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69.聞き込み
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次の日の、俺は朝一番で商業ギルドへとやって来た.
「えーと、こういう場合はどうすればいいんだ?」
ずらりと並んだ窓口を眺めて、俺は小さくつぶやいた。
「あ!マモルさん。おはようございます!」
すると、ひとつの窓口から声をかけられた。
『その他ご相談』と書かれた窓口に、このあいだピザのレシピを登録した時に対応してくれた職員さんがいて、手を振っていた。
確かルシアちゃんと言ったか。
「あ、ルシアさん。おはようございます」
「このあいだは、ありがとうございます!ピザめちゃくちゃ美味しかったです!」
席につくと、満面の笑顔で言ってきた。
「それはよかったです!・・ギルマスにはバレなかった?」
「大丈夫でした!」
俺が小声で聞くと、小声で返してきた。
「ハハハ」
「それで、今日はどうされました?」
「実はこいつなんですけど・・・」
俺はそう言って、60cm くらいの長さで高さが50cmくらいの大きさの籠バックを取り出した。
ここにくる前に、ザイル婆さんの所に寄って、調達して来たのだ。
ゆうべ、ザイル婆さんが店にあるって言っていたからさ。
「キャン」
「え?」
籠バックを台の上に置いた瞬間、中から鳴き声がした。
「昨夜、保護しまして・・」
蓋を開けると、中から尻尾をブンブン振った仔犬が姿を現す。
「犬?」
「ええ」
「ど、どうしたんですか?」
「ですから、ゆうべ帰宅途中で着いてきちゃったんですよ」
「はあ」
「で、もしかしたら飼い犬かもしれないと思いまして、こちらで何か情報でもあればと・・」
「あ~そういうことですか!承知いたしました。少々お待ちください」
ようやく合点がいったのか、彼女は奥の棚へと下がって行った。
「お待たせしました!こちらが、ペットを飼っていらっしゃる方達の名簿です」
「そ、そんなのがあるんですね」
「はい。きちんと管理しておかないと、魔獣化とか色々と問題が出ないとも限りませんので」
やっぱりそうなんだ・・。
「・・犬を飼っているのは5軒ですか。やっぱり意外と少ないんですね」
「そうですね。野生化すると、オオカミの群れに混ざっちゃうんで・・」
「なるほど・・毛色からすると、この犬だけですけど」
「でも、耳はたれていないみたいですよ」
「そうですね。それに2歳か・・明らかに違うな」
「どうやら登録されているものの中には無いみたいですね」
「そのようだね・・」
俺たちの落胆をよそに、仔犬は相変わらず尻尾をブンブン振っている。
「冒険者ギルドで、テイムされている獣を確認してみてはどうですか?」
「ああ、行ってみるよ・・」
その後、冒険者ギルドで確認したところ、該当する情報はなかった。
「仕方ない。残るは村長の所か・・」
「えーと、こういう場合はどうすればいいんだ?」
ずらりと並んだ窓口を眺めて、俺は小さくつぶやいた。
「あ!マモルさん。おはようございます!」
すると、ひとつの窓口から声をかけられた。
『その他ご相談』と書かれた窓口に、このあいだピザのレシピを登録した時に対応してくれた職員さんがいて、手を振っていた。
確かルシアちゃんと言ったか。
「あ、ルシアさん。おはようございます」
「このあいだは、ありがとうございます!ピザめちゃくちゃ美味しかったです!」
席につくと、満面の笑顔で言ってきた。
「それはよかったです!・・ギルマスにはバレなかった?」
「大丈夫でした!」
俺が小声で聞くと、小声で返してきた。
「ハハハ」
「それで、今日はどうされました?」
「実はこいつなんですけど・・・」
俺はそう言って、60cm くらいの長さで高さが50cmくらいの大きさの籠バックを取り出した。
ここにくる前に、ザイル婆さんの所に寄って、調達して来たのだ。
ゆうべ、ザイル婆さんが店にあるって言っていたからさ。
「キャン」
「え?」
籠バックを台の上に置いた瞬間、中から鳴き声がした。
「昨夜、保護しまして・・」
蓋を開けると、中から尻尾をブンブン振った仔犬が姿を現す。
「犬?」
「ええ」
「ど、どうしたんですか?」
「ですから、ゆうべ帰宅途中で着いてきちゃったんですよ」
「はあ」
「で、もしかしたら飼い犬かもしれないと思いまして、こちらで何か情報でもあればと・・」
「あ~そういうことですか!承知いたしました。少々お待ちください」
ようやく合点がいったのか、彼女は奥の棚へと下がって行った。
「お待たせしました!こちらが、ペットを飼っていらっしゃる方達の名簿です」
「そ、そんなのがあるんですね」
「はい。きちんと管理しておかないと、魔獣化とか色々と問題が出ないとも限りませんので」
やっぱりそうなんだ・・。
「・・犬を飼っているのは5軒ですか。やっぱり意外と少ないんですね」
「そうですね。野生化すると、オオカミの群れに混ざっちゃうんで・・」
「なるほど・・毛色からすると、この犬だけですけど」
「でも、耳はたれていないみたいですよ」
「そうですね。それに2歳か・・明らかに違うな」
「どうやら登録されているものの中には無いみたいですね」
「そのようだね・・」
俺たちの落胆をよそに、仔犬は相変わらず尻尾をブンブン振っている。
「冒険者ギルドで、テイムされている獣を確認してみてはどうですか?」
「ああ、行ってみるよ・・」
その後、冒険者ギルドで確認したところ、該当する情報はなかった。
「仕方ない。残るは村長の所か・・」
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