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第4章 婚活と未来への道
第3話 幸せを探して
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自室の机の上には、図書館から借りた宝石に関する本が閉じたまま置かれている。
ラファエルは、父から反対されるに決まっていると最初から思っていた。
なにせ、まだ伯爵の後継者としての勉強もしていないのだから。
学園の勉強と宝石の基本の知識を、学生時代の残り2年間で終わらせることが出来れば!
それから、伯爵を継ぐ方法を教えて貰えばよい。
自分でも無謀で、自己中心的なのは理解している。
ラファエルは、父の伯爵に相談する時期を模索していた。
一方のノマイユ侯爵令嬢は、今夜が伯爵パーティーの予定。
朝からパーティーの準備をしている。
バスタブには薔薇の香油を使用し、メイドによって体を綺麗にいつもより丁寧に洗われている。
「お嬢様、いよいよですね。
着飾って、皆さんを驚かせましょう」
メイドは、張り切ってクロエの背中を洗ってくれる。
「有り難う。
でも私なんか、声をかけてくれる方なんているのかしらね?」
クロエは期待半分で、パーティーに行くことにした。
私なんて、男性のラファエル様に負けるほどの女子力ですもの。
案外下手したらお化粧して着飾ったら、私は彼に負けるかもしれない。
そう思ったら温かい湯船のはずが、急に冷たく感じるクロエだった。
鏡の中のクロエは、薄いピンクの裾が幾重にも重なりあっているデザインでとても可憐で似合っていた。
「ちょっと、少し胸が開きすぎてない?
なんか、恥ずかしいわ。
ドレスの色は、似合ってるとは思うけど?!」
クロエは、支度を手伝ってくれたメイドに聞いてみた。
「お嬢様、これぐらいは皆様当たり前ですよ。
ネックレスもつけますので、目立ちません。
殿方を探すには、少しは刺激的なのを着なくてはいけませんよ。
これでも、おとなしい方です」
メイドの話にクロエは、今までのパーティーを思い出す。
「確かにそうね。
もっと、胸を開けて見えそうな方もいたわ。
扇もあるし、恥ずかしかったら開いて隠せば良いしね。
どんな方々が集まるのかしら、ましてや外国の方なんて!」
クロエは、期待と不安でワクワクドキドキと興奮していた。
まだ成人したばかりで、希望や夢をみるお年頃。
クロエは準備が整い部屋を出て、宿でラウンジに友人たちを探して辺りを見渡した。
「クロエ様、ここよ!!」と、友人の伯爵令嬢が声を出し居場所を教えた。
「うわぁー!
二人ともお揃いの色で、よく似合っているわ。
誰が見ても一目瞭然、パートナーって分かるわね」
クロエは、なんだか孤独で仲間外れの気分。
パートナーのいない自分に、少しだけ寂しさを感じた。
私も運命の出会いをして、今日は自分でパートナーを探し出してみせるわ。
そのために遠くの隣国まで来たのだし、友人も手助けしてくれたのですから。
クロエと友人たちは、馬車に乗り込むと招待された伯爵の屋敷に向かうのだった。
伯爵の屋敷前には、沢山の馬車や人々でごった返している。
「混んでるな、しょうが無い。
少し歩くが、ここで降りようか。
レディ達は、それで宜しいかい?!」
友人の婚約者が、クロエ達に了承を得るために伺う。
「そうね、私はいいわよ。
クロエ様は、大丈夫ですか?」
「ええ、平気よ。
歩いたほうが、かえって緊張もほぐれていいかもね!」
3人は馬車から降りて、屋敷へ向かい歩き出した。
「クロエ様、変な方に声をかけられても着いていってはダメですよ。
貴方様は、箱入り娘だから不安だわ。
人の目がある場所に、絶対に居て下さいませね!」
友人はまるで母親の様な態度で、クロエにしっこく注意する。
「もう、同じ年ではない。
子供扱いしないでよ。
でも、心配してくれて嬉しいわ。
気にしてくれて、有り難う」
クロエは少し頬を膨らませてから、話すと友人は笑ってみせた。
「ノマイユ侯爵令嬢。
外国人と知ると、親切にする方と逆に馬鹿にする者もいるからね。
何処の国にも、問題を起こす人がいる気をつけてね!」
友人の婚約者までもが、これまた心配をして声をかけてきた。
私ってそんなに頼りなく見えるのかしら、友人はキリッとして悪く言えば気が強そうに見える。
反対に私は、皆からフワフワして危なっかしいとよく言われてる。
だからなのかしら、年下のロベール伯爵令息に馬鹿にされているようだわ。
私ったら、こんな考えばかりしていけないわ!
彼のことは忘れて、このパーティーに集中しよう!クロエはそう思いながら、伯爵の屋敷を目指すのである。
ラファエルは、父から反対されるに決まっていると最初から思っていた。
なにせ、まだ伯爵の後継者としての勉強もしていないのだから。
学園の勉強と宝石の基本の知識を、学生時代の残り2年間で終わらせることが出来れば!
それから、伯爵を継ぐ方法を教えて貰えばよい。
自分でも無謀で、自己中心的なのは理解している。
ラファエルは、父の伯爵に相談する時期を模索していた。
一方のノマイユ侯爵令嬢は、今夜が伯爵パーティーの予定。
朝からパーティーの準備をしている。
バスタブには薔薇の香油を使用し、メイドによって体を綺麗にいつもより丁寧に洗われている。
「お嬢様、いよいよですね。
着飾って、皆さんを驚かせましょう」
メイドは、張り切ってクロエの背中を洗ってくれる。
「有り難う。
でも私なんか、声をかけてくれる方なんているのかしらね?」
クロエは期待半分で、パーティーに行くことにした。
私なんて、男性のラファエル様に負けるほどの女子力ですもの。
案外下手したらお化粧して着飾ったら、私は彼に負けるかもしれない。
そう思ったら温かい湯船のはずが、急に冷たく感じるクロエだった。
鏡の中のクロエは、薄いピンクの裾が幾重にも重なりあっているデザインでとても可憐で似合っていた。
「ちょっと、少し胸が開きすぎてない?
なんか、恥ずかしいわ。
ドレスの色は、似合ってるとは思うけど?!」
クロエは、支度を手伝ってくれたメイドに聞いてみた。
「お嬢様、これぐらいは皆様当たり前ですよ。
ネックレスもつけますので、目立ちません。
殿方を探すには、少しは刺激的なのを着なくてはいけませんよ。
これでも、おとなしい方です」
メイドの話にクロエは、今までのパーティーを思い出す。
「確かにそうね。
もっと、胸を開けて見えそうな方もいたわ。
扇もあるし、恥ずかしかったら開いて隠せば良いしね。
どんな方々が集まるのかしら、ましてや外国の方なんて!」
クロエは、期待と不安でワクワクドキドキと興奮していた。
まだ成人したばかりで、希望や夢をみるお年頃。
クロエは準備が整い部屋を出て、宿でラウンジに友人たちを探して辺りを見渡した。
「クロエ様、ここよ!!」と、友人の伯爵令嬢が声を出し居場所を教えた。
「うわぁー!
二人ともお揃いの色で、よく似合っているわ。
誰が見ても一目瞭然、パートナーって分かるわね」
クロエは、なんだか孤独で仲間外れの気分。
パートナーのいない自分に、少しだけ寂しさを感じた。
私も運命の出会いをして、今日は自分でパートナーを探し出してみせるわ。
そのために遠くの隣国まで来たのだし、友人も手助けしてくれたのですから。
クロエと友人たちは、馬車に乗り込むと招待された伯爵の屋敷に向かうのだった。
伯爵の屋敷前には、沢山の馬車や人々でごった返している。
「混んでるな、しょうが無い。
少し歩くが、ここで降りようか。
レディ達は、それで宜しいかい?!」
友人の婚約者が、クロエ達に了承を得るために伺う。
「そうね、私はいいわよ。
クロエ様は、大丈夫ですか?」
「ええ、平気よ。
歩いたほうが、かえって緊張もほぐれていいかもね!」
3人は馬車から降りて、屋敷へ向かい歩き出した。
「クロエ様、変な方に声をかけられても着いていってはダメですよ。
貴方様は、箱入り娘だから不安だわ。
人の目がある場所に、絶対に居て下さいませね!」
友人はまるで母親の様な態度で、クロエにしっこく注意する。
「もう、同じ年ではない。
子供扱いしないでよ。
でも、心配してくれて嬉しいわ。
気にしてくれて、有り難う」
クロエは少し頬を膨らませてから、話すと友人は笑ってみせた。
「ノマイユ侯爵令嬢。
外国人と知ると、親切にする方と逆に馬鹿にする者もいるからね。
何処の国にも、問題を起こす人がいる気をつけてね!」
友人の婚約者までもが、これまた心配をして声をかけてきた。
私ってそんなに頼りなく見えるのかしら、友人はキリッとして悪く言えば気が強そうに見える。
反対に私は、皆からフワフワして危なっかしいとよく言われてる。
だからなのかしら、年下のロベール伯爵令息に馬鹿にされているようだわ。
私ったら、こんな考えばかりしていけないわ!
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