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60.下ごしらえ

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「トマテにソラミ、モッチリラシーズ、小麦粉に塩とオイル。それから、『アトラスの牙』が採取してきてくれたビジルの葉・・よし、これで材料は揃ったな」

俺は『収納』から集めたピザの材料を取り出して、調理台の上に並べた。

そういえば、この塩は岩塩を細かくすり潰したもので、結構高かった。

この世界(大陸?国?)では、どうやら海水から塩を取り出す製塩方法は発達していないらしく、塩といえば岩塩みたいだ。

当然、採掘やその権利、運送費などで結構高価な物らしい。

それから、オイルはオリーブオイルに似た植物性のオイルだ。

原材料となる実は、アボガドの様なゴツゴツした大きな実なのだが、ガドの実というらしい。

舐めてみると、まんまオリーブオイル、それもエクストラバージンオリーブオイルの味と香りがした。


「さて、始めるか」

「はやく、早く!」

「お、おう!」

隣には、ネイサンとミミがいる。

ネイサンは、ピザの作り方を覚えるためにここにいるので問題ない。

それに、ドンクさんに作ってもらった石窯の使い方が、俺では分からない。

その点、ネイサンは料理を覚えるために、パン屋の仕事を手伝ったことがあるので助かった。

じゃあ、なぜミミがいるのか?

まあ要するに、たまたま遊びに来ていて、俺がまたなんか面白そうなことを始めそうなので、ワクワクしながら隣で見ているということだ。

言い忘れてたけど、収納魔法については『アトラスの牙』のメンバーには教えてある。

もう、一応従業員みうちだし。


「まずは小麦粉に水を入れて、ガドオイル を少しづつ加えて粉っぽさが少なくなるまで混ぜる」

「へー、オイルを混ぜるんだ」

ネイサンが感心している。

「オイルを加えたパンとかは無いのか?」

「ああ、聞いたことがないな」

そうなのか・・材料があるんだから、ありそうなもんだけどな。

「そしてこれに塩を加えて、ここにパン屋から買ってきた生地ダネを混ぜ込む。そうしたら全体が綺麗にまとまるまで2分程度捏ねる」

「フンフン!」

ミミは分かっているのか、調理台の上を爪先立ちになりながら覗き込んでいる。

イースト菌をどうしようかと思っていたら、パン屋が生地ダネとして代々伝えているものがあって、一般家庭にも家で作れるように販売していることが分かったのだ。

「まとまった生地に湿らせた布をかぶせ、しばらく置いて発酵させる」

「「ハッコウ?」」

ネイサンとミミが同時に首をかしげる。

「ああ~、生地を寝かせて休ませるんだ」

「オネンネさせるとどうなるの?疲れてるの?」

「ハハハ、疲れているわけではないよ。寝かせると大きくなるんだ」

「おっきくなるの?!じゃあ、ミミもオネンネしなきゃ!!」

「今は、いいんじゃないか?今晩、夜更かししないでちゃんと早く寝ればいいと思うぞ」

まあ、寝る子は育つって言うから、あながち間違いじゃないかもしれんが。

「次は、ソース作りだ」

俺は、トマテの皮を剥いて細かく刻んでいく。

「ネイサン。昨日、頼んでいたやつあるかい?」

「ああ、今朝市場で買ってきた。これだろ?」

ネイサンが、袋に入った物を調理台の上に並べる。

ぱっと見は、玉ねぎだ。

だが、これの皮を剥いていくと中から巨大なニンニクの様なものが出てくる。

それをナイフで半分に割ってみる。

「ウン、ニンニクだ」

「マモルさん、ニンニクじゃなくカーリックだ」

もう、ネーミングのセンスには何も言うまい・・。

「これをみじん切りにして・・トマテと一緒に鍋に入れ、塩を入れて煮詰める」

あとは、シーズとソラミを適当に刻んどいて準備は完了だ!

「よし、あとは生地を伸ばして材料を載せて焼くだけだ。ネイサン、石窯の方の具合はどうだい?」
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