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第5章 気になる方は年下の男の子
第7話 姉妹の卒業後
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ローベル伯爵家の二人の姉妹たちは、無事に何事もなく学園を卒業。
生まれてから育った実家の屋敷を、それぞれ離れて嫁ぎ先で暮らし始めることになった。
来年の結婚式前には、1度実家に里帰りして6月に式の予定。
結婚式は、2人で同時にすることにした。
仲の良い姉妹が、各自の婚約者たちにお願いをしたのだ。
「お願いがあります。
私たち姉妹は、お互いに励まし合ってここまで成長したのです!」
「ええ、ですから結婚式も新たな出発として一緒にしたいのですわ!」
この話を婚約者たちの両親にすると、感動してよい嫁が来ると泣いたそうだ。
「エミリーお姉様、良かったですわ。
1度だけですみますわよ。
別々にすると面倒ですものね」
「シモーヌ、決して面倒だから一緒にしたとは言わないことよ。
ロベール伯爵家が、ケチと思われますからね」
姉妹は実家の負担を思い、合同で結婚式をすることを二人の間で決めていたのだ。
勿論、ロベール伯爵の家族たちも誰も知らない。
これは、姉妹だけの秘密の約束事。
侯爵令嬢クロエはと言うと、すっかりラファエルの花壇の虜になった。
自分が水をやり綺麗に咲く花たちを、愛でるのが楽しくてたまらない様子。
ラファエルの考えが、逆に裏目にでてしまった。
あれほどに、腰を痛めていて呻いていたはずなのにー。
椅子まで持ち込んで準備万端で乗り込む、そんな令嬢を呆れて彼はどうするか考え込む。
「ノマイユ侯爵令嬢、貴女は部活はどうしましたの?
前はどちらに所属してましたか?
どうして、そちらに行かないのです?!」
ラファエルは、頭に浮かぶ疑問を令嬢に次々とした。
「あちらは、私が居なくても困りませんわ。
大勢の令嬢がお茶して、お話するだけで退屈ですの。
こちらの花が、私を待って下さいますわ!フフフ」
はぁ~、待ってないわよ!
どうしたら脳天気な考えになるのよ。
まさかこの娘、入部したいなんて言わないわよね?!
「ノマイユ侯爵令嬢、悪いけど貴女の部活に戻りなさい。
この花壇は、私だけで事は足りてるのよ」
彼は厄介払いのために、必死になり説得を開始した。
「ロベール伯爵令息、私をこの部に入れてください。
どうか、お願いします!」
彼女は、この幸せな時間を奪われたくなかった。
「お・と・わ・り!!
さぁ、帰ってよ、あっちに廃部届けを出しないでしょう。
まだ席があるわよね。
迷惑なの、わかった?!」
ラファエルは手を振ると、一人作業の続きを始める。
「嫌です、私は何かをしたいのです。
でも何をしていいか、そんな時に花壇に水をやりキラキラ輝く花に魅せられたのです!
うわべの会話をして笑う令嬢たちよりも、花は私に安らぎを与えたのですわ」
ノマイユ侯爵令嬢の気持ちは、痛いほどわかるわ。
馬鹿な令嬢たちの話よりは、花の方が数倍もいい。
でも、こうして一緒にいると何時かは変な噂になる。
きっと近い時期に、想像できて目に浮かんで見えるわ。
友人の二人の姉たちは、もう卒業して学園にはもういないのよ。
言い訳が出来ないし、この令嬢はいったい何を考えてるの。
「私は男なの、女性なら断らないわ!
男女が二人きりでは、変な噂になるに決まってる。
貴女は、まだ婚約者がいないでしょう。
よく考えなさいな!
婚約者が出来たら、またコチラに来なさいね」
ラファエルは、ノマイユ侯爵令嬢の持ち込んだ小さな椅子を花壇の外に出した。
クロエは泣きそうな顔をし、椅子を持って花壇から離れていく。
可哀想だけど令嬢のためだわと、ラファエルは去り行くクロエを見ていた。
生まれてから育った実家の屋敷を、それぞれ離れて嫁ぎ先で暮らし始めることになった。
来年の結婚式前には、1度実家に里帰りして6月に式の予定。
結婚式は、2人で同時にすることにした。
仲の良い姉妹が、各自の婚約者たちにお願いをしたのだ。
「お願いがあります。
私たち姉妹は、お互いに励まし合ってここまで成長したのです!」
「ええ、ですから結婚式も新たな出発として一緒にしたいのですわ!」
この話を婚約者たちの両親にすると、感動してよい嫁が来ると泣いたそうだ。
「エミリーお姉様、良かったですわ。
1度だけですみますわよ。
別々にすると面倒ですものね」
「シモーヌ、決して面倒だから一緒にしたとは言わないことよ。
ロベール伯爵家が、ケチと思われますからね」
姉妹は実家の負担を思い、合同で結婚式をすることを二人の間で決めていたのだ。
勿論、ロベール伯爵の家族たちも誰も知らない。
これは、姉妹だけの秘密の約束事。
侯爵令嬢クロエはと言うと、すっかりラファエルの花壇の虜になった。
自分が水をやり綺麗に咲く花たちを、愛でるのが楽しくてたまらない様子。
ラファエルの考えが、逆に裏目にでてしまった。
あれほどに、腰を痛めていて呻いていたはずなのにー。
椅子まで持ち込んで準備万端で乗り込む、そんな令嬢を呆れて彼はどうするか考え込む。
「ノマイユ侯爵令嬢、貴女は部活はどうしましたの?
前はどちらに所属してましたか?
どうして、そちらに行かないのです?!」
ラファエルは、頭に浮かぶ疑問を令嬢に次々とした。
「あちらは、私が居なくても困りませんわ。
大勢の令嬢がお茶して、お話するだけで退屈ですの。
こちらの花が、私を待って下さいますわ!フフフ」
はぁ~、待ってないわよ!
どうしたら脳天気な考えになるのよ。
まさかこの娘、入部したいなんて言わないわよね?!
「ノマイユ侯爵令嬢、悪いけど貴女の部活に戻りなさい。
この花壇は、私だけで事は足りてるのよ」
彼は厄介払いのために、必死になり説得を開始した。
「ロベール伯爵令息、私をこの部に入れてください。
どうか、お願いします!」
彼女は、この幸せな時間を奪われたくなかった。
「お・と・わ・り!!
さぁ、帰ってよ、あっちに廃部届けを出しないでしょう。
まだ席があるわよね。
迷惑なの、わかった?!」
ラファエルは手を振ると、一人作業の続きを始める。
「嫌です、私は何かをしたいのです。
でも何をしていいか、そんな時に花壇に水をやりキラキラ輝く花に魅せられたのです!
うわべの会話をして笑う令嬢たちよりも、花は私に安らぎを与えたのですわ」
ノマイユ侯爵令嬢の気持ちは、痛いほどわかるわ。
馬鹿な令嬢たちの話よりは、花の方が数倍もいい。
でも、こうして一緒にいると何時かは変な噂になる。
きっと近い時期に、想像できて目に浮かんで見えるわ。
友人の二人の姉たちは、もう卒業して学園にはもういないのよ。
言い訳が出来ないし、この令嬢はいったい何を考えてるの。
「私は男なの、女性なら断らないわ!
男女が二人きりでは、変な噂になるに決まってる。
貴女は、まだ婚約者がいないでしょう。
よく考えなさいな!
婚約者が出来たら、またコチラに来なさいね」
ラファエルは、ノマイユ侯爵令嬢の持ち込んだ小さな椅子を花壇の外に出した。
クロエは泣きそうな顔をし、椅子を持って花壇から離れていく。
可哀想だけど令嬢のためだわと、ラファエルは去り行くクロエを見ていた。
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