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17.幸せの一杯

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あれから1週間、俺は毎日ひと風呂浴びて寝るのが日課になっていた。

昼間は、だいたい1日6~7人くらい怪我人や病人を診ていた。

意外とそれなりに患者が途切れない。

日額20000セム弱の収入なので、そこそこの金額が貯まってきた。

「明日は、休業日にするかな」

この世界に来て以来、必死に動いてきたので久々に休みを取ってもいいよな。


俺はその日の診療が終わると、本日休診と書いた札を集会所の入り口にぶら下げて、酒場へと向かった。

「いらっしゃい!」

酒場に入ると、威勢の良い声をかけられる。

スキンヘッドに口髭のいかつい感じのマスターが、皿を磨いている。

「空いている席に座んな」

ぱっと見の印象と裏腹に、意外と優しい笑顔でアゴをしゃくってくれる。

「あ、いえ。ちょっと聞きたいんですけど、エールって樽で売ってくれたりします?」

宿でもエールは出しているのだが、小売りはしていないらしい。

で、シンシアさんに相談したら、酒場なら売ってくれるかもしれないと言われたのだ。

「樽でか?・・・まあ、良いけどよ。ここで飲んでいけば良いじゃねえか」

「え、ええ。今晩は飲んで行きますけど、持ち帰りもお願いしたいんです」

「ふーん、いいぜ」

「ありがとうございます!」

よし!

俺は、その場で木のジョッキ2杯のエールを飲んだ後、10L入りの樽を購入して宿へと戻った。



次の日、昼の直前に市場へ向かい、俺は屋台や出店をまわって色々な種類の串焼きなど、ツマミになりそうな物を物色した。

そして、宿へと持ち帰るといそいそと、例の準備を始めた。

タライを出して、お湯を張る。

ツマミを並べる。

「エールを用意して・・」

それとジョッキね。

これも、さっき市場で買ってきた。

「さて!」



「いいねー!」

休日の昼間から、風呂に入ってエール(ビール)を飲む!

「最高じゃないか!!」

まあ、串焼きの味付けが塩味とよく分かんない香草だけってのが、心残りだけど。

どうやらこの世界に、胡椒は無いみたい。

「というか、俺が出会ってないだけか?」

だといいな。


「ぷはーー!」

いいねえ・・・。

「いいんだけど、冷えてるエール(ビール)が飲みてえ・・」

『ピコン』

「もしかして?」

◇◇◇◇◇◇◇◇
名前 マモル
種族 人族
年齢 25
レベル 11
体力 101/111
魔力 1020/1100
スキル 【温泉】
〈水魔法〉
水を生成し消滅することができる。
レベル11で最大110L
消費MP1(生成・消滅セットでも片方でも消費MP1)

〈火魔法〉
熱を操ることができる。
レベル11で110kgの水を最大プラスマイナス36度の熱を操れる。
消費MP1

〈土魔法〉
任意の鉱物を生成することができる。
レベル11で10種類最大110kg
消費MP10

〈回復魔法〉
あらゆる症状を癒すことができる。
レベル11で高レベルの傷病の治癒
消費MP10

〈収納魔法〉
時間停止で物を収納できる。
生物不可。
レベル11で民宿程度の容量
消費MP1

〈解析魔法〉
水に含まれる成分および温度を分析できる。
レベル11で上限10種類
消費MP1

◇◇◇◇◇◇◇◇

レベルも10を越えたし、色々と大変なことになっているが、ここはスルーしてだね・・・。

「火魔法が求めてた通りに進化しましたね」

ただ、水限定なんだよね・・。

ダメもとでやってみるか。

「クーリング、アナライズ」

・・15度、10度、8度、5度。

「できたじゃん!」

液体ならいけるのか?

超便利じゃん!

さてさて・・・。

「うぐっ、うぐっ、ぷはぁーー!」

うめーーーー!!

こんな幸せなことがあるだろうか?!

「よし、もう一杯!」







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