開湯!異世界温泉『ふじの湯』 もらったスキルは『温泉』だった??!

西八萩 鐸磨

文字の大きさ
上 下
9 / 98

9.お買い物

しおりを挟む

「これでようやく落ち着いて行動できるな」

ベイルの宿にチェックインした俺は、まだ日が高い(というか昼前だ)ということもあり、宿の外に出た。

「マモルおにいさん、これからどこに行くの?」

雑貨屋と宿に案内してくれたハサンさんとはすでに別れており、一緒についてきたミミがトコトコと並んで歩きながら聞いてきた。

「そうだなあ・・この服をなんとかしないとかな」

俺は来ているスーツを眺めて言った。

転移なのか転生なのかわからないけど、持ち物と服はそのままこっちの世界に来たんだな。

「その服、不思議な服だよね~。ミミも生まれてから一度もそんな服、見たことないもん」

5才児に『生まれてから一度も』って言われても、微妙なんだが・・。

でも。

「たしかに、周りの人たちから注目浴びてる気がするものなあ」

「だったら、新しい服を買って着替えたらいいんじゃない?」

ミミが二かっと笑った。

「新しい服か!それはどこで売っているんだ?」

「う~んとね、さっきのザイルばあちゃんの店!」

「ああ、さっきの雑貨屋さんか」

「そう!」

「じゃあいってみるか」

「は~い」

俺たちは、さっき銀塊を換金した雑貨屋に向かった。




「ごめんください」

「ザイルばあちゃん、また来たよー!」

店に入ると、それほど広くない店内なんだけど、色んな商品が所狭しと陳列してある。

「おや、どうした?わすれものかい?」

帳場のカウンターに、商品に埋もれる様に座っているザイル婆さんが、眠たげな眼をあげた。

「ええ、忘れ物というか、服を買いたいと思いまして」

「ああ、そのなりじゃあな。男物の服はそっちの角にあるから、適当に選んで持ってきな」

ザイル婆さんは、持っていた短い杖で店の反対側の角を指示して言った。

「わ、わかりました」

「ミミがえらぶー!」

俺が戸惑いながら、そちらの方に行こうとすると、ミミがなにやら嬉しそうに向かっていった。

俺は苦笑しながら、そのあとを追った。

「う~ん、これかなー?それともこっちかなー?こっちもいいよねー」

うずたかく積まれている服の山に突入したミミは、その中でゴソゴソとなにやら掘りだしていた。

「ミミ、売り物をあんまり乱暴に扱うと・・」

「あったー!これーー」

服をつかんだ右手を突き上げて、服の山から飛び出したミミが叫んだ。


「へー、なかなかいいな」

ミミの持ってきた服を試着し、俺はつぶやいた。

「でしょー?」

超得意げな顔をして、ミミが二かーっと白い歯を見せる。

「決まったかの?」

「はい、これにします。お代はいくらですか?」

「8500セム」

げっ、残金が1500セムになっちまう。

また銀塊でも売るか?

「その靴と、着ていた服を買い取ってもよいぞ。そうじゃな、全部で50000セムでどうじゃな?」

所持金が少ないのはバレバレだものな。

「分かりました。じゃあ、新しい靴もください。それと、下着みたいなのってありますか?」



「結構買ったなあ」

店を出た俺は、両手にぶら下げた荷物を見て言った。

結局、替えの分の服とか下着とか、身の回りの雑貨とか・・それからミミにお礼のプレゼントで帽子とか色々買ったのだった。

「えへへ~」

ミミはご満悦である。

こりゃあ、持って帰るの大変だ。


『ピコン』



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。 目覚めると彼は真っ白な空間にいた。 動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。 神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。 龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。 六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。 神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。 気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

追放されたら無能スキルで無双する

ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。 見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。 僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。 咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。 僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!

ダンジョンブレイクお爺ちゃんズ★

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
人類がリアルから撤退して40年。 リアルを生きてきた第一世代は定年を迎えてVR世代との共存の道を歩んでいた。 笹井裕次郎(62)も、退職を皮切りに末娘の世話になりながら暮らすお爺ちゃん。 そんな裕次郎が、腐れ縁の寺井欽治(64)と共に向かったパターゴルフ場で、奇妙な縦穴──ダンジョンを発見する。 ダンジョンクリアと同時に世界に響き渡る天からの声。 そこで世界はダンジョンに適応するための肉体を与えられたことを知るのだった。 今までVR世界にこもっていた第二世代以降の若者達は、リアルに資源開拓に、新たに舵を取るのであった。 そんな若者の見えないところで暗躍する第一世代の姿があった。 【破壊? 開拓? 未知との遭遇。従えるは神獣、そして得物は鈍色に輝くゴルフクラブ!? お騒がせお爺ちゃん笹井裕次郎の冒険譚第二部、開幕!】

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった

根上真気
ファンタジー
高校生活初日。神社の息子の八十神は異世界に転移してしまい危機的状況に陥るが、神使の白兎と凄腕美人魔術師に救われ、あれよあれよという間にリュケイオン魔法学園へ入学することに。期待に胸を膨らますも、彼を待ち受ける「特異クラス」は厄介な問題児だらけだった...!?日本の神様の力を魔法として行使する主人公、八十神。彼はその異質な能力で様々な苦難を乗り越えながら、新たに出会う仲間とともに成長していく。学園×魔法の青春バトルファンタジーここに開幕!

処理中です...