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48.新企画第1弾

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銭湯のオープンから1ヶ月あまり、1日の利用者数は約250人程度で安定している。

この村の人口は、おおよそ500人くらいだと村長に聞いているので、その半数が毎日通ってくれていることになる。

ちなみに村の人口は一般的には、100人~1000人程度で、辺境に行くほど小規模となるのが普通らしい。

それからすると、この村の人口500人というのは、辺境とはいえ言うほど小さい訳では無い。

街道沿いでも有り、領都から商人も通う中程度の規模の村ということみたいだ。

さらにちなみに・・・。

お勉強大好きなポールが言うには、人口の大きさによって大体次のように言えるらしい。

100人以下は集落

100人~1000人が村

1000~10000人が町

10000~50000人が都市

50000~500000人が領都

500000~1000000人が各国の王都

そして、1000000人越えは、大陸の西側にある国、ウエス帝国の王都だけだそうだ。

反対に、大陸の東側にある国、イーサン皇国の皇都は500000人と最も少ない。

一方で、大陸の南側にある国、サウザン共和国の首都は800000人で、この世界2番目の大きさだ。

そしてこの村のある、大陸の北の国、ノーザン王国の王都は700000人と、大きくもなく、かと言って小さくもない都だそうだ。

世界全体の人口は、およそ5億人とも10億人とも言われ、はっきりとは分からないというのが実際のところみたいだ。

なぜなら、前にもネイサンが言っていた、大陸の東西南北の海上にある島々に、果たしてどれくらいの人々が暮らしているか、各国とも把握していない(できない)かららしい。


・・そんなわけで、銭湯の入浴料金は1人1回300セムと、毎日となると高くもないが安くもないのに、日々通ってくれる人たちが村の半数もいるというのはありがたいことだ。

ましてや、エールは1杯800セムだし、果実水は1杯200セムと割高にしているにもかかわらず、毎日完売だったりする。

元手は今のところ、そのエールと果実水の仕入れ金と、ザイル婆さんとリンたちへの日当だけなので、儲けはだいぶ出ている。

この調子で行くと、1年かからずにドンクさんたちに支払った額の元は取れそうだ。

もっとも、支払った銀塊自体が魔法で造ったものなので、元から元は取れている(変な言い方・・)のだけど。


「ただなあ・・」

ずっとただのお湯の風呂というのも、盛り上がりに欠けるなあ・・。

別に銭湯なんだから、それはそれで構わないのだけれど、変わらないのも一つのナントカというし。

「それでもなんか、こう、企画を考えたい!」

これも一つの職業病なんだろうな。


そんなことをグダグダ考えながら、市場を歩いていると・・。

「よう、フロ屋のあんちゃん!」

声をかけられた。

「旬のミズが入荷したんだが、どうだい!?」

「ミズ?山菜の?」

見ると、八百屋さん・・ではなく果物屋さんのようだが・・。

「何言ってんだあんちゃん、山菜なわけないだろ!ミズだよ、ミ、ズ!」

果物屋のおっちゃんが両手で持ち上げたのは、どうやら柑橘系の果物のようだけど・・。

「デカイ・・ザボン?」

「ザボン?なんだそりゃ。ミズだって言ってるだろ!ほら、香りを嗅いでみな」

おっちゃんが差し出した果物に鼻を近づけた。

「あ~、ユズですね!」

「はあ?だからミズだ!」

「ああハイハイ、ミズですね」

それは、懐かしい柚子の香りがした。

これはいい!

「すいません、これをあるだけください!」

「え?ぜ、全部かい?」

「ええ、全部です」

「わ、わかった。毎度ありい!!」


「マモルお兄さんこんばんわー!」

「ようミミ、いらっしゃい!」

「あれえー?なんか良い匂いするー!」

「だろう?今日はミズ湯だからな!」

「ミズユ?」

「そう、ミズ湯。お風呂にミズの実を浮かべてあるんだ」

「へー」

「香りがいいからリラックスできるし、身体も丈夫になるんだぞ」

「へーー」

わかってのかな?

「それとな、お肌もスベスベになるんだ」

「え?お肌が!」

それまで横で、ニコニコとしながら俺たちのやりとりと眺めていたミーナさんが、突然くいついてきた。

「は、ハイ。そういう効果もあると言われています」

「そうなんですか!ミミ、早く入りましょう!」

「あ、お母さん待って!」

これはもしかして、やらかしたかもしれない・・・。

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