開湯!異世界温泉『ふじの湯』 もらったスキルは『温泉』だった??!

西八萩 鐸磨

文字の大きさ
上 下
29 / 98

29.マズっ!

しおりを挟む

「おう、坊主。見てきたか?」

1階に戻ると、ドンクさんが男湯の中で何やら寸法を計りながら聞いてきた。

「ええ、とても立派に出来ていて驚きました」

「だろ、あれでいつでもこっちで仕事ができると思うぞ」

「ありがとうございます。ところで、今やっていた作業は?」

「ああ、これか?浴槽って言ったか?それを据え付ける位置を確認していたところだ」

部屋の入り口から入って真正面の奥側の壁際に、幅約5m、奥行約4mの長方形の印が床に描かれている。

「こうして室内に描いてみると、意外と大きいものですね」

「そうだな」

あそこに浴槽がきて、こちら側が洗い場か・・。

「そうすると、こっちの壁に蛇口が・・・あ・・」

シマッタ!

この世界(村?)に水道は無いんだった。

どうしよう。

それと・・・。

「マズっ!」

「どうした?」

「あ、いえ・・」

排水、どうしよう?

基本的に、この世界(村?)では水の使用量が少ないから、汚水は家の外に捨てれば済むんだよな。

トイレは、共同の『ぼっとん』便所だし。

今まで作った風呂のお湯も、俺が魔法で消してまわってたし。

「ドンクさん、今から設計変更ってできますか?」

俺は意を決して、聞いてみた。

「あん?それは、内容によるな」

ですよね。

まずは、貯水タンクだな。

「実はですね、こっちの壁に管の様なものを取り付けたいんですよ。」

「管だあ?」

「ええ。で、その管を屋根の上までつなげます」

「屋根の上に?そんなことしてどうするんだ?」

「屋根の上には、お湯を貯める縦横高さ2mの箱を作っておきます」

「なんだ、屋根の上にも風呂を作るのか?」

「いえ。この箱にさっきの管をつなげるんです。そして、こっちの管の出口のところに、手で操作すると管を通ってきたお湯を、出したり止めたり出来る仕組みを付けるんです」

「ん~その仕組みってのはちょいと難しいが、出来ないことはねえだろう。だが、そりゃあ何なんだ?」

「その出てくるお湯を使って、身体や頭、顔何かを洗うんです」

「お湯なら浴槽に入っているじゃねえか」

「そっちのお湯を、みんなで使ったら無くなっちゃうじゃ無いですか」

「ああ、なるほどな」

「ただ、ちょっと心配なのが、屋根の上にそんな重いものをのせて大丈夫かどうか何ですが・・」

「その辺は大丈夫だ。支えをしっかり補強すりゃあいい」

プロに任せれば大丈夫か・・。

「分かりました。お願いします」

それから、排水だな。

「それから、その浴槽の下にですね、同じくらいの大きさの箱を作れますかね?」

「床下にか?」

「ええ」

「何とかなるだろ。でも何に使うんだ?」

「さっき言ったとおり、こっちで身体を洗ったりすると、その時のお湯とか浴槽からあふれたお湯とかが、こっちの床に流れますよね?」

「そりゃそうだな」

「その使用済みのお湯を、一旦その箱に貯めるんです。で、後で私が魔法で消して処理します」

「なるほど、分かった。作ってやる」

「ありがとうございます!」

「仕様の変更分はあとで請求するからな」

「了解です!」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十
ファンタジー
異世界で何で魔法がやたら発展してるのか、よく分かったわよ。 戦争の為?。違う違う、トイレよトイレ!。魔法があるから、地球の中世ヨーロッパみたいなトイレ事情にならずに済んだらしいのよ。 で、偶然現地で見付けた微生物とそれを操る魔法によって、私、宿角花梨(すくすみかりん)は、立身出世を計ることになったのだった。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

召還社畜と魔法の豪邸

紫 十的
ファンタジー
魔法仕掛けの古い豪邸に残された6歳の少女「ノア」 そこに次々と召喚される男の人、女の人。ところが、誰もかれもがノアをそっちのけで言い争うばかり。 もしかしたら怒られるかもと、絶望するノア。 でも、最後に喚ばれた人は、他の人たちとはちょっぴり違う人でした。 魔法も知らず、力もちでもない、シャチクとかいう人。 その人は、言い争いをたったの一言で鎮めたり、いじわるな領主から沢山のお土産をもらってきたりと大活躍。 どうしてそうなるのかノアには不思議でたまりません。 でも、それは、次々起こる不思議で幸せな出来事の始まりに過ぎなかったのでした。 ※ プロローグの女の子が幸せになる話です ※ 『小説家になろう』様にも「召還社畜と魔法の豪邸 ~召喚されたおかげでデスマーチから逃れたので家主の少女とのんびり暮らす予定です~」というタイトルで投稿しています。

白と黒

更科灰音
ファンタジー
目を覚ますと少女だった。 今までの日常と同じようで何かが違う。 のんびり平穏な暮らしたがしたいだけなのに・・・ だいたい週1くらいの投稿を予定しています。 「白と黒」シリーズは 小説家になろう:神様が作った世界 カクヨム:リーゼロッテが作った世界 アルファポリス:神様の住む世界 で展開しています。

ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉
ファンタジー
底辺冒険者クロードは転生者である。しかしチートはなにひとつ持たない。だが救いがないわけじゃなかった。その世界にはスキルと呼ばれる力を後天的に手に入れる手段があったのだ。迷宮の宝箱から出るスキルオーブ。それがあればスキル無双できると知ったクロードはチートスキルを手に入れるために、今日も薬草を摘むのであった。

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。 目覚めると彼は真っ白な空間にいた。 動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。 神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。 龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。 六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。 神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。 気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...