追い出された令嬢は無双する

霜月

文字の大きさ
上 下
7 / 22

追放と

しおりを挟む
家から追い出されたのです!

なんと、去年の9歳の誕生日の時にした振る舞い (私は覚えていないけど)が『将来の王妃として相応しくない』として、今年の誕生日に婚約破棄された。!でも、いろんな人たちの前で破棄されたのはイヤでしたねえ。

それに怒ったプライドだけはたっかーいうちの親に、家どころか国から追い出されたのですよ?
妹は一緒に親が追い出しました。
でも、なぜか妹のことをあの親が心配していました。近くにいなかったからあまりわからないけど。

妹は、
「やっとあそこから出られた…!お姉ちゃんありがとう」と言っていました。可愛いです。とても可愛い。

コン吉は、称号のリサイクルで、いらない魔法やスキルを整理しておきました。今はこんな感じ。

コン吉   (♂)
種族      スライム・フォルク
HP         5,000/5,000
MP       無限
属性     炎・風・時空・無・回復・光
運値      5
適性      全て
進化      第二段階

スキル
食べる
溶かす
吸収
分裂
練成
人化
狐火
祭り
リバース

第二段階になって、尻尾が一本増えました。可愛い。もふもふ。

ちなみに、今はこの国の端っこにいます。ここは噂だと治安のそこまでよく無い国です。しかも今いる場所はザ、森です。しかも午後7:30です。

とりあえず宿を探さなくてはいけないので、魔力感知で一番近くの人がいる場所を探すと、ここから10km先でした。

10kmは妹にはきついと思ったので、ゲートを通過して、あっちのいえに行こうと思います。

「ねえソイモ。今から泊まるところに転移するけどいい?」

「いいよ。あと、お姉ちゃんにプレゼント!」
そう言って、黒い腕輪?をくれた。嬉しくてすぐにつけた。

「ありがとう!んじゃ、行くね。…ゲート通過」



「とーちゃく。」
今考えると、ゲートを通過するのは初めてだった。でも、魔力が結構取られた感じ。疲れる。
ゲートって、魔力を取らないんじゃなかったっけ?家の周りに張った結界のせいかなぁ。それとも、30って魔力の少なさのせいかな…

「お姉ちゃん、ここどこ…?」

「私の家。」

「お姉ちゃんの家なの?じゃあ安心だね。」

「うん。なか、入ろっか。」

どうせならここを拠点にしたほうがいいかもしれない。

「んじゃ、部屋行こっ」

「うん。」

トン  トン  トン  トン

「ソイモは奥から2番目の部屋をつかってね。おやすみ。」
じゃあ寝ますか。


























「起きて。お姉ちゃん。」
ユラギが起こしにきた。鍵をかけていたと思ったんだけどねえ。うっかり。

「お姉ちゃん、私についてきて。」

「ソイモ…?」
不思議に思いながらも、ついて行った。
そして、リビングまでくるとソイモが急に叫んだ。

「吸収!」

その途端、何かが抜き取られた感じがして、床に倒れこんだ。そんな私を見て、ソイモがニヤリと笑った。

「あーあ、本当お姉ちゃんって馬鹿だよねえ。」

何を言っているのか分からなかった。

「私が理由もなくいじめられてると思ってたの?曲がりなりにも公爵家の令嬢で王子の婚約者なのに1人で外に出られると思っていたの?まあ後ろからつけさせた公爵家の暗者は巻いてたみたいだけど。
でも、運良くお姉ちゃんがライズって人の姿をパクって土地買ってるとこは見つけたんだ。あれだけ稼ぐのがどれだけ難しいかわかってるの?あの土地、安く買えたと思わなかった?あなたは泳がされていたの。」

頭を殴られたような感じがした。

「な…で…ソ、モ…」
『なんで』って言いたかったけど、声にならなかった。信じられなかった。信じたくなかった。

「そんな名前で呼ばないで。変な名前。私はカレンっていうの。3歳年下って信じてたみたいだけど私はあなたの1歳年下。いじめられてたのもあなたの前でだけよ?演技だもの。健気な妹アピールしてたら簡単に釣れたわよね。」

「ああ、そうそう。ついでに言うと、そのブレスレットは魔力をほとんど吸い取るんだ。しばらく動けないし、外すわね。」

私の髪をつかんで、無理やり顔を上げさせられた。

「アハッ本当魔力少ない!30しかないじゃない。私なんて1500もあるのに。これで全部かぁ。よっわーい。ていうか、どうやってお金集めたのかが不思議なんだよねえ。まあ口座はもう奪ったし暗証番号も分かる。暗者に調べさせたもの。知ってるんだから。この土地も取り押さえたしね。」

「そうそう、私、王子様と結婚することになったんだ。私可愛いもん。あんた私の前では顔違ったわよね。化けてたんでしょ。私の前でいい顔したくて。」
本当は豚みたいに肥えてるくせに、とカラカラ笑う。

「口座のお金はお父様とお母様と私とで分けるの!私達に幸せになってもらってウレシイデショ?でもカルマお兄様って馬鹿だよねえ。私達に従えばメイドの子でも家を継げたのに。」

「メイド…?」

「お母様が嫁いできた頃、お母様そっくりの双子の妹がメイドとして働いていたの。それでお父様、メイドとお母様2人ともに手を出していたのよ。それで、2人とも妊娠しちゃってあら大変。それで子供を産んだ後、メイドを殺して、双子として育てようと思ったの。甘いわよね。メイドも子供も一緒に殺して仕舞えばよかったのに。だからお母様の言うことに抗えないの。」

この子は何を言っているんだろう?

「みんなカレンにたてつくから悪いんだよ?カレンに従えばみんな上手くいくのに。」

「あなたは、殺さずに隣の国の三日月の森に捨てるだけにしてあげる。私ってやっさしーい♡」

どこが優しいんだろう?三日月の森は一度入ったら出られないと言われているのに。そう思って、カレンを睨む。

「何睨んでんだよ、ブス。」

「っつ…ッ」

髪が放され、地面に叩きつけられた。
でもコイツには、昔会ったことがあるような気がした。

「ぁーぁ。むかしいじめてた地味子みたい。」

小さい声だったが、聞き取れた。パチリ、とピースが繋がった気がした。

地味子。前世いじめられてた時のあだ名だ。

何睨んでんだよ、ブス。前世でいじめてられてた時女の子に言われた言葉だ。

確かめよう、と思った。
その自分からいろいろ吐いてくれた人に。

「昔…?」

「前世よ前世。中学の時暗くて地味なブスいじめてた事があったのよ。まあ、あんたには分かんないと思うけどね!」

ああ。
あってたんだ。

「私は選ばれたの。ヒロインじゃないのは納得いかないけど蹴落とせばいいの。
あんたは悪役令嬢だから私がヒロインになった時に邪魔でしょう?なら、フェードアウトさせちゃえばいいのよぉ。
だって、邪魔になるものは消さないといけないもの。
死ぬ直前このゲームやってて転生したんだからテンプレよね。ヒロインと同じ学校に行ったら攻略対象達が私にメロメロになるの。」

私は、この人と同じだったのか。

ゲームの世界って盲目的に信じてて。

でもやっぱりここは現実なんだ。

「アハッ。アハハハハハハハッ。アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」

「何がおかしいのよ。それとも頭が変になっちゃった?」

「頭がおかしいのはあなたでしょ?リコちゃん。」

カレンがびくりとした。

「何言ってんの?私はカレンよ!」

「そっか。間違えちゃったぁ。ごめんねぇ。前世の名前だったよねえ。あんた今は璃子じゃなくて、カレンなんだよねぇ。」

「なんで?なんであんたがその名前を知ってるのよ?」

「そんなの私の前世であったからに決まってるじゃなぁい。」

「は?」

「久し振りだねえ。私の名前はラピラズ・リュクサンブールって言います。前世では由羅衣って言いましたぁ。
ーー忘れたなんて言わせないよ?」

「なんであんたがいるのよ!?ヒロインは1人で十分なの!私、高校ではあんたをいじめてたからってシカトされてたんだから!私は被害者なの!」

被害者?ずいぶん自分勝手なことを言っている。自分がいじめたからだろうに。

「あんたがいじめだからでしょ。」

「ウルサイ!地味子をいじめて何が悪いの!」

私は、妹と思っていたモノをジッと見ていた。

「そうだ。あんたなんていなくなればいいのよ。あんたがいなくなれば上手くいくの。」

「何自分勝手なこと言ってんの。」

「ウルサイキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロ」


「キエロ。」


----------------------------------------

私は、姉を殺して家へ帰った。

これからはあんなお芝居もしなくていいし、お金がいっぱいあるから、好きにできる。
何より、王子様と婚約できた!

家へ着くと、カルマお兄様はいなかった。
私にたてついたんだから当然だけど、完璧な逆ハールートは無理になってしまった。

でも、あの豚のようで、誰かに似た姉はもういないということが嬉しかった。


「お父様、お母様。
私、お姉さんを殺したわ!これで、お金も土地も手に入ったわよ!」

お父様とお母様は、よくやった、と褒めてくれた。

目障りな|姉(豚)は、もういない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

余命1年の君に恋をした

パチ朗斗
恋愛
主人公の名前は千堂 蓮翔(せんどう れんと)、田舎の高校に通う高校2年生だ。彼の町には樹齢1000年もの桜が生えている。蓮翔はいつもその桜の木に頭を下げてから出掛けていた。 蓮翔はいつも通り、桜の木の方に向かうと、近くの空き地に1人の少女が倒れていた。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

悪役令嬢の逆襲

すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る! 前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。 素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!

あなたを忘れる魔法があれば

美緒
恋愛
乙女ゲームの攻略対象の婚約者として転生した私、ディアナ・クリストハルト。 ただ、ゲームの舞台は他国の為、ゲームには婚約者がいるという事でしか登場しない名前のないモブ。 私は、ゲームの強制力により、好きになった方を奪われるしかないのでしょうか――? これは、「あなたを忘れる魔法があれば」をテーマに書いてみたものです――が、何か違うような?? R15、残酷描写ありは保険。乙女ゲーム要素も空気に近いです。 ※小説家になろう、カクヨムにも掲載してます

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでのこと。 ……やっぱり、ダメだったんだ。 周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中 ※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...