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第4章 婚活と未来への道
第4話 危険なお誘い
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招待された伯爵一家に挨拶をしたクロエたちは、伯爵の友人たちと話をして親交を深めていた。
「お二人はご婚約していて、観光旅行を兼ねてこのパーティに参加。
クロエ様は、見聞を広げるために我が国にお越しになったのですね。
それは、良い心掛けですな!」
1人の紳士がクロエ達と会話を楽しんでいると、次から次へと話をしに人々が集まってくる。
これだけ声をかけてくれたら、1人くらいは手ごたえはある
かも?
でも、皆さん少し年が上みたいですわ。
「ねぇ、クロエ様。
私たち、少し踊ってきてもいい?」
友人が、婚約者とダンスをしたそうにしている。
「ええ、私は座って料理を食べてるわ。
ちょっと疲れたから、お二人のダンスをしっかり見ていてあげるわ!」
そう話すと、二人はクロエから離れて行った。
やっぱり、お邪魔だったんですわね。
そんなに簡単には、運命の出会いなんて現実に起こりそうもないわ。
クロエは皿に料理を盛って、独り座り食べ始めた。
「初めてまして、隣いいですか?
可愛らしいご令嬢!!」
クロエが声をする方へ目線を送ると、黒髪の薄茶の瞳の男性がいた。
手には、料理が乗った皿を持っていた。
ああ、この方もお休み時間の人ね。
「はい、どうぞ。
初めて食べる料理ですが、とても美味しいですわぁ!」
クロエは、色気のない会話を男性に話してしまった。
「アハハハ、そうですか。
こちらのパーティーには顔だけ出して帰るつもりでしたが、腹が空きましてね。
こんな美しいご令嬢に、出会えて今日は幸運ですよ!」
感じのよい男性の話し方に、クロエはちょっぴり心が弾んだ。
これって運命の出会いなの、何歳位の方かしら?
「まぁ、お一人でいらっしゃったのですか?
貴方様のような、素敵な紳士が?!」
クロエの言葉に気を良くしたのか、彼は食べながら楽しそうに話し出した。
「それでは、まだ婚約者もいらっしゃらないのですか?
エテルネルの男どもは、目が見えないのではないのか。
我が国でしたら、貴女程の美女は、奪い合いになってますよ!」
男性はクロエに向かい、歯が浮くようなお世辞を並べ立てる。
彼女もわかっていたが、こんな場面に慣れてない。
正直に嬉しいのと、彼はなんと言えば喜ぶのか頭の中で必死に言葉を探していた。
「私など普通ですわ。
貴方様がお声かけてくれなければ、壁に向かい独りでお話をしてましたわ!クスクス」
隣の彼はクロエと一緒に笑い続けてから、彼女に思いかけない言葉で誘ってきた。
「私は壁ではない、ただの人です。
ピンクの薔薇の妖精よ。
どうか一曲踊って下さいませんか?!」
クロエはダンスを申し込まれたのだ。
父や兄しか踊ったことがない、いいえ。
第2王子とは何度かあるわ。
まだ殿下があの令嬢と知り合う前に、無理やり周りに言われて踊った。
あの頃は殿下も笑って話しながら、一緒に踊ってくれましたわ。
「私は、あまり上手ではありませんことよ。
貴方様の足を、踏んでしまうかもしれませんわ」
彼女は少し頬を染めて、彼の誘いを受けた。
「構いませんよ。
内緒ですよ、爪先に鉄板を埋めてあります。
踏まれても痛くないようにね!」
冗談を言うとクロエに手を差し出して、彼女は彼の手に自分の手を乗せた。
彼は微笑んで、彼女の手に軽くキスをした。
クロエは、顔を真っ赤になってしまった。
他人に初めてされた行為に、自分は今どんな顔をしているのかしら?
これが恋の始まりなの、胸がドキドキして立っているのがやっとな気分になる。
二人が踊りに行くと、反対に友人たちはクロエを探していた。
「クロエ様は、料理を座って食べていると言ったのに。
何処にいるのかしら?」
友人の伯爵令嬢は、キョロキョロと辺りを見回した。
「まさか、庭に行ったのではないかなぁ。
そうだとしたら危険だぞ!
あんな暗闇で、誰かに何かされたりしたら!」
婚約者が伯爵令嬢に話すと、二人は急ぎ足でクロエを探しに庭に向かったのであった。
その時、彼女は名も知らない男性とワルツを踊っていた。
この方、ダンスがお上手ですわ。
なんだか、胸がドキドキとときめきますわ。
夢の中で踊ってる気分よ!
それにこの殿方は、よく見たら顔立ちも素敵じゃない。
クロエは、マジマジと彼を大きな輝くエメラルド色の瞳で見つめていた。
「お二人はご婚約していて、観光旅行を兼ねてこのパーティに参加。
クロエ様は、見聞を広げるために我が国にお越しになったのですね。
それは、良い心掛けですな!」
1人の紳士がクロエ達と会話を楽しんでいると、次から次へと話をしに人々が集まってくる。
これだけ声をかけてくれたら、1人くらいは手ごたえはある
かも?
でも、皆さん少し年が上みたいですわ。
「ねぇ、クロエ様。
私たち、少し踊ってきてもいい?」
友人が、婚約者とダンスをしたそうにしている。
「ええ、私は座って料理を食べてるわ。
ちょっと疲れたから、お二人のダンスをしっかり見ていてあげるわ!」
そう話すと、二人はクロエから離れて行った。
やっぱり、お邪魔だったんですわね。
そんなに簡単には、運命の出会いなんて現実に起こりそうもないわ。
クロエは皿に料理を盛って、独り座り食べ始めた。
「初めてまして、隣いいですか?
可愛らしいご令嬢!!」
クロエが声をする方へ目線を送ると、黒髪の薄茶の瞳の男性がいた。
手には、料理が乗った皿を持っていた。
ああ、この方もお休み時間の人ね。
「はい、どうぞ。
初めて食べる料理ですが、とても美味しいですわぁ!」
クロエは、色気のない会話を男性に話してしまった。
「アハハハ、そうですか。
こちらのパーティーには顔だけ出して帰るつもりでしたが、腹が空きましてね。
こんな美しいご令嬢に、出会えて今日は幸運ですよ!」
感じのよい男性の話し方に、クロエはちょっぴり心が弾んだ。
これって運命の出会いなの、何歳位の方かしら?
「まぁ、お一人でいらっしゃったのですか?
貴方様のような、素敵な紳士が?!」
クロエの言葉に気を良くしたのか、彼は食べながら楽しそうに話し出した。
「それでは、まだ婚約者もいらっしゃらないのですか?
エテルネルの男どもは、目が見えないのではないのか。
我が国でしたら、貴女程の美女は、奪い合いになってますよ!」
男性はクロエに向かい、歯が浮くようなお世辞を並べ立てる。
彼女もわかっていたが、こんな場面に慣れてない。
正直に嬉しいのと、彼はなんと言えば喜ぶのか頭の中で必死に言葉を探していた。
「私など普通ですわ。
貴方様がお声かけてくれなければ、壁に向かい独りでお話をしてましたわ!クスクス」
隣の彼はクロエと一緒に笑い続けてから、彼女に思いかけない言葉で誘ってきた。
「私は壁ではない、ただの人です。
ピンクの薔薇の妖精よ。
どうか一曲踊って下さいませんか?!」
クロエはダンスを申し込まれたのだ。
父や兄しか踊ったことがない、いいえ。
第2王子とは何度かあるわ。
まだ殿下があの令嬢と知り合う前に、無理やり周りに言われて踊った。
あの頃は殿下も笑って話しながら、一緒に踊ってくれましたわ。
「私は、あまり上手ではありませんことよ。
貴方様の足を、踏んでしまうかもしれませんわ」
彼女は少し頬を染めて、彼の誘いを受けた。
「構いませんよ。
内緒ですよ、爪先に鉄板を埋めてあります。
踏まれても痛くないようにね!」
冗談を言うとクロエに手を差し出して、彼女は彼の手に自分の手を乗せた。
彼は微笑んで、彼女の手に軽くキスをした。
クロエは、顔を真っ赤になってしまった。
他人に初めてされた行為に、自分は今どんな顔をしているのかしら?
これが恋の始まりなの、胸がドキドキして立っているのがやっとな気分になる。
二人が踊りに行くと、反対に友人たちはクロエを探していた。
「クロエ様は、料理を座って食べていると言ったのに。
何処にいるのかしら?」
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「まさか、庭に行ったのではないかなぁ。
そうだとしたら危険だぞ!
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その時、彼女は名も知らない男性とワルツを踊っていた。
この方、ダンスがお上手ですわ。
なんだか、胸がドキドキとときめきますわ。
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