追い出された令嬢は無双する

霜月

文字の大きさ
上 下
13 / 22

ロボットとじいさん

しおりを挟む
驚いて振り返ると、髭の生えたおじいさんと、弟子らしき少年と少女がいた。少女が2人、少年が3人だ。
合わせて5人。多分15~7歳の子供たちだ。

あのおじいさんは凄い人だと思う。なんせ高位精霊が2体側にいるのだから。焦茶の髪と目をした精霊だし、土の精霊かな、と思った。弟子たちには下級精霊がついている。こちらは一体ずつだ。精霊は、ついた人間の魔力で育つ。属性も主人の魔力で決まる。この弟子たちの精霊が染まっていないから、ついてすぐなのだろうか。でもおじいさんは凄い。土属性がどれだけ強いのだろう。

あ、精霊見えますが何か?

「ふぉっふぉっふぉ。嬢ちゃん、わしは魔術師長のデリヘルじゃ。97歳じゃがまだまだ元気じゃ。よろしくのぉ。」
「私はクロと言います。今年で10歳です。こちらこそよろしくお願いします。」
話をするのか、私とデリヘルさんだけ会議室(?)にはいった。
「そうじゃ、嬢ちゃんワシの弟子にならんかい?」
「結構です。」
「今、なんと?」
「ですから、結構ですと言っているんです。」
「そうか…。では、わしの弟子の弟子にならんかい?」
「もっと嫌ですよ!」
「そうか…。」
あっおじいさんががっくりしてる。言いすぎた?
「まあそんな茶番は置いといて。」
「茶番だったの!?」
「お主学園の受験申し込みしとらんのか?」
「はい。なんで分かったんですか?」
てかそんなんあったのか。
「知りたいか?それはな…。わしが教師だからじゃ!」
「ええええええっ!?」
こんな爺さんが!?異世界すげー。
「と言っても今年で退職じゃ。」
「あ、そうなんですか…。」
「それと、何故やっておらんのじゃ?10からの義務教育じゃぞ?」
「でも、私はテストを受けて受かれば入れると聞きました。
テストを受けていないので、だめかなと。」
「それ14年前じゃの。」
あ、私の情報古かったのね。恨むぞ、酒場のおっさん。
「それと知りませんでした。」
「ではどうしましょう。というか、宿どまりでもいいんですか?」
「宿泊りはいいぞ。試験なんてやってもクラス分けに響くだけで皆入れる。どれ、申し込み期間は終わっとるが、わしがねじこもう。」
「本当ですか!?」
「おお。ただ、クラス分けに関わることじゃから、テストは今度やっとくれ。」
よっしゃ学園に入れる!テストくらいいくらでもやるよ。
「それと、他の魔法も見たい。あるんじゃろ?」
ま、そんぐらいならお安い御用。
「分かりました。」


『捨て駒人形【弱】』
素材           鉄,純度【低】
強さ           12歳の子供が素手で30秒かかるかかからないか
発明者        キスイダ・トッボロ

テストのために作られた。
訓練するは弱いので、受験シーズン前に多く作られる。
倒されると
『ヤ、 ヤ   ラ   レ   タ~。』
と言って煙を口から出すのは、製作者の趣味だろう。
名前がひどいのが悩み。
壊れるとリサイクルされるので、エコである。
コストも安い。

鑑定をいじったからか、いろいろ見えるようになった。
捨て駒人形は悲しい。強さも悲しい。でも倒す。
「コン吉、溶けるんです」
嗚呼、人形は溶けた。一瞬で。
「万能工作、【鉄】」
この万能工作シリーズは働くところが決まった記念に作った魔法だったのだが、いつの間にかスキルになっていた。魔法でも使えるが、スキルは進化するし魔力を使わないのでこっちを使っている。

あの悲しい説明文を変えてやる。
「鍛錬」
鉄が純粋になった。ただ、7分の1くらいに減った。純度【低】は伊達じゃなかった。
ここからはイメージが大事だ。
前世の記憶の中から銀河鉄道7○7のロボットを思い出す。そして、その中でも酒をこぼしていたロボットを思い出し、動いているイメージをする。
「変形」
あのロボットの形になった。関節もある。そして、心臓部分にハートの形で、真ん中から分かれて、右が赤、左は青になっているものがはまっている。これは付け足した。ロール○ンナちゃんみたいだ。

「動力付与」
これで動けるようになった。そして仕上げだ。赤と青のハートを外す。
「赤、操作。青、媒体」
そして、青を戻す。すると、赤のはまっていた場所が閉じて、半分になった青のハートだけになる。
これで、赤い半分のハートを持って念じると青のハートに送られ、そこから処理され、行動に移る。
大抵最後に美化を掛けるが、このロボはそんなことはしないほうがいい気がする。
次は、名前をつける。
「命名。パペット」
これで完成だ。鑑定を見てみる。


『パペット』
素材・・・鉄,純度【高】
強さ・・・操る者の技量による
属性・・・無・炎
発明者・・・なずな
作成者・・・なずな

元は捨て駒人形【弱】だったが、溶かされ、作り直された。
操り人形なので、主の想像力が高いほどいい動きをする。
魔法は使えるが、製作者の作成時に多く浴びた魔法を2種類しか使えない。魔力は主のものを使う。
もう捨て駒なんて言われないと思っているが、それは主の技量によるだろう。
リサイクルされるのは相変わらずだ。
倒れると、
『ヤ、ヤ    ラ    レ    タ~。』
と言うのも相変わらずだ。これは、ある種の呪いとなっているのだが、実害はないからほうっておこう。
11歳の子供でも作れる。大抵10分~1時間ほどで完成。
カスタマイズが効く。


どうしようつい楽しくて忘れてたよ…
お爺さんをちらっと見る。
わあ、顔が険しい!顔が険しいよ!
どうしよう?

「あの、デリヘルさーん…?」
「見せてくれてありがとな。
それとのお。嬢ちゃん。
魔術師長にならんかい?」

…え?

「はあ!?」

「何言ってんですかあなたは!」

あ、私が言ったんじゃないよ? 
一瞬心の声がでたかt…
いや、何でもない。

「そんなに怒らんくてもいいじゃないか…昔は『パパ~大好き~』なんていっとったのに」

「昔は昔、今は今です!そもそもあなただけで決められることではありません!」

「魔術師長なんて何種類もあるじゃろう!ひとつくらい良いじゃろ!」

「確かに何種類もありますが20ですよ!?そんなに軽々しくされても困りますよ。」
あれ。忘れられてない?

「新しい党を作れば良いじゃろ~」

「駄目ですよ…」

「スイマセーン忘れてませんかー?
帰っていいですか?」

「失礼しました。私は魔術師長の孫です。
入学申請証を発行するので待ってください。これを持って試験日の午前9時ごろに来てください。制服などもその時に。
それと、当日はできればギルドカードなどの身分を証明できるものを持ってきてください。学備品には50000マニーがかかります。」

5万円か。基準がわからん。何買うかもわからん。安い…のか?

爺さんの孫とは思えない常識人だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

余命1年の君に恋をした

パチ朗斗
恋愛
主人公の名前は千堂 蓮翔(せんどう れんと)、田舎の高校に通う高校2年生だ。彼の町には樹齢1000年もの桜が生えている。蓮翔はいつもその桜の木に頭を下げてから出掛けていた。 蓮翔はいつも通り、桜の木の方に向かうと、近くの空き地に1人の少女が倒れていた。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

悪役令嬢の逆襲

すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る! 前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。 素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!

あなたを忘れる魔法があれば

美緒
恋愛
乙女ゲームの攻略対象の婚約者として転生した私、ディアナ・クリストハルト。 ただ、ゲームの舞台は他国の為、ゲームには婚約者がいるという事でしか登場しない名前のないモブ。 私は、ゲームの強制力により、好きになった方を奪われるしかないのでしょうか――? これは、「あなたを忘れる魔法があれば」をテーマに書いてみたものです――が、何か違うような?? R15、残酷描写ありは保険。乙女ゲーム要素も空気に近いです。 ※小説家になろう、カクヨムにも掲載してます

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでのこと。 ……やっぱり、ダメだったんだ。 周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中 ※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...