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蒲公英の街(チェアルサーレ)
+ 中級魔導士: 美しさは壁
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※中級魔導士(土)のダリアン視点です。
蒲公英の街で芽芽が光の柱を立てた日の夜、王都では……。
*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*
詰んだ。完っ全に詰んだ。
だってさ! もう日が落ちたのに、今日も神殿の警備がちっとも緩くならないんだよ。
異変が始まったのは、三日前。うちの上司と財務長が突如として戻ってきた。
再来週末のかぼちゃ祭りまで、穀物街道でグウェンフォール様の捜索を行うフリをするんじゃなかったのか。
こっちは、その隙に神殿の伝説級魔道具を検分していくつもりで事を進めてたってのに! 僕があんなに苦労して予約したロザルサーレの宿も勝手にキャンセルしてくるし、何なんだよもう!
神殿の巡回だって、魔導士まで参加させられることになった。最近、えらく神経質になった神殿長が、『依然として竜騎士は王都の外に出払っておる故』って言ってるけど、ホント意味わかんない。
皆で一丸となって不正を暴こうと決意した矢先、神殿内部からも、神殿の外からも、宝物庫に入る手段が閉ざされてしまった。
神殿内部では、宝物庫の扉の前に机が置かれてしまう。中級以上の魔導士が交代でそこへ赴き、普段の事務作業をやれとか変じゃん。
霊山へ出て、宝物庫裏手の壁から入る謎の木製扉は、僕らがこっそり間に挟んだ銅糸松の葉が落ちて割れていた。つまり、一度開閉してからより強固な魔法陣が組まれたということ。
「どーすんだよ、この展開」
長い長い溜め息を吐きながら、思わず机に突っ伏す。しかも僕、あと一刻は内部の扉前に陣取らないといけないからね。
竜騎士みたいに警護慣れしていないから、椅子に座ることは許されている。それで通常の事務作業なり、読書なりをしてろってことなんだけど……。
窓もない石造りの奥まった廊下でなんて、魔導士の仕事環境として論外だよ。初秋でも底冷えしてる。~~~せめて温熱魔道具を支給しろ!
『――魔石?』
そこでふと。昨夜、ネヴィンの館に集まった際に、ポテスタスが仕入れてきた情報が脳裏を過る。
『そうでふ、もぐもぐ。お祖父ちゃんが、修復師のもほに預けられた神殿の魔道具を直接見に行ってくれたんでふが。もぐ。古代文明の遺物とか、普段絶対お目にかかれないような貴重品ばかりなのに、動力源の魔石だけ、ことごとく異様にショボかっらって言ってまひた。もぐ』
祖父からお土産として貰った精霊四色サンドを頬張り、ただでさえ悪い活舌をさらに悪化させながら、『ポテタも受け売りなんでふけど』と前置きして解説してくれた。
歴史に名を刻まれるような魔道具ともなると、細かい材料も一級品どころか特級品を集結させて組み立てるのが常。たとえ改良に改良を重ねて、徐々に伝説の魔道具となっていく場合でも、まずは改造に耐えられるよう、心臓部とも言える魔石をグレードアップさせる。
もちろん魔石は消耗品だ。定期的に魔力を補充しないといけない。それで今回の依頼になったのだろうと当初は踏んだものの……設置されている魔石に目一杯、魔力を吸わせても、本来の能力は半分も発揮できなくなっていた。
『お祖父ちゃんによると、もご。ありゃ、後世のド素人が魔石を安物とすり替えたんらろうって。もご。魔道具職人的には、先人への最大の冒涜行為だって怒っていまひた』
修理を請け負った店は、自分が疑われては堪らないと、大慌てで副神殿長に連絡した。すると、『魔石は修理に出す前に置き換えたので心配無用』という落ち着き払った回答が返ってきたのだという。
『いくら魔導士と言へど、そんな簡単に置き換えらえるものじゃない! だから作動しなくなったんら! 職人を馬鹿にふるなーって、もぐもぐ。そのお店の人と一緒に、もぐ、工房で絶叫したそうでふよ』
喧嘩を売られたと見做して勝手に買う、という謎の帰結になったらしい。
いつ引退してもおかしくないジジイ職人総出で、意地になって魔石の周辺部分を徹底的に分析した結果、少なくとも九年大戦以前、おそらく40年前頃には確実にすり替えられていたと判明したそうだ。
そんな昔から神殿が腐敗していたということだろうか。一体、何があったのだろう……。考えても考えても、答えのヒントすら見えない。
しかも今回は、その安価な魔石をさらに安物へ換えて、魔道具を動くようにしてくれという無茶苦茶な内容だった。僅かな時間、多少なりとも体裁をなせばいいからと。なんだそれ。
「はぁぁぁ~。ホントもう謎すぎる……」
「……差し入れですわ」
コミーナが僕の机の上に、蜜柑色の大葉で編んだ袋を置いた。封代わりの焼き印が、蒲公英を嘴で摘まんだ琥珀雀だ。
「黄雀亭? ……お、炙りサンドじゃないか。感謝する」
薫製卵だけでなく、色根草とほぐした塩蔵牛肉も惜しみなく入っている。聖女新聞前の広場に出店しているパン屋兼食堂の、売れ筋商品の上位版だ。僕は遠慮なく、香草バターをこってり塗った雑穀パンに齧りついた。
紫二本線の縁取りを施した白いローブ姿のコミーナは、幅広の袖の内側で蝶々型の消音魔道具をそっと発動させていた。乳姉弟の風の竜騎士から『取り上げ――こほん、預からせていただきましたわ』との本人談。
かぼちゃ祭りがもうすぐってのに有休とか、次期風の選帝公の弟ともなると余裕だよね。火の聖女のお気に入りでもあるから、自由行動しても平気ってとこか。そんな権力があれば、神殿内で有効活用しろっての。
「今夜はお一人でしたかしら?」
「本当は二人組で担当させられる予定だったんだけど、ケセールナックだったからね。交代時間直前で腹痛って言い訳も怪しいもんだよ。大方、一般女子との飲み会に逃げたんじゃない?」
「ちなみにそれ、セッティングしたの私でーす!」
いきなり視界が歪んで現れたのは、上級魔導士用の白いローブに赤い線が三つ。内側に変身用の月蜘蛛糸のフードまで重ねて被っているのは、初老の女性と化したアイラ姫だった。
「あ、これ? 洗濯してあげるーって、パチってきた」
つまり偽の恋人から盗んだと……うん、えっと、王族の姫君とは。
口の中で粒マスタードの辛みが鼻に突き抜けた。
「例の出入り口は、どちらも複数たむろしておりましたから諦めましたの」
目線だけで何故こんな場所に来たのか訊ねると、『神殿裏から霊山に入ろうとしたが、魔導士と竜騎士の両方が警備に就いていて無理だった』という趣旨のことをコミーナが答えた。
魔道具は音を消せるが、唇の動きまでは誤魔化せない。だから話す内容は慎重に選んだほうがいいと判断したのだろう。
ここは神殿最奥。僕が背にしている宝物庫以外にも貴重な魔道具や蔵書が収納されている部屋が並んでいるのだ。いつ何時、上級魔導士が変則的な理由でこちらへ向かっていても不思議ではない。
「四半刻したら見回りの三本線が単独で通る。で、風の刻になったら机番は交代」
できるだけ口を動かさないようにして、先に基本的なことを二人に伝達しておく。白いローブに『三本線』の縁取りは、上級魔導士のことだ。
ちなみに何本線であろうと、魔導士の制服であるローブを無資格者が着るのは罰則付きの法律違反。
「それと、」と前置きして、女性陣を敢えて睨みつける。
「あちらさんを連れてないと入っちゃ駄目だろ。誰がいるか説明したよね?」
魔導士側から見て『あっち』は、同じ神殿で力を二分している竜騎士側だ。霊山には暗殺ギルドが入っているから、必ず竜騎士を伴うようにと、トゥレンス卿からも釘を刺されてたってのに。
奴らは神殿奥からではなく、王都の外へ伸びる東の古代道か西の古代道から忍び込んでいるのだろう。
パトロクロスたちが王都上空の巡回で、兵士の詰め所近くをうろつく不審な人影を確認している。毎回、竜が降り立つまでに完全に隠れてしまうから、捕縛は難しかった。
帝国の属国で集めた孤児を幼い頃から訓練したという、使い捨ての暗殺者なのだ。もし対峙できたとしても、命懸けの戦闘となる。
「忘れてないってばー。でも裏に入りたいって、お姉様に頼まれたんだもん」
誰だよ!? アイラ姫が間の抜けた声で言い訳するのを聞いて、慌てて魔杖を握りしめた。予め仕込んである気配探知の魔法陣を作動させたけど、何も引っ掛からない。
「一旦、別行動となりましたの。後でこちらに来るとおっしゃっていたのですけど……」
コミーナも緊張感がない。変だな。星祭りの日に皆で交わした魔導契約で、こちらの事情は他人には話せない縛りがあるのに。この数日間、左腕に入れた刺青が熱反応することは一度としてなかった。
つまり彼女たちは何も話していない……どういうことだ?
「ふーん。お嬢たちが、エセ黄金虫子飼いの万年美少年君と繋がってるとはね。興味深いな」
聴き慣れない女の低い声がして、咄嗟に机から立ち上がる。魔杖を身長の高さまで正式に伸ばしたけど、僕はそもそも攻撃型の魔法は不得手だ。魔杖に覚えさせている魔法も身を守る系統ばかり。
万が一のために指輪には発射型の魔法弾を組み込んであるけど……にたりと笑いながらこちらへ歩を進める人物には恐らく無意味。
だってあの女、竜騎士としても魔導士としても有資格者の、天才魔剣士だもん! 今の発言だってさ、廊下の向こうから僕らにだけ届くように無詠唱で操作しやがった。
「あああ貴女は、て、帝国に行った筈では!? というか、なんなんです、その格好!!」
「あーこれ? 変装」
灰色のローブは魔導士協会の魔導士が着用するものだからいいとして。その下がおかしい。何あの全っ然似合ってない桃色の短いフリフリスカート。
聖女街の『赤鶉亭』の給仕服だ。竜騎士の奴らが鼻の下伸ばして座っている丸テーブルを、軽いオツムであっちへこっちへと舞うように酒を届ける若いお姉ちゃん限定の。
そりゃあそこは神殿へ夜食の宅配サービスもしているけどさ……最早、『仮装』の領域だよな、激しく似合わな――。
「――こうすりゃ、似合うだろ?」
パチンと指を鳴らすと、顔も全体の雰囲気も若い女の子になった。アイラ姫のように本人側の形状や髪色などを変える魔道具とは違い、見る側の脳内に直接干渉する高位認識魔術――の超無駄遣い版。
「ツッコんだら負けですわよ」
コミーナが気まずそうに視線を逸らした。アイラ姫は「お姉様、スゴイでーす」とはしゃいでる。僕は警戒を解けずに立ち尽くしたまま。
ヘスティア様は首が凝っていたのか、自分の魔杖で肩を叩くという更なる暴挙に出ながら、扉の前に陣取った。
国王よりも権力を掌握している火の選帝公の長女。子どもの頃の魔力測定で10段階の内10を出した。竜騎士を引退した九年大戦の英雄剣士を屋敷に招いて、騎士学校卒業前に奥義まで会得した。ぶっちぎりで首席卒業したのだけれど、何故か正規の竜騎士にはならずにシャスドゥーゼンフェ帝国の魔導士大学へ進学して、そこでも首席卒業ときた。
要約すると、頭脳でも魔力でも体力でもバケモノ級。戦ったら勝てない、絶対に。
「安心しろ、次の見回り役は眠らせた。扉の魔法式を解析させてもらうぞ」
こちらの許可を得るというよりも、一方的に宣言してた。仮装を解いて、再び元の姿に戻ると、扉に溶け込んでいた複雑な魔法陣を浮き上がらせる。魔杖も用いず一瞬で。
「それ、何人で契約してるんだ? お前らが揃ったら解呪できるかと思ったけど、ビクともしねぇ」
え? と言いかけて、左腕に火傷をしたような痛みが僅かに走った。アイラ姫とコミーナも顔を歪ませて、左腕を押さえている。
何この人! 扉の魔法陣を分析しながら、こっちを一瞥もせず、何やってくれちゃってんの?!
「~~実は、わたくしが神殿へ配置換えになったきっかけですの」
そういえばコミーナが、星祭りの夜の情報交換でも言ってた。ディルムッドが神殿奥で出くわしたという『闇夜の烏』――って、国王陛下の諜報員かよっ!!
えーと、確か『黄金倶楽部』の捜査をしてくれてるんだよな。ってことはつまり、僕たちと基本方針は同じなわけで。え、ってことは、目の前のバケモノは味方?
問い質したいけれど、場所が場所だけに躊躇われた。
しばらくすると、トゥレンス卿とネリウス兄さんが向こうからやって来た。二人とも剣に手をかけてる。今にも覇気を纏ってここへ跳んできそうな臨戦態勢なのに、大きな騒動にしたくないからか、無言かつ無表情。
「……あのさ、あの程度の体感で来るかね? まんま仲間だって白状してるだろ。そんなんだから『犬』とか『脳筋』って言われるんだ。ったく」
振り替えったヘスティア様が灰色のフードを下ろし、街中で見かけた友人にでも挨拶するように軽く手を振ってみせる。その両横で、アイラ姫とコミーナも両腕をバタバタさせながら、『この人は攻撃しないで』アピールを必死にしていた。
「ダリアン! それ!」
コミーナが僕の握り締めている魔杖に何度も目線を寄こす。ヤバイ、ずっと伸ばしたままだった。
魔導士は通常、魔杖を腕半分くらいに短くして袖口に入れたり、腰から下げている。自分の身長まで伸ばすのは、真剣勝負したり、難易度の高い魔術を行使する特別な場合だけだ。
このままだと、無用な誤解を与えてしまう。僕も慌てて、魔杖を元の長さに戻し、袖口に仕舞った。
それでも警戒しながら、精鋭竜騎士が距離を縮めようとする。だが、ヘスティア様に動じる気配はない。コミーナに左手の平を出して消音魔道具を受け取り、その適用領域を広げて皆を包み込んだ。
「神殿の外で全員と会いたい。今夜中に都合をつけてくれ」
「――烏か」
トゥレンス卿の問い掛けに、ヘスティア様が笑顔で応えた。
「もうすぐ大掃除が始まる。金ピカを剥がすんだ。人手は多いほうがいい」
『黄金倶楽部』のことだと思うのだけど、一体どうやって?
水の竜騎士二人や僕が考えあぐねていると、ヘスティア様は時間の無駄とばかりに扉へ再び向き直った。
「新たな守護対象が誕生した。四つの精霊全ての加護付きでね。しかも、あっちは本物だ」
アイラ姫とコミーナ嬢も聞かされていなかったらしい。僕ら同様に、驚愕している。
いや、だってさ。神殿の『守護対象』ってのは聖女ってことで、しかも『本物』ってことはこっちが偽物ってことになって。
――え、え゛? えええええ゛?
*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*
※ヴァーレッフェ王国、魔法基本法による魔導士の服装。
「魔導学院卒業(ないしは同等の資格取得)後は
以下のいずれかの機関に所属すべし:
・神殿(公的機関で定年あり)所属は白ローブ、
・魔導士協会(私的機関で定年なし)所属は灰色ローブ。
能力試験に合格後は一箇月以内に、登録した精霊各色の刺繍糸で、
・初級魔導士:1本線
・中級魔導士:2本線
・上級魔導士:3本線
の縁取りをフード周り、襟、袖口、裾に施すこと。」
蒲公英の街で芽芽が光の柱を立てた日の夜、王都では……。
*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*
詰んだ。完っ全に詰んだ。
だってさ! もう日が落ちたのに、今日も神殿の警備がちっとも緩くならないんだよ。
異変が始まったのは、三日前。うちの上司と財務長が突如として戻ってきた。
再来週末のかぼちゃ祭りまで、穀物街道でグウェンフォール様の捜索を行うフリをするんじゃなかったのか。
こっちは、その隙に神殿の伝説級魔道具を検分していくつもりで事を進めてたってのに! 僕があんなに苦労して予約したロザルサーレの宿も勝手にキャンセルしてくるし、何なんだよもう!
神殿の巡回だって、魔導士まで参加させられることになった。最近、えらく神経質になった神殿長が、『依然として竜騎士は王都の外に出払っておる故』って言ってるけど、ホント意味わかんない。
皆で一丸となって不正を暴こうと決意した矢先、神殿内部からも、神殿の外からも、宝物庫に入る手段が閉ざされてしまった。
神殿内部では、宝物庫の扉の前に机が置かれてしまう。中級以上の魔導士が交代でそこへ赴き、普段の事務作業をやれとか変じゃん。
霊山へ出て、宝物庫裏手の壁から入る謎の木製扉は、僕らがこっそり間に挟んだ銅糸松の葉が落ちて割れていた。つまり、一度開閉してからより強固な魔法陣が組まれたということ。
「どーすんだよ、この展開」
長い長い溜め息を吐きながら、思わず机に突っ伏す。しかも僕、あと一刻は内部の扉前に陣取らないといけないからね。
竜騎士みたいに警護慣れしていないから、椅子に座ることは許されている。それで通常の事務作業なり、読書なりをしてろってことなんだけど……。
窓もない石造りの奥まった廊下でなんて、魔導士の仕事環境として論外だよ。初秋でも底冷えしてる。~~~せめて温熱魔道具を支給しろ!
『――魔石?』
そこでふと。昨夜、ネヴィンの館に集まった際に、ポテスタスが仕入れてきた情報が脳裏を過る。
『そうでふ、もぐもぐ。お祖父ちゃんが、修復師のもほに預けられた神殿の魔道具を直接見に行ってくれたんでふが。もぐ。古代文明の遺物とか、普段絶対お目にかかれないような貴重品ばかりなのに、動力源の魔石だけ、ことごとく異様にショボかっらって言ってまひた。もぐ』
祖父からお土産として貰った精霊四色サンドを頬張り、ただでさえ悪い活舌をさらに悪化させながら、『ポテタも受け売りなんでふけど』と前置きして解説してくれた。
歴史に名を刻まれるような魔道具ともなると、細かい材料も一級品どころか特級品を集結させて組み立てるのが常。たとえ改良に改良を重ねて、徐々に伝説の魔道具となっていく場合でも、まずは改造に耐えられるよう、心臓部とも言える魔石をグレードアップさせる。
もちろん魔石は消耗品だ。定期的に魔力を補充しないといけない。それで今回の依頼になったのだろうと当初は踏んだものの……設置されている魔石に目一杯、魔力を吸わせても、本来の能力は半分も発揮できなくなっていた。
『お祖父ちゃんによると、もご。ありゃ、後世のド素人が魔石を安物とすり替えたんらろうって。もご。魔道具職人的には、先人への最大の冒涜行為だって怒っていまひた』
修理を請け負った店は、自分が疑われては堪らないと、大慌てで副神殿長に連絡した。すると、『魔石は修理に出す前に置き換えたので心配無用』という落ち着き払った回答が返ってきたのだという。
『いくら魔導士と言へど、そんな簡単に置き換えらえるものじゃない! だから作動しなくなったんら! 職人を馬鹿にふるなーって、もぐもぐ。そのお店の人と一緒に、もぐ、工房で絶叫したそうでふよ』
喧嘩を売られたと見做して勝手に買う、という謎の帰結になったらしい。
いつ引退してもおかしくないジジイ職人総出で、意地になって魔石の周辺部分を徹底的に分析した結果、少なくとも九年大戦以前、おそらく40年前頃には確実にすり替えられていたと判明したそうだ。
そんな昔から神殿が腐敗していたということだろうか。一体、何があったのだろう……。考えても考えても、答えのヒントすら見えない。
しかも今回は、その安価な魔石をさらに安物へ換えて、魔道具を動くようにしてくれという無茶苦茶な内容だった。僅かな時間、多少なりとも体裁をなせばいいからと。なんだそれ。
「はぁぁぁ~。ホントもう謎すぎる……」
「……差し入れですわ」
コミーナが僕の机の上に、蜜柑色の大葉で編んだ袋を置いた。封代わりの焼き印が、蒲公英を嘴で摘まんだ琥珀雀だ。
「黄雀亭? ……お、炙りサンドじゃないか。感謝する」
薫製卵だけでなく、色根草とほぐした塩蔵牛肉も惜しみなく入っている。聖女新聞前の広場に出店しているパン屋兼食堂の、売れ筋商品の上位版だ。僕は遠慮なく、香草バターをこってり塗った雑穀パンに齧りついた。
紫二本線の縁取りを施した白いローブ姿のコミーナは、幅広の袖の内側で蝶々型の消音魔道具をそっと発動させていた。乳姉弟の風の竜騎士から『取り上げ――こほん、預からせていただきましたわ』との本人談。
かぼちゃ祭りがもうすぐってのに有休とか、次期風の選帝公の弟ともなると余裕だよね。火の聖女のお気に入りでもあるから、自由行動しても平気ってとこか。そんな権力があれば、神殿内で有効活用しろっての。
「今夜はお一人でしたかしら?」
「本当は二人組で担当させられる予定だったんだけど、ケセールナックだったからね。交代時間直前で腹痛って言い訳も怪しいもんだよ。大方、一般女子との飲み会に逃げたんじゃない?」
「ちなみにそれ、セッティングしたの私でーす!」
いきなり視界が歪んで現れたのは、上級魔導士用の白いローブに赤い線が三つ。内側に変身用の月蜘蛛糸のフードまで重ねて被っているのは、初老の女性と化したアイラ姫だった。
「あ、これ? 洗濯してあげるーって、パチってきた」
つまり偽の恋人から盗んだと……うん、えっと、王族の姫君とは。
口の中で粒マスタードの辛みが鼻に突き抜けた。
「例の出入り口は、どちらも複数たむろしておりましたから諦めましたの」
目線だけで何故こんな場所に来たのか訊ねると、『神殿裏から霊山に入ろうとしたが、魔導士と竜騎士の両方が警備に就いていて無理だった』という趣旨のことをコミーナが答えた。
魔道具は音を消せるが、唇の動きまでは誤魔化せない。だから話す内容は慎重に選んだほうがいいと判断したのだろう。
ここは神殿最奥。僕が背にしている宝物庫以外にも貴重な魔道具や蔵書が収納されている部屋が並んでいるのだ。いつ何時、上級魔導士が変則的な理由でこちらへ向かっていても不思議ではない。
「四半刻したら見回りの三本線が単独で通る。で、風の刻になったら机番は交代」
できるだけ口を動かさないようにして、先に基本的なことを二人に伝達しておく。白いローブに『三本線』の縁取りは、上級魔導士のことだ。
ちなみに何本線であろうと、魔導士の制服であるローブを無資格者が着るのは罰則付きの法律違反。
「それと、」と前置きして、女性陣を敢えて睨みつける。
「あちらさんを連れてないと入っちゃ駄目だろ。誰がいるか説明したよね?」
魔導士側から見て『あっち』は、同じ神殿で力を二分している竜騎士側だ。霊山には暗殺ギルドが入っているから、必ず竜騎士を伴うようにと、トゥレンス卿からも釘を刺されてたってのに。
奴らは神殿奥からではなく、王都の外へ伸びる東の古代道か西の古代道から忍び込んでいるのだろう。
パトロクロスたちが王都上空の巡回で、兵士の詰め所近くをうろつく不審な人影を確認している。毎回、竜が降り立つまでに完全に隠れてしまうから、捕縛は難しかった。
帝国の属国で集めた孤児を幼い頃から訓練したという、使い捨ての暗殺者なのだ。もし対峙できたとしても、命懸けの戦闘となる。
「忘れてないってばー。でも裏に入りたいって、お姉様に頼まれたんだもん」
誰だよ!? アイラ姫が間の抜けた声で言い訳するのを聞いて、慌てて魔杖を握りしめた。予め仕込んである気配探知の魔法陣を作動させたけど、何も引っ掛からない。
「一旦、別行動となりましたの。後でこちらに来るとおっしゃっていたのですけど……」
コミーナも緊張感がない。変だな。星祭りの日に皆で交わした魔導契約で、こちらの事情は他人には話せない縛りがあるのに。この数日間、左腕に入れた刺青が熱反応することは一度としてなかった。
つまり彼女たちは何も話していない……どういうことだ?
「ふーん。お嬢たちが、エセ黄金虫子飼いの万年美少年君と繋がってるとはね。興味深いな」
聴き慣れない女の低い声がして、咄嗟に机から立ち上がる。魔杖を身長の高さまで正式に伸ばしたけど、僕はそもそも攻撃型の魔法は不得手だ。魔杖に覚えさせている魔法も身を守る系統ばかり。
万が一のために指輪には発射型の魔法弾を組み込んであるけど……にたりと笑いながらこちらへ歩を進める人物には恐らく無意味。
だってあの女、竜騎士としても魔導士としても有資格者の、天才魔剣士だもん! 今の発言だってさ、廊下の向こうから僕らにだけ届くように無詠唱で操作しやがった。
「あああ貴女は、て、帝国に行った筈では!? というか、なんなんです、その格好!!」
「あーこれ? 変装」
灰色のローブは魔導士協会の魔導士が着用するものだからいいとして。その下がおかしい。何あの全っ然似合ってない桃色の短いフリフリスカート。
聖女街の『赤鶉亭』の給仕服だ。竜騎士の奴らが鼻の下伸ばして座っている丸テーブルを、軽いオツムであっちへこっちへと舞うように酒を届ける若いお姉ちゃん限定の。
そりゃあそこは神殿へ夜食の宅配サービスもしているけどさ……最早、『仮装』の領域だよな、激しく似合わな――。
「――こうすりゃ、似合うだろ?」
パチンと指を鳴らすと、顔も全体の雰囲気も若い女の子になった。アイラ姫のように本人側の形状や髪色などを変える魔道具とは違い、見る側の脳内に直接干渉する高位認識魔術――の超無駄遣い版。
「ツッコんだら負けですわよ」
コミーナが気まずそうに視線を逸らした。アイラ姫は「お姉様、スゴイでーす」とはしゃいでる。僕は警戒を解けずに立ち尽くしたまま。
ヘスティア様は首が凝っていたのか、自分の魔杖で肩を叩くという更なる暴挙に出ながら、扉の前に陣取った。
国王よりも権力を掌握している火の選帝公の長女。子どもの頃の魔力測定で10段階の内10を出した。竜騎士を引退した九年大戦の英雄剣士を屋敷に招いて、騎士学校卒業前に奥義まで会得した。ぶっちぎりで首席卒業したのだけれど、何故か正規の竜騎士にはならずにシャスドゥーゼンフェ帝国の魔導士大学へ進学して、そこでも首席卒業ときた。
要約すると、頭脳でも魔力でも体力でもバケモノ級。戦ったら勝てない、絶対に。
「安心しろ、次の見回り役は眠らせた。扉の魔法式を解析させてもらうぞ」
こちらの許可を得るというよりも、一方的に宣言してた。仮装を解いて、再び元の姿に戻ると、扉に溶け込んでいた複雑な魔法陣を浮き上がらせる。魔杖も用いず一瞬で。
「それ、何人で契約してるんだ? お前らが揃ったら解呪できるかと思ったけど、ビクともしねぇ」
え? と言いかけて、左腕に火傷をしたような痛みが僅かに走った。アイラ姫とコミーナも顔を歪ませて、左腕を押さえている。
何この人! 扉の魔法陣を分析しながら、こっちを一瞥もせず、何やってくれちゃってんの?!
「~~実は、わたくしが神殿へ配置換えになったきっかけですの」
そういえばコミーナが、星祭りの夜の情報交換でも言ってた。ディルムッドが神殿奥で出くわしたという『闇夜の烏』――って、国王陛下の諜報員かよっ!!
えーと、確か『黄金倶楽部』の捜査をしてくれてるんだよな。ってことはつまり、僕たちと基本方針は同じなわけで。え、ってことは、目の前のバケモノは味方?
問い質したいけれど、場所が場所だけに躊躇われた。
しばらくすると、トゥレンス卿とネリウス兄さんが向こうからやって来た。二人とも剣に手をかけてる。今にも覇気を纏ってここへ跳んできそうな臨戦態勢なのに、大きな騒動にしたくないからか、無言かつ無表情。
「……あのさ、あの程度の体感で来るかね? まんま仲間だって白状してるだろ。そんなんだから『犬』とか『脳筋』って言われるんだ。ったく」
振り替えったヘスティア様が灰色のフードを下ろし、街中で見かけた友人にでも挨拶するように軽く手を振ってみせる。その両横で、アイラ姫とコミーナも両腕をバタバタさせながら、『この人は攻撃しないで』アピールを必死にしていた。
「ダリアン! それ!」
コミーナが僕の握り締めている魔杖に何度も目線を寄こす。ヤバイ、ずっと伸ばしたままだった。
魔導士は通常、魔杖を腕半分くらいに短くして袖口に入れたり、腰から下げている。自分の身長まで伸ばすのは、真剣勝負したり、難易度の高い魔術を行使する特別な場合だけだ。
このままだと、無用な誤解を与えてしまう。僕も慌てて、魔杖を元の長さに戻し、袖口に仕舞った。
それでも警戒しながら、精鋭竜騎士が距離を縮めようとする。だが、ヘスティア様に動じる気配はない。コミーナに左手の平を出して消音魔道具を受け取り、その適用領域を広げて皆を包み込んだ。
「神殿の外で全員と会いたい。今夜中に都合をつけてくれ」
「――烏か」
トゥレンス卿の問い掛けに、ヘスティア様が笑顔で応えた。
「もうすぐ大掃除が始まる。金ピカを剥がすんだ。人手は多いほうがいい」
『黄金倶楽部』のことだと思うのだけど、一体どうやって?
水の竜騎士二人や僕が考えあぐねていると、ヘスティア様は時間の無駄とばかりに扉へ再び向き直った。
「新たな守護対象が誕生した。四つの精霊全ての加護付きでね。しかも、あっちは本物だ」
アイラ姫とコミーナ嬢も聞かされていなかったらしい。僕ら同様に、驚愕している。
いや、だってさ。神殿の『守護対象』ってのは聖女ってことで、しかも『本物』ってことはこっちが偽物ってことになって。
――え、え゛? えええええ゛?
*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*
※ヴァーレッフェ王国、魔法基本法による魔導士の服装。
「魔導学院卒業(ないしは同等の資格取得)後は
以下のいずれかの機関に所属すべし:
・神殿(公的機関で定年あり)所属は白ローブ、
・魔導士協会(私的機関で定年なし)所属は灰色ローブ。
能力試験に合格後は一箇月以内に、登録した精霊各色の刺繍糸で、
・初級魔導士:1本線
・中級魔導士:2本線
・上級魔導士:3本線
の縁取りをフード周り、襟、袖口、裾に施すこと。」
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