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第6章 薔薇とドクダミを君へ

第6話  男の本音

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 そのまま食事は、何事もなく感動のままに終わると誰もが思ってた。

そんな中でラファエルが、フト疑問を知らず知らずにつぶやいていた。

まさか言った本人すら、こんな修羅場しゅらばになるとは考えつかなかった。

「ねぇ?モルガン様は、1回で満足出来たの?
前に本で読んだけど、1回女性の味を知ると性欲って押さえられないそうなのよ。
私はまだ15歳成り立てだから、性欲ってよくわからないけどね?
モルガン様は、ステラ嬢にまさか嘘ついてないわよねぇ~?!」

2人の女性たちはラファエルの疑問を聞いてから、鋭い目つきに変わり彼をすぐさまにらんでいた。

「モルガン?あなたー!
本心はどうなのよ?
何人と何回したの?!
あんなキレイな事を言って、全部嘘でしたの?
私をだまして、その胸の中で私をあざ笑っているのね!」

ステラは突如とつじょ、モルガンのえりを両手につかむと言いながら激しく揺さぶってきた。

驚き固まるモルガンは、人形の様に動かずにされるがままに揺さぶられている。

「お、落ち着いてステラ!!
モルガン様は、何も嘘なんてついてないわよ!
ラ、ではなかったわ。
ロベール伯爵令息ー!
何か仰って下さいませー!!」

クロエが彼女の肩に後ろから手を優しく置いて、必死に注意していた。

「彼が彼女に、正直に話せば許しますよね。
伯爵令嬢は、嘘がお嫌いなだけなのよ。
これで駄目になるなら、婚約破棄した方がいい。
一生付きまとうのだからね。
この疑念ぎねんは!!」

ラファエルの婚約破棄の言葉は、部屋の中を暗く重たい空気に一段としてしまっていた。

何とか誤解を解くために、モルガンはステラに弁解を始めた。

「すまない~、ステラ!!
3人で3回だぁー!!
1人の人には、2度はしていない!
ステラ、これが本当の真実だぁー!!!」

かなり情けない声で、心の叫びに似た懺悔ざんげ

ステラは彼の襟を離すと、下を向き静かに泣き始めた。

かすかな泣き声は、部屋に響き聞いていた者は辛くなる。

ラファエルはそっと、ステラに自分の刺繍ししゅうした美しい百合ゆりの花のハンカチを差し出した。

「今の告白は、信じてもいい人数と回数だと思うわ。
だって20歳の男!
普通の男ならやるわよ。
貴女も本当は、そう思ってるでしょう?
変態へんたいよりは、いくらかマシ。
もう、仲直りしなさいな」

ステラはハンカチを受け取り、目に当てながらラファエルの胸の中で泣き続けた。

「ヨシヨシ、わかるわぁ~!!
愛する者に、あんな嘘をつかれてはね。
でもね、彼も辛いと思う。
どうも男って大変みたい?!
愛人や恋人を、裏で作られるよりいいでしょう?!クスクス」

ステラの頭をでながら、なぐさめる姿は姉と弟のようだった。

いや、姉妹のようである。

モルガンもクロエもその様子に、嫉妬しっとの気持ちが不思議とくことはなかった。
 
 やっとステラが落ち着いたので、食事会はお開きになった。

クロエとラファエルは同じ馬車に乗り、ノワイユ侯爵令嬢を屋敷まで送ることにした。

「大丈夫かしら?
二人ともあれから、全然お話をしてなかったわ」

クロエは友人を思い心配して、ラファエルにたずねてくる。

「あれでダメになる関係なら、最初からうまくいかないわよ。
貴女は甘いわね。
これからは、もっと辛いことが起きる場合もあるわ。
夢と現実は違うわよ!
わかる~?!」

ラファエルは冷たい突き放す言い方は、クロエには耳の痛い話であった。

「ロベール伯爵令息って冷淡れいたんなのか、優しいのか分かりません。
とにかく、私は親友としてステラを支えますわ!!」

 クロエが力強く話す様を見て、彼は優しい眼差まなざしで少しだけ笑って元気づけた。

「クスクス、平気!
彼女は今頃は、馬車の中で彼の頬を思いっきり一発叩いてるわ。
休み明けは、サッパリした顔で笑って話しかけるはずよ!」

ラファエルは隣の女性を見つめ話し終えると、顔を馬車の窓の外の夜景に向けた。

彼女は黙って、彼のその横顔を静かに見続けるのである。

  
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