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第4章 婚活と未来への道
第6話 オオカミの魔の手
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必死にクロエを探す2人に、庭にいる見知らぬ男女の話し声が耳に入る。
「ねぇー、あれって危なくないかしら?
あの方は外国からお見えになっている、ご令嬢ではなくって?」
1人の貴婦人が、連れの男性パートナーに話している。
その内容に、2人は顔を強ばらせた。
「あの男は、ほとんどの貴族のパーティーを出禁だったはずだ。
あまり大きな声で話せないが、詐欺師って悪い噂もあるしな」
2人は顔を見合わせて驚くと、もう少し側に寄り話を聞くことにする。
もしかしたら、クロエがその令嬢ではないかもしれない。
「確か、金髪がお好きだしね。
男女関係を持ってお金をせしめるって聞いたわ。
飽きたら、ポイするって有名よ!」
女性は扇で隠しながら、男性の耳元で囁くように話す。
「前は、そうそう侯爵夫人の愛人だったよな。
結局は、夫と離縁して貢いでから破局たんだよ。
あれは、酷い話だった」
2人は、その会話に背筋が凍った。
金髪って、クロエ様も金髪だわ。
金髪はそんなに珍しくない。
とにかく、彼女を探し出さなくては!
二人は庭から、血相を変えてパーティー会場に急ぎ戻るのであった。
そのクロエはというと、すっかりご機嫌でその男と飲み物を飲んでいた。
彼はシャンパンをクロエに渡し、飲ませて酔わせようとしていた。
この女は、無防備だ!
警戒心もなく、私を全然疑っていない様子だ。
部屋に連れ込んで、ことを成せば自分の思うがまま。
それによく見ると、なかなかの上玉だ。
金髪で若くて、俺好みだしな。
飽きたら、売り飛ばしてもいいな。
一瞬だけニャっと笑い、すぐに優しげな表情に戻すのである。
「ご令嬢、ここでは君の可愛らしい声が良く聞き取れない。
実は2階には、ゆっくり話す事ができる部屋があります。
そちらに参りませんか?
お互いに挨拶をして、名を告げたいのです。
そんなには、長くはありませんよ」
クロエは最初は、連れが戻るのでと丁重にお断りをしていた。
「そこにいる給仕に、貴女の特徴を話します。
お連れが探しているようなら、私たちに知らせるように頼みますよ!どうですか?」
彼女を安心させるため、男は給仕を指差して説得をする。
「そうね、ちょっとだけですわよね?!」
クロエはそこまで言ってくれている、この紳士を疑っては悪いと感じていた。
「ええ、部屋も扉を開けておきますよ。
どうか、信用して下さい。
可愛いお方!」
クロエは真面目で誠実そうな男の返事に、コロッと騙されてしまったのである。
「では、私は給仕に約束通りに話をしますね。
このケーキでも、お食べになって待っていて下さい。
素敵なお方よ!」
彼は美味しそうなお菓子を乗せて、クロエに手渡して微笑した。
やはりこの方は紳士なのね。
私を気遣ってくれているわ。
このケーキも可愛くて美味しそう!
皿を受け取ると、彼女はケーキに夢中になり食べ始めた。
まことに、単純で頭の弱い女で助かる。
男は給仕に連れが具合が悪くなり、2階の部屋を使いたいと頼み。
自分は介護しながらワインを飲みたいと話していた。
給仕は依頼を聞くと、空いている部屋を確認しに側を離れた。
少ししてから、また同じ給仕が戻ってきて男に声をかけていた。
「旦那様!
2階に上がり、左側の通路の右側奥のお部屋が空いております」
「あぁ、助かったよ。
ワインとツマミもお願いできるか?
これは少ないが取ってくれ」
「いえ、これは受け取れませんよ。
気持ちだけで結構です」
困り顔をしていたが、顔は嬉しそうにしていた。
「いいんだよ、内緒にすればいい。
私の気持ちが、君にもわかるだろう。
やっと、彼女といい感じになれて嬉しいんだ!」
給仕に握手するように、金を手に握らせた。
「思いが叶うようにを願いますよ。旦那様!」
「これは有難う!
今日は、素晴らしい一日になりそうだ!」
だから、やめられないのだよ。
夜会には、魅惑な女性と金づるか居るからな。
笑顔の彼は振り向き、ケーキをにこやかに食べているクロエを見て胸中を明かしていた。
「ねぇー、あれって危なくないかしら?
あの方は外国からお見えになっている、ご令嬢ではなくって?」
1人の貴婦人が、連れの男性パートナーに話している。
その内容に、2人は顔を強ばらせた。
「あの男は、ほとんどの貴族のパーティーを出禁だったはずだ。
あまり大きな声で話せないが、詐欺師って悪い噂もあるしな」
2人は顔を見合わせて驚くと、もう少し側に寄り話を聞くことにする。
もしかしたら、クロエがその令嬢ではないかもしれない。
「確か、金髪がお好きだしね。
男女関係を持ってお金をせしめるって聞いたわ。
飽きたら、ポイするって有名よ!」
女性は扇で隠しながら、男性の耳元で囁くように話す。
「前は、そうそう侯爵夫人の愛人だったよな。
結局は、夫と離縁して貢いでから破局たんだよ。
あれは、酷い話だった」
2人は、その会話に背筋が凍った。
金髪って、クロエ様も金髪だわ。
金髪はそんなに珍しくない。
とにかく、彼女を探し出さなくては!
二人は庭から、血相を変えてパーティー会場に急ぎ戻るのであった。
そのクロエはというと、すっかりご機嫌でその男と飲み物を飲んでいた。
彼はシャンパンをクロエに渡し、飲ませて酔わせようとしていた。
この女は、無防備だ!
警戒心もなく、私を全然疑っていない様子だ。
部屋に連れ込んで、ことを成せば自分の思うがまま。
それによく見ると、なかなかの上玉だ。
金髪で若くて、俺好みだしな。
飽きたら、売り飛ばしてもいいな。
一瞬だけニャっと笑い、すぐに優しげな表情に戻すのである。
「ご令嬢、ここでは君の可愛らしい声が良く聞き取れない。
実は2階には、ゆっくり話す事ができる部屋があります。
そちらに参りませんか?
お互いに挨拶をして、名を告げたいのです。
そんなには、長くはありませんよ」
クロエは最初は、連れが戻るのでと丁重にお断りをしていた。
「そこにいる給仕に、貴女の特徴を話します。
お連れが探しているようなら、私たちに知らせるように頼みますよ!どうですか?」
彼女を安心させるため、男は給仕を指差して説得をする。
「そうね、ちょっとだけですわよね?!」
クロエはそこまで言ってくれている、この紳士を疑っては悪いと感じていた。
「ええ、部屋も扉を開けておきますよ。
どうか、信用して下さい。
可愛いお方!」
クロエは真面目で誠実そうな男の返事に、コロッと騙されてしまったのである。
「では、私は給仕に約束通りに話をしますね。
このケーキでも、お食べになって待っていて下さい。
素敵なお方よ!」
彼は美味しそうなお菓子を乗せて、クロエに手渡して微笑した。
やはりこの方は紳士なのね。
私を気遣ってくれているわ。
このケーキも可愛くて美味しそう!
皿を受け取ると、彼女はケーキに夢中になり食べ始めた。
まことに、単純で頭の弱い女で助かる。
男は給仕に連れが具合が悪くなり、2階の部屋を使いたいと頼み。
自分は介護しながらワインを飲みたいと話していた。
給仕は依頼を聞くと、空いている部屋を確認しに側を離れた。
少ししてから、また同じ給仕が戻ってきて男に声をかけていた。
「旦那様!
2階に上がり、左側の通路の右側奥のお部屋が空いております」
「あぁ、助かったよ。
ワインとツマミもお願いできるか?
これは少ないが取ってくれ」
「いえ、これは受け取れませんよ。
気持ちだけで結構です」
困り顔をしていたが、顔は嬉しそうにしていた。
「いいんだよ、内緒にすればいい。
私の気持ちが、君にもわかるだろう。
やっと、彼女といい感じになれて嬉しいんだ!」
給仕に握手するように、金を手に握らせた。
「思いが叶うようにを願いますよ。旦那様!」
「これは有難う!
今日は、素晴らしい一日になりそうだ!」
だから、やめられないのだよ。
夜会には、魅惑な女性と金づるか居るからな。
笑顔の彼は振り向き、ケーキをにこやかに食べているクロエを見て胸中を明かしていた。
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