開湯!異世界温泉『ふじの湯』 もらったスキルは『温泉』だった??!

西八萩 鐸磨

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25.発注と交渉

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銭湯を作る場所は、中央広場に面した2階建の大きな建物に決まった。

なんでも昔、領都の商人が支店を出した時に建てた建物だそうだ。

ところが、これからって時にその商人が何かの事件に巻き込まれて、没落してしまい、その建物は村の所有物として、ハサンさんが管理していたらしい。

管理って言っても、村人でそんな大きな建物を維持できる人もおらず、仕方なく時々みんなで持ち回りで掃除をしていただけみたいだ。

だから、俺がドンクさんに払うのは、建物の改装工事費と、浴槽の製作設置費だけだった。

それでも・・。

「そうだな・・改装工事費が300万、製作設置費が200万、全部でしめて500万セムってとこだが・・・」

ペンとインクつぼを借りて、羊皮紙に浴室(当然男女別)や脱衣所、内装について色々と注文を書き込んだら、結局まんま銭湯になってしまった。

それを見たドンクさんは、これまた色々と事細かに確認してきた。

そして、結果言ってきたのが前言の金額だった。

「やっぱり結構しますね」

俺は、そう言ってため息をついた。

覚悟はしてたけど、例の方法で大丈夫かな?

「ねえ、ドンクじいちゃん。そんなにするの?」

俺が、ドンクさんに鉱物類の買取について相談しようとした矢先、ミミが横からドンクさんに抱き着いてきて、上目遣いに言った。

でた!

必殺のミミスペシャル!

「・・と言いたいところだが、ミミちゃん価格で250万セムでいいぞ」

まさかの半額?!

恐るべし、小悪魔パワー・・。

「あ、ありがとうございます!」

俺は速攻あたまを下げた。

「それで、支払いなんですが、これで支払うことってできますか?」

そう言って、銀塊を6.5kg生成して取り出した。

「ん?坊主、いまそれを何処から取り出した?」

あ、まず。

「え?ああ、収納魔法ですよ。あんまり、みんなに言わないでくださいね。色々とまずいんで」

「なるほど、珍しい魔法を使えるんだな。たしかに、他のものに知られると余計な騒動になるからな」

「ええ、そうなんですよ。だから、おねがいしますね」

「わかった」

好きな鉱物を、自在に生成できるなんて魔法を知られたら、それこそこの世界の経済が崩壊するからな。

それだったら、持っている人は持っている、収納魔法の方が10倍マシだ。

「で、支払いなんですが、この銀塊でってことでどうでしょう?足りなければもう少し足しますが」

「いや、これでいい。ダンク兄貴のところに持っていけば、換金してくれるからな」

「よかった!ありがとうございます」

「ありがとう!ドンクじいちゃん大好き!!」

ミミにギュッと抱き着かれたドンクさんの笑顔は、とうとうとろけ落ちてしまった。



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