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第2章 不思議な花壇と捨てられた子猫
第7話 子供たちのお願い
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帰宅した3人は、真っ直ぐに屋敷の女主人の母アリシアに帰宅の挨拶と子猫の相談をする。
「お母様、お願いがあるのです。
この子猫を飼ってもいいですか?それと、今すぐにミルクをあげたいのです。
お腹が空いてるみたいですし、とても弱っているみたいですから」
母に抱いた子猫を見せると、母の隣に座っていたセドリックが喜びの声をあげた。
「わーぁ、可愛い~!
お母様、助けて下さい。
猫ちゃんが可哀想です!
お願いしますー!!」
末っ子の必死の頼みに、母は先にミルクを与えるように近くにいたメイドに指示を出した。
温かいお湯でキレイに体を洗って、ミルクを飲ませると子猫は安心したのかぐっすり寝てしまった。
そんな子猫を見て、セドリックは頭を撫で続けていた。
仔猫が可愛いのは分かりるが、これでは落ち着いて寝れなくて気の毒である。
「セドリック、猫ちゃんを休ませてあげようなぁ。
さぁ、向こうへ行こう!」
ラファエルは、セドリックの手を繋ぎソファーに向かい一緒に座った。
「この子猫、綺麗な毛並みをしてるわね。
もしかしたら、良いとこの猫ではなくって?ホホホ」
母アリシアは、可愛らしく寝ている子猫を見ては目を細めた。
どうやら、子猫を気に入ってくれたみたいだ。
「お母様、お父様は飼うことを許してくれるでしょうか?!
動物は、お嫌いではないですよね?」
ラファエルは、母に父モーリスのことを心配そうに尋ねてみた。
「そうね、動物は嫌いではないはずよ。
ほらっ、我が家は4人も子がいるでしょう。
賑やかで、動物を飼うなんて考え付かなかったのよ」
母アリシアは夫を思い浮かべては、子供らに話を聞かせた。
「お母様!お父様が、いいって仰ったら飼ってもいいですか?」
1番上の長女エミリーが、母に真剣な面持ちで頼んでくれた。
4人の子供たちは、すがるように母アリシアを見るのだった。
「いいわ!お父様のお許しを得たら、皆で大切に飼いましょうね!」
母の了承の言葉に、子供たちは歓喜の声をあげる。
いつもより緊張感が漂う、ロベール伯爵家の夕食の時間。
4人の子供たちは、父モーリスの顔を見つめていた。
父は、今日は機嫌が良いのだろうか?!
モーリスは、普段からあまり感情が表に出なく分かりづらい。
話してみて初めてわかるという、厄介な人なのだ。
ラファエルは代表して決心すると、父に声をかけてみる。
「父上、お願いがございます!」
「いいぞ!」と、モーリスが一言だけ返事をした。
4人の子供たちは、父の一言に固まった。
いいぞの意味は話していいぞなのか、それとも子猫を飼ってもいいぞなのか。
いったい、どちらの意味なんだろうか?!
ラファエルたちは、しばらく無言で各自に考えていた。
末っ子のセドリックが、嬉しいそうに父に話してきた。
「お父様、ありがとう!
猫ちゃん可愛いです。
見たら、頭を撫でて下さいね」
父モーリスは、その言葉の意味が理解できないらしい。
3人の他の子供たちは思った。これは話しても、いいぞの方だったんだとー。
それを聞いていた母アリシアが、突然コロコロと笑いだしてしまった。
セドリック以外の子供たちも、母につられて笑ってしまうのだった。
父モーリスとセドリックだけが、顔がキョトンとしていた。
またその顔を見て、笑いが止まらない4人である。
「なんだ、猫を飼いたかったのか。
ちゃんと、面倒をみるなら許そう。
よいか、生き物なんだぞ。
最後まで飽きずに世話をするのだ!わかったな!!」
父がそう話すと、子供たちは満面の笑顔でハーイといい返事をした。
新しい家族が1人ではなく、一匹が加わった。
名前は拾ったラファエルが、つけることになった。
青いリボンを付けた子猫か、ラファエルは前の主人はどんな人だったんだろうかとフッと考えていた。
ラファエルは、子猫にアジュールと名を与えた。
意味は空色になる、つけていたリボンが青かったからだ。
アジュールの出会いがきっかけに何が起こるのか、ラファエルはこの時は思いもよらなかった。
その運命の出会いは、間もなくやってくる。
「お母様、お願いがあるのです。
この子猫を飼ってもいいですか?それと、今すぐにミルクをあげたいのです。
お腹が空いてるみたいですし、とても弱っているみたいですから」
母に抱いた子猫を見せると、母の隣に座っていたセドリックが喜びの声をあげた。
「わーぁ、可愛い~!
お母様、助けて下さい。
猫ちゃんが可哀想です!
お願いしますー!!」
末っ子の必死の頼みに、母は先にミルクを与えるように近くにいたメイドに指示を出した。
温かいお湯でキレイに体を洗って、ミルクを飲ませると子猫は安心したのかぐっすり寝てしまった。
そんな子猫を見て、セドリックは頭を撫で続けていた。
仔猫が可愛いのは分かりるが、これでは落ち着いて寝れなくて気の毒である。
「セドリック、猫ちゃんを休ませてあげようなぁ。
さぁ、向こうへ行こう!」
ラファエルは、セドリックの手を繋ぎソファーに向かい一緒に座った。
「この子猫、綺麗な毛並みをしてるわね。
もしかしたら、良いとこの猫ではなくって?ホホホ」
母アリシアは、可愛らしく寝ている子猫を見ては目を細めた。
どうやら、子猫を気に入ってくれたみたいだ。
「お母様、お父様は飼うことを許してくれるでしょうか?!
動物は、お嫌いではないですよね?」
ラファエルは、母に父モーリスのことを心配そうに尋ねてみた。
「そうね、動物は嫌いではないはずよ。
ほらっ、我が家は4人も子がいるでしょう。
賑やかで、動物を飼うなんて考え付かなかったのよ」
母アリシアは夫を思い浮かべては、子供らに話を聞かせた。
「お母様!お父様が、いいって仰ったら飼ってもいいですか?」
1番上の長女エミリーが、母に真剣な面持ちで頼んでくれた。
4人の子供たちは、すがるように母アリシアを見るのだった。
「いいわ!お父様のお許しを得たら、皆で大切に飼いましょうね!」
母の了承の言葉に、子供たちは歓喜の声をあげる。
いつもより緊張感が漂う、ロベール伯爵家の夕食の時間。
4人の子供たちは、父モーリスの顔を見つめていた。
父は、今日は機嫌が良いのだろうか?!
モーリスは、普段からあまり感情が表に出なく分かりづらい。
話してみて初めてわかるという、厄介な人なのだ。
ラファエルは代表して決心すると、父に声をかけてみる。
「父上、お願いがございます!」
「いいぞ!」と、モーリスが一言だけ返事をした。
4人の子供たちは、父の一言に固まった。
いいぞの意味は話していいぞなのか、それとも子猫を飼ってもいいぞなのか。
いったい、どちらの意味なんだろうか?!
ラファエルたちは、しばらく無言で各自に考えていた。
末っ子のセドリックが、嬉しいそうに父に話してきた。
「お父様、ありがとう!
猫ちゃん可愛いです。
見たら、頭を撫でて下さいね」
父モーリスは、その言葉の意味が理解できないらしい。
3人の他の子供たちは思った。これは話しても、いいぞの方だったんだとー。
それを聞いていた母アリシアが、突然コロコロと笑いだしてしまった。
セドリック以外の子供たちも、母につられて笑ってしまうのだった。
父モーリスとセドリックだけが、顔がキョトンとしていた。
またその顔を見て、笑いが止まらない4人である。
「なんだ、猫を飼いたかったのか。
ちゃんと、面倒をみるなら許そう。
よいか、生き物なんだぞ。
最後まで飽きずに世話をするのだ!わかったな!!」
父がそう話すと、子供たちは満面の笑顔でハーイといい返事をした。
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青いリボンを付けた子猫か、ラファエルは前の主人はどんな人だったんだろうかとフッと考えていた。
ラファエルは、子猫にアジュールと名を与えた。
意味は空色になる、つけていたリボンが青かったからだ。
アジュールの出会いがきっかけに何が起こるのか、ラファエルはこの時は思いもよらなかった。
その運命の出会いは、間もなくやってくる。
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