日高見の空舞う鷹と天翔る龍 異界転生編

西八萩 鐸磨

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1.序

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 七年前の震災以来、ほとんど休みらしい休みが取れていなかったが、ようやくまとまった休暇がもらえた。


 震災特需などと言われるけれど、自衛隊や警察と同様に、発災直後から被災地に入って対策に奔走する建設コンサルタントという職業は、危険と隣り合わせなのは言うまでもなく、報道などで伝えられない当時の悲惨な状況が、強烈に心に刻み込まれる、過酷な仕事でもあった。


 入社1年目のペーペーだった俺も、今年で30歳になる。


 久々の長期休暇は、趣味の寺社巡りと決めていた。


 両親が、俺の出た地元仙台の大学の教授をしており、それぞれ専攻が密教と伊勢神道だったため、その影響で自然とそっち方面に興味が行ったのである。


 まあ、もともとうちのじい様とばあ様の出が、塩釜の神社とお寺っていうのも、血は争えないというか、そういう巡り合わせなのだろう。


 4年前の式年遷宮の時に、母親と来て以来の伊勢神宮の内宮--皇大神宮こうたいじんぐうに詣でたあと、俺は外宮--豊受大神宮とようけだいじんぐうを訪れた。


 そして、奈良の三輪山みわやま--大神神社おおみわじんじゃに参拝したあと、以前から訪れてみたかった、京都の神護寺じんごじに向かった。


 神護寺は、怪僧道鏡かいそうどうきょう宇佐八幡宮神託事件うさはちまんぐうしんたくじけんで主要キャストの一人、和気清麻呂わけのきよまろの和気氏の私寺だったのだが、実は天台密教と真言密教の開祖、最澄と空海にゆかりの寺でもあった。


 清滝川にかかる朱い欄干の橋を渡り、参道の階段を上っていくと楼門があり、まずは金堂にお参りした。


 境内を散策していると、金堂の右奥に、山中へと続く二筋の狭い道がある。


 小道の入口には、道しるべの石標が建てられており、「右 和気清麻呂公御墓参道」、「左」には性仁法親王・文覚上人の墓と記されている。


 何の気なしに、何かに導かれるまま、右の山道を登っていく。


 やがて目の前に、木の柵で囲まれた小さな土の盛り上がりが現れた。


 まるで古墳のようなその盛り上がりの上には、木が生い茂り、真ん中に小さな石碑が立っている。


 近づいてよく見ると、『贈正一位和気清麻呂公墓』と彫ってある。


 

 できるだけ近くで見ようと思い、囲んでいる木の柵に手をかけて、不安定な体勢で身を乗り出していたその時、足元がグラリと揺れて、柵を押し倒しながら一回転し、墓所内へ頭から倒れ込んでいった。


「わぁ~~~。」


 情けない声をあげて、必死で受け身をとろうとしていた回転する視界が、不自然に歪み、眩しい光に包まれた。


 「ぁああああああ~~~~・・・・・。」




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 息抜きのつもりで、始めてみました転生もの。

 はたしてものになるのでしょうか?

 よろしくお願いします。

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