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第6章 薔薇とドクダミを君へ
第8話 心配性な父と兄
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ノマイユ侯爵は、ラファエル・ロベール伯爵令息を調査した。
娘クロエが、最近よくいる相手だからだ。
「ほぉー、かなり優秀なんだな。
学園を首席で入っておるぞ!
飛び級で2学年上になり、今は学年2番か。
性格も、温厚で誠実か…」
兄である次期侯爵令息も、違う報告をみていた。
「父上、ロベール伯爵の娘たちも美人姉妹で性格も評判もいいですよ。
侯爵家と伯爵家に婚約してます。
両家とも、いい家柄で裕福な嫁ぎ先みたいです」
「なら、伯爵も大変ではないか。
娘たちが同時に嫁ぐとは、確か双子の姉妹だったな?!」
ノマイユ侯爵は、心配げに息子の顔を見て質してくるのだった。
「持参金は大変になるみたいですが、ロベール家は領地の経営状態は堅実で質素倹約で有名みたいですよ。
これはなかなかよい、父上」
父兄とも、非の打ち所なしのロベール伯爵家に満足した。
「でっ!肝心な本人たちの仲は、どうなんだ?!」
侯爵は息子に聞くと、表情が曇りがかり困り顔。
「クロエはぞっこんで、ロベール伯爵令息は慎重みたいですよ。
彼は身分の低さと年下で、我が家が反対すると考えているようです」
「まぁな、本音を言えば王妃にしたかったがな。
あの娘の性格では、王妃は無理だろう?!
今度、ロベール伯爵令息を食事にでも誘うとするか?!」
父の侯爵が話すと、息子が提案した。
「彼の人柄をみたいです。
もしかしたら、義弟になるかもしれませんから…」
どうしたら接点を持てるかで、クロエの兄は八方塞がりなる。
そこでもう一度、彼の1ヶ月の行動を丹念に調べ直した。
ブリエという王都1の宝石店に、週1回必ず来店している。
それも朝から夕方まで、ただの学生が何故に長時間も高級宝石店に通うのか?
解せない、クロエの兄はラファエルの秘密に目をつけた。
「ブリエか…。
妻の誕生日が近かったはずだ。
何かブリエで探すとするか。
それに、面白い者に会えそうだしな?!」
彼はラファエルの来店する日を、狙って行くことに決めた。
裏で自分を調べられているとは、知らないラファエル。
クロエとステラは、園芸部に入部する。
そして空いた時間で、ラファエルに刺繍を習っていた。
園芸部としての当てられた部屋には、クロエとステラの嘆き声が響く。
「どうしましょう?!
この場所が、重なりすぎてしまったわ!
また、やり直し!」
クロエの絶望しながら小声で話していると、隣は絶叫していた。
「もうっ、何で上手くカーブがつけられないのよ!
丸みがなく、カクカクになったわよー!」
横で同じ図案を刺していたラファエルが、二人の刺繍を覗き見する。
「貴女たちは、焦りすぎてひとつひとつが雑だからそうなんのよ。
心を込めれば、ほらご覧なさいな。
この美しい小鳥が、羽ばたくような躍動感を!!」
ラファエルは、二人に誇らしげ掲げて見せた。
女性たちは、ラファエルの刺繍をガン見して話し出す。
「同じ図案とは思えないわ。
どうしたら、こんなにも差がつくものなの?!」
クロエは、自分の刺繍と比べてキョロキョロしている。
「凄すぎよ!
前にクロエが話していたわね。
女性として負けてるって、私も完全に負けたわ」
ステラは刺繍の手を休めて、独り言のような話し声でグチっていた。
「ほらほら、貴女たち!
手がお留守になってますよ。
いつかは、上手くなるから頑張んなさい。
才能がないぶん努力して、ノマイユ侯爵令嬢は兄嫁さまの誕生日に間に合わなくてよぉ!」
彼はクロエから、兄嫁の誕生日に自分の刺繍したハンカチを贈りたいと相談された。
その内容を吟味して、小枝に二匹の鳥が仲良くいる図案を薦めてみた。
夫婦仲良くと、願いを込めた図柄だ。
二人が顔を近づけて刺繍をしているのを眺めながら、ステラは二人の仲が一歩近くなったことを喜んだ。
あれからモルガンとの間は前よりも親密になり、彼女に仕事の事まで相談する様になっていた。
今までは年下の私には、矜持があったのか言わなかったのかしら?
ステラは、二人には一生涯の恩を感じる。
それにモルガンは、ラファエルを信じきっていた。
「ステラ!彼は女性より女性らしい。
君と二人で居ても、あのように慰められていても嫉妬しなかったんだ。失礼だが、姉と妹に見えたよ!
アーハハハ!!」
ステラは、モルガンにラファエルが女性扱いされているのを本人には秘密にする。
娘クロエが、最近よくいる相手だからだ。
「ほぉー、かなり優秀なんだな。
学園を首席で入っておるぞ!
飛び級で2学年上になり、今は学年2番か。
性格も、温厚で誠実か…」
兄である次期侯爵令息も、違う報告をみていた。
「父上、ロベール伯爵の娘たちも美人姉妹で性格も評判もいいですよ。
侯爵家と伯爵家に婚約してます。
両家とも、いい家柄で裕福な嫁ぎ先みたいです」
「なら、伯爵も大変ではないか。
娘たちが同時に嫁ぐとは、確か双子の姉妹だったな?!」
ノマイユ侯爵は、心配げに息子の顔を見て質してくるのだった。
「持参金は大変になるみたいですが、ロベール家は領地の経営状態は堅実で質素倹約で有名みたいですよ。
これはなかなかよい、父上」
父兄とも、非の打ち所なしのロベール伯爵家に満足した。
「でっ!肝心な本人たちの仲は、どうなんだ?!」
侯爵は息子に聞くと、表情が曇りがかり困り顔。
「クロエはぞっこんで、ロベール伯爵令息は慎重みたいですよ。
彼は身分の低さと年下で、我が家が反対すると考えているようです」
「まぁな、本音を言えば王妃にしたかったがな。
あの娘の性格では、王妃は無理だろう?!
今度、ロベール伯爵令息を食事にでも誘うとするか?!」
父の侯爵が話すと、息子が提案した。
「彼の人柄をみたいです。
もしかしたら、義弟になるかもしれませんから…」
どうしたら接点を持てるかで、クロエの兄は八方塞がりなる。
そこでもう一度、彼の1ヶ月の行動を丹念に調べ直した。
ブリエという王都1の宝石店に、週1回必ず来店している。
それも朝から夕方まで、ただの学生が何故に長時間も高級宝石店に通うのか?
解せない、クロエの兄はラファエルの秘密に目をつけた。
「ブリエか…。
妻の誕生日が近かったはずだ。
何かブリエで探すとするか。
それに、面白い者に会えそうだしな?!」
彼はラファエルの来店する日を、狙って行くことに決めた。
裏で自分を調べられているとは、知らないラファエル。
クロエとステラは、園芸部に入部する。
そして空いた時間で、ラファエルに刺繍を習っていた。
園芸部としての当てられた部屋には、クロエとステラの嘆き声が響く。
「どうしましょう?!
この場所が、重なりすぎてしまったわ!
また、やり直し!」
クロエの絶望しながら小声で話していると、隣は絶叫していた。
「もうっ、何で上手くカーブがつけられないのよ!
丸みがなく、カクカクになったわよー!」
横で同じ図案を刺していたラファエルが、二人の刺繍を覗き見する。
「貴女たちは、焦りすぎてひとつひとつが雑だからそうなんのよ。
心を込めれば、ほらご覧なさいな。
この美しい小鳥が、羽ばたくような躍動感を!!」
ラファエルは、二人に誇らしげ掲げて見せた。
女性たちは、ラファエルの刺繍をガン見して話し出す。
「同じ図案とは思えないわ。
どうしたら、こんなにも差がつくものなの?!」
クロエは、自分の刺繍と比べてキョロキョロしている。
「凄すぎよ!
前にクロエが話していたわね。
女性として負けてるって、私も完全に負けたわ」
ステラは刺繍の手を休めて、独り言のような話し声でグチっていた。
「ほらほら、貴女たち!
手がお留守になってますよ。
いつかは、上手くなるから頑張んなさい。
才能がないぶん努力して、ノマイユ侯爵令嬢は兄嫁さまの誕生日に間に合わなくてよぉ!」
彼はクロエから、兄嫁の誕生日に自分の刺繍したハンカチを贈りたいと相談された。
その内容を吟味して、小枝に二匹の鳥が仲良くいる図案を薦めてみた。
夫婦仲良くと、願いを込めた図柄だ。
二人が顔を近づけて刺繍をしているのを眺めながら、ステラは二人の仲が一歩近くなったことを喜んだ。
あれからモルガンとの間は前よりも親密になり、彼女に仕事の事まで相談する様になっていた。
今までは年下の私には、矜持があったのか言わなかったのかしら?
ステラは、二人には一生涯の恩を感じる。
それにモルガンは、ラファエルを信じきっていた。
「ステラ!彼は女性より女性らしい。
君と二人で居ても、あのように慰められていても嫉妬しなかったんだ。失礼だが、姉と妹に見えたよ!
アーハハハ!!」
ステラは、モルガンにラファエルが女性扱いされているのを本人には秘密にする。
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