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20.法技 眷属の使役!その1 東勝神洲を守護 持国天
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「でもさあ、召喚ってどうやるんだ?」
『最初に四天王の名を呼んで、そのあと使役したい眷属の名を呼べば良いのじゃ。』
「ん?あめみな?あーー!絶対、言ってゆくの忘れたんでしょ?ねー、ねー。」
『・・・・。』
「あ、無視した。」
・・そうか、ということは最初は持国天だな。
まずは、広いところに出よう。
俺は、獅子の岩窟から出ると、少し開けたところを探して、右手を前方にかざした。
(あ、右手をかざしたのは、気分的なものです。特に意味はありませんって、誰に言ってるんだろう?)
「धृतराष्ट्र(持国天)!」
その瞬間、一瞬あたりが白く耀くと、その中央に人型が浮かび上がる。
赤ら顔で髪を高く結い上げ、目は見開いて睨みつけ、口はカッと開いている。
右手を腰に当て、左手には刀を持ち振り上げている。
全身は革製の甲冑を着て、足元には邪鬼が踏みつけられている。
俺は、あまりの迫力に一瞬怯んだものの、すぐに気を取り直して、続けてその眷属を召喚する。
「गंधर्व(乾闥婆)!」
今度は、持国天の右目がひかり、そこから何かが出現した。
すると、あたりには、なんとも言えない香しい香りが漂い、心地よい音楽が流れ始めた。
現れたのは、上半身が頭に八角の角を生やした美少女で、その背には黄金に耀く鳥の翼を持ち、下半身はやはり羽毛を生やした鳥の足の姿をしていた。
美しいその顔は、白磁のように色白で、瞳は琥珀色をしていた。
「次は、पिशाच(毘舎遮)!」
持国天の左目がひかった。
今度は、あたりに肉の腐ったような腐臭が漂いだした。
現れたのは、血管が浮き出ている上に何も着ていないその肌は、ヌメヌメと怪しくひかり、充血した真っ赤な目、恐ろしい牙が無数に生えた真っ赤な口を大きく開けた、異形の怪物だった。
「グ、グール!」
俺は、思わず鼻をつまんで、1、2歩後ずさった。
「く、臭っ!」
「ちょっと、初対面でその態度は失礼ね。乙女に対してその言いぐさはないでしょう!」
顔をそむける俺に、そのグールが文句を言ってきた。
「だって、しょうが無いじゃない。ビーちゃん、腐肉食べてきたばっかなんでしょう?」
半人半鳥の美少女が、グール・・いや、ピシャーチャを宥める。
その瞬間、さっきとは違う調べが流れる。
「あ、あの。お二人さん?」
「あら、ごめんなさいね。お初にお目にかかります。わたくし、持国天さまの眷属、ガンダルヴァと申します。ガンダって呼んでね。香りと音楽、お酒を司っているわ。」
置いてけぼりを食らいそうになった俺は、おずおずと声をかけた。
すると、琥珀色の瞳をこちらに向けて、ガンダルヴァがにっこりと微笑みながら挨拶をしてきた。そして、最後にウインクをしてきた。
「よ、よろしく。」
転生して以来この方、周りにいる女っ気といえば、母親の玉ちゃんか、乳母のおせんくらい(いつものメンバーは、全員男だし)だったので、久しぶりの若い女の子、それもとびきりの美少女に、少しばかり戸惑ってしまった。
もっとも前世(安倍真名)では、姉(内科医)と妹(高校生)がいたから、免疫はあるんだけどな。
「いつまでそっちばっかり見てるのよ。こっちも相手にしなさいよ。」
ガンダルヴァの笑顔に呆けていた俺に、向かって左の方から、抗議の声が聞こえてきた。
「ごめん、いま、取り込み中。」
「もー!理解ったわよ、この姿がいけないんでしょう。これでどうよ?」
ピシャーチャがそう叫ぶと、その場で宙返りをする。
叫び声に思わずそっちを見た。
するとそこには、白い長い髪と深紅の瞳の、革製のビキニアーマーを着た、美少女が立っていた。
腐臭も、心なしかしなくなったような気がする。
「やればできるじゃん。」
「そ、それだけ?」
内心驚いていたが、なぜかそんな態度をとってしまった。
「まあいいわ、あたしも持国天さまの眷属で、ピシャーチャ。確かに腐肉は食べるけど、グールみないな低魔と一緒にしないでね。この身を自在に変えるのが得意よ。みんなからは、ビーちゃんって呼ばれてるけど、あんたも特別に許可してあげるわ。」
ピシャーチャはそう言って、ピースサインをした。
・・・なんで、ピースサイン・・。
「俺は、佐伯真魚。二人ともこれからよろしくな。」
「もちろんよ。」
「しょうが無いわね。」
初対面の挨拶が終わると、「じゃあね、またね~」「どうしてもっていうなら、また来てあげるわ。」と言い残し、二人は虚空に消えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
はい、とりあえず一組めです。
本来は、基本的に男形なんですが、女形の場合もあるということで、ご了承ください。
(だって、昔の僧侶は基本、一生独身ですから、女っ気が・・・。)
今回もお読みくださいまして、有難うございました。
今後ともよろしくお願いします。
あと、ご感想お待ちしております!!
『最初に四天王の名を呼んで、そのあと使役したい眷属の名を呼べば良いのじゃ。』
「ん?あめみな?あーー!絶対、言ってゆくの忘れたんでしょ?ねー、ねー。」
『・・・・。』
「あ、無視した。」
・・そうか、ということは最初は持国天だな。
まずは、広いところに出よう。
俺は、獅子の岩窟から出ると、少し開けたところを探して、右手を前方にかざした。
(あ、右手をかざしたのは、気分的なものです。特に意味はありませんって、誰に言ってるんだろう?)
「धृतराष्ट्र(持国天)!」
その瞬間、一瞬あたりが白く耀くと、その中央に人型が浮かび上がる。
赤ら顔で髪を高く結い上げ、目は見開いて睨みつけ、口はカッと開いている。
右手を腰に当て、左手には刀を持ち振り上げている。
全身は革製の甲冑を着て、足元には邪鬼が踏みつけられている。
俺は、あまりの迫力に一瞬怯んだものの、すぐに気を取り直して、続けてその眷属を召喚する。
「गंधर्व(乾闥婆)!」
今度は、持国天の右目がひかり、そこから何かが出現した。
すると、あたりには、なんとも言えない香しい香りが漂い、心地よい音楽が流れ始めた。
現れたのは、上半身が頭に八角の角を生やした美少女で、その背には黄金に耀く鳥の翼を持ち、下半身はやはり羽毛を生やした鳥の足の姿をしていた。
美しいその顔は、白磁のように色白で、瞳は琥珀色をしていた。
「次は、पिशाच(毘舎遮)!」
持国天の左目がひかった。
今度は、あたりに肉の腐ったような腐臭が漂いだした。
現れたのは、血管が浮き出ている上に何も着ていないその肌は、ヌメヌメと怪しくひかり、充血した真っ赤な目、恐ろしい牙が無数に生えた真っ赤な口を大きく開けた、異形の怪物だった。
「グ、グール!」
俺は、思わず鼻をつまんで、1、2歩後ずさった。
「く、臭っ!」
「ちょっと、初対面でその態度は失礼ね。乙女に対してその言いぐさはないでしょう!」
顔をそむける俺に、そのグールが文句を言ってきた。
「だって、しょうが無いじゃない。ビーちゃん、腐肉食べてきたばっかなんでしょう?」
半人半鳥の美少女が、グール・・いや、ピシャーチャを宥める。
その瞬間、さっきとは違う調べが流れる。
「あ、あの。お二人さん?」
「あら、ごめんなさいね。お初にお目にかかります。わたくし、持国天さまの眷属、ガンダルヴァと申します。ガンダって呼んでね。香りと音楽、お酒を司っているわ。」
置いてけぼりを食らいそうになった俺は、おずおずと声をかけた。
すると、琥珀色の瞳をこちらに向けて、ガンダルヴァがにっこりと微笑みながら挨拶をしてきた。そして、最後にウインクをしてきた。
「よ、よろしく。」
転生して以来この方、周りにいる女っ気といえば、母親の玉ちゃんか、乳母のおせんくらい(いつものメンバーは、全員男だし)だったので、久しぶりの若い女の子、それもとびきりの美少女に、少しばかり戸惑ってしまった。
もっとも前世(安倍真名)では、姉(内科医)と妹(高校生)がいたから、免疫はあるんだけどな。
「いつまでそっちばっかり見てるのよ。こっちも相手にしなさいよ。」
ガンダルヴァの笑顔に呆けていた俺に、向かって左の方から、抗議の声が聞こえてきた。
「ごめん、いま、取り込み中。」
「もー!理解ったわよ、この姿がいけないんでしょう。これでどうよ?」
ピシャーチャがそう叫ぶと、その場で宙返りをする。
叫び声に思わずそっちを見た。
するとそこには、白い長い髪と深紅の瞳の、革製のビキニアーマーを着た、美少女が立っていた。
腐臭も、心なしかしなくなったような気がする。
「やればできるじゃん。」
「そ、それだけ?」
内心驚いていたが、なぜかそんな態度をとってしまった。
「まあいいわ、あたしも持国天さまの眷属で、ピシャーチャ。確かに腐肉は食べるけど、グールみないな低魔と一緒にしないでね。この身を自在に変えるのが得意よ。みんなからは、ビーちゃんって呼ばれてるけど、あんたも特別に許可してあげるわ。」
ピシャーチャはそう言って、ピースサインをした。
・・・なんで、ピースサイン・・。
「俺は、佐伯真魚。二人ともこれからよろしくな。」
「もちろんよ。」
「しょうが無いわね。」
初対面の挨拶が終わると、「じゃあね、またね~」「どうしてもっていうなら、また来てあげるわ。」と言い残し、二人は虚空に消えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
はい、とりあえず一組めです。
本来は、基本的に男形なんですが、女形の場合もあるということで、ご了承ください。
(だって、昔の僧侶は基本、一生独身ですから、女っ気が・・・。)
今回もお読みくださいまして、有難うございました。
今後ともよろしくお願いします。
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