方が旦那さんで猫の方が奥さんだ。

「このタイミングでトリップしてしまうとは思わなかったが、これもいい経験だ！いつもと感覚が違うかもしれないが奴を倒すぞ！」リーダーであるユートがヘイトを稼ぐスキル「挑発」を使いながらパーティーメンバーに指示を出す。

「僕が敵を引き付けるから、†玄人†さんとBobさんが隙をみて攻撃！
猫さんは背後に回って奴を牽制、ヘイボンは奴の弱点属性の炎魔法で大ダメージを狙って！
犬さんは防御魔法で支援しつつHPの減ったメンバーに回復を、ヘイト稼ぎすぎに気をつけて！
アルティメットソルジャー、行くぞっ！」

「「「「おぅ！」」」」
さすがギルマスなだけあってユートの指示はなかなかのものだ、俺達も俄然テンションが上がってやる気が漲ってきた。



Bob「What？」



このゲームは簡易翻訳チャット機能がついていて普段はそれを使って海外の人達と一緒に遊ぶ事ができるのが一つの売りになっていた、たしかBobさんはお米の国の人だ。
トリップによってその機能は使用される事はなかったようで、英語の出来ない俺達はBobさんに意思を伝えるすべをもたなかった…


バーサーカーであるBobさんが雄たけびをあげながら突っ込んで逝った。