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第2章 不思議な花壇と捨てられた子猫
第3話 セドリックの誓い
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ロベール伯爵家、次男セドリックは現在8歳。
上の3人が通っている学園に、来年入学予定になっている。
2人の姉たちは、美しくとても優しい性格の持ち主。
兄ラファエルは、入学時から首席で学費を免除されているほどの秀才。
此方も優しく、弟の自分の面倒をよく見てくれている。
学園に入るための勉強も出来の悪い自分に、時間をかけ丁寧に教えてくれていた。
「ねーぇ、僕は兄上に何かお返し出来ることあるかなぁ?
兄上は、何でも出来るんだもん!」
メイドたちにセドリックが相談している場所は、メイドたちの休憩室。
遺伝がそうさせているのか、セドリックもラファエルと同じ行動をしている。
3人のメイドたちは、そんな子供らしく可愛らしいセドリックに笑いながら答えてあげた。
「別に、今でなくても宜しいのでは?
セドリック様が大人になってから、兄上様に何かをして差し上げたらいいのですよ」
そう話すと、甘いハチミツ入りのミルクをお出しした。
「セドリック様は、今はいっぱい食べて遊んで下さいませ」
こちらも、クッキーを数枚お皿に出して前に置くのである。
「そうですよ。
私たちも、そのお手伝いを致しますわ」
3人の古参のメイドたちは、セドリックに昔のラファエルを重ねて見ていた。
「うん、ありがとうね。
僕は、頑張って大きくなるよ!
そして、兄上をいつかは助けるんだ!」
彼は、純真で素直な性格であった。
遠い未来は兄のために領地を守り、兄の好きなことをさせてあげたのだ。
それが、彼の幸せでもあった。
彼は、領地経営の才能を遺憾無く発揮されるのである。
お互いに、実力を試せる仕事につけたのは幸運であった。
ロベール伯爵家は、この後に繁栄するのをまだ誰も想像できない。
「なんだか、凄い幼少期でしたのね。
ラファエル様はー。
話聞いていて、私の幼少期なんて霞ますわね」
クラレンス公爵令嬢プリムローズは、今日はロベール伯爵の屋敷でお茶を飲みながら昔話を聞いていた。
「あら、嫌だわ。
私はここだけの狭い話よ。
プリムローズ様は、もう貴族中の話題の中心です。
私のつまらない話とは、全然比べられません。
もう~、恥ずかしい!」
彼はなんと!
淡い水色のドレスを着ていて、優雅に座りプリムローズに微笑んでいた。
彼、いや!
今は彼女のラファエルは、サファイアの様な瞳とそのドレスはお似合いだ。
「ラルは男性なのに、ドレスがほんと似合うわよねぇ。
私もラルにドレスを作るのを、毎回楽しみにしてますの。
オッホホホ」
フルール店長兼責任者、そしてラファエルのママこと友人ポレット夫人が笑いながら話しかけた。
「うふふっ、でしょう?
でも、またドレスが着れるなんてね。
あの頃は思いもしなかったわよ。これも、愛する理解ある妻のお・か・げ!きゃあ~!」
恥ずかしいのか、両手で顔を覆って隠していた。
まるで少女のような態度の様子を見ていた2人も、どんな言葉と表情をこの方に返していいのか悩んでいた。
「その奥様とお子様は、本当に屋敷に戻りますの?
私は留学前に、是非とも御挨拶したいのですわ」
公爵令嬢プリムローズは、遠く国を離れる前に1度はご挨拶したかった。
彼女も留学前の慌ただしさの中、今日しか時間がなかったのである。
「もうじきですわ。
もう、二人とも我が家に泊まれば!
ね~ぇ、そうしてよ。
それにね、これからが妻と私の出会いの話になるのよ。
聞きたいでしょう?うふっ!」
長年の付き合いだがポレット夫人も、ロベール伯爵夫妻の詳しい馴れ初めは知らなかったのだ。
魅力的なお誘いに二人は負けて、それぞれの家に至急連絡をいれた。
「じゃね、それでは続き話すわよ。
私の妻はね。
実はね、歳上さんなのよ。
イヤだわ、言っちゃったわー!
あははは!!」
あまりのテンションの高さに驚く、前に座る2人の客人たち。
プリムローズは、思わず紅茶の味をよく確かめた。
ブランデーは、中に入ってないわよね。
紅茶には、お酒は入ってないみたい。
プリムローズとポレット夫人は、ああそうなのと頷くしか出来なかった。
このままの調子で何処までいくのか、誰もこの先は予想は不可能だった。
まだまだ続くラファエルの青春話を、二人は時折胸をドキドキしながら聞いていた。
上の3人が通っている学園に、来年入学予定になっている。
2人の姉たちは、美しくとても優しい性格の持ち主。
兄ラファエルは、入学時から首席で学費を免除されているほどの秀才。
此方も優しく、弟の自分の面倒をよく見てくれている。
学園に入るための勉強も出来の悪い自分に、時間をかけ丁寧に教えてくれていた。
「ねーぇ、僕は兄上に何かお返し出来ることあるかなぁ?
兄上は、何でも出来るんだもん!」
メイドたちにセドリックが相談している場所は、メイドたちの休憩室。
遺伝がそうさせているのか、セドリックもラファエルと同じ行動をしている。
3人のメイドたちは、そんな子供らしく可愛らしいセドリックに笑いながら答えてあげた。
「別に、今でなくても宜しいのでは?
セドリック様が大人になってから、兄上様に何かをして差し上げたらいいのですよ」
そう話すと、甘いハチミツ入りのミルクをお出しした。
「セドリック様は、今はいっぱい食べて遊んで下さいませ」
こちらも、クッキーを数枚お皿に出して前に置くのである。
「そうですよ。
私たちも、そのお手伝いを致しますわ」
3人の古参のメイドたちは、セドリックに昔のラファエルを重ねて見ていた。
「うん、ありがとうね。
僕は、頑張って大きくなるよ!
そして、兄上をいつかは助けるんだ!」
彼は、純真で素直な性格であった。
遠い未来は兄のために領地を守り、兄の好きなことをさせてあげたのだ。
それが、彼の幸せでもあった。
彼は、領地経営の才能を遺憾無く発揮されるのである。
お互いに、実力を試せる仕事につけたのは幸運であった。
ロベール伯爵家は、この後に繁栄するのをまだ誰も想像できない。
「なんだか、凄い幼少期でしたのね。
ラファエル様はー。
話聞いていて、私の幼少期なんて霞ますわね」
クラレンス公爵令嬢プリムローズは、今日はロベール伯爵の屋敷でお茶を飲みながら昔話を聞いていた。
「あら、嫌だわ。
私はここだけの狭い話よ。
プリムローズ様は、もう貴族中の話題の中心です。
私のつまらない話とは、全然比べられません。
もう~、恥ずかしい!」
彼はなんと!
淡い水色のドレスを着ていて、優雅に座りプリムローズに微笑んでいた。
彼、いや!
今は彼女のラファエルは、サファイアの様な瞳とそのドレスはお似合いだ。
「ラルは男性なのに、ドレスがほんと似合うわよねぇ。
私もラルにドレスを作るのを、毎回楽しみにしてますの。
オッホホホ」
フルール店長兼責任者、そしてラファエルのママこと友人ポレット夫人が笑いながら話しかけた。
「うふふっ、でしょう?
でも、またドレスが着れるなんてね。
あの頃は思いもしなかったわよ。これも、愛する理解ある妻のお・か・げ!きゃあ~!」
恥ずかしいのか、両手で顔を覆って隠していた。
まるで少女のような態度の様子を見ていた2人も、どんな言葉と表情をこの方に返していいのか悩んでいた。
「その奥様とお子様は、本当に屋敷に戻りますの?
私は留学前に、是非とも御挨拶したいのですわ」
公爵令嬢プリムローズは、遠く国を離れる前に1度はご挨拶したかった。
彼女も留学前の慌ただしさの中、今日しか時間がなかったのである。
「もうじきですわ。
もう、二人とも我が家に泊まれば!
ね~ぇ、そうしてよ。
それにね、これからが妻と私の出会いの話になるのよ。
聞きたいでしょう?うふっ!」
長年の付き合いだがポレット夫人も、ロベール伯爵夫妻の詳しい馴れ初めは知らなかったのだ。
魅力的なお誘いに二人は負けて、それぞれの家に至急連絡をいれた。
「じゃね、それでは続き話すわよ。
私の妻はね。
実はね、歳上さんなのよ。
イヤだわ、言っちゃったわー!
あははは!!」
あまりのテンションの高さに驚く、前に座る2人の客人たち。
プリムローズは、思わず紅茶の味をよく確かめた。
ブランデーは、中に入ってないわよね。
紅茶には、お酒は入ってないみたい。
プリムローズとポレット夫人は、ああそうなのと頷くしか出来なかった。
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