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第4章 婚活と未来への道
第9話 彼女たちの苦労
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散々たる結果でザィールから帰国したクロエだったが、友人の伯爵令嬢とは今回の事件で深い繋がりが持てたようだった。
今までクロエ様呼びが、クロエに変化していた。
前から気になっていた呼び方で、クロエは友人なのによそよそしさが嫌だった。
婚約者の方も身分が上の侯爵だから遠慮していたのか、旅の最後ほうでは妹のような感じで接してくれていた。
「ザィールでは、大失敗しました。
次回は、アルゴラかウィルスターですね。
はぁ~。
両親や兄が聞いたら、どう思うのか。
今から頭が痛いですわ!」
クロエはこの事件を内緒にしたかったが、招待した伯爵がノワイユ侯爵に詫び状を送ってしまったのだ。
「正直に話さなくても、宜しいのではないかしら?
明日は私も一緒に侯爵家に伺いますから、今から二人で打ち合わせを致しましょう!
ねぇ、クロエ!」
ここの場所は国境を越えた宿屋で、明日に自宅に帰る日程になっていた。
「感謝しますわ、ステラ。
外国人だから、甘くみられたのかしら?!
最後の道は、メイドか修道院のどちらかしかないわ。
ロベール伯爵令息の言うとおりね」
クロエは落ち込み塞いでいると、伯爵令嬢の婚約者が話をする。
「後妻扱いでも、いい殿方もいるのでは?
後は婚約破棄された方で、女性の方が問題で別れた方とか探してみたらどうですか?」
「数打てば当たるわけではないけど、それはありかもね。
クロエ、頑張って!
大丈夫よ、20歳前なら全然望みはあるわ。
まだ、貴女は16歳じゃない!」
お互いに婚約者同士の二人は、励ましているのか理解に苦しむ発言をクロエにむけた。
「有り難う、お二人さん!」と、クロエは投げやりに返事をした。
そのクロエの姿に二人は苦笑し、旅行最後の夕食を続けるのである。
あの令嬢は約束通りに、ザィールのワインと彼方のお菓子を持参して我が家に律儀にも報告しに来ていた。
私は宝石店に行っていなかったので、嫌な話を聞かずに済んだようだ。
神よ、感謝致します!
ラファエルは、空に向かいお礼を口にしていた。
でも夕食の時に、やっぱり話題になって結局は聞くはめになった。
「そんな変な男が、パーティーに忍び込んでいたのか?
侯爵令嬢も、さぞかし怖い思いをしたことだろう。
お気の毒なことだ!」
父は娘をもつ者として、心痛め心配になった。
これが引き金で、男性に恐怖心が残らなければよいが…。
「ご無事に戻られて、本当に良かったですわ。
私はあまり夜会には参りませんので、そんな男女の駆引きは理解できませんけどね」
次女シモーヌは、父の話に自分の事を話した。
「でも貴女たちも婚姻したら、夫とパーティーに出席する機会があります。
その様な良からぬ男性に気を付けなさい。
常に旦那様の近くにいるようにね!」
母は嫁ぐ姉二人に、夫人としての心得を話して聞かせていた。
パーティーや夜会ね。
あんなの行って、どうなのかね?!
お茶会や紳士の集まる会員制のバーとかの方が、健全でいいと思うけどな。
どうせ、貴族の見栄でやるもんでしょう?!
「父上や母上は、パーティーとか開いたり参加したりしませんね。見栄で開く方もいる中で、我が家は質素倹約で良いことだと存じます」
ラファエルはもし後を継いだら、この教えは必ず守ろうと胸に秘めていた。
「パーティーは気を使うし、金も使うからな。
気の合う者同士で、少人数の食事会が私は好きだよ」
「私もですわ。
今年の流行だとかで、身につけるドレスに振り回されるのが苦手です」
父と母が話すと、姉たちが珍しく反論してきた。
「父上たちは子育ても終わりに近いので、そんな呑気なことを言ってるのですわ!」
「そうですよ!
私たちはこれから始まるのです。夫の付き合いに、パーティーは絶対に行かなくてはならないし」
話を伺っていると、姉たちは婚姻してから大変だわね。
嫁ぐ支度も、どうもコツコツ進めているようだわ。
相手の嫁ぎ先に行儀見習いも行ってるようで、本当に女性はいろいろと苦労するのね。
まだ成人にもなってないラファエルは、食事をしながらどこ吹く風の心境であった。
今までクロエ様呼びが、クロエに変化していた。
前から気になっていた呼び方で、クロエは友人なのによそよそしさが嫌だった。
婚約者の方も身分が上の侯爵だから遠慮していたのか、旅の最後ほうでは妹のような感じで接してくれていた。
「ザィールでは、大失敗しました。
次回は、アルゴラかウィルスターですね。
はぁ~。
両親や兄が聞いたら、どう思うのか。
今から頭が痛いですわ!」
クロエはこの事件を内緒にしたかったが、招待した伯爵がノワイユ侯爵に詫び状を送ってしまったのだ。
「正直に話さなくても、宜しいのではないかしら?
明日は私も一緒に侯爵家に伺いますから、今から二人で打ち合わせを致しましょう!
ねぇ、クロエ!」
ここの場所は国境を越えた宿屋で、明日に自宅に帰る日程になっていた。
「感謝しますわ、ステラ。
外国人だから、甘くみられたのかしら?!
最後の道は、メイドか修道院のどちらかしかないわ。
ロベール伯爵令息の言うとおりね」
クロエは落ち込み塞いでいると、伯爵令嬢の婚約者が話をする。
「後妻扱いでも、いい殿方もいるのでは?
後は婚約破棄された方で、女性の方が問題で別れた方とか探してみたらどうですか?」
「数打てば当たるわけではないけど、それはありかもね。
クロエ、頑張って!
大丈夫よ、20歳前なら全然望みはあるわ。
まだ、貴女は16歳じゃない!」
お互いに婚約者同士の二人は、励ましているのか理解に苦しむ発言をクロエにむけた。
「有り難う、お二人さん!」と、クロエは投げやりに返事をした。
そのクロエの姿に二人は苦笑し、旅行最後の夕食を続けるのである。
あの令嬢は約束通りに、ザィールのワインと彼方のお菓子を持参して我が家に律儀にも報告しに来ていた。
私は宝石店に行っていなかったので、嫌な話を聞かずに済んだようだ。
神よ、感謝致します!
ラファエルは、空に向かいお礼を口にしていた。
でも夕食の時に、やっぱり話題になって結局は聞くはめになった。
「そんな変な男が、パーティーに忍び込んでいたのか?
侯爵令嬢も、さぞかし怖い思いをしたことだろう。
お気の毒なことだ!」
父は娘をもつ者として、心痛め心配になった。
これが引き金で、男性に恐怖心が残らなければよいが…。
「ご無事に戻られて、本当に良かったですわ。
私はあまり夜会には参りませんので、そんな男女の駆引きは理解できませんけどね」
次女シモーヌは、父の話に自分の事を話した。
「でも貴女たちも婚姻したら、夫とパーティーに出席する機会があります。
その様な良からぬ男性に気を付けなさい。
常に旦那様の近くにいるようにね!」
母は嫁ぐ姉二人に、夫人としての心得を話して聞かせていた。
パーティーや夜会ね。
あんなの行って、どうなのかね?!
お茶会や紳士の集まる会員制のバーとかの方が、健全でいいと思うけどな。
どうせ、貴族の見栄でやるもんでしょう?!
「父上や母上は、パーティーとか開いたり参加したりしませんね。見栄で開く方もいる中で、我が家は質素倹約で良いことだと存じます」
ラファエルはもし後を継いだら、この教えは必ず守ろうと胸に秘めていた。
「パーティーは気を使うし、金も使うからな。
気の合う者同士で、少人数の食事会が私は好きだよ」
「私もですわ。
今年の流行だとかで、身につけるドレスに振り回されるのが苦手です」
父と母が話すと、姉たちが珍しく反論してきた。
「父上たちは子育ても終わりに近いので、そんな呑気なことを言ってるのですわ!」
「そうですよ!
私たちはこれから始まるのです。夫の付き合いに、パーティーは絶対に行かなくてはならないし」
話を伺っていると、姉たちは婚姻してから大変だわね。
嫁ぐ支度も、どうもコツコツ進めているようだわ。
相手の嫁ぎ先に行儀見習いも行ってるようで、本当に女性はいろいろと苦労するのね。
まだ成人にもなってないラファエルは、食事をしながらどこ吹く風の心境であった。
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