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第1章 閉ざされし箱
第8話 遠くて近きは男女の仲
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王宮でエリアスと対面してから、ベルナドッテ公爵の屋敷へそのまま向かった。
つき添いのメリーと、ギルは護衛としてプリムローズと同じ馬車に乗っていた。
ただ黙っているのは、退屈で居眠りしそうで仕方ない。
話でもしないと本気で寝てしまうので、プリムローズは頭に浮かぶ疑問を口にしてみた。
「ギルは、ベルナドッテ公爵と顔を会わせた事はあるの?!」
いきなり質問されて驚くが、彼は遠い過去を振り返ってみる。
「ん~?!
ベルナドッテ公爵か…。
あるような、ないような。
もう、10年以上も昔のことだ。
そういえば王弟の息子、エリアスが誕生した時にはパーティーがあったのは覚えている」
「あらっ、よく覚えてましたね」
つい二人の会話に、メリーも割って入ってくる。
「生まれて半年後、何で覚えてるかと言うと屋敷でパーティーがあった。
お菓子や食事が、豪勢だったんだ」
「覚えいたのは、それだけですかい!
そのパーティーに公爵か嫡男であった彼が、当時に出席者している可能性はあるわね」
「そんな事を聞いて、何かこれからは行くベルナドッテ公爵様に関係ございますか?」
メリーは黒い森から帰還して、時を置かないでベルナドッテ公爵嫡男を見舞いに行くのが不思議でならなかった。
『あのお嬢様が、たいして知り合いでもない方のお見舞いに馳せ参じる。
絶対に、何か理由があるはずだわ』
口には出さないが、顔にはありありと浮かべていて唇を尖らせる仕草を無意識にしている。
「おいっ、メリー。
その変顔はやめとけよ!
只でさえ、たいした顔をしていないのに顔が崩れてしまうぞ」
相変わらず女性の扱いに慣れてない、不調法な男は前に座る彼女に足先を蹴られていた。
「何すんだ!
ほんと、口より先に手が出て乱暴な奴だよ。
お前、マジに嫁に行けないぞ!」
「煩いわね!
私より、ギル師匠のお嫁さんになる方のほうが皆無です」
この二人は、相性がいいのか悪いのか悩み。
私の検討違いだったのかなぁ。
ビビって閃いたんだよねー。
「【遠くて近きは男女の仲】、別に遠くはないんだけど…。
なかなか上手く行かないもんだね。ぐふふっ」
「お嬢様、何をぶつくさ言って不気味に笑っておられるのですか?
そんなに首振ると、キレイにした髪型が崩れますわ」
男女の仲は、少しも縁がなさそうなほどかけ離れていても案外結ばれやすいって本に書いてあった。
想像と現実はかけ離れていたのか、やれやれ。
「ごめんなさいね。
人生は、上手く思い通りにいかないと知ったのよ。
それも、目の前で…」
頬に片手を当てて、首を傾げて意味不明な会話してくる彼女に護衛は心配になる。
「いろんな事あり過ぎで、頭がおかしくなったか?
公爵のお坊ちゃんのお見舞いが終わったら、ちぃっとは休みなよな。
お嬢、わかったか?」
主人を気遣う言葉遣いではないが、愛情が感じられたので彼女は咎めずに静かに頷いて返事した。
間近に見えていたのは、ベルナドッテ公爵邸。
どこの屋敷も同じだが、高い塀の立派な門の横には、門番が控える小屋らしきものが立っていた。
「私たちは、本日今日こちらのご主人様と約束されている。
クラレンス公爵令嬢が、参ったのでお通し願いたい」
馭者が、門番と話し合っているようである。
話が伝わっているのか、すんなりと馬車は門の中に案内された。
「門から屋敷までの距離がございますね。
公爵だけあり、敷地が広いんでしょうね」
馬車の窓から外を見て、メリーが関心示して話すとギルが返事をす
る。
「そりゃ、臣下になっても元は王族だ。
王族に子がない場合は、王位継承権のある家だぜ」
それが、引き金になっている。
現王様には、世継ぎがまだ誕生していない。
王弟夫妻は不慮の事故で、この世にはもういない。
息子は、長く行方不明だったが最近発見された。
順当になら王の子だが居なければ、王弟の子エリアスになる。
もし、エリアスがこの世からいなくなったら王が没してしまったら…。
ベルナドッテ公爵か、その息子ヨハンがヘイズ王になる。
「ベルナドッテ公爵は、王弟の子エリアスを認めするかしら?
御自分が王になりたければ、意地でも認めなさそうね。
今日は、その辺を探るつもりなのよ」
プリムローズが本心を語りだすと、二人はやはりと納得顔して真面目な表情をした。
「そんな話を他国から留学に来ただけの者が、話してご不況を買いませんか?
いくらエリアスの為とはいえ、踏み込みすぎです」
身を案じて、考え直すように諭す。
「メリーが言っている事は正しい。
これはヘイズの問題だ。
エテルネルは関わっていないし、お嬢様は見舞いだけで済ました方がいい」
二人に、続けて反対されたのか。
もし、私の考察したのが合っていたらー。
彼は、まだ玉座を欲してかあるのかもしれない。あの教会で一度目にした隠された眼光は鋭すぎる。
思えばあれぐらい腹黒でなければ、一国の王になれないのかも。
今のヘイズ王と、会う約束しているベルナドッテ公爵を比べる。
これから、ヘイズが開国を目指すから尚更だ。
王より補佐が向いている、宰相が…。
「よく分かったわ。
気を付けます。
ギルがベルナドッテ公爵を見て、どう感じたかを私に後で教えて欲しいわ。お願いね!」
お嬢は、絶対にベルナドッテ公爵を説得するな。
エリアスの人となりを伝えて、理解を得るのだろう。
確かにアイツは良いやつだ。
王になったら民を思う、統治ができるだろう。
いいヤツだけで出来るとは、思えないなと考える。
馬車が広い玄関前に着けられると、中からベルナドッテ公爵と嫡男ヨハン様が出迎えに出てこられた。
ヨハン様は痩せて顔色は青白いが、笑顔でプリムローズたちが馬車から降りる姿を見ている。
主役が、居て安心したわ。
彼に長寿の水を飲ませるのが、今日の来た目的なのだから。
彼女を先頭にして、メリーとギルは一歩控えるような形をとってベルナドッテ公爵家親子に近寄るために歩きだした。
つき添いのメリーと、ギルは護衛としてプリムローズと同じ馬車に乗っていた。
ただ黙っているのは、退屈で居眠りしそうで仕方ない。
話でもしないと本気で寝てしまうので、プリムローズは頭に浮かぶ疑問を口にしてみた。
「ギルは、ベルナドッテ公爵と顔を会わせた事はあるの?!」
いきなり質問されて驚くが、彼は遠い過去を振り返ってみる。
「ん~?!
ベルナドッテ公爵か…。
あるような、ないような。
もう、10年以上も昔のことだ。
そういえば王弟の息子、エリアスが誕生した時にはパーティーがあったのは覚えている」
「あらっ、よく覚えてましたね」
つい二人の会話に、メリーも割って入ってくる。
「生まれて半年後、何で覚えてるかと言うと屋敷でパーティーがあった。
お菓子や食事が、豪勢だったんだ」
「覚えいたのは、それだけですかい!
そのパーティーに公爵か嫡男であった彼が、当時に出席者している可能性はあるわね」
「そんな事を聞いて、何かこれからは行くベルナドッテ公爵様に関係ございますか?」
メリーは黒い森から帰還して、時を置かないでベルナドッテ公爵嫡男を見舞いに行くのが不思議でならなかった。
『あのお嬢様が、たいして知り合いでもない方のお見舞いに馳せ参じる。
絶対に、何か理由があるはずだわ』
口には出さないが、顔にはありありと浮かべていて唇を尖らせる仕草を無意識にしている。
「おいっ、メリー。
その変顔はやめとけよ!
只でさえ、たいした顔をしていないのに顔が崩れてしまうぞ」
相変わらず女性の扱いに慣れてない、不調法な男は前に座る彼女に足先を蹴られていた。
「何すんだ!
ほんと、口より先に手が出て乱暴な奴だよ。
お前、マジに嫁に行けないぞ!」
「煩いわね!
私より、ギル師匠のお嫁さんになる方のほうが皆無です」
この二人は、相性がいいのか悪いのか悩み。
私の検討違いだったのかなぁ。
ビビって閃いたんだよねー。
「【遠くて近きは男女の仲】、別に遠くはないんだけど…。
なかなか上手く行かないもんだね。ぐふふっ」
「お嬢様、何をぶつくさ言って不気味に笑っておられるのですか?
そんなに首振ると、キレイにした髪型が崩れますわ」
男女の仲は、少しも縁がなさそうなほどかけ離れていても案外結ばれやすいって本に書いてあった。
想像と現実はかけ離れていたのか、やれやれ。
「ごめんなさいね。
人生は、上手く思い通りにいかないと知ったのよ。
それも、目の前で…」
頬に片手を当てて、首を傾げて意味不明な会話してくる彼女に護衛は心配になる。
「いろんな事あり過ぎで、頭がおかしくなったか?
公爵のお坊ちゃんのお見舞いが終わったら、ちぃっとは休みなよな。
お嬢、わかったか?」
主人を気遣う言葉遣いではないが、愛情が感じられたので彼女は咎めずに静かに頷いて返事した。
間近に見えていたのは、ベルナドッテ公爵邸。
どこの屋敷も同じだが、高い塀の立派な門の横には、門番が控える小屋らしきものが立っていた。
「私たちは、本日今日こちらのご主人様と約束されている。
クラレンス公爵令嬢が、参ったのでお通し願いたい」
馭者が、門番と話し合っているようである。
話が伝わっているのか、すんなりと馬車は門の中に案内された。
「門から屋敷までの距離がございますね。
公爵だけあり、敷地が広いんでしょうね」
馬車の窓から外を見て、メリーが関心示して話すとギルが返事をす
る。
「そりゃ、臣下になっても元は王族だ。
王族に子がない場合は、王位継承権のある家だぜ」
それが、引き金になっている。
現王様には、世継ぎがまだ誕生していない。
王弟夫妻は不慮の事故で、この世にはもういない。
息子は、長く行方不明だったが最近発見された。
順当になら王の子だが居なければ、王弟の子エリアスになる。
もし、エリアスがこの世からいなくなったら王が没してしまったら…。
ベルナドッテ公爵か、その息子ヨハンがヘイズ王になる。
「ベルナドッテ公爵は、王弟の子エリアスを認めするかしら?
御自分が王になりたければ、意地でも認めなさそうね。
今日は、その辺を探るつもりなのよ」
プリムローズが本心を語りだすと、二人はやはりと納得顔して真面目な表情をした。
「そんな話を他国から留学に来ただけの者が、話してご不況を買いませんか?
いくらエリアスの為とはいえ、踏み込みすぎです」
身を案じて、考え直すように諭す。
「メリーが言っている事は正しい。
これはヘイズの問題だ。
エテルネルは関わっていないし、お嬢様は見舞いだけで済ました方がいい」
二人に、続けて反対されたのか。
もし、私の考察したのが合っていたらー。
彼は、まだ玉座を欲してかあるのかもしれない。あの教会で一度目にした隠された眼光は鋭すぎる。
思えばあれぐらい腹黒でなければ、一国の王になれないのかも。
今のヘイズ王と、会う約束しているベルナドッテ公爵を比べる。
これから、ヘイズが開国を目指すから尚更だ。
王より補佐が向いている、宰相が…。
「よく分かったわ。
気を付けます。
ギルがベルナドッテ公爵を見て、どう感じたかを私に後で教えて欲しいわ。お願いね!」
お嬢は、絶対にベルナドッテ公爵を説得するな。
エリアスの人となりを伝えて、理解を得るのだろう。
確かにアイツは良いやつだ。
王になったら民を思う、統治ができるだろう。
いいヤツだけで出来るとは、思えないなと考える。
馬車が広い玄関前に着けられると、中からベルナドッテ公爵と嫡男ヨハン様が出迎えに出てこられた。
ヨハン様は痩せて顔色は青白いが、笑顔でプリムローズたちが馬車から降りる姿を見ている。
主役が、居て安心したわ。
彼に長寿の水を飲ませるのが、今日の来た目的なのだから。
彼女を先頭にして、メリーとギルは一歩控えるような形をとってベルナドッテ公爵家親子に近寄るために歩きだした。
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