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第3章 子猫の飼い主さん
第3話 残念な侯爵令嬢
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花壇のドクダミを、やっと全て除去したわ!
可愛いセドリックのお願いで、鉢にドクダミを移したけどね。
もう、寒くて辛かったわよ。
来年の春になったら、何を植えようかしら?
薔薇がいいかなぁ?
屋敷の薔薇を何本か貰えるか、庭師に頼んでみよう。
ラファエルがご機嫌で姉たちの待つ馬車乗り場に行くと、なんでまたあの令嬢が居るのよ?!
もしかして、本当に友達になったの?
もう、どうしてよ!
こんなにも人が良いのかしら、身内でも呆れますことよ。
昔を思い出す、デブと言われても友人になっていた姉たちを。
「姉上たち、その方と友人になったの?
今日、我が家に招待しましたの?」
ラファエルは、侯爵令嬢をチラリと睨んだ。
「そうよ、学年は違うけどね。
今日、たまたま会ってね。
今から屋敷でお話をするのよ」
「はい、またお邪魔いたしますわ。ラファエル様」
侯爵令嬢がお辞儀をしてから、ラファエルに話しかける。
ちょっと、何を勝手に名前で呼んでるのよ。
年下だから舐めてんのかしら、気に入らないわね。
「ノマイユ侯爵令嬢。
私は親しくないですので、ロベール伯爵令息でお願いします!」
会った早々の弟の冷たい態度に、二人の姉妹は驚く。
「ラルったら!
いいではないの、ねぇ?」
長女エミリーは、困り顔で弟にお願いした。
「ダメですよ。
周りの方が聞いたら、誤解致します。
私は年齢が下だから、大丈夫と思いますけどね!」
そう嫌みを言うと、先に馬車の中に乗り込んだラファエルであった。
窓の外を見ながら聞こえてくる会話を聞き、またこの令嬢の身の上相談になるのね。
私は部屋に籠るわよ、一切関係ないから。
「ロベール伯爵令息。
この前のハンカチのお返しです。
受け取って下さいませ!」
ラファエルは、侯爵令嬢に向くと袋を手渡してきた。
「あら、洗って下さったの?
有り難う!」
中を見るとハンカチだったが、ラファエルの物ではない。
よく見ると何か刺繍がしてある。
「これ、貴女が刺繍したの?
これは、何の模様なの?」
「あ、薔薇ですわ。
あの、やっぱり見えませんよね」
顔を赤くしながら、令嬢は小さい声で答えた。
見えないわよ、ヒマワリって言いそうになったわ。
この令嬢、もしかして残念な方なの?
あの王子の近くにいた令嬢と同じなのかしら?
いえ、不器用なだけかも…。
「個性的な薔薇ね!
なかなか素敵なハンカチだわ。
ノマイユ侯爵令嬢、有り難うございます」
別にいらないわよ。
私の素晴らしい作品がたくさんあるからね。
ラファエルは、礼儀として貰ってあげることにした。
屋敷に帰って居間にいる母に挨拶をして、ラファエルは部屋に行こうとしていた。
「あら、ラルは一緒にお話をしないの?」
長女エミリーがラファエルに声をかける。
「はい、私は勉強がありますので失礼します!」
素っ気なく、居間から出て行ってしまった。
「冗談ではないわよ!
私は忙しいの!」と、ラファエルは独り言漏らしていた。
「ロベール伯爵令息に、なんだか嫌われましたわね。
あの下手な刺繍が、やはりいけなかったのかしら?!」
話を聞いていて違うだろうと、ロベール伯爵の女性たちは感じた。
「あれから父に、王子と婚約するなら修道院に行くと脅しました。
そうしましたら、父が婚約者候補を探してきた。
その中に、実はロベール伯爵のエミリー様の婚約者様が入ってましてまして……。
父には友人の婚約者ですので、やめるように説得しましたわ。
本当に申し訳ありませんでした」
クロエは、深々と頭を下げて謝ってきた。
エミリーは、かなりビックリした様子。
「えっ!それはどうも、すみませんでした」
「えーと、ノマイユ侯爵令嬢。
では、違う方が婚約者になりましたの?!」
次女シモーヌは、思わず慌てて質問したのであった。
「はぁ、何人かお会いしましたが駄目でした。
後妻とか、お顔に問題ある方とかを紹介されました。
身分は釣り合いますけど、酷くて絶望的になるだけで…」
後妻とは、この子16歳よね。
成人しているとはいえ、ご両親はこれは酷くないかしら?!
第2王子狙いとは伺っていたけれど、他の人をことをまったく考えなかったのね。
これでは、行き遅れになるわよ。
3人の女性たちは、哀れみを侯爵令嬢に感じるのである。
「ねっ、貴女はどんな殿方が好みなの?
身分って、やはり侯爵以下は駄目かしら?」
母アリシアは、手伝って誰かを紹介してあげたくなる。
「私は、身分にこだわりはありせんわ。
一緒いて、何でも話せる方がいいです。
私は、少しおっとりてますから。
両親が心配して、しっかりした逞しい方を探してますの」
よくご自分を理解していると、3人は心で思う。
この令嬢に合う方ね~?!
見た目は綺麗だし、性格も悪くはないわね。
しかし、何だかズレた思考の持ち主だ。
これは難しい、慎重にしないといけないわ。
「年下はどうかしら?
失礼ですが、もう年上の方には条件のいい方はいらっしゃらないと思いますよ」
母アリシアは、具体的な話を持ってきた。
「はい、身分も年齢もこだわりません。
周りの人は、婚約者がいる方ばかりですもの。
贅沢は言えませんわ」
その返答を聞いて母アリシアは、メイドにラファエルをここに呼ぶように命じた。
可愛いセドリックのお願いで、鉢にドクダミを移したけどね。
もう、寒くて辛かったわよ。
来年の春になったら、何を植えようかしら?
薔薇がいいかなぁ?
屋敷の薔薇を何本か貰えるか、庭師に頼んでみよう。
ラファエルがご機嫌で姉たちの待つ馬車乗り場に行くと、なんでまたあの令嬢が居るのよ?!
もしかして、本当に友達になったの?
もう、どうしてよ!
こんなにも人が良いのかしら、身内でも呆れますことよ。
昔を思い出す、デブと言われても友人になっていた姉たちを。
「姉上たち、その方と友人になったの?
今日、我が家に招待しましたの?」
ラファエルは、侯爵令嬢をチラリと睨んだ。
「そうよ、学年は違うけどね。
今日、たまたま会ってね。
今から屋敷でお話をするのよ」
「はい、またお邪魔いたしますわ。ラファエル様」
侯爵令嬢がお辞儀をしてから、ラファエルに話しかける。
ちょっと、何を勝手に名前で呼んでるのよ。
年下だから舐めてんのかしら、気に入らないわね。
「ノマイユ侯爵令嬢。
私は親しくないですので、ロベール伯爵令息でお願いします!」
会った早々の弟の冷たい態度に、二人の姉妹は驚く。
「ラルったら!
いいではないの、ねぇ?」
長女エミリーは、困り顔で弟にお願いした。
「ダメですよ。
周りの方が聞いたら、誤解致します。
私は年齢が下だから、大丈夫と思いますけどね!」
そう嫌みを言うと、先に馬車の中に乗り込んだラファエルであった。
窓の外を見ながら聞こえてくる会話を聞き、またこの令嬢の身の上相談になるのね。
私は部屋に籠るわよ、一切関係ないから。
「ロベール伯爵令息。
この前のハンカチのお返しです。
受け取って下さいませ!」
ラファエルは、侯爵令嬢に向くと袋を手渡してきた。
「あら、洗って下さったの?
有り難う!」
中を見るとハンカチだったが、ラファエルの物ではない。
よく見ると何か刺繍がしてある。
「これ、貴女が刺繍したの?
これは、何の模様なの?」
「あ、薔薇ですわ。
あの、やっぱり見えませんよね」
顔を赤くしながら、令嬢は小さい声で答えた。
見えないわよ、ヒマワリって言いそうになったわ。
この令嬢、もしかして残念な方なの?
あの王子の近くにいた令嬢と同じなのかしら?
いえ、不器用なだけかも…。
「個性的な薔薇ね!
なかなか素敵なハンカチだわ。
ノマイユ侯爵令嬢、有り難うございます」
別にいらないわよ。
私の素晴らしい作品がたくさんあるからね。
ラファエルは、礼儀として貰ってあげることにした。
屋敷に帰って居間にいる母に挨拶をして、ラファエルは部屋に行こうとしていた。
「あら、ラルは一緒にお話をしないの?」
長女エミリーがラファエルに声をかける。
「はい、私は勉強がありますので失礼します!」
素っ気なく、居間から出て行ってしまった。
「冗談ではないわよ!
私は忙しいの!」と、ラファエルは独り言漏らしていた。
「ロベール伯爵令息に、なんだか嫌われましたわね。
あの下手な刺繍が、やはりいけなかったのかしら?!」
話を聞いていて違うだろうと、ロベール伯爵の女性たちは感じた。
「あれから父に、王子と婚約するなら修道院に行くと脅しました。
そうしましたら、父が婚約者候補を探してきた。
その中に、実はロベール伯爵のエミリー様の婚約者様が入ってましてまして……。
父には友人の婚約者ですので、やめるように説得しましたわ。
本当に申し訳ありませんでした」
クロエは、深々と頭を下げて謝ってきた。
エミリーは、かなりビックリした様子。
「えっ!それはどうも、すみませんでした」
「えーと、ノマイユ侯爵令嬢。
では、違う方が婚約者になりましたの?!」
次女シモーヌは、思わず慌てて質問したのであった。
「はぁ、何人かお会いしましたが駄目でした。
後妻とか、お顔に問題ある方とかを紹介されました。
身分は釣り合いますけど、酷くて絶望的になるだけで…」
後妻とは、この子16歳よね。
成人しているとはいえ、ご両親はこれは酷くないかしら?!
第2王子狙いとは伺っていたけれど、他の人をことをまったく考えなかったのね。
これでは、行き遅れになるわよ。
3人の女性たちは、哀れみを侯爵令嬢に感じるのである。
「ねっ、貴女はどんな殿方が好みなの?
身分って、やはり侯爵以下は駄目かしら?」
母アリシアは、手伝って誰かを紹介してあげたくなる。
「私は、身分にこだわりはありせんわ。
一緒いて、何でも話せる方がいいです。
私は、少しおっとりてますから。
両親が心配して、しっかりした逞しい方を探してますの」
よくご自分を理解していると、3人は心で思う。
この令嬢に合う方ね~?!
見た目は綺麗だし、性格も悪くはないわね。
しかし、何だかズレた思考の持ち主だ。
これは難しい、慎重にしないといけないわ。
「年下はどうかしら?
失礼ですが、もう年上の方には条件のいい方はいらっしゃらないと思いますよ」
母アリシアは、具体的な話を持ってきた。
「はい、身分も年齢もこだわりません。
周りの人は、婚約者がいる方ばかりですもの。
贅沢は言えませんわ」
その返答を聞いて母アリシアは、メイドにラファエルをここに呼ぶように命じた。
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