DEBUG!

タケノコご飯

文字の大きさ
上 下
1 / 8
       第一話

ようこそ、クソッたれな裏世界へ。

しおりを挟む
「ハァッ.....!ハァッ...!」
晴天の空の下、俺は走らなければならなかった。
フルマラソンなんて軽いモノじゃない。
ズキズキと太股が焼けるように痛み、
すでに俺の体は限界を超えているようだった。
それでも俺は走り続けなければならない。
何故かと言うとーー

『ゴォァァアアァァァアアアッ!!』

ーー命の危機に瀕しているからだ。
(何なんだよコイツ...!)
木々が生い茂るジャングルの中、俺は壮絶なデッドヒートを繰り広げていた。
俺の後ろでは四足歩行の化け物バグがいるのだ、さっき見せてもらったデータベースで見たことも聞いたこともないタイプだから対処法もクソもないぜ、まったく。
いつも怒ってばかりのウチの妹みたいだな!

『ォォォォォアアアアアアァアアァアアッッ!!』

(って余計な事考えてる場合じゃねえ!)
なにぶん、昔から余計な事を無意識に考えてしまう性分でね。
今後ろで吠えているコイツは欠陥バグ俺達の世界がプログラム化されて、そのプログラムのエラーから生まれたモノなんだと。

さて、

何故俺がこんな事を知っているのか。

それは、

「何をちんたら走っているのよッ!死にたいのッ!?」

それは今俺の前を走っている美少女から言われたからだ。
赤と青のオッドアイ。
流れるような銀髪のロングツインテール。
スラリと伸びた足に無駄のないカラダ。
何をしても男子から憎まれなさそうだ。

でも、

(そんな事言われて、そうそう納得出来るヤツなんかいるかっての...。)
確かに今人類は攻撃の『一切』効かない化け物に破滅の危機に陥っていた。
その正体はプログラム化された世界が生み出し、サイバー攻撃以外は一切受け付けないバグなのだと目の前の美少女は言う。

そりゃ現実の武器が効かないワケだ。

しかし『効かない』とはいうが、この少女によると今は攻撃が通る武器があるとかないとか。
どっちだよ。
そしてお前は何者なんだよ。
そんな事を考えながら振り返れば
(...うぇえっ!?)
不明なバグはもう間近まで迫ってきていた。
ギラギラと光る爪が大地を踏みしめるたびに俺の足を掠めている。
「ちょっと『ジェネシス』は何してるの!?...そんな事いいから早く送りなさいよ!こっちは命に関わってるのよ!?」
そして前では美少女がなにやらヘッドセットの無線機に怒鳴っている。
『ジェネシス』?
はて、
何処かで聞いたような...。

『ガッ』

「あっ。」

しまった。
フワリと身体が宙に浮く。
そして失われるバランス。
俺は無様にも木の根につまずいてしまった。
だから余計なことを考えるなとあれほど。
「ちょ、ちょっとあんた!?キャッ!?」
バランスを崩した俺は彼女を巻き込むような形で倒れてしまった。
(クソッ!)
急なことだったが、咄嗟に受け身をとることができた。
俺だって無駄に毎日走り回ってるワケじゃねえ。
だけど
「ーーッつぅ」
彼女は倒れたままだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神界のティエラ

大志目マサオ
SF
今から数百年後の未来。 世界に名だたる天才科学者達が人類の夢を実現する為、その叡智を結集し、1つのAIを創り出した。 そのAIは【GHOST】と名付けられ、科学の力により魔法を生み出した。 これは科学と魔法の力で、ある魔法を開発しようと奮闘したティエラ・ディ・ヨングスと、彼女の仲間達が紡ぐ挑戦の物語である。 こちらの作品は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。 小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n9400hb/ カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16816700426355451332

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

アーク・エモーション:デジタルヒーロー

夕闇ポルカ
SF
未来都市オメガ・ゼロで孤独な生活を送る16歳の少女、レイナ。彼女の退屈な日常が一変するのは、ある日ネットカフェで見つけた謎のアプリ「アーク・エモーション」を起動した時から。画面から現れたのは、実は都市の安全を守るために設計されたAIヒーロー、アークだった。 レイナとアークは、最初はただのデジタルと人間の奇妙なコンビに過ぎなかったが、次第に深い絆を育んでいく。しかし、都市には影で操る謎の敵ヴァニタスが潜んでおり、アークの力を狙っていた。

Wanderer’s Steel Heart

蒼波
SF
もう何千年、何万年前の話だ。 数多くの大国、世界中の力ある強者達が「世界の意思」と呼ばれるものを巡って血を血で洗う、大地を空の薬莢で埋め尽くす程の大戦争が繰り広げられた。命は一発の銃弾より軽く、当時、最新鋭の技術であった人型兵器「強き心臓(ストレングス・ハート)」が主軸を握ったこの惨禍の果てに人類は大きくその数を減らしていった…

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

リインカーネーション

たかひらひでひこ
SF
いく度もの転生、再びの出会いを繰り返す、えにしの者たち。 それぞれが綾なす人生は、どう移り変わっていくのか。 オレは、新しき出会いに、めまぐるしく運命を変遷させる。

カレンダー・ガール

空川億里
SF
 月の地下都市にあるネオ・アキバ。そこではビースト・ハントと呼ばれるゲーム大会が盛んで、太陽系中で人気を集めていた。  優秀なビースト・ハンターの九石陽翔(くいし はると)は、やはりビースト・ハンターとして活躍する月城瀬麗音(つきしろ せれね)と恋に落ちる。  が、瀬麗音には意外な秘密が隠されていた……。

無能力者と神聖欠陥

島流十次
SF
一度崩壊した世界は生まれ変わり、それから特に成長したのは人類の「脳開発」だった。頚椎にチップが埋め込まれ、脳が発達し、人は超能力を手にするようになり、超能力を扱えるものは「有能」と呼ばれる。しかし、チップを埋め込まれても尚能力を持てない者は多数いた。「無能」は『石頭』と揶揄され、第二新釜山に住む大学生、ググもまた、『石頭』であった。ある日、アルバイト先で、一人の奇妙な「有能」の少女と出会ってから、ググの日常はそれまでとは大きく変わってゆく。

処理中です...