【完結】君はバラより美しく!     ドクダミよりもたくましい?

愚者 (フール)

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第6章 薔薇とドクダミを君へ

第5話  ステラの胸の内

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 食事が終わりお茶とデザートが出されたら、ラファエルは今までの過去を3人に全て洗いざらい話し始めた。

「これは、普通ではなくってよ。
親とはいえひどいです!
無理にドレスを着せといて、都合悪くなると男に戻れなんてー!!」

クロエは親の思いつきと身勝手で、こんな事になってしまったラファエルに同情していた。
他の2人もこれはと、ラファエルを気の毒そうに見るのである。

「あら?楽しかったわよ。
でもね、私は男より女よりなの。
あっ、誤解しないでよ!殿方には、そんな感情とか興味ないから。
ただ、ドレスをまた着たいわ~!
だって、似合いそうじゃない?!」

クロエの怒りをよそに本人はいたって冷静に、彼女をなだめる言葉を言ってくる。

そんな3人は、ラファエルを容姿の見て想像すると納得した。

「確かに似合いそうだわ!
それに仕草しぐさも綺麗ですし、女の私も負けそうですわね」

ステラは、ラファエルの食べ方の美しさに感心した。

「じゃあ、ノワイユ侯爵令嬢は理想の方ではないか!
彼女なら、ドレスを着させてくれんじゃないか?!」

モルガンはクロエに、どうかと質問した。

「ええ、私は見てみたいですわ。
ついでに、お化粧もしてみたいです。
鏡の前でどちらが綺麗か、比べたりしたい!」

ノリノリのクロエに、3人はあやしい目つきで見るのである。

「ちょっと、待ちなさいよ!
貴女は、結婚を軽々しく考え過ぎよ。
私と結婚すると、世継よつぎを生まなくてはならないのよ?
私とそういう行為する覚悟あるの?
キスしてベッドで寝れば、妊娠するなんて思ってないわよね?!」

この発言に、3人はすぐに顔を赤くした。
どうもラファエルは女心になると、かなり大胆だいたんになる性格らしい。

「そ、それくらいは分かりますわ。
でも、経験はございませんが…」

クロエは真っ赤になり、小声で聞こえるぐらいで話した。

「ク、クロエ!
あったら問題があります。
わ、私もありませんことよー!」

ステラも、クロエと同様に顔が真っ赤になっていた。

「コホン!
それはその場に、ならないとわからないよ。
愛してるなら、出来る行為ではないかなぁ?!」

モルガンが、もっともな答えを出してきた。

「ねっ、モルガンは経験はおあり?
私は気になっていたの。
私以外に、そんな関係の方はいらっしゃるの?
怖くて1人では聞けなかったわ。怒ってもいいわ、教えて下さいますか?!」

2人の深い個人的な関係の会話に、戸惑とまどうクロエたちは沈黙していた。

「恥ずかしいな。
でも、今なら素直に言えそうだな。
20歳の男性だからね、無いとは言えないよ。
前の彼女とはキスはしたさ。
その後裏切られて、どうでもよくなった。
悪いが遊びで1度だけ、その手の女性と関係を持ったよ。
薄情だが、もう顔も覚えていない。
誓うよ、君だけだ。
これからも、この先もね。失望したかい?!」 

モルガンがそう告白すると、ステラは感極かんきわまり席を立ち婚約者に近寄る。

モルガンも席を立つと、優しい笑顔で彼女の顔を見るのだった。

「いいえ!答えてくれて嬉しいわ!
私は、そんな貴方を含めて愛しています。
もう少しだけ、お待ち下さいませ、モルガン!!」

ステラは一筋の涙を流し、モルガンの手を握りしめた。
彼女は、年上の婚約者の過去を聞けなくて辛かったのだろう。

モルガンも、もう片方の手を肩に回して抱き締めている。

今まさに先ほどの芝居よりも、現実の方が勝っているとラファエルは思って見ていた。

「信じあう2人は、素敵ですわ。まるで、お芝居を目の前で見てるよう!
ねぇ、ラファエル様!」

芝居よりも興奮して、クロエは名前でラファエルを呼んでしまった。

「ノワイユ侯爵令嬢!
貴女には、ラファエルと呼ぶのを許してないわよ。
モルガン様は、男同士だから許したの。
つけ上がらないでよ、フン!」

ステラたちは笑いながら、ラファエルたちに感謝した。

今までの2人のわだかまりが消えた夜だと、その時は誰もがそう思っていた。
なんという、美しく甘美な空間であろうか。
ここにいた4人は、互いに愛を感じて感動していた。

たがラファエルのくなき余計な探究心たんきゅうしんが、またまたあらしを呼ぶのであった。
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